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新学期
教師としては見過ごせない
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アダムはルナ達が仲良く話しているのを微笑ましく見ていたが名簿に目を通すと来ていない四人のうちの一人に心当たりがあり、彼らに暗くなる前に帰るよう声を掛けてから旧館を後にした。
「こんなところで何をしてるんだ?」
アダムはそう言いかけた言葉を止めて蹲っている学生に歩み寄った。
「大丈夫か?」
「・・・」
びしょ濡れの姿で蹲っていたのはFクラスの生徒だった。服に付けているワッペンがある。魔法学校では固有魔法などの性質によって着られる服が限られる者もいるため制服の規定はない。
そのためクラスを示すものは腕章やアクセサリー、ワッペンなど様々だ。アダムは事前に調べていた名簿の名前から生徒がFクラスの一員であるマリー・クライグスだとわかった。
「ここに居たら風邪をひくぞ、旧館に来い。そこで服が乾くまで待ってるといい」
マリー・クライグスはアダムの手を取ると泣きながらアダムに着いて歩いた。
(なんとつまらん話だ、クラスの序列がまだ残ってるとはな・・・)
アダムはかつてこの学校に在籍していた友人のコロンのことを思い出していた。彼もまた実技試験を一度で突破できずに当時の末尾のクラスであるGクラスに入った。アダムはその際にもコロンがいらぬ苦労をしていたことを知っていた。
教師として入ってから長くその根絶に気を使ってきたはずだった。
「つまらんな、Aクラス以外は関係ないのに」
「・・・じゃあAは意味あるんですか?」
「ああ、一番に試験を受けて、一番の成績を出して、固有の魔法を持っていたりする」
「A以降は?」
「受付の順番だよ、これは校長も言ってるし職員の間でもそう決まってる」
実技で足踏みしたり病気だったりすると受付が最後になるから末端のクラスになるだけだ。とアダムは言う。
「いいか、お前がFクラスだからってバカにするやつの言葉を真に受けるな」
「・・・」
「実のところを言うとな、ウチのクラスにとんでもない奴がいるんだ」
「とんでもない・・・?」
「いずれわかるかもしれん、まあ楽しくやれ。旧館の設備は使いたい放題だからな」
「わかりました・・・」
生徒はそう言うと少しだけ落ち着いた様子で旧館へと足を向けた。アダムはそれに連れそうように歩いていたがマリーがふと、足を止めた。
「あ、鞄・・・」
「鞄?」
「持ってきた鞄を落としました・・・」
「どんな鞄だ?」
「教科書と、筆記用具が入った・・・青の・・・鞄です」
「わかった、ワシがまず探しておこう。君は先に服を乾かしてきなさい」
アダムは笑顔でそう言うとマリーを旧館に送り届けて、自身は再びマリーが蹲っていた場所に戻ってきた。
「落とした・・・か、嘘が下手だな」
アダムは躊躇い勝ちにそういったマリーの姿を見て内心で歯を軋らせた。途中で高い木に引っ掛けられている鞄を見つけたからだ。教科書は地面に散らばっており、どれも踏んづけた跡があった。
「まったく、こんなことをするとは許せんな」
木を蹴って飛び上がるとアダムは引っかけられた鞄を枝から外した。そして教科書の足跡を払って鞄に詰めると鞄についた葉っぱや汚れを落として肩に掛けた。気付かぬふりをしつつ落ちていた文房具を探し、全てを拾い集める
「・・・」
そしてついでに道端に落ちていた石ころを拾い上げると茂みに向かって投擲した。
『ぎゃっ!』
「取りに来たのがワシじゃなかったらどうするつもりだったんだ?卑怯者め」
茂みからくぐもった悲鳴が聞こえた。アダムはそれに鼻を鳴らして答えると踵を返してずんずんと歩いて行った。
魔力の感知、そして物音や息遣いを聞き分けられるアダムにとって素人が隠れている茂みはかえってわかりやすかった。
「マリーの服に残ってた魔力の質から見るに昼間にフラウステッドにやられたヤツだな・・・Dクラスだったか?半端な奴ほどこういう陰湿なことをやりたがるもんだ」
ぷりぷりと怒りながら旧館に戻ると
「私の魔法で湿度をコントロールできるかも・・・」
「今度こそ火の魔法が出そうだから!ね?ね?」
「ステイ!ステイです!そんな微小なコントロールできないでしょ!」
≪バビビビ!≫
「ひゃいっ!また電気っっ!!」
「ごめ・・・私の魔法は魔法を伝達するから・・・」
「どっちも早く引っ込めてっ!あびびび!」
「寒い・・・」
「ごめんね、とりあえずこの毛布使って・・・」
「ありがとう・・・くしゅん!」
ティナとクロエが魔法で服を乾かそうとしていたがそのたびにクロエが湿らせ、ティナが放電していた。
ルナは数回の直撃で髪の毛があちこち跳ねている。
マトモに対応できているのは寝具を持ち込んでいたダズだけだった。
「何やっとるんだお前ら・・・」
