58 / 100
次の町 モリッツ
おじさんの友人を尋ねて
しおりを挟む
モノクロ配達員の切手を使う事態ともなると急ぎの用事であることが多い。相手の返事をまたず、先に相手が用件を理解したかどうかを確認するというサービスを利用するのだから当然だろうか。
「とりあえずマックのいる町に出かけなきゃならん」
「町ってどこの?」
「モリッツっていう場所でな、民営の冒険者ギルドが立ってる場所なんだが・・・」
モリッツとは。王都から東に進んだところにある町でアンパラチア大山脈から流れる広大な河が流れる場所であり、そこからもたらされた豊かな自然の恵みと材木の加工で活発な町だ。元は開拓団の一団が築いた町であり、一定の税金を当時の代表者が納めた事で正式に国の一部として認められた経緯がある。
「ギルドって民営とかあるんだね」
「ん?ああ、お嬢ちゃんは知らんのか」
冒険者ギルドには国に影響力のある公営のギルドと開拓地や僻地で運営される小規模な民営のギルドがある。
公営といっても必ずしも貴族や国に帰属しているわけではなく、あくまで規模や権力的な意味合いだ。この町のギルドもそういった意味では公営と言える。それほどの規模となると経営には貴族や騎士、教会の意向が絡んだりするのでそういった意味で公営となるのだが基本ギルドは冒険者目線で運営されているそうだ。
「というわけでツテと実力があればだれでもギルドは運営できる。まあ、それが商人でやっていけるくらいの実力と販路の確保は求められるがな」
「マックさんはその中でギルドを運営してるんだ?」
「ああ、特に奴は薬草とかの見識があるから採集クエストを売りにしたギルドをやってたはずだがどうにも上手くいっていってねえみたいだ」
慌ただしく旅路仕度を始めるおじさんに私も荷物をまとめてホールに運び出しておく。
「ところでなんでお嬢ちゃんも出かけ準備してるんだよ」
「え、私も行くから当然でしょ?」
「いや、これは俺の用事でだな・・・」
「リッキーも連れて行くからそっちの準備もしてくる」
「ちょ、ちょっとまて!どうしてそうなる!」
おじさんがそう言って引き留めるけどわかってるのかな。
「誰がその義足のメンテナンスをするの?町でならともかく、行き道や帰り道で壊れたらおじさんは片足で帰ってこないといけないんだよ?」
「・・・」
言われてみれば、って顔だ。それに私が付いていったらたぶんジェイナもついてくる。そうするとリッキーがひとりぼっちになっちゃうじゃない。
「それにリッキーを残していくのは可哀想だし」
「・・・仕方ねえか・・・そこまで言われちゃあな」
おじさんは観念したようにドアを開けると旅仕度を済ませたリッキーといつも通りのジェイナが立っていた。
「おめえ達なにやってんだ?」
「マックおじさんのところ行くんでしょ?手紙に書いてあるし」
「いつの間に!手癖の悪い奴だ!」
リッキーはひらひらと手紙を揺らしながらおじさんをすり抜けて私の後ろに隠れる。どうやら何時の間にかリッキーも読んでいたらしい。
「お出かけなら俺も行きたいしなー」
「お出かけってオマエな・・・好きにしろ」
おじさんはそう言うと旅支度の準備に戻った。普段出かける事の少ない分、おじさんが一番時間がかかってしまった。
「ったく、一番親父が遅いじゃないか」
「うるせえ!」
「いってぇ!うぅぅ・・・親父が殴った」
「リッキー、人を悪く言うのはよくない」
逃げ込んだジェイナにまでそう言われてしまいちぇっ、と拗ねた様子ながらすこし楽しげにリッキーは背負ったリュックを気にした。普段、採集物を詰め込んでいたリュックに入っているのは旅支度に必要な物資。
かつて父がしたであろう冒険の一端に自分も加わることが楽しみなようだった。
「遊び感覚かよ・・・」
「まあまあ、おじさんと一緒にどこかに行けるのが嬉しいんだから・・・ね?」
「ふん・・・!」
素っ気ない様子だがおじさんもどことなくソワソワしている。おじさんも一緒ってことかな。和気藹々とした様子で私達は四人で近所の乗り合い馬車の停留所を目指して歩いていく。
「さて、モリッツ行きの馬車はどこかな」
「金はあんましかけたくねえしなぁ・・・かといってそこまで遅くなると困る」
少し歩くと大通りに面した場所でいくつか馬車が停まっているのが見えた。地面に引かれたラインに沿って停まる馬車を見ながら私とおじさん、それにジェイナとリッキーは周囲を見渡した。乗り合いだと割安だが時間はバラバラ、一台分借りると当然高いがすぐに出発できる。個人的には後者が目的には沿うかと思われる。
「モリッツ行きの馬車をお探しかい?」
おじさんがどうしたものかと悩んでいるのをぼうっと眺めていると突然声をかけられた。
「誰?」
「あ、自分・・・モリッツで商売やってるもんですが・・・」
振り返ってみるとなにやら特徴の掴めない感じの地味な男性が。うだつの上がらなそうな感じが滲みでており、なんとはなしに困った様子だ。
「とりあえずマックのいる町に出かけなきゃならん」
「町ってどこの?」
「モリッツっていう場所でな、民営の冒険者ギルドが立ってる場所なんだが・・・」
