悪魔になったらするべきこと?

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闇オークション!ルナを探せ!その2

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それら少しして、アダムは件のホテル跡地にやってきていた。

「なんとも趣味の悪い」

元々は落ち着いた佇まいのそれだったのだろう。不釣り合いに華美な装飾で飾り立てられた建物はいかにも悪巧みが好きそうな連中が集まりそうな雰囲気を醸し出している。

「これでは魔法局の人間でなくとも調べたくなるな」

アダムはこっそりと小型の望遠鏡を覗きながら周囲を探る。建物の前にはいくつも馬車が並んでおり”お客”の入りは悪く無い様だ。その中にはアダムの記憶の中で間違いがなければそれなりに家格のある連中も含まれている。
そして搬入口らしきところに運び込まれていく大小さまざまな木箱や布の掛かった物、それに・・・人も。

「見ているだけで気分が悪くなるな・・・」

アダムは望遠鏡を仕舞うと道中で仕入れてきた道具を広げ始めた。



「今晩は」
「誰だ?」

門番が突然現れた男に威圧的な態度で応じる。対する男は礼儀正しくきっちりとした足取りと服装で立っており門番は些か警戒を緩めて男の次の言葉を待った。

「申し訳ないが私を中に入れてもらえないだろうか」
「招待客しか入れないことになっている」
「そこをどうにか、実は私はさる家のものでしてね」

門番は少し対応に困った。おそらく目の前の男は客の中の遣いらしかった。しかし招待状や許可証を持っていないということは訳アリということでもある。

「御子息の金遣いを危惧している主人をお助けするためにこうして足を運んだ次第で」
「それは大変ですな、ですが身元の分からん人を通すわけにはいきません」
「そこをどうにか、と言っているわけで。許可証が必要なのはわかりますがそれを使うとなると名簿に名前が載ってしまう。そうなると黙ってついてきた意味がなくなりますので」

男は門番に耳打ちをする。

「そうそう、これはほんの気持ちですが」

門番のポケットにチャリチャリと音を立てて何かが滑り込んだ。少し距離をとった男を見ながら門番はポケットに滑り込んだ貨幣が金色であることに気付いて露骨に笑顔を浮かべた。

「いやあ、大変な事ですが実は今から数分ばかり記憶がなくなりそうで」
「それはお疲れ様ですな」

門番はこっそりと彼らが使う通路の扉を開けた。男性は恭しく頭を下げるとすれ違いざまにいくつかの貨幣をさらに門番に手渡し

「もしお困りでしたら同僚の方にも幾らかおすそ分けをどうぞ」
「これは・・・どうも」

と言伝をして扉を潜った。門番は最初とは打って変わって笑顔で男性を見送った。


「さて、贋金とバレない内に行動するか」

男性ことアダムはさっと顔に被せていた布を取り払うと正体を現し、人気のないところへと向かった。

「しかし変装なんぞ久々だがばれずにすんでよかったわい」

布をパタパタと動かすと顔に被せ、それを顔に貼り付けて顔の形を変えるとメイクをして眉や髭などを付け足して人の顔にしてしまう。魔法で顔を誤魔化すこともできるがそれだと相対している者以外からは丸見えだし、そういったものはレンズ越しや窓越しになると看破されてしまうことがある。それ故に彼は手作業で顔を変える技術を身に着けていた。

「エトナ―はこれで封印が解けると言っていたが・・・」

短剣とレリーフの金属板。どう使うのかまではアダムも知らなかったがこれが鍵となるはずである。
となると封印を解く次いでにルナを探し出すにはこれらを上手く使う方法を考えなければならない。

「・・・餌にするか」

アダムはレリーフを持って、作業をしているボーイに声を掛けることにした。

「もし、物品の鑑定というのはどこでやってもらうのかな」
「お客様ですか?このようなところまで入ってこられては困りますが」

裏口だから当然の反応であるがアダムは困った様子をあえて見せてボーイに詰め寄る。

「お願いだ、これを鑑定してオークションに出してほしい」
「え、これを?」
「どうにも聖なる封印を解けるレリーフらしいのだが主人に頼まれていた物品のリストから洩れてしまったのだ」

このままでは私は主人に叱られてしまう!とさも困ったように頭を抱えて見せるとボーイは困りつつも客の頼みとリストをめくり始めた。

「ええと、この小さな奴なら隣の倉庫に行けば預かってくれるはずです」
「そうかそうか、それはありがたいが・・・実はこの商品は大きな商品とセットになっているんだ」
「えっ、セット?」
「うむ、封印を解くための道具なのだから当然封印をされたものとセットで売りに出すにきまってるだろう」
「それもそうですね・・・?」

ボーイはまだ少し納得がいっていない様子だったがリストにはいくつか封印にまつわる商品があったと記憶していた。出品者がそれなりの身分の人間だったとも。出品者の不備にしろこのままオークションが始まればクレームの元だ。ボーイはアダムに大型の商品が入った倉庫へ案内することにした。

「それで、どんな商品かはご存じで?」
「うむ、人間大だったと思う。そうさな、160センチほどの」
「それくらいとなるとついさっき来た奴かな・・・」

リストをめくりながら進むボーイにアダムはそれを横目で盗み見ながら歩く。

(彫像と誤魔化せなくもないが見た目はまさしく人間だものな・・・どれだ・・・?)

リストの中に走り書きで『ネームレス』と書かれた文字が足されていた。アダムはそれに目をつけることにした。

「そのネームレスというのは?」
「あ、勝手に見てはいけませんよ・・・これはついさっき来た奴ですね・・・あ、封印されてる品です」
「それかもしれん。なにしろ訳アリの品だ。慌てて此処に持ってきたから・・・」
「それなら急がないと、オーナーがこの品を鑑定しているはずですから」

アダムはボーイの案内を受けてそのまま出品される品が保管されている倉庫へと進んでいく。
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