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次の町 モリッツ
酒場はにぎやか
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三人でてくてくと歩いていく。昼間から切った張ったを続けていたので思ったより時間がかかっていたらしく大通りを歩く人の様相は仕事帰りらしい人たちに変わっていた。全員が汗や埃で汚れて黒ずんだ服や疲れたなーなんてこぼしながらある者は寝床へ、ある者は酒場を目指して歩いていく。大通りの面々は後者が圧倒的多数だ。
「そろそろ良い時間かしら?私達も樵の飲み屋へ行きましょう」
「もうじき夕暮れだもんね」
夕暮れほどでも無いがもうじきここら辺も薄暗くなるだろう。大通りの前には道を照らす為の魔道具が設置されており、そこに魔石をはめ込む仕事をしているらしい人たちがはしごを手に作業を始めようとしていた。
「結構整備されてるのね、向こうでもそんなになかったわよね?」
「そうだねぇ・・・最下級の魔石でもいいとはいっても魔道具の維持費が高いもんね」
淡い、それほど強くない光だがそれでも人の顔が認識できるくらいには明るいこの魔道具は高いところに設置することで魔力を遠くまで及ぼし、その分だけ魔力による反応の光で照らすと同時に魔力の照射でほんの少しだけ魔力の範囲内の生物の視力を増強することができるそうだ。効果の割りに結構簡単にできるのだが魔力は物を投げたのと同じ要領で地面に落ちて行ってしまうのでできるだけ高い場所に設置する必要がある。しかも魔道具自体は魔石や魔力の反応で常時発動してしまうため人が触らず、それでいて明るいうちは動力源となる魔石を取り外さなければ無駄に魔力を使ってしまう。なのでそれを管理する灯り守という職業があって魔道具に刻んである魔法陣の応急修理をしたり、今やっているように魔石の脱着や掃除なんかも行う。
「意外と技術が求められる職業だから結構高給なのよねあれ」
無論照明の魔道具もピンきりであり、高いものはシャンデリアのようにかなり凝ったデザインの中に魔方陣と魔石を嵌め込むスペースが作られており狭くメンテがしにくい。消えにくいように魔方陣を描かなければならないのでそこまでいくと彫金レベルらしい。
「へぇ、いろんな仕事があるんだねえ」
リッキーが感心したように言うとジェイナもそれに同意する。
ジェイナが手を目一杯伸ばしながらジャンプすれば届きそうだが・・・。
「ジェイナ、わかってると思うけど触っちゃダメよ?」
「わ、わかってるもん・・・」
そう言いつつちらちらと目算で届きそうかどうか考えているらしい彼女にキチンと釘を指しておく。
「地図の出発点に戻ってこれたわね」
少し歩くとギルドから出発点のお店まで戻ってこれた。よしよし、地図はちゃんと機能している。
「ここからなら言ってる間につけるかしら?」
「なんとなく人の流れもあるし大丈夫じゃない?混雑する前に行こうよ」
リッキーもそう言うので私達は人混みの波に紛れて樵の飲み屋へと向かう事に。
「お、来やがったな。ここだー!」
飲食店が軒を連ねる大通りでも有名らしいところを歩いているとおじさんが先に私達を見つけて声をかけてくれた。
「人混みの中なのによくわかったね?」
「お嬢ちゃん達は面でみてもタッパで見ても良ーく目立つからなぁ」
頭のてっぺんらへんで手を動かすおじさんを見てそう言われればそうかとも思う。そのままおじさんの方へ行くと知らないおじさんが隣に居るのに気づいて会釈しつつ相席する。
「この人は?」
「途中で知り合った。インチキギルドの被害者だよ」
「なるへそ、こっちは色々と手に入れて来たわ」
ジェイナに手に入れた羊皮紙を出すように頼むとコートの内ポケットから引っ張り出すようにして丸めた羊皮紙を取り出した。
「これ、非合法の人身売買の証拠」
「マジか・・・犯人は」
「ごめん、こうしちゃった」
親指で喉を斬る仕草をするとおじさんはため息をついた。
「そうされても仕方ねえとは言え、独断がすぎるぜ。ここの領主にも無断でやっちゃ色々と都合が悪い」
「領主は動いてくれるの?」
「知らないだけかもしれねえだろ?それに自分が治めてる土地で他所モンの俺たちがやるってのが不味いんだよ」
領主にとっちゃ領内の悪事はあくまで身内の恥だ。とおじさんは言う。建前の話なのだろうがまだるっこしい話である。
「証拠を掴めただけで十分だったんだぜ?始末したらそこに居なかった奴のしでかした事は分らず仕舞だしな」
「うーん・・・」
「そこんとこも含めて反省だな」
「むむむ・・・」
そう言われると何も言えない。うーくそー、一人じゃ掃除もできないくせにー。なんて内心悪態をついてみるも自分失敗がきえるわけじゃなし。ああもう、やっぱりああいう時は頭に血が上りやすくてダメだわ。
「はぁ・・・ごめんなさい。それで、どうするべき?私は実力行使以外は全然浮かばないからおじさんの力を借りるわ」
「さてな、領主に陳情できるだけの権利があればいいんだが・・・他所の一般人が約束もナシに会いに行っても門前払いは確実だろうしな」
