ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

ファウスト

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次の町 モリッツ

働きましょう

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医師や薬師というのはなにより実力が必要だ。先生くらいになると死人が蘇るレベルなので引く手数多、ご機嫌伺いが出てくるくらい。そして神出鬼没に世界に現れては難病や疫病をステッキとビーカーの薬品で解決してしまう。
後は鞄から際限なく出てくるお薬が先生の代わりに患者さんの家に残って残った病気を患者の体から駆逐していく。
先生を見た人は皆こういう。

『変なマスクの背が高くて胡散臭い、それでも優しいお医者さんが治してくれた』

とりあえずその時に私は後半から居たり居なかったりしたが先生の初対面での人々の引き方はちょっとかわいそうな感じだった。特に先生が手料理を振るまおうとしたときなんかは特に。
けど最後には先生は誰からも受け入れられた。真摯に治療に取り組む姿勢はそれだけ凄かったということだ。
二度台所に入れてもらう事は終ぞなかったけども。

「どうしようかなぁ・・・」

考え事をしながら歩いていたらいつの間にか昨日のお店までたどり着いていた。

「おはようございまーす」

ドアを開けて中に入ってみるとウェイトレスさんやウェイターさんがせかせかと準備を進めている。もう少し早く来るべきだっただろうか。まだまだ朝は早いはずだったけど職人さんもちらほら通りを歩いていたしここら辺は朝が農家さんに負けないくらいはやいのかも。

「おや、昨日の・・・オーナーはもうじきいらっしゃいますよ」

昨日の地図を描いてくれたウェイターさんが私達に気づいてこちらにやって来てそう言ってくれた。

「そうなの?それじゃあ邪魔にならない所で待たせてもらうけど・・・この子はどうしたらいい?解体の手伝いができるんだけど」
「それでしたら先にお二人で裏に回ってください、前回治療していただいたところです」
「わかったわ、時間取らせてごめんなさいね」

いえ、と短く答えてウェイターさんは仕事に戻っていった。うーむ、できる男って感じ。

「おはようございまーす、誰かいますかー?」

場所を変えて前回治療を行った猟師さん達の休憩所に。挨拶もそこそこに入ってみると準備中なのか山に入るための装備を整えている猟師さん達に出会った。

「お、昨日のお医者さんじゃないか!」
「ケガは大丈夫?無理しちゃだめだからね?」

確か、喧嘩して腰を痛めていたはずのおじさん。体格は良かったが強そうな見た目が災いして不意打ちを喰らったらしい。腰を痛めつけられてしまい、満足に抵抗できずその後では思うように抵抗できなかったそうだ。
それでも両こぶしの傷を見る限り相当暴れたようだけども。

「なぁに、グレーベアをナイフで仕留めた時に比べたら軽い軽い。散歩がてらってなもんさ!」

なんと、クマの魔物を仕留めた事があるらしい。並みの冒険者だと餌食になる人も多いって話だけど。不意打ちも仕方ないのかもしれないわねそうなると。

「しかしお嬢ちゃんに治療してもらってからというもののあいつ等が来ないがどういうわけなんだろうな?」
「そういえばそうね、どういうことかしらね。仕事なくなっちゃうかしら?」
「へっ、大工にしろ俺たち猟師にしろケガなんて日常茶飯事さ。お嬢ちゃんの腕前なら名が通れば直にヒマを有難がることになるんじゃないか?」

とぼけてそう言うとおじさんは私の医者としての腕前を評価してくれた。痛んだりしていないみたいでとりあえずは安心だ。

「薬屋は多いが薬師は少ないからなぁ・・・お嬢ちゃんはその手も得意かい?できればそれなりの値段で頼むぜ」
「わかってる、足元を見て商売なんかしないわ」

目利きが居ないのを良い事に一部では高値で薬が卸されているのだろう。問屋さんは売上が伸びる・・・かと思いきや、足元を見られているのは彼らも同じらしく高い賃金を要求されるそうだ。

「旅の薬師なんかもたまには居たがここ何年か姿が見えなくてなぁ、傷薬や毒消しなんかは俺たちも良く使うんで重宝してたんだが・・・」

たぶんそんな小口の人たちもこのギルドの嫌がらせを受けてこなくなってしまったのだろう。どれくらいの範囲を彼らがカバーしていたかまでは知らないし興味もないが・・・とりあえずは片付けて正解だった。

「ところで隣の大きい兄ちゃんは確か肉屋希望だったよな、力も強そうだし何なら罠にかかった獲物を仕留めるところから手伝ってくれよ」
「・・・いいけど」

ぶっきらぼうに答えるジェイナ。明らかに不機嫌そうだがおじさんは気づいてないっぽい。

「ちょっと」
「ん?なんだよ?」
「ウチの子、女の子なんだけど」

そう言うとおじさんはびっくりした様子でジェイナを見る。まあ、おじさんより頭一つ分以上デカイししょうがないかもしれないけども。中身は私も自慢できるくらい綺麗系のお姉さんなんだからね?

「マスクなんかしてるからわかんなかったぜ、お嬢ちゃんの身内なら別嬪だろうに」
「別にいいじゃない・・・ふん」

ちょっと機嫌が直った分かりやすいジェイナだがおじさんは別段考えなしに言ってそうだ。

「ま、そんなわけだからこの嬢ちゃんは借りていくぜ」
「いつ頃戻れそう?」
「仕掛けた罠を確認するだけだから昼までには一旦戻るさ」

そう言うとおじさんは篭や縄なんかを担いで出かけ仕度を再開する。どうやら今回は罠を使った猟らしい。

「それじゃあジェイナはおじさんについていく事になるわね」
「そうなるのかな」
「お昼までって言ってるし頑張ってきなさい」

おじさんが準備が出来たらしく出口でいつの間にか待ってくれていた。ちょっと私から離れたくなさそうな彼女を送り出して私は店の人が来るのを待つことにした。
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