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旅立ちの日に
リッキーのおじさんの話
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俺の名はフェルグス。鉱山で有名な街で鉱山夫の倅として産まれた。先祖はドワーフだったらしいが似てるのは体がゴツい事と髭が伸びやすい事、腕っぷしが強い事が生まれつきだったんで感謝こそすれそれを疑う事はなかった。
まあ、身長がバカ見てえに伸びたんで鉱山に入るのはちょいとばかし辛かったが・・・まあ、それはそれだ。
「マック!ロイ!また鉱山を荒らしに来やがったバカが出たぜ!ふんじばって廃坑に放り込んでやれ!」
幼馴染のマックとロイとつるんで鉱山の警備なんかもやってた。お陰で俺たちはヒラの鉱山夫だがデカイ態度でいられたし給金にもイロがいつもついてた。しかしまあ、俺たちも若かったから次第に鉱山で鉱石掘るだけの生活に飽きて来た。そこにモンスター退治の冒険者やらなんやらが来て、俺たちも真似して狩りをするようになりだすとヤツらからもそれなりに敬意を払われるようになった。鉱石の面倒を見てやったりしたのもでかかったかもしんねえがな。
「おい、俺たちも旅とやらに出てみねえか」
狩りの場数を踏み、冒険者同士のツテも出来て、冒険者が何をする職業かを理解し始めたころに俺たちの外の世界への好奇心は最高になった。マックとロイも同じで俺たちは鉱山で稼いだ金を元手に装備を整え、知識を蓄えて華々しくデビューした。冒険者の手助けで得た魔物を狩る経験、鉱石の採掘と売買で得た鑑定眼は金属製品の良し悪しを見抜き、危険な鉱山で長く働いた経験は俺たちにいざという時慎重に振舞う事を徹底させた。鉱山は頭をカラにして働くとあっという間にお陀仏だからな。結果的に言うと俺たちはあっという間に独立してやっていけるだけのパーティになった。能力ランクは一年でD、C、Bと駆け足になり、阿漕な商売を避けて地道に稼いだお陰で貢献度もBになった。手にする武器も故郷から持ち出したマトックからポールアックスに、サブアームのシャベルも剣になった。
鍋蓋を改造したバックラーも正規品に。仲間の恰好も変わった。俺たちを田舎者とバカにするやつもいなくなった。
「がはは!俺たちは最高だな!」
「ああ、違いねえ!」
「わはは、わはは・・・」
「「「はぁ・・・」」」
しかし、めっきり女にはモテなかった。商売女も俺たちがバカ力過ぎるんで嫌がった。ケガしたくねえと言われちまうとどうしようもねえ。顔がマズかったわけではない・・・はずだ。
目標も立てたりしたがそのどれもを俺たちは数年の内に達成しちまった。新しい鉱山を見つけたり、鉱山経営のノウハウを貴族連中に教授したり・・・金にはなったし、コネもできたがやっぱしそれでも俺たちはなんだかすっきりしない日々を送っていた。それが、若さに陰りがでたことだと気づいたのは二日酔いが抜けにくくなったときだろうか。何時の間にか俺たちは安住の地を求めるようになっていた。そしてこの町にたどり着いたのが十二年前。その頃にはマックとロイも嫁さんを見つけて他所の町へと移っていった。奴らは俺と違って頭が良かったからなぁ。
俺はその後、ようやくカミさんをもらえた。珍しく、二年も付き合いが続いて気が付いたら結婚する事になってた。
親父もこの時ばかりは地に足つけて生活し始めた俺を褒めてくれた。孫の顔も見せてやれたので最低限の親孝行はできたと思う。しかしいい事ばかりでもなかった。宿はそこそこだったが食材を求めて二人で出かけた時に毒を持った魔物に出くわした。採集のつもりで鉄板を仕込んだ冒険者時代のブーツを履いてこなかったのが運のツキってやつだった。カミさんを助けるためとはいえ踏んづけた魔物が毛を逆立てて俺のブーツに穴を開けた。
カミさんが魔物の腹の中に納まらなかったのは良かったがカミさんが俺を町まで連れ帰るのは無理だった。結局毒が回る前に俺は足を捨てるしかなかった。それから、どうにも気が弱ったんだろう。カミさんも病気でぽっくり逝っちまった。リッキーを残してくれたお陰で自暴自棄にはならずに済んだが何とはなしに昔のようなやる気は起きず、宿は開店休業が続き、気が付いたら誰も来なくなった。貯金を切り崩しながら生活はしていたがいざという時の金もコネもちゃんと残してある。リッキーが結婚するまで生きていられりゃ御の字ってやつだなぁ・・・なんて考えてた時だった。
「遅ぇな、リッキーの奴・・・」
いつもより少し遅い帰りに俺は日課の酒を飲む事も忘れて不安に思っていた。カミさんに続いてもしリッキーになにかあったら・・・。なんて碌でもない考えがよぎる。しかしそんな不安を他所に帰ってきたリッキーはなんと女連れだった。しかもかなりの別嬪さんだ。もしかするとリッキーに春が来たのかとも思ったがまだ十歳だ、悪い女だと困る。試すつもりで色々と話してみたがなんてこたぁない。お節介焼きの気質のいい女だ。
食堂とかでいるとすぐに看板娘になれるような、気立てのいい娘だった。大人びているのは彼女が子供の面倒を見ていたからだと聞いた。リッキーが懐いた理由もよく分かったよ。旅の理由が不透明だが冒険者になって広い世界を見たいのだろう。十五歳かそこらだろうがそれくらいだったな俺たちが外の世界にあこがれたのも。
まあ、身長がバカ見てえに伸びたんで鉱山に入るのはちょいとばかし辛かったが・・・まあ、それはそれだ。
「マック!ロイ!また鉱山を荒らしに来やがったバカが出たぜ!ふんじばって廃坑に放り込んでやれ!」
幼馴染のマックとロイとつるんで鉱山の警備なんかもやってた。お陰で俺たちはヒラの鉱山夫だがデカイ態度でいられたし給金にもイロがいつもついてた。しかしまあ、俺たちも若かったから次第に鉱山で鉱石掘るだけの生活に飽きて来た。そこにモンスター退治の冒険者やらなんやらが来て、俺たちも真似して狩りをするようになりだすとヤツらからもそれなりに敬意を払われるようになった。鉱石の面倒を見てやったりしたのもでかかったかもしんねえがな。
「おい、俺たちも旅とやらに出てみねえか」
狩りの場数を踏み、冒険者同士のツテも出来て、冒険者が何をする職業かを理解し始めたころに俺たちの外の世界への好奇心は最高になった。マックとロイも同じで俺たちは鉱山で稼いだ金を元手に装備を整え、知識を蓄えて華々しくデビューした。冒険者の手助けで得た魔物を狩る経験、鉱石の採掘と売買で得た鑑定眼は金属製品の良し悪しを見抜き、危険な鉱山で長く働いた経験は俺たちにいざという時慎重に振舞う事を徹底させた。鉱山は頭をカラにして働くとあっという間にお陀仏だからな。結果的に言うと俺たちはあっという間に独立してやっていけるだけのパーティになった。能力ランクは一年でD、C、Bと駆け足になり、阿漕な商売を避けて地道に稼いだお陰で貢献度もBになった。手にする武器も故郷から持ち出したマトックからポールアックスに、サブアームのシャベルも剣になった。
鍋蓋を改造したバックラーも正規品に。仲間の恰好も変わった。俺たちを田舎者とバカにするやつもいなくなった。
「がはは!俺たちは最高だな!」
「ああ、違いねえ!」
「わはは、わはは・・・」
「「「はぁ・・・」」」
しかし、めっきり女にはモテなかった。商売女も俺たちがバカ力過ぎるんで嫌がった。ケガしたくねえと言われちまうとどうしようもねえ。顔がマズかったわけではない・・・はずだ。
目標も立てたりしたがそのどれもを俺たちは数年の内に達成しちまった。新しい鉱山を見つけたり、鉱山経営のノウハウを貴族連中に教授したり・・・金にはなったし、コネもできたがやっぱしそれでも俺たちはなんだかすっきりしない日々を送っていた。それが、若さに陰りがでたことだと気づいたのは二日酔いが抜けにくくなったときだろうか。何時の間にか俺たちは安住の地を求めるようになっていた。そしてこの町にたどり着いたのが十二年前。その頃にはマックとロイも嫁さんを見つけて他所の町へと移っていった。奴らは俺と違って頭が良かったからなぁ。
俺はその後、ようやくカミさんをもらえた。珍しく、二年も付き合いが続いて気が付いたら結婚する事になってた。
親父もこの時ばかりは地に足つけて生活し始めた俺を褒めてくれた。孫の顔も見せてやれたので最低限の親孝行はできたと思う。しかしいい事ばかりでもなかった。宿はそこそこだったが食材を求めて二人で出かけた時に毒を持った魔物に出くわした。採集のつもりで鉄板を仕込んだ冒険者時代のブーツを履いてこなかったのが運のツキってやつだった。カミさんを助けるためとはいえ踏んづけた魔物が毛を逆立てて俺のブーツに穴を開けた。
カミさんが魔物の腹の中に納まらなかったのは良かったがカミさんが俺を町まで連れ帰るのは無理だった。結局毒が回る前に俺は足を捨てるしかなかった。それから、どうにも気が弱ったんだろう。カミさんも病気でぽっくり逝っちまった。リッキーを残してくれたお陰で自暴自棄にはならずに済んだが何とはなしに昔のようなやる気は起きず、宿は開店休業が続き、気が付いたら誰も来なくなった。貯金を切り崩しながら生活はしていたがいざという時の金もコネもちゃんと残してある。リッキーが結婚するまで生きていられりゃ御の字ってやつだなぁ・・・なんて考えてた時だった。
「遅ぇな、リッキーの奴・・・」
いつもより少し遅い帰りに俺は日課の酒を飲む事も忘れて不安に思っていた。カミさんに続いてもしリッキーになにかあったら・・・。なんて碌でもない考えがよぎる。しかしそんな不安を他所に帰ってきたリッキーはなんと女連れだった。しかもかなりの別嬪さんだ。もしかするとリッキーに春が来たのかとも思ったがまだ十歳だ、悪い女だと困る。試すつもりで色々と話してみたがなんてこたぁない。お節介焼きの気質のいい女だ。
食堂とかでいるとすぐに看板娘になれるような、気立てのいい娘だった。大人びているのは彼女が子供の面倒を見ていたからだと聞いた。リッキーが懐いた理由もよく分かったよ。旅の理由が不透明だが冒険者になって広い世界を見たいのだろう。十五歳かそこらだろうがそれくらいだったな俺たちが外の世界にあこがれたのも。
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