モリッツとは。王都から東に進んだところにある町でアンパラチア大山脈から流れる広大な河が流れる場所であり、そこからもたらされた豊かな自然の恵みと材木の加工で活発な町だ。元は開拓団の一団が築いた町であり、一定の税金を当時の代表者が納めた事で正式に国の一部として認められた経緯がある。
「ギルドって民営とかあるんだね」
「ん?ああ、お嬢ちゃんは知らんのか」
冒険者ギルドには国に影響力のある公営のギルドと開拓地や僻地で運営される小規模な民営のギルドがある。
公営といっても必ずしも貴族や国に帰属しているわけではなく、あくまで規模や権力的な意味合いだ。この町のギルドもそういった意味では公営と言える。それほどの規模となると経営には貴族や騎士、教会の意向が絡んだりするのでそういった意味で公営となるのだが基本ギルドは冒険者目線で運営されているそうだ。
「というわけでツテと実力があればだれでもギルドは運営できる。まあ、それが商人でやっていけるくらいの実力と販路の確保は求められるがな」
「マックさんはその中でギルドを運営してるんだ?」
「ああ、特に奴は薬草とかの見識があるから採集クエストを売りにしたギルドをやってたはずだがどうにも上手くいっていってねえみたいだ」
慌ただしく旅路仕度を始めるおじさんに私も荷物をまとめてホールに運び出しておく。
「ところでなんでお嬢ちゃんも出かけ準備してるんだよ」
「え、私も行くから当然でしょ?」
「いや、これは俺の用事でだな・・・」
「リッキーも連れて行くからそっちの準備もしてくる」
「ちょ、ちょっとまて!どうしてそうなる!」
おじさんがそう言って引き留めるけどわかってるのかな。
「誰がその義足のメンテナンスをするの?町でならともかく、行き道や帰り道で壊れたらおじさんは片足で帰ってこないといけないんだよ?」
「・・・」
言われてみれば、って顔だ。それに私が付いていったらたぶんジェイナもついてくる。そうするとリッキーがひとりぼっちになっちゃうじゃない。
「それにリッキーを残していくのは可哀想だし」
「・・・仕方ねえか・・・そこまで言われちゃあな」
おじさんは観念したようにドアを開けると旅仕度を済ませたリッキーといつも通りのジェイナが立っていた。
「おめえ達なにやってんだ?」
「マックおじさんのところ行くんでしょ?手紙に書いてあるし」
「いつの間に!手癖の悪い奴だ!」
リッキーはひらひらと手紙を揺らしながらおじさんをすり抜けて私の後ろに隠れる。どうやら何時の間にかリッキーも読んでいたらしい。
「お出かけなら俺も行きたいしなー」
「お出かけってオマエな・・・好きにしろ」
おじさんはそう言うと旅支度の準備に戻った。普段出かける事の少ない分、おじさんが一番時間がかかってしまった。
「ったく、一番親父が遅いじゃないか」
「うるせえ!」
「いってぇ!うぅぅ・・・親父が殴った」
「リッキー、人を悪く言うのはよくない」
逃げ込んだジェイナにまでそう言われてしまいちぇっ、と拗ねた様子ながらすこし楽しげにリッキーは背負ったリュックを気にした。普段、採集物を詰め込んでいたリュックに入っているのは旅支度に必要な物資。
かつて父がしたであろう冒険の一端に自分も加わることが楽しみなようだった。
「遊び感覚かよ・・・」
「まあまあ、おじさんと一緒にどこかに行けるのが嬉しいんだから・・・ね?」
「ふん・・・!」
素っ気ない様子だがおじさんもどことなくソワソワしている。おじさんも一緒ってことかな。和気藹々とした様子で私達は四人で近所の乗り合い馬車の停留所を目指して歩いていく。
「さて、モリッツ行きの馬車はどこかな」
「金はあんましかけたくねえしなぁ・・・かといってそこまで遅くなると困る」
少し歩くと大通りに面した場所でいくつか馬車が停まっているのが見えた。地面に引かれたラインに沿って停まる馬車を見ながら私とおじさん、それにジェイナとリッキーは周囲を見渡した。乗り合いだと割安だが時間はバラバラ、一台分借りると当然高いがすぐに出発できる。個人的には後者が目的には沿うかと思われる。
「モリッツ行きの馬車をお探しかい?」
おじさんがどうしたものかと悩んでいるのをぼうっと眺めていると突然声をかけられた。
「誰?」
「あ、自分・・・モリッツで商売やってるもんですが・・・」
振り返ってみるとなにやら特徴の掴めない感じの地味な男性が。うだつの上がらなそうな感じが滲みでており、なんとはなしに困った様子だ。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ
neonevi
ファンタジー
運命に連れられるのはいつも望まない場所で、僕たちに解るのは引力みたいな君との今だけ。
そんな風に引き寄せ合う者達が、世界の波に翻弄されながらも抗い生きる物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載されています
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる