ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

ファウスト

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旅立ちの日に

山賊騒ぎの翌日

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次の日、おじさん達と共にギルドへと顔を出したところ一斉に取り囲まれた。

「なんだってんだ?なにかあったのかよ?」

困惑気味のおじさんと私、それにジェイナとリッキー。昨日の内にいつの間にか仲良くなったリッキーとジェイナは肩車をしてあげるくらいに打ち解けている。実年齢はともかく精神年齢が近いせいだろうか。

「なんだじゃねえよ!ゴタゴタで聞きそびれたが・・・その足はどうしたんだよ!」

そう言うと冒険者の一人がおじさんの義足を指さした。動きが悪くなるので服をかぶせる訳にもいかず、結果として丸出しで歩いているのだから気づかれるだろうとはおもったけど・・・。

「んんん・・・?!こ、これはだなぁ」

さすがに私が作ったと言うとまずいと思ったのかおじさんはこちらをちらっと見た後に困ったように頭を掻いた。

「特注なんだが・・・その・・・なんだ」
「お前がこうして復活するのを俺たちはずっと待ってたんだぜ!」

普段ならおじさんの体格に詰め寄れるような実力者はそうそうここには居ないらしい。しかしよほど心配してくれていたのか皆も必死だ。おじさんも心配かけた負い目もあるのか普段のような豪快な感じがなりを潜めている。

「しかし水臭いぜ、そんな義足を作れる技師と知り合いだったなんて」
「ああ、ま・・・まあな」
「魔道具クラスの義足じゃねえのか?独立して動いてる感じがするぜ」

一人がそう言うと皆の視線が一斉に集まった。おじさんは少しだけ自慢げな様子でこちらを見ている。
あー、これはあれだね。男の子のこだわり的な、私が特に理解できない感じのあれだ。

「たぶんそうだが、ちょっと作り主を聞くのだけは勘弁してくれるか」
「えー・・・そうなのか?まあ、それくらいの技師だと貴族連中がうるさいからな」

今回の事件でめっきり悪くなった騎士団や貴族に対する評価から秘匿したほうがいいだろうという雰囲気になり、おじさんが冒険者に限定的に復帰できるとなってギルドの人たちも嬉しそうだった。なによりおじさん自身もなんとなく自信というか活力を取り戻したみたいで初めて会った時よりなんだか若返った気がする。

「とりあえずこれからはいざという時俺も動けるからな」

おじさんが力こぶをつくって言うと皆が笑顔になった。おじさんってば結構人気者なんだね。
外からのんびりそんなやり取りを見守っているとギルドの外から白黒の服に身を包んだ男性がひょこひょこと歩いて来た。

「すみません、こちらにフェルグス様はいらっしゃいますでしょうか」

男性はそう言うと黒い帽子のツバを動かし、目線が通るようにして言う。

「フェルグスは俺だが」
「あ、左様で・・・こちら隣町のマック様からです」

肩掛け鞄から手紙を取り出した男性は細い体を揺らしながらフェルグスおじさんが手紙を受けて取るのをじいっと見つめている。そう言えばどこかでこの男性を見たことがある気がする。

「えっと・・・用件はそれだけか?」
「相手方が読んだかどうかまで依頼されましたのでどうかご一読を」

得体のしれない感じにおじさんも渋々封筒を破って手紙を開いた。

「・・・、なるほどな」
「内容はご理解いただけましたか?」
「ああ、早く帰って伝えてやんな。すぐ行くって」

おじさんは手紙の内容に目を通してから白黒の男性にそう言った。対する男性はにこりと笑うとそのまま踵を返し、ギルドを出た瞬間に背景に溶け込むように姿を消した。

「あれは・・・」
「モノクロ配達員だな、どこにいても必ず手紙を送ってくれるだけじゃなく相手がちゃんと読んだかどうかまで確認してくれる便利な奴らだ。ただ、奴らは金ではうごかん。」

この切手を貼った手紙しか配達してくれない。とおじさんは封筒にある小さな四角い紙を見せてくれた。そこには白と黒で渦巻きが書いてあり、目がくらむような感じがする不思議な模様だ。そういえばこの切手、先生も持っていた気がする。

「切手自体かなり高額な商品として流通しているが・・・俺たちは冒険者時代に道端でコイツに出くわしたことがあってな」

当時、山道で何気なく食事を取っていたフェルグスおじさん達はあの白黒さんに出くわしたそうだ。なんでも突然ぬっと現れて仲間の一人であるマックさんに手紙を今回のように差し出したのだ。しかしその途中、手紙を開こうとした刹那に白黒の男性が突然顔を覆って嘆きだした。
突然の事に困惑するおじさん達だったけどどうやらマックさんに手紙を出した人物がマックさんが手紙を読む前にどういった事情か亡くなってしまい、依頼を完遂できなくなったそうだ。その際にお詫びという事で彼らの中で飛び切り仕事の達成率の高い白黒さんを呼び出せる切手をくれたそうだ。

「つまり、なにか急ぎの用事ってことか」
「そうなるな」

おじさんはそう言うとギルドの人たちに断りを入れると踵を返して自宅に戻ることになった。
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