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僕と大地の女神様
中級クラス
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初級クラスの先生が時間を待たずに試験をしてくれたお蔭でこちらは午後からの中級クラスの授業に余裕で間に合う。
売店で昼食を仕入れてから教室へ向かおうかな。
「すみません、できてますか?」
購買に向かい、入り口で尋ねる。すると奥から大きな声で返事が返ってくる。
『出来てるよ!』
「じゃあお昼のセットください」
『はいよー!』
注文するとこれまた大きな声。中に入って待つと少しして大きな体を揺すりながら恰幅のいいおばちゃんが袋片手に小走りでやって来た。
「お昼のセットひとつね!」
「ありがとうございます」
「誰かと思ったらヨナ坊!女の子だったのかい?」
そうだった、この格好で外の知り合いに会うのは初めてだ。
「いやぁ、実は色々ありまして」
「ふぅん?あぁ、そう言うことね!」
「?」
どう言ったものかと悩んでいるとおばちゃんは納得したように頷いた。
「女が剣を振るなんて言えばうるさい男が多かったんだろ?」
「えっ?」
「気にしなくてもいいよぉ、おばちゃんだって若い頃はぶいぶい言わせてたもんよ 」
「そう言うわけじゃないんだけどな・・・」
「ははは!強い女もたくさんいるんだから男だ女だって気にしなくてもいいさ、まぁ頑張んな!」
袋を渡され、背中をバーンと叩かれて店から文字通りに飛び出した。おばちゃんが昔は戦鎚を振り回してた逸話は本当かもしれない。体が浮く感覚はとても不思議な感じ。
「さて、ここらへんでいいかな」
中級クラスの教室は初級の教室よりも狭いが設備は上等になる。実技を中心にここから専門化していくので初級から別れて各々の道を進んでいくわけだ。
人気のない教室にちょっと気後れしながらも申し訳ばかりに並んだ席について昼食をとる。ちょっと早く来すぎたかもしれない。
「さて、準備するか」
昼食を済ませてうとうとしていると教室に入ってきた誰かの声で我に帰った。
入り口に顔を向けると強面の男性が入ってきたようだ。準備と言っているところから彼が中級クラスの先生だろうか。
どう声をかけたものか迷っていると男性の方が先に僕に気付いた。
「ん?なんだもう生徒が来てたのか」
「は、はい!初めて中級クラスに上がってきたので・・・」
「そうなのか、それはおめでとう」
言葉の途中で遮られてしまい、二の句がつげなくなってしまった。怖い感じの人だな。
困る。とっても困る。こんな人と話すのは苦手だ。
「・・・」
「・・・」
気まずい沈黙。どうしたらいいのかな。
「その、あれだ、初めてだから早めに来たんだね?」
「あ、はい、そうです」
「真面目なのは良いことだ」
「あ、ありがとうございます」
弾まない。驚くほど会話が弾まない。応答以上の会話が発生しないのだ。膨らませる話題もないし、話し掛けて万が一返事がかえってこなかったらこの気まずい空気が突き抜けて酷くなる。
どうしよう。本当にどうしよう。
「そ、そうだな、せっかくだし早めに始めるか」
何がそうなのかはわからないが先生らしき人からこの状況を打開する提案がなされた。
「お、お願いします!」
「それでは木剣を持って外の修練場に来なさい」
謎空間から抜け出すことに成功した。踵を返して出ていく彼を追いかけて中級クラス用に設けられた修練場へと向かう。
「それでは中級クラスの説明を軽く行う」
修練場に到着すると先生らしき男性は木剣を携えてこう切り出した。
「初級クラスでは文字通り全ての武術の基礎を行い、知識と技術、体力の最低限を持っていると判断されれば中級クラスに移動できる」
知識と体力はそれなりだった。技術を表現することが全然できなくてずっと初級クラスだったんだよね・・・。
「ここからは自分達が目指す武芸の専門分野、その入り口だな」
大まかに剣、槍、弓が中級クラスの三区分。その中で剣ならば長剣や大剣、片手剣と盾術などにさらに枝分かれしていく。
槍はさらに大雑把にされており実質長柄の武器はここに押し込まれている。
「中級クラス、剣の担当グラムだよろしく頼む」
「ヨナです、よろしくお願いいたします」
互いに軽く自己紹介を済ませるとグラム先生は携えていた木剣を持ち直して緩く構えた。
「さて、では中級クラスでやっていけるかどうか軽く試してみるか」
「お願いします!」
ちょっと緊張している自分を自覚しながら僕も木剣を構えて距離を取った。
売店で昼食を仕入れてから教室へ向かおうかな。
「すみません、できてますか?」
購買に向かい、入り口で尋ねる。すると奥から大きな声で返事が返ってくる。
『出来てるよ!』
「じゃあお昼のセットください」
『はいよー!』
注文するとこれまた大きな声。中に入って待つと少しして大きな体を揺すりながら恰幅のいいおばちゃんが袋片手に小走りでやって来た。
「お昼のセットひとつね!」
「ありがとうございます」
「誰かと思ったらヨナ坊!女の子だったのかい?」
そうだった、この格好で外の知り合いに会うのは初めてだ。
「いやぁ、実は色々ありまして」
「ふぅん?あぁ、そう言うことね!」
「?」
どう言ったものかと悩んでいるとおばちゃんは納得したように頷いた。
「女が剣を振るなんて言えばうるさい男が多かったんだろ?」
「えっ?」
「気にしなくてもいいよぉ、おばちゃんだって若い頃はぶいぶい言わせてたもんよ 」
「そう言うわけじゃないんだけどな・・・」
「ははは!強い女もたくさんいるんだから男だ女だって気にしなくてもいいさ、まぁ頑張んな!」
袋を渡され、背中をバーンと叩かれて店から文字通りに飛び出した。おばちゃんが昔は戦鎚を振り回してた逸話は本当かもしれない。体が浮く感覚はとても不思議な感じ。
「さて、ここらへんでいいかな」
中級クラスの教室は初級の教室よりも狭いが設備は上等になる。実技を中心にここから専門化していくので初級から別れて各々の道を進んでいくわけだ。
人気のない教室にちょっと気後れしながらも申し訳ばかりに並んだ席について昼食をとる。ちょっと早く来すぎたかもしれない。
「さて、準備するか」
昼食を済ませてうとうとしていると教室に入ってきた誰かの声で我に帰った。
入り口に顔を向けると強面の男性が入ってきたようだ。準