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僕と大地の女神様
剣の初級試験
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ゆっくりと剣を構えて、向かい合う。
「いきます」
「どうぞ」
一歩踏み込んで木剣を振り下ろすと先生はそれを受け、押し返す。僕はその後に来る真っ直ぐ振り下れる一撃を受け流し、再度反撃する。
(ここまでは順調だ)
一応は試験であるので先生側もある程度難易度を上げてくる。
ただ受け流しまでは基礎の動きを反復するだけなので簡単だ。問題は先生相手に有効打を得ること。これが先生によって難易度が違う。
(この先生はどうだろう・・・)
先生には中級クラスに上がる事を優先する先生と、実際のスキルがちゃんと身に付いているかを優先する先生の二パターンある。
中級クラスに一番長く在籍する人がほとんどらしいのでとりあえず基礎を触った程度にして早目に専門科目へ行かせようとする先生と中級クラスに入ってから苦労しないようにと言う先生の二通りの配慮があるわけだ。
「やっ!」
「おっと」
反撃すると僕の攻撃あっさり受けられてしまった。先生は後者らしい。
「なかなか筋が良いですよ、将来が楽しみです」
「ありがとうございま・・・すっ!」
木剣をぶつける感覚と音が響く。
二撃、三撃と続く
(恐ろしい子がいたものだ・・・)
ヨナと対面する剣術コースの講師は目の前の少女を興味深く観察していた。
「なかなか筋が良いですよ、将来が楽しみです」
社交辞令を混ぜながらも彼女の実力を引き出すべく攻撃を誘発する。本来ならばとうに合格を出してもかまわないレベルではあったが今の彼女がどれほどの実力なのか知りたくなり、鋭さの増していく剣撃をかわし、いなし続けていた。
(全力を出してないか、隠しているのか・・・)
悪い癖が出たのか、一撃をいなした刹那にこちらから攻撃を仕掛けたのだ。
「!」
その時、彼女の瞳が怪しく輝いた。講師としてこの学校に属してはいるものの彼もまた一人の剣士、戦士である。
その変化を見逃さなかった。
しかし、その後まではわからなかった。
彼女の頭を打っただろう木剣はいつのまにか手を離れて宙を舞っていた。
「はーっ・・・はーっ・・・」
荒い息をしながら彼女は木剣を握り締め、振り抜いた姿勢のまま立ち尽くしていた。
「ふぅーっ、流石にこれはどうやっても合格ですね」
息が詰まるような一撃。無理矢理息を吐いてなんとか平静を装い、彼女に合格を告げた。
「おめでとうございます、その様子では上級にもすぐに上がれるかもしれませんよ」
今までそうお目にかかることの無かった見えない攻撃。彼女が体格のままの腕力だったとしても無防備なところを叩かれたらどうなることか。
ましてやこれが剣だったなら。
冷や汗を拭い、彼女を見ると目の前の少女は先ほどの荒い息を整えると頭を下げ、複数枚用意されている証書を受けとる。
「ありがとうございます」
素っ気ない返事と共に彼女は歩き去ってしまった。
怒ったのだろうか。初級の授業ではまずあり得ない攻撃だった上にどう考えても厳しすぎた。
「申し訳ないことをしてしまった」
小さくなっていく後ろ姿を見送りながらそう独り言のように呟くしかなかった。
「やった、とうとう初級を卒業だ・・・!」
苦節半年、馬鹿にされながら、神様の力を借りて、それでも!
やっぱり嬉しい。これで僕も同期生と同じクラスだ。
スキップしながら書類発行をしてくれる事務局まで向かう。
「お願いします」
「はい、お預かりしますね」
事務局は時間も時間だからか人も少ない。待ち時間も時間帯によっては混雑するので気を付ける必要がある。
「はい、初級クラス修了ですね。中級クラスにはこの証明がいりますから失くさないようにしてくださいね」
証明証を兼ねたチャーム付きネックレスだ。剣術を示すように剣の意匠が凝らされている。
硬い材質ではあるが木製のチャームはどの教科でも中級クラスから持つことが許されるものである。
「いつか僕も金属製に・・・」
クラスが上がれば素材も高級な金属製のチャームになる。
中級を卒業すれば鉄製、上級クラスに入れば銅、成績で銀になり、卒業で金をあしらったとても高級なものになる。
そんな中でも兄さんはもう既に銀のチャームをつけていたはずだ。
決意を新たに中級クラスへ向かう。
「いきます」
「どうぞ」
一歩踏み込んで木剣を振り下ろすと先生はそれを受け、押し返す。僕はその後に来る真っ直ぐ振り下れる一撃を受け流し、再度反撃する。
(ここまでは順調だ)
一応は試験であるので先生側もある程度難易度を上げてくる。
ただ受け流しまでは基礎の動きを反復するだけなので簡単だ。問題は先生相手に有効打を得ること。これが先生によって難易度が違う。
(この先生はどうだろう・・・)
先生には中級クラスに上がる事を優先する先生と、実際のスキルがちゃんと身に付いているかを優先する先生の二パターンある。
中級クラスに一番長く在籍する人がほとんどらしいのでとりあえず基礎を触った程度にして早目に専門科目へ行かせようとする先生と中級クラスに入ってから苦労しないようにと言う先生の二通りの配慮があるわけだ。
「やっ!」
「おっと」
反撃すると僕の攻撃あっさり受けられてしまった。先生は後者らしい。
「なかなか筋が良いですよ、将来が楽しみです」
「ありがとうございま・・・すっ!」
木剣をぶつける感覚と音が響く。
二撃、三撃と続く
(恐ろしい子がいたものだ・・・)
ヨナと対面する剣術コースの講師は目の前の少女を興味深く観察していた。
「なかなか筋が良いですよ、将来が楽しみです」
社交辞令を混ぜながらも彼女の実力を引き出すべく攻撃を誘発する。本来ならばとうに合格を出してもかまわないレベルではあったが今の彼女がどれほどの実力なのか知りたくなり、鋭さの増していく剣撃をかわし、いなし続けていた。
(全力を出してないか、隠しているのか・・・)
悪い癖が出たのか、一撃をいなした刹那にこちらから攻撃を仕掛けたのだ。
「!」
その時、彼女の瞳が怪しく輝いた。講師としてこの学校に属してはいるものの彼もまた一人の剣士、戦士である。
その変化を見逃さなかった。
しかし、その後まではわからなかった。
彼女の頭を打っただろう木剣はいつのまにか手を離れて宙を舞っていた。
「はーっ・・・はーっ・・・」
荒い息をしながら彼女は木剣を握り締め、振り抜いた姿勢のまま立ち尽くしていた。
「ふぅーっ、流石にこれはどうやっても合格ですね」
息が詰まるような一撃。無理矢理息を吐いてなんとか平静を装い、彼女に合格を告げた。
「おめでとうございます、その様子では上級にもすぐに上がれるかもしれませんよ」
今までそうお目にかかることの無かった見えない攻撃。彼女が体格のままの腕力だったとしても無防備なところを叩かれたらどうなることか。
ましてやこれが剣だったなら。
冷や汗を拭い、彼女を見ると目の前の少女は先ほどの荒い息を整えると頭を下げ、複数枚用意されている証書を受けとる。
「ありがとうございます」
素っ気ない返事と共に彼女は歩き去ってしまった。
怒ったのだろうか。初級の授業ではまずあり得ない攻撃だった上にどう考えても厳しすぎた。
「申し訳ないことをしてしまった」
小さくなっていく後ろ姿を見送りながらそう独り言のように呟くしかなかった。
「やった、とうとう初級を卒業だ・・・!」
苦節半年、馬鹿にされながら、神様の力を借りて、それでも!
やっぱり嬉しい。これで僕も同期生と同じクラスだ。
スキップしながら書類発行をしてくれる事務局まで向かう。
「お願いします」
「はい、お預かりしますね」
事務局は時間も時間だからか人も少ない。待ち時間も時間帯によっては混雑するので気を付ける必要がある。
「はい、初級クラス修了ですね。中級クラスにはこの証明がいりますから失くさないようにしてくださいね」
証明証を兼ねたチャーム付きネックレスだ。剣術を示すように剣の意匠が凝らされている。
硬い材質ではあるが木製のチャームはどの教科でも中級クラスから持つことが許されるものである。
「いつか僕も金属製に・・・」
クラスが上がれば素材も高級な金属製のチャームになる。
中級を卒業すれば鉄製、上級クラスに入れば銅、成績で銀になり、卒業で金をあしらったとても高級なものになる。
そんな中でも兄さんはもう既に銀のチャームをつけていたはずだ。
決意を新たに中級クラスへ向かう。
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