上 下
31 / 193
第2章―戦いの砲火―

22

しおりを挟む
 一方その頃、各エリアでは今だアザゼル軍との激しい攻防戦を繰り広げていた。第7エリアは、敵の手に落ちると同時に。中では敵の兵士デッドマン・ドールによる。無差別に近いほどの殺戮が繰り広げられていた。

 無線を使って本部に向けて必死で連絡を試みる者はすぐにデッドマン・ドールズに射殺された。ラケシスの基地本部では各エリアの無線から敵軍にエリアを制圧されたとの情報が、本部へと次々に伝わった。

 冴嶋は椅子に座りながら両腕の肘を机について沈黙した表情を浮かべ。そして、本部の部下に各エリアで戦っている部隊のリーダーを軸にさらに結束力を固めるようにと指示を出した。それほどまでに状況は酷く混乱していた。今だかつてないほどの敵の仕掛けた戦略にラケシスの基地は見事に翻弄されてしまった。

 彼らの到来はまさに嵐の前触れか? それとも運命の悪戯か? 物語はさらに、深刻な状況へと変化した。そして、アークⅡを率いるミストラル部隊とフェニックスを率いるガルーダ部隊の登場と、デッドマン・ドールの兵士達の登場により。地上と上空からの基地全体に向けての過剰攻撃によってゼノア宇宙コロニー第6拠点基地ラケシスは敵の絶大な勢力によって絶望的なまでの窮地に追いつめられた。

 さらに基地を苦しめたのは、外の宇宙には敵の第8艦隊プロキオンと、艦隊10隻が周囲で網目を張っており。包囲網を敷くと、援軍が駆けつけて来た場合。そこで未然に防ぐために敵艦隊は待ち構えていた。

 その混乱の中、基地は敵の強いジャミング攻撃により。他の基地との無線や交信が一切出来ずに唯一の頼みの綱である地球基地の第6拠点基地のラケシスとは全く連絡が取れずにいた。この状況と事態を報告する事も出来ず、救助要請も援軍も今だ呼べずにいた。

まさに宇宙基地の第6拠点基地ラケシスは、この厳しい状況下の中で孤立の一歩を辿った。その中をラケシスの兵士やパイロット達は絶望的な状況を前にして、最後まで諦めずにアザゼルと戦っていた。

ラケシス宇宙基地の第1空戦部隊、リゲル部隊のリーダー。ケイニッフィ大佐は他の部隊と共に、宇宙で敵との激しい交戦を交わしていた。

「クソッ! まったくしつこい奴らだ…――! 次から次へと敵を新たに送り込みやがって、このままだとキリがないぜ!」

 敵の空母艦からは新たな戦闘機が発進すると、そのまま猛スピードで2機が接近してきた。大佐は接近してくる敵の戦闘機に向けてバルカン砲を撃ちまくりながら応戦した。

素早くボタンを押すと、強力的な長距離ミサイルを発射した。そして、その場で2機を撃墜に成功させた。

「ええい、クソったれ、この俺様を誰だと思ってやがる!」

 大佐は戦闘機の中でその事を強く言い放った。広大な宇宙空間では敵との激しい銃撃戦が、辺り一帯で繰り広げられていた。ラケシスの空戦部隊は連携をとりながら皆が一丸となって戦った。
しおりを挟む

処理中です...