「ディーン先生!助けてくださささささ!」
「さっさと魔法を止めろ!ユピトール!」
がたがたと震えているマリーと別の意味で震えているルナ。ティナの魔法が止まったのは結局複数回の魔法の行使で疲れてようやくである。クロエはその間もずっとじめじめしていた。
「こんなところで何をしてるんだ?」
アダムはそう言いかけた言葉を止めて蹲っている学生に歩み寄った。
「大丈夫か?」
「・・・」
びしょ濡れの姿で蹲っていたのはFクラスの生徒だった。服に付けているワッペンがある。魔法学校では固有魔法などの性質によって着られる服が限られる者もいるため制服の規定はない。
そのためクラスを示すものは腕章やアクセサリー、ワッペンなど様々だ。アダムは事前に調べていた名簿の名前から生徒がFクラスの一員であるマリー・クライグスだとわかった。
「ここに居たら風邪をひくぞ、旧館に来い。そこで服が乾くまで待ってるといい」
マリー・クライグスはアダムの手を取ると泣きながらアダムに着いて歩いた。
(なんとつまらん話だ、クラスの序列がまだ残ってるとはな・・・)
アダムはかつてこの学校に在籍していた友人のコロンのことを思い出していた。彼もまた実技試験を一度で突破できずに当時の末尾のクラスであるGクラスに入った。アダムはその際にもコロンがいらぬ苦労をしていたことを知っていた。
教師として入ってから長くその根絶に気を使ってきたはずだった。
「つまらんな、Aクラス以外は関係ないのに」
「・・・じゃあAは意味あるんですか?」
「ああ、一番に試験を受けて、一番の成績を出して、固有の魔法を持っていたりする」
「A以降は?」
「受付の順番だよ、これは校長も言ってるし職員の間でもそう決まってる」
実技で足踏みしたり病気だったりすると受付が最後になるから末端のクラスになるだけだ。とアダムは言う。
「いいか、お前がFクラスだからってバカにするやつの言葉を真に受けるな」
「・・・」
「実のところを言うとな、ウチのクラスにとんでもない奴がいるんだ」
「とんでもない・・・?」
「いずれわかるかもしれん、まあ楽しくやれ。旧館の設備は使いたい放題だからな」
「わかりました・・・」
生徒はそう言うと少しだけ落ち着いた様子で旧館へと足を向けた。アダムはそれに連れそうように歩いていたがマリーがふと、足を止めた。
「あ、鞄・・・」
「鞄?」
「持ってきた鞄を落としました・・・」
「どんな鞄だ?」
「教科書と、筆記用具が入った・・・青の・・・鞄です」
「わかった、ワシがまず探しておこう。君は先に服を乾かしてきなさい」
アダムは笑顔でそう言うとマリーを旧館に送り届けて、自身は再びマリーが蹲っていた場所に戻ってきた。
「落とした・・・か、嘘が下手だな」
アダムは躊躇い勝ちにそういったマリーの姿を見て内心で歯を軋らせた。途中で高い木に引っ掛けられている鞄を見つけたからだ。教科書は地面に散らばっており、どれも踏んづけた跡があった。
「まったく、こんなことをするとは許せんな」
木を蹴って飛び上がるとアダムは引っかけられた鞄を枝から外した。そして教科書の足跡を払って鞄に詰めると鞄についた葉っぱや汚れを落として肩に掛けた。気付かぬふりをしつつ落ちていた文房具を探し、全てを拾い集める
「・・・」
そしてついでに道端に落ちていた石ころを拾い上げると茂みに向かって投擲した。
『ぎゃっ!』
「取りに来たのがワシじゃなかったらどうするつもりだったんだ?卑怯者め」
茂みからくぐもった悲鳴が聞こえた。アダムはそれに鼻を鳴らして答えると踵を返してずんずんと歩いて行った。
魔力の感知、そして物音や息遣いを聞き分けられるアダムにとって素人が隠れている茂みはかえってわかりやすかった。
「マリーの服に残ってた魔力の質から見るに昼間にフラウステッドにやられたヤツだな・・・Dクラスだったか?半端な奴ほどこういう陰湿なことをやりたがるもんだ」
ぷりぷりと怒りながら旧館に戻ると
「私の魔法で湿度をコントロールできるかも・・・」
「今度こそ火の魔法が出そうだから!ね?ね?」
「ステイ!ステイです!そんな微小なコントロールできないでしょ!」
≪バビビビ!≫
「ひゃいっ!また電気っっ!!」
「ごめ・・・私の魔法は魔法を伝達するから・・・」
「どっちも早く引っ込めてっ!あびびび!」
「寒い・・・」
「ごめんね、とりあえずこの毛布使って・・・」
「ありがとう・・・くしゅん!」
ティナとクロエが魔法で服を乾かそうとしていたがそのたびにクロエが湿らせ、ティナが放電していた。
ルナは数回の直撃で髪の毛があちこち跳ねている。
マトモに対応できているのは寝具を持ち込んでいたダズだけだった。
「何やっとるんだお前ら・・・」
「ディーン先生!助けてくださささささ!」
「さっさと魔法を止めろ!ユピトール!」
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