悪魔になったらするべきこと?

ファウスト

文字の大きさ
8 / 172
プロローグ

教師たちのあれこれ!

しおりを挟む
コロンはため息をつくと試験監督に心配されているルナの元へ。

「大変でしたねぇ」

できるだけ穏やかに話しかけ、目の前の少女を怖がらせないように努めながらもコロンは内心穏やかではなかった。

(子供を利用してなにやら企んで居るようだな、断じて認められないことだ)

一応、コロンもルナの潔白を証明できるようにこっそりと彼女に提案をしておく。

「貴女、何かアイツらにおかしなことはされてませんね?」
「おかしなこと?」
「食べ物を渡されたとか、香水なんかを掛けられたとかですかね」
「いえ、ありませんが・・・どうして?」
「あの連中、どうにも貴女が失敗すると確信していたようだ。となるとなにかしらの妨害があったのでないかと思いましてね」

もしくは魔法を使えることに難癖をつけてくる可能性だ。元よりあれほど手が込んだやり口を見るに簡単に諦めてくれるとも思わない。

「貴女、申し訳ないですがFクラスに入ってもらいましょうかね」
「コロン先生、彼女ならそこじゃなくても・・・」

ルナも少しだけ躊躇った。Fクラスといえば落第寸前の生徒が集められるというクラスだ。しかしコロンはそれに対しても平然と答える。

「受付が遅れた子やら、時には人数合わせで増設されたり減らされたりするんですから必ずしもそうとは限りませんよ、私の時はGクラスまでありましたしね」

その時はGだからゴミクラスなんて言われてたんですよ!と笑いながら言う。なんの慰めにもならない言葉に試験監督は呆れた表情だ。

「そんなGクラス出身でもこうして校医になれてるんだからクラス出身なんてどーとでもなりますよぉ」
「先生が?」
「ええ、私も貴女と同じ追試組でね。ま、Fクラスにはゴタゴタに強い知り合いが担任だからお任せするだけですよ」

そう言うとコロンは壁に掛けてある時計を見てお腹を摩ると昼休憩だ、と呟いて紙袋に詰めた昼食を手に会場を出ていってしまった。

「相変わらずマイペースな人だなぁ」

試験監督がそう呟いて、順番待ちの生徒たちに昼休憩を伝えに行く。ルナは実技試験の合格証明を受け取るとコロンのせいでイマイチ実感を得ないまま帰宅する運びとなった。





「おぅい、アダム、いるかなぁ」

コロンはガサガサと紙袋からパンを取り出して齧りながら職員室に入った。そこには自分と同じ年頃の中年の男性が机に向かっていた。

「生徒が見てるぞ」
「いやあ、どうにも朝飯を食いそびれたもんだからお腹空いてさ」

あまり行儀が良いとは言えない仕草にアダムと呼ばれた男性は呆れた様子だがコロンは何処吹く風。隣の席に座ると備え付けてあるサイフォンでコーヒーを作り始めた。

「お前さんコーヒー基金に金出してないだろ」
「固いこと言わないでさ、そんなことよりちょっーとばかし大事なお話があるんだ」
「まったく」

コーヒーの匂いが漂い始めるとコロンは上機嫌だ。対してアダムはこの男が何を言い出すのかと嫌そうな顔で待っている。

「追試の生徒に、あの、いたんですよ。かーわいい子」
「ほー、それは良かったな」
「えー、そうそう。若い子見てると元気になるから・・・んでね、魔法局の人間も来てたんだよねぇ」

アダムはその言葉に顔をコロンに向けた。

「魔法局の人間が?」
「んー、そうだね。なんでかは知らないけど彼女が追試に合格したのが気に入らないご様子でね」
「魔法局の人間か、まったくどういうつもりなんだか」
「そこが気になってね、君が担任になると思うから気にかけて上げて欲しいんだ」

コロンは頼むよ、とアダムの肩を叩いた。アダムはため息まじりに頭をかくと生徒の名簿を出して目を通し始めた。その隣でコロンはパンを齧りながら覗き込んでいる。

「追試予定の生徒・・・この子か?」
「そうそう、ルナ・フラウステッドさんだ」
「この子がどうして・・・そうか、大人の都合と言う奴だな?」

アダムの言葉にコロンはコーヒーを飲みながら頷いた。魔法局は魔法使いのエリートが詰めている印象だ。
ただエリートとは言ってもそれはどちらかといえば家柄や権威に置いてのそれだ。その中で大人の都合という言葉が出てきたのはフラウステッドという名前にアダムは聞き覚えがあった為でもある。

「フラウステッドと言えば治安維持隊の突撃部隊からの出世組だったか」
「聞いた事ある名前だと思ったらそう言うことなんだねぇ」
「ワシとお前で何度か仕事に立ち会ったはずだが・・・」

魔法局と魔法学校はそれなりに関係は深い。というより魔法という重要な素質を持っている生徒は何かと厄介に巻き込まれやすいのである。もしくは厄介の種になることも。
アダムはその中で魔法学校の生活指導的な役割をしていたので何かと魔法局の治安維持部隊と関わりがあった。
コロンは校医であることと魔法に関する体調不良や怪我に精通している為生徒が怪我したり、怪我をさせたりすると出動する事になる。

「地道に職務をこなして出世したというのに難儀なことだな」
「まったくだね」
「出世競争に関してはどうでもいいとして・・・子供に手を出すのは気に入らんな」
「そう言ってくれると思ってたよ。頼むよ」

アダムは頭をガシガシと掻くと席を立って、帽子をかぶるとそのまま教室を出ていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

乙女ゲームの隠れチートモブ〜誰も知らないキャラを転生者は知っていた。〜

浅木永利 アサキエイリ
ファンタジー
異世界に転生した主人公が楽しく生きる物語 その裏は、、、自分の目で見な。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...