ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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次の町 モリッツ

とりあえずおじさんと合流しよう

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とりあえず靴の血を落としてから私達は彼らの持っている資料の有無をさらに調べてから二階に降りる事にした。

「あった?」
「ううん、ジョンは?」
『いや、壁の中も調べたがなにももう無さそうだ』

三人がかりで三階を調べたがどうにももう何も無さそうだ。痕跡をできるだけ消すには・・・。

『さて、魂を回収したら三階は消し炭にするのがいいな』
「できるの?」
『ああ、こういうのは得意だよ』

影から上半身を出したジョンが意味ありげに笑う。獣のそれは中々素敵な迫力がある。私の魔法ではそんな器用な事はできない。吹き飛ばすのは得意だが此処だけ焼却して隠滅するとなると却って手間がかかるし、時間もかかる。

「それじゃあぱぱっと片付けるか・・・」

後始末の目途もついたので死体からさっと魂を抜き取り、ストックしておく。ジェイナが全く使いたがらないし私としても用途が思いつかない為、彼女に何かあった時のための保険にしかなっていない。

『全員真っ黒だったぜ、業が深くて嬉しいのは嬉しいが・・・複雑だ』
「悪魔がなにいってんの、とりあえず処理は任せて大丈夫?」
『何度も念を押さなくて大丈夫だ。お前は俺のおふくろか?』

邪魔だから出ていけと押されてジェイナと共に部屋の外へ。足元をふとみるとジェイナの影がまるで紐のように伸びてジョンとつながっているのが見える。

「影で制約があるのね」
「一応私に憑いてる悪魔だからこうなってる。顕現させたら分離できるけど魔力がたくさんいるよ?」
「ふーん、そうなると魔力は誰持ちなんだろう?」

契約は私に移してあるので魂の担保は私のもの、だが魔力となるとどうなんだろう?そこらへんもちゃんとしておかないとね。

「にしても・・・後は後始末で終わるかしらね」

三階をジョンに任せて階段の踊り場で待っていると伸びたジェイナの影がするすると縮む様子が見えたので完了したようだ。戻って部屋の中をちらりと見ると血だまりや死体だけが綺麗に焼却され、ちいさな焦げた跡がのこっているのみだった。

「綺麗に消えたわね」
『言ったろ、こういうのは得意だ』

オマケに魔法に追尾されない素敵機能つきだ。と彼は笑う。久しぶりに仕事らしいことをできてご満悦の様子。
バカの痕跡を消せたので私達も退散しよう。

「さて、リッキー!皆は帰っ・・・た・・・?」
「ごめんね、なんか帰る場所がないんだって」

二階にはどうやら仕度を済ませたらしい女性と小さな子供たちが待っている。数えると十人くらい。

「帰る場所がない?出稼ぎの人たちでしょ?」

私がそう言うと女性たちは揃って首を横に振った。

「?」
「私達は違うんです・・・」

そう言う彼女達を魔法を使って照らしてみると・・・。

「なるほど、貴女達は異邦人なのね」

小麦色の肌が眩しい妙齢の美女と少女たち。王国とは違う国からやってきた人たちということらしい。
この国では労働者は日焼けして浅黒い人は多いがシャツの隙間から覗く肌は白く瞳は青や鳶色が多い。その中で彼女達は皆黒い髪に黒や茶色の瞳だ。ややワイルドな見た目だがそれは栄養と日光が足りず痩せているからだろう。

「そうなるととりあえず・・・やっぱりおじさんと合流しよう」
「いいの?」
「ほったらかしてどうなるの?まだ人も居ないし、私達のギルドに行きましょ」

乗り掛かった舟とはよくいったもの。ダーティな部分ばかり見てたら頭が腐っちゃうわ。功徳をつみましょうねー。

「と、おもったんだけどさ・・・」

一階に降りてはっきり明るくなったところで気づいたこと。彼女達の服装がヤバイ。汚い。
垢と埃で真っ黒だし、殴られたのか血の跡もついてる。こうなるといらぬ注目を集めるのは明白だ。

「着れるものが必要ね、誰かこの町の服屋さんは・・・知るわけないか」

知ってると思しき人は皆帰らせちゃったし。どうしようか・・・と思っているとふと外套がかかっているハンガーとクローゼットらしきものが。

「あれを借りましょう、返さなくていいから楽ちんでしょ?」

たくさんあるので人数も足りるだろう。目深く被れるフードもあるので目立たずに済むだろう。





「結局目立ってない?」
「垢と血まみれよりましでしょ?」
「それもそうかなぁ」

ぞろぞろと女性ばかりを連れて歩いているとどうしても目立つ。汚れているからと顔とかをちょっと綺麗にしたのが
却ってまずかったかな。痩せてて不健康だが皆見た目がいい。中には発育の良い人もいるし、マントがなくて薄いローブをつけてるせいかボディラインが透けてる人もいる。

「おほっ、いい尻してるじゃん!」
「ちょ・・・困ります・・・」

案の定、困った人に絡まれているがこういう時は・・・。

「邪魔、どいて」
「なんだぁ?・・・うぅっ!」
「あっちいけ、それともどけてもらいたい?」
「し、失礼しましたー」

後ろからジェイナが睨みを聞かせてくれているので大丈夫。揉めたところでどちらが勝つかなんて確かめるまでもないし。とりあえず私達は一旦ギルドへと戻る事にした。面倒ばかりが増える気がするけどこれも自分のしたこと、どうにかやっていくしかないわよね。
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