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第2章―戦いの砲火―

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「♪~♪~♪~♪」

 そこで能天気に口笛を吹くと、2人からの痛い視線が突き刺さった。美岬は呆れた顔で近づくと片腕を彼の首の方にサッと回して無言で背後からチョーク・スリーパーをかけて黙らせた。結人は彼の技かけに驚くと、自分の意識が一瞬飛んだ。そして、ジタバタしながら腕の中でもがいた。

「ちょっ、ロープロープ! 美岬、苦しぃっ!」 

 結人が苦しそうにもがくと、彼は舌打ちをしてさらに腕に力を込めた。

「ド下手くそな口笛なんか呑気に吹きやがって、お前なんかこうだ!」

 そう言って美岬は結人を後ろから羽交い締めにした。隼人は一人呆れた表情でため息をついた。

「――ふぅ。全くやれやれだ。グラギウス艦長は一体、どこに行ってしまったんだ?」

 隼人がその事を呟くと結人は言った。

「あの、隼人隊長。上の状況を少し偵察しに行きますか……?」

結人はそう言って彼に提案を持ちかけた。だが、隼人はその場で渋った。

「いいや、それはだめだ。グラギウス艦長からはここで『待機』との指示がさっき出たばかりだ。だからといって、易々と持ち場を離れるわけにはいかない……!」

そう言って隼人は少し困惑した表情を2人の前で見せた。

「じゃあ、僕が上を偵察しに行きます!」

 結人は張り切った感じでその事を伝えた。

「結人君。正直キミにはちょっと無理かな……」

「隼人隊長、僕を信頼してないんですか……!? ぼっ、僕だって今は立派なウィクトリア精鋭部隊の一員ですよ……!」

そう言って結人はムキになると、ジリジリと彼に詰め寄った。隼人は困った表情で黙って苦笑いを浮かべた。

「……確かに結人君の意見は素晴らしい。だけど君に万一の事があったら、俺が責任を追うことになる。つまり言いたいことはわかるよね?」

 彼の何気無いその言葉に頭がガーンとなると、結人はショックな顔で呟いた。

「そ、そんな……!」 

 後ろにいた美岬は結人の右肩をポンと叩くと、皮肉混じりに励ました。

「まあ、そう言うことだ。ドンマイ結人」

 あからさまにバカにされた感じで言われると、ムキになって言い返した。

「…っ、酷い! 美岬のバカ! バカバカバカ! 美岬の意地悪っ! 隼人隊長も意地悪で2人とも凄く嫌な感じだ!」

 結人はそう言うと口を尖らせて2人の前でいじけてそっぽを向いた。そして、両腕を組んで不貞腐れた。美岬は髪の毛を無造作にかきむしると、呆れたように言った。

「ふぅ、ようするにだ。お前はおっちょこちょいだっつーことだ」

『なっ……!?』

 美岬は包み隠さずストレートにその事を本人に言うと、指先で彼のオデコを軽くデコピンした。結人は頭がガーンとなると泣きそうな表情で言い返した。

「ひ、酷いよ美岬……!」

 結人はその言葉に半泣きした。

「許せ本当のことだ。むしろ間抜けで相変わらずドジな天然なお前に、まともに任務が随行できるとは誰一人も期待していないから安心しろ――」

 美岬の毒舌に結人の心はズタズタにされた。

「うっ……!」

見るにみかねた隼人は、そこで2人の間に割って入ると仲裁した。

「ハイ、そこまでだ! 美岬。お前は何でも人に言い過ぎるその癖を直さなくてはいけないぞ?」

 隼人がそのことを注意すると、美岬はその場で舌打ちをして彼を睨んだ。

「チッ……!」
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