悪魔になったらするべきこと?

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プロローグ

怪しい家庭教師? ルルイエ!

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 私の名前はルナ。そしてここは剣と魔法の世界、そこで私は魔法学校の学生をしています。
 そこでは初等、中等、そして高等と年齢によって別れていて私はもうじき高等部へ進級します。
 そこでは実践を含めた魔法の勉強をすることができます。
 中等の座学や見学中心の勉強から実技を含むレベルの高い勉強!

「高等からは実技も含まれますので鍛錬を怠らぬよう」

 中等の先生は私達にそう言って勉学のみならず実技も行うようにと申し付けてくれました。

「もうすぐ私も・・・」

 希望に胸を躍らせながら家に帰ると珍しく父が帰ってきていました。

「父さん?」
「おお、ルナ。お前もとうとう高等部に進学だな!」

 そこでだ!と父は隣に立っていた人物を紹介してくれた。

「このお人はとても有名な魔法使いの方らしいのだが、なんとだな!ルナの家庭教師をしてくれると言うのだ!」
「えっ!」

 魔法使いというのは本来他人に厳しい。学校の先生も本来基礎的な事しか教えないのだ。それは当然といえば当然で、魔法という長年の研究で得られた知識や効能をおいそれと他人に教える義理はないのである。その例外としてあるのが師弟関係だ。
 しかしながらそれでは魔法使いのレベルが下がる一方ということで魔法学校が設立されたのだが・・・

「私に?」

 家は裕福な方ではあるし、父は官僚を務めた経験から一代限りの爵位を下賜される身分ではある。けどそんな王侯貴族のように家庭教師、しかも魔法使いのとなるととんでもないことだ。

「あなたには才能があるのです」

 魔法使い、その人が声を出して私は初めてその人を認識できた。
 とても綺麗な女性だ。それなのに声を出すまでその顔貌や服装全てが靄がかかったように曖昧だったのだ。

「認識阻害・・・」
「そのとおりです」

 声を掛けられるまで相手に気付かれない魔法というよりおまじないの一種だがそれを「いるけどわからない」レベルに調節できるのだ。まさしく魔法だ。

「私にどんな才能が・・・」
「お教えしましょうか」

 彼女が指を鳴らすと景色が突然入れ替わり、屋外に連れ出された。またしても、とんでもない魔法だ。

「悪魔として転生する才能です」

 そう言われて私はとんでもない衝撃に襲われた。ひっくり返るようなとんでもないものだ。

「あぐ、あえっ?!あくま?!!」
「そうですそうです!」

 悪魔になること、それは魔法使いにとって究極の到達点の一つである。悪魔になって得られるメリットは大きく簡単なものでも人間の寿命からの脱却、強靭な肉体の獲得、魔力の獲得。どれ一つとっても人間には得難いものである。

「本来なら数十年の修行の果てに得られるもの、ですが!」

 嬉しそうにそう言う彼女はうっとりするような笑顔で私にずいと歩み寄る。

「たまーに、いるんですよ肉体と魂と魔力のバランスがバカになっちゃってるのが!」
「そうなんですか」
「そう言う子はすぐにでも転生できるんですね」

悪魔、昔は神に従わない遍く魔族や精霊を指す言葉だったが私が産まれるずっと前に神と悪魔は盟約を交わし、人の神たる太陽神の兄妹神である月の女神を信奉することで双方の調和を図ったとのこと。なので今は太陽神に属するものを天使、月の女神に属するものを悪魔とすることになった。
天使は聖職者から、悪魔は魔法使いから産まれるとされる。


「そ、それで私はどんな悪魔に?」

悪魔、それには様々な姿を持つ者がいるが女性の憧れはハーピィやライカンのように動物の特徴をもつ種族。もしくは精霊の特徴をもつニンフやゴーストなど。

「気になるよね?気になっちゃうよね!」
「気になります!」

勿体ぶっているのにちょっとイラッとしたがそれ以上に期待値が高くなる。もしかして高位の悪魔になれちゃったり?なんて思った。

「なんと!」
「なんと?」
「蝙蝠と蜘蛛と百足のキメラだね!」
「い・・・」
「い?」
「イヤだーーーーーーーー!!!」

よりによって虫だった。


「えっ!?」
「やだやだやだ!虫はやだ!」
「な、なんで?!蝙蝠は空を飛べるし月の魔力を蓄えられるし!蜘蛛は糸を吐けるし何より機織りの守護として縫い物編み物が上手くなるんだよ!?百足だってここの土地では冥府の建築に大いに功績があって、しかも土地の金銀や鉄を掘り出したから冨貴を象徴する力が・・・」
「でも百足も蜘蛛も虫です!虫苦手!」

