54 / 100
旅立ちの日に
は?やだよ!
しおりを挟む
山賊に手酷くやられ、私達が討伐したとわかるまで引きこもっていたらしいが安全と聞いてここまで来たのだろう。
今までの経験則からして労いの言葉が戴けるのかすら怪しいものだが一体全体どういうご用向きなんだろう。
「その運んでいる男の死体は山賊のものだな?」
確認するような問いかけに私はギルドの職員さんをちらと見ると視線がぶつかった。どうしたものかと思うが彼らに情報を渡す義理すらない。
「いえ、それをギルドに戻って調べるところで」
「隠さなくてもいいではないか、大儀であったぞ」
おや、意外にも労いの言葉が飛び出してきた。しかしその笑顔の裏になにがあるのやら。そんな事を勘繰る暇もなく彼らが口を開いた。
「死体の処理など我らに任せるがいいだろう、其方らは帰ってゆっくりと休むがいい」
「いえいえ、そちらのお手を煩わせるつもりもありませんよ」
なるへそ、そう言う事ね。せこいヤツらだ。手柄を独り占めしたいと・・・そうは問屋が卸さないね。
「・・・」
「・・・さ、もどろーもどろー」
譲る気なんかない、そもそも手柄の前にアンタら死んだ身内の心配でもしなさいな。僧侶さんも怒ってるからまともな葬儀なんかしてくれないかもよ?
そう思いつつ全員で通り抜けようとすると私の行く手を遮るように槍がぬうっと伸びた。
「これ以上は言わぬぞ」
「これが騎士のやり口?狡い上に無法ね、此処には法律がないのかしら?」
「平民風情にこれ以上の譲歩はいらん」
余りの無法に私はもちろん、ギルド職員も呆然としている。無能なのはわかってたけどまさかここまで阿呆とまでは思わなかった。選民思想って怖いわー。
「あっそ、それが騎士団の総意なワケ?」
私が譲る気がないと判断したのか騎士団の連中は私を囲むように半円形を描いて隊列を組む。ギルドの職員たちは自分達が足手まといになると判断したのかそそくさとグルードの遺体を担いで門をくぐっていった。必然的にここには騎士団と私達が残った訳だけど・・・。
「言っとくけど、これはあなた方が売ってきた喧嘩よ?ひどい目にあっても泣き言は言わないでね」
おじさんは私の殺気を感じ取ったのか持ち歩いていたマトックを構え、ジェイナは何処からか取り出した手斧を遊ばせている。
「たった三人で何ができる!」
「貴方達が倒せなかった山賊を仕留めたけど?」
その一言が引き金になったのだろうか、彼らが一斉に私に槍を突き出した。私はその槍の穂先に乗ってゆらゆらと揺れてみる。
「あは、こういう軽業ってやってみたかったのよね」
「貴様ッ!」
馬上から限定される槍の一撃は大したことなかった。そもそも馬の突進力を乗せて使うものだろうにこんな目の前でバカみたいに突き出してなんの役にたつのか。槍を持ってオタオタしている騎士を蹴り飛ばして落馬させると馬のお尻を叩いて明後日の方向へと走らせる。
「まず一人だ、次は?」
私がそう言うとさすがに馬上の不利を悟ったのか次々と馬を下りて剣を抜いた。
「無礼討ちにしろ!騎士に歯向かう愚か者を討て!」
「ガッハッハ!お嬢ちゃんに手柄を取られた腹いせとは言え情けねえな!」
「がっはっはー、ばーかばーか」
それを見ておじさんが大笑いし、ジェイナが真似するように笑う。そしてジェイナが手斧を投げ、器用に刃の部分以外を直撃させて騎士を数人昏倒させる。
「やるじゃねえか、俺も負けていられねえな!」
「「「うひゃあっ!?」」」
「わー、おもしろそう!真似する!」
「「「「ぎゃあああ!」」」」
おじさんもマトックを横に倒して致命傷を与えないように振り抜いては騎士達を数人纏めて吹き飛ばした。伊達にベテランの冒険者じゃないね。そしてそれを見たジェイナが真似をして槍を奪い取ってはバットのように振り回して騎士達を吹き飛ばしていく。
「さぁ、残りは僅かよ?ここいらで大将が出張るもんじゃないの?」
結局私が蹴飛ばした一人以外皆が勝手に暴れたので殆どがノックアウト状態だ。っていうかこいつら弱っ、何人かがリッキーの撒いた油を踏んで転倒している。鎧が重いせいか起き上がるのにも苦労している様子だ。
「うぐぐ・・・貴様ら何故我らを恐れないのだ・・・」
残りの騎士達は狼狽した様子というか、得体のしれないものを見るような目で私達を見ている。えー、なんでっていわれても。
「王都から離れた場所で、へっぽこ騎士が王都でしか通じない権威を振りかざして誰がビビるってんだ?」
あらかた騎士を片付けたフェルグスおじさんが小指で耳をほじりながら言う。さりげなく真似しようとしたジェイナの手を叩いておく。体格が似てるからかなんでも真似しようとするのね。
「それにその騎士の紋章ってあれだろ?レンナルト騎士団のだろ、王都近衛隊の紋章背負って揉め事起こしたらどうなるかわかりそうなもんだがなぁ」
「・・・」
そして身バレである。そういえばおじさんは貴族の人と親交あったんだっけ。
「バレストーラ辺境伯が聞いたら嘆くぜ?」
最後の一言が決めてになったのか騎士団たちのざわめきが酷くなった。
今までの経験則からして労いの言葉が戴けるのかすら怪しいものだが一体全体どういうご用向きなんだろう。
「その運んでいる男の死体は山賊のものだな?」
確認するような問いかけに私はギルドの職員さんをちらと見ると視線がぶつかった。どうしたものかと思うが彼らに情報を渡す義理すらない。
「いえ、それをギルドに戻って調べるところで」
「隠さなくてもいいではないか、大儀であったぞ」
おや、意外にも労いの言葉が飛び出してきた。しかしその笑顔の裏になにがあるのやら。そんな事を勘繰る暇もなく彼らが口を開いた。
「死体の処理など我らに任せるがいいだろう、其方らは帰ってゆっくりと休むがいい」
「いえいえ、そちらのお手を煩わせるつもりもありませんよ」
なるへそ、そう言う事ね。せこいヤツらだ。手柄を独り占めしたいと・・・そうは問屋が卸さないね。
「・・・」
「・・・さ、もどろーもどろー」
譲る気なんかない、そもそも手柄の前にアンタら死んだ身内の心配でもしなさいな。僧侶さんも怒ってるからまともな葬儀なんかしてくれないかもよ?
