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旅立ちの日に
普段から連携って大事よね
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それからというものの普段通りの応対が続き、フェルグスもあまりに暇なので帳簿の管理などを手伝っていた。
ゴツい体に見合わず計算はできる。勉学は好きでないが今までの苦労が彼に勉学の価値を教えていた。
「最近細かい字が辛くなってきやがったな」
「すみません、鑑定の仕事で御呼びしたのに」
「構わねえよ、だれも来ねえからな」
鉱石の鑑定は得意だが近所に鉱山もない。そして流通もほぼ途絶えている今となっては鉱石の鑑定は無い。
宝石や貴金属も出来ない事はないが専門家にくらべるとやや劣る自覚もあるので魔石なんかの鑑定もできればしない方向にしている。ゴーレムなんかが野生化していれば変わってくるだろうが。
「ふぃー、これで最後か?」
「ええ、直近の書類はこれで全部です。ありがとうございます」
フェルグスは一通りの書類を片付けるとゴキゴキと肩を鳴らして立ち上がった。運動はしなくなって久しいが薪割りなどで体が最低限鈍らないようにはしている。足が無いのでそれも厳しいが体質も手伝って体力はともかく筋力は大丈夫そうだ。偶に木製の物品を壊すことからもそれが窺える。
「それじゃ俺は帰るぜ、リッキーが待ってる」
「あの女の子もですか?」
「まだいうのかよ・・・勘弁しろよ」
面倒になったのでデコピンで片付けてフェルグスは杖を手に立ち上がり、一路自分の家を目指した。
「あ、おかえりなさい」
件の少女、リーシュというらしい、が俺を出迎えてくれた。カミさんのエプロンをつけて厨房から顔を覗かせるとあどけなさを残しつつも高い身長と体つきが大人の色気を醸し出している。俺はカミさん一筋だからなんともないが結構男にとっては毒になりそうな魅力だ。
「今日騎士っぽいのが市場でもうろうろしてたけど・・・もうじき討伐が始まりそう?」
旅支度を見るに彼女も本来はそれほど此処に長く滞在するつもりはなかった感じなのでこういった情報は重要だろう。リッキーの懐き方をみるにちょっと複雑だが俺が騎士が討伐依頼を出した事を告げる。
「へぇ、騎士ってこういう時あんまり動いてくれないイメージだけど」
彼女はぶっきらぼうにそう言ったがそれはあながち間違いではない。煤の騎士は都市や集落を守るのに忙しく、白の騎士ははっきり言ってそこまで市民の安寧なんぞに興味がない。税収が安定していればいいのだ。
前者は手が足りず、後者はやる気がない。煤の騎士はそう言った状況に心を痛めるが白の騎士はそう言ったことには無頓着でタチが悪い。地方によっちゃ騎士そのものに不信感を抱いてるヤツらもいる。煤の騎士の多くはそう言ったことの保険として冒険者と誼を通じてる事も多いくらいだ。冒険者はほとんど市民の出だからそういう時信頼を得やすい。
「長く此処に勤める真面目な騎士さんは都市や町に居る市民や町に入ってきた民間人を守るのに精いっぱいで他所から来た応援連中はやる気がねぇ・・・悲しいハナシだが」
「それもそうよね、警邏だけでどれだけ人手がいるかわからないし・・・ま、真面目な騎士さんがいるだけマシね」
どうにも彼女は騎士に対してそれほどいい感情を持っていないようだ。リッキーや俺に向ける視線とは違い、時折俺でもゾっとするような光を目に宿している時がある。ひでぇ目にあったに違いないがどうなればこんなに・・・。
「とりあえず今日は奥さんの瓶詰のお陰で面白いものが作れたのよ」
話題を変えるように彼女はコップにそれを注いでくれる。シュワシュワと泡を立てるそれは冷やしてあるのか注がれたコップが汗をかいている。
「こりゃあ・・・なんだ?」
エールに似た物かもしれないが・・・そういえば古いパンがどうこう言ってた気がするが。しかもこの容器も見た事ないな、木製じゃねえ。石かなにかか?