嫌がられると思ってなかったのか先程からの凛とした雰囲気はどこへやら。あたふたしながらメリットを説明し始める魔法使いの女性。それからしばらく押し問答が続いたが・・・。


「わかった、この話はまた今度にしようか・・・」

流石に疲れたのか魔法使いの女性は肩で息をしながら話題を切り上げた。

「とりあえず魔法の家庭教師は請け負うから、気が変わったら何時でも言ってね」

明らかにがっかりした様子で言う。

「はぁーーあ、私の名前はルルイエ。よろしくね」

魔法使いの先生、ルルイエ先生は深ーいため息と共に自己紹介をしてくれた。大分とがっかりさせてしまったようだ。しかし、自分にだって譲れない部分はある。
それからしばらくの間、魔法のテキストをおさらいするにとどまった。

「もうじき試験だったね。君の歳だとそろそろ実技だったかな?魔力保全はちゃんとしておきなさい」
「魔力の保全?」
「魔力は体力と違って微妙に回復が遅いんだ、体調ばかりを気にして魔力がカツカツなんてことも無くはない」
   
しかも不調を感じるまで分からないなんてこともある。とルルイエ先生は言う。

「実技の練習もいいけど、魔法は知識だ。手順を間違え無ければ普通にできるから無理は禁物」
「でも本番で手順を間違えたらどうするんですか?」
「そりゃ単純にやり直せばいい、咄嗟にその間違いに気づいて訂正できるのも魔法使いの技量なのさ」

それにこう言ってはなんだけど学生の試験だし。とルルイエは言う。いくら実技の試験とは言っても、所詮は学生の試験である、何より、今から勉強を始めようというのだから難しいことなど試されるはずもないのだ。

「それじゃあ今日はここまでにしとこう」

ルルイエはそういうと指を鳴らす。するとまた景色が歪み始め、気がつくとルナは自宅の前に立っていた。

「わ、やっぱり凄...」
「それじゃあ、頑張ってね。一応チャンスは2回あるらしいし」

声だけが届くとルルイエはそのまま帰ってしまった。ルナは少し呆然としていたがやがて家に戻って試験に備えることに。

「おお、いきなり居なくなったから驚いたぞ」
「私も驚いた、魔法やっぱりすごい」
「そうなのか、母さんも驚いただろう」
「そうね、なんとなく魔力は感じたけど・・・やっぱりとんでもないわ」

時間は流れて夕食の時間、両親と食事をとりつつルルイエのことで話は盛り上がった。そして話題はもうじき始まる実技の試験についてだ。

「この国では学生でも例外的に魔法を使用することができる。実技の試験を受けて魔法をさらに学ぶことは思った以上に重要なことだ。忘れてはいけない」

この世界では一般的に魔法を使用することは許可されていない。風を起こす、火を起こす、水を操るなど、出来ることは全て規制が入っていて許可を得て使用する場合は威力を最低限にコントロールする必要がある。
その決まり事の中の例外が魔法使い、そしてそれを仕事に使用する魔導士(ワーカーウイッチ)、そして魔法学生だ。
つまるところ魔法を職業や学業のために使える人達はエリートと言っていい。それを抜きにしても不思議な力を手足のように使う魔法使いに憧れる人は多いのだ。



「それでは、実技の試験を行います」

緊張する生徒達を見回して監督官は落ち着いた声で言う。初めての事で緊張する生徒達はどこかぎこちない仕草で監督官の指示を受けて順番に所定の位置についた。

「それでは火の魔法を手のひらに、出現させた火を何秒か維持出来れば合格です」

魔法使いには簡単なことである。しかし今から挑戦するのは全てが未経験の学生達だ。中にはこっそり練習している者もいるだろうがそれでも緊張するのは仕方ないことだろう。

「それでは一番から」
「は、はい!」

生徒が1人ずつ呼び出され、試験官の監督のもと試験を受けていく。

「成績優秀な人とかは私達より先に呼ばれることもあるらしいよ

「へー」

合格者が増えていくに従って周囲では実技試験についての噂話が聞こえ始める。ルナも自分の列に回ってきた順番と自分の受験番号を見比べながら順番を待つ。


    
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