「マックさんに頼むとか?」
「現実的なトコとなるとそれくらいしかないわな。その為にはもうちょいとあそこのギルドを盛り立てて存在感を増しとかにゃあ話にならん」
一応内外で公的な機関の一つであるギルドの職員としてのマックさんに陳情をお願いする事で一致する。
「そろそろ良い時間かしら?私達も樵の飲み屋へ行きましょう」
「もうじき夕暮れだもんね」
夕暮れほどでも無いがもうじきここら辺も薄暗くなるだろう。大通りの前には道を照らす為の魔道具が設置されており、そこに魔石をはめ込む仕事をしているらしい人たちがはしごを手に作業を始めようとしていた。
「結構整備されてるのね、向こうでもそんなになかったわよね?」
「そうだねぇ・・・最下級の魔石でもいいとはいっても魔道具の維持費が高いもんね」
淡い、それほど強くない光だがそれでも人の顔が認識できるくらいには明るいこの魔道具は高いところに設置することで魔力を遠くまで及ぼし、その分だけ魔力による反応の光で照らすと同時に魔力の照射でほんの少しだけ魔力の範囲内の生物の視力を増強することができるそうだ。効果の割りに結構簡単にできるのだが魔力は物を投げたのと同じ要領で地面に落ちて行ってしまうのでできるだけ高い場所に設置する必要がある。しかも魔道具自体は魔石や魔力の反応で常時発動してしまうため人が触らず、それでいて明るいうちは動力源となる魔石を取り外さなければ無駄に魔力を使ってしまう。なのでそれを管理する灯り守という職業があって魔道具に刻んである魔法陣の応急修理をしたり、今やっているように魔石の脱着や掃除なんかも行う。
「意外と技術が求められる職業だから結構高給なのよねあれ」
無論照明の魔道具もピンきりであり、高いものはシャンデリアのようにかなり凝ったデザインの中に魔方陣と魔石を嵌め込むスペースが作られており狭くメンテがしにくい。消えにくいように魔方陣を描かなければならないのでそこまでいくと彫金レベルらしい。
「へぇ、いろんな仕事があるんだねえ」
リッキーが感心したように言うとジェイナもそれに同意する。
ジェイナが手を目一杯伸ばしながらジャンプすれば届きそうだが・・・。
「ジェイナ、わかってると思うけど触っちゃダメよ?」
「わ、わかってるもん・・・」
そう言いつつちらちらと目算で届きそうかどうか考えているらしい彼女にキチンと釘を指しておく。
「地図の出発点に戻ってこれたわね」
少し歩くとギルドから出発点のお店まで戻ってこれた。よしよし、地図はちゃんと機能している。
「ここからなら言ってる間につけるかしら?」
「なんとなく人の流れもあるし大丈夫じゃない?混雑する前に行こうよ」
リッキーもそう言うので私達は人混みの波に紛れて樵の飲み屋へと向かう事に。
「お、来やがったな。ここだー!」
飲食店が軒を連ねる大通りでも有名らしいところを歩いているとおじさんが先に私達を見つけて声をかけてくれた。
「人混みの中なのによくわかったね?」
「お嬢ちゃん達は面でみてもタッパで見ても良ーく目立つからなぁ」
頭のてっぺんらへんで手を動かすおじさんを見てそう言われればそうかとも思う。そのままおじさんの方へ行くと知らないおじさんが隣に居るのに気づいて会釈しつつ相席する。
「この人は?」
「途中で知り合った。インチキギルドの被害者だよ」
「なるへそ、こっちは色々と手に入れて来たわ」
ジェイナに手に入れた羊皮紙を出すように頼むとコートの内ポケットから引っ張り出すようにして丸めた羊皮紙を取り出した。
「これ、非合法の人身売買の証拠」
「マジか・・・犯人は」
「ごめん、こうしちゃった」
親指で喉を斬る仕草をするとおじさんはため息をついた。
「そうされても仕方ねえとは言え、独断がすぎるぜ。ここの領主にも無断でやっちゃ色々と都合が悪い」
「領主は動いてくれるの?」
「知らないだけかもしれねえだろ?それに自分が治めてる土地で他所モンの俺たちがやるってのが不味いんだよ」
領主にとっちゃ領内の悪事はあくまで身内の恥だ。とおじさんは言う。建前の話なのだろうがまだるっこしい話である。
「証拠を掴めただけで十分だったんだぜ?始末したらそこに居なかった奴のしでかした事は分らず仕舞だしな」
「うーん・・・」
「そこんとこも含めて反省だな」
「むむむ・・・」
そう言われると何も言えない。うーくそー、一人じゃ掃除もできないくせにー。なんて内心悪態をついてみるも自分失敗がきえるわけじゃなし。ああもう、やっぱりああいう時は頭に血が上りやすくてダメだわ。
「はぁ・・・ごめんなさい。それで、どうするべき?私は実力行使以外は全然浮かばないからおじさんの力を借りるわ」
「さてな、領主に陳情できるだけの権利があればいいんだが・・・他所の一般人が約束もナシに会いに行っても門前払いは確実だろうしな」
「マックさんに頼むとか?」
「現実的なトコとなるとそれくらいしかないわな。その為にはもうちょいとあそこのギルドを盛り立てて存在感を増しとかにゃあ話にならん」
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