「クァスって・・・言ってたわ。先生・・・育ての親の人に作り方を教わったの」
「へぇ、エールとは違うのか?」
そう言いつつ酒の匂いに惹かれてまずは一口。
「ん・・・!こりゃあ、なんだ!うめえな!」
程よい酸味にしゅわしゅわとした舌ざわり。そしてなにより冷たいという事がこんなに旨いなんて思わなかった。
「ふふふ、酒飲みのおじさんに気に入ってもらえてうれしいわ」
それなりに酒は飲んできたがこれは新しい部類の酒じゃあなかろうか。しかもエールよりキツめの酒だ。冷たさも相まって想像が暑い日に飲んだ瞬間を喚起する。エールはだいたい甘目だがこれはなんというかさらに大人向けって感じだ。飲んでてさっぱりする。
「こりゃ売れるんじゃねえか?ここいらじゃエールくらいしかねえからな・・・新しい酒として売れるぞ」
「そうかしら?じゃあ宿を再開したらその時にでもレシピを譲るわ」
彼女は微笑むと摘みになりそうな芋と濃い目の味付けをした野菜の炒め物を出してくれた。リッキーも手伝ったらしく嬉しそうに用意してくれた。うーむ、こりゃマジでどうやって彼女に世話になった礼をするか考えないといけねぇな。
ゴツい体に見合わず計算はできる。勉学は好きでないが今までの苦労が彼に勉学の価値を教えていた。
「最近細かい字が辛くなってきやがったな」
「すみません、鑑定の仕事で御呼びしたのに」
「構わねえよ、だれも来ねえからな」
鉱石の鑑定は得意だが近所に鉱山もない。そして流通もほぼ途絶えている今となっては鉱石の鑑定は無い。
宝石や貴金属も出来ない事はないが専門家にくらべるとやや劣る自覚もあるので魔石なんかの鑑定もできればしない方向にしている。ゴーレムなんかが野生化していれば変わってくるだろうが。
「ふぃー、これで最後か?」
「ええ、直近の書類はこれで全部です。ありがとうございます」
フェルグスは一通りの書類を片付けるとゴキゴキと肩を鳴らして立ち上がった。運動はしなくなって久しいが薪割りなどで体が最低限鈍らないようにはしている。足が無いのでそれも厳しいが体質も手伝って体力はともかく筋力は大丈夫そうだ。偶に木製の物品を壊すことからもそれが窺える。
「それじゃ俺は帰るぜ、リッキーが待ってる」
「あの女の子もですか?」
「まだいうのかよ・・・勘弁しろよ」
面倒になったのでデコピンで片付けてフェルグスは杖を手に立ち上がり、一路自分の家を目指した。
「あ、おかえりなさい」
件の少女、リーシュというらしい、が俺を出迎えてくれた。カミさんのエプロンをつけて厨房から顔を覗かせるとあどけなさを残しつつも高い身長と体つきが大人の色気を醸し出している。俺はカミさん一筋だからなんともないが結構男にとっては毒になりそうな魅力だ。
「今日騎士っぽいのが市場でもうろうろしてたけど・・・もうじき討伐が始まりそう?」
旅支度を見るに彼女も本来はそれほど此処に長く滞在するつもりはなかった感じなのでこういった情報は重要だろう。リッキーの懐き方をみるにちょっと複雑だが俺が騎士が討伐依頼を出した事を告げる。
「へぇ、騎士ってこういう時あんまり動いてくれないイメージだけど」
彼女はぶっきらぼうにそう言ったがそれはあながち間違いではない。煤の騎士は都市や集落を守るのに忙しく、白の騎士ははっきり言ってそこまで市民の安寧なんぞに興味がない。税収が安定していればいいのだ。
前者は手が足りず、後者はやる気がない。煤の騎士はそう言った状況に心を痛めるが白の騎士はそう言ったことには無頓着でタチが悪い。地方によっちゃ騎士そのものに不信感を抱いてるヤツらもいる。煤の騎士の多くはそう言ったことの保険として冒険者と誼を通じてる事も多いくらいだ。冒険者はほとんど市民の出だからそういう時信頼を得やすい。
「長く此処に勤める真面目な騎士さんは都市や町に居る市民や町に入ってきた民間人を守るのに精いっぱいで他所から来た応援連中はやる気がねぇ・・・悲しいハナシだが」
「それもそうよね、警邏だけでどれだけ人手がいるかわからないし・・・ま、真面目な騎士さんがいるだけマシね」
どうにも彼女は騎士に対してそれほどいい感情を持っていないようだ。リッキーや俺に向ける視線とは違い、時折俺でもゾっとするような光を目に宿している時がある。ひでぇ目にあったに違いないがどうなればこんなに・・・。
「とりあえず今日は奥さんの瓶詰のお陰で面白いものが作れたのよ」
話題を変えるように彼女はコップにそれを注いでくれる。シュワシュワと泡を立てるそれは冷やしてあるのか注がれたコップが汗をかいている。
「こりゃあ・・・なんだ?」
エールに似た物かもしれないが・・・そういえば古いパンがどうこう言ってた気がするが。しかもこの容器も見た事ないな、木製じゃねえ。石かなにかか?
「クァスって・・・言ってたわ。先生・・・育ての親の人に作り方を教わったの」
「へぇ、エールとは違うのか?」
そう言いつつ酒の匂いに惹かれてまずは一口。
「ん・・・!こりゃあ、なんだ!うめえな!」
程よい酸味にしゅわしゅわとした舌ざわり。そしてなにより冷たいという事がこんなに旨いなんて思わなかった。
「ふふふ、酒飲みのおじさんに気に入ってもらえてうれしいわ」
それなりに酒は飲んできたがこれは新しい部類の酒じゃあなかろうか。しかもエールよりキツめの酒だ。冷たさも相まって想像が暑い日に飲んだ瞬間を喚起する。エールはだいたい甘目だがこれはなんというかさらに大人向けって感じだ。飲んでてさっぱりする。
「こりゃ売れるんじゃねえか?ここいらじゃエールくらいしかねえからな・・・新しい酒として売れるぞ」
「そうかしら?じゃあ宿を再開したらその時にでもレシピを譲るわ」
彼女は微笑むと摘みになりそうな芋と濃い目の味付けをした野菜の炒め物を出してくれた。リッキーも手伝ったらしく嬉しそうに用意してくれた。うーむ、こりゃマジでどうやって彼女に世話になった礼をするか考えないといけねぇな。
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