そう思いつつ全員で通り抜けようとすると私の行く手を遮るように槍がぬうっと伸びた。
「これ以上は言わぬぞ」
「これが騎士のやり口?狡い上に無法ね、此処には法律がないのかしら?」
「平民風情にこれ以上の譲歩はいらん」
余りの無法に私はもちろん、ギルド職員も呆然としている。無能なのはわかってたけどまさかここまで阿呆とまでは思わなかった。選民思想って怖いわー。
「あっそ、それが騎士団の総意なワケ?」
私が譲る気がないと判断したのか騎士団の連中は私を囲むように半円形を描いて隊列を組む。ギルドの職員たちは自分達が足手まといになると判断したのかそそくさとグルードの遺体を担いで門をくぐっていった。必然的にここには騎士団と私達が残った訳だけど・・・。
「言っとくけど、これはあなた方が売ってきた喧嘩よ?ひどい目にあっても泣き言は言わないでね」
おじさんは私の殺気を感じ取ったのか持ち歩いていたマトックを構え、ジェイナは何処からか取り出した手斧を遊ばせている。
「たった三人で何ができる!」
「貴方達が倒せなかった山賊を仕留めたけど?」
その一言が引き金になったのだろうか、彼らが一斉に私に槍を突き出した。私はその槍の穂先に乗ってゆらゆらと揺れてみる。
「あは、こういう軽業ってやってみたかったのよね」
「貴様ッ!」
馬上から限定される槍の一撃は大したことなかった。そもそも馬の突進力を乗せて使うものだろうにこんな目の前でバカみたいに突き出してなんの役にたつのか。槍を持ってオタオタしている騎士を蹴り飛ばして落馬させると馬のお尻を叩いて明後日の方向へと走らせる。
「まず一人だ、次は?」
私がそう言うとさすがに馬上の不利を悟ったのか次々と馬を下りて剣を抜いた。
「無礼討ちにしろ!騎士に歯向かう愚か者を討て!」
「ガッハッハ!お嬢ちゃんに手柄を取られた腹いせとは言え情けねえな!」
「がっはっはー、ばーかばーか」
それを見ておじさんが大笑いし、ジェイナが真似するように笑う。そしてジェイナが手斧を投げ、器用に刃の部分以外を直撃させて騎士を数人昏倒させる。
「やるじゃねえか、俺も負けていられねえな!」
「「「うひゃあっ!?」」」
「わー、おもしろそう!真似する!」
「「「「ぎゃあああ!」」」」
おじさんもマトックを横に倒して致命傷を与えないように振り抜いては騎士達を数人纏めて吹き飛ばした。伊達にベテランの冒険者じゃないね。そしてそれを見たジェイナが真似をして槍を奪い取ってはバットのように振り回して騎士達を吹き飛ばしていく。
「さぁ、残りは僅かよ?ここいらで大将が出張るもんじゃないの?」
結局私が蹴飛ばした一人以外皆が勝手に暴れたので殆どがノックアウト状態だ。っていうかこいつら弱っ、何人かがリッキーの撒いた油を踏んで転倒している。鎧が重いせいか起き上がるのにも苦労している様子だ。
「うぐぐ・・・貴様ら何故我らを恐れないのだ・・・」
残りの騎士達は狼狽した様子というか、得体のしれないものを見るような目で私達を見ている。えー、なんでっていわれても。
「王都から離れた場所で、へっぽこ騎士が王都でしか通じない権威を振りかざして誰がビビるってんだ?」
あらかた騎士を片付けたフェルグスおじさんが小指で耳をほじりながら言う。さりげなく真似しようとしたジェイナの手を叩いておく。体格が似てるからかなんでも真似しようとするのね。
「それにその騎士の紋章ってあれだろ?レンナルト騎士団のだろ、王都近衛隊の紋章背負って揉め事起こしたらどうなるかわかりそうなもんだがなぁ」
「・・・」
そして身バレである。そういえばおじさんは貴族の人と親交あったんだっけ。
「バレストーラ辺境伯が聞いたら嘆くぜ?」
最後の一言が決めてになったのか騎士団たちのざわめきが酷くなった。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ
neonevi
ファンタジー
運命に連れられるのはいつも望まない場所で、僕たちに解るのは引力みたいな君との今だけ。
そんな風に引き寄せ合う者達が、世界の波に翻弄されながらも抗い生きる物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載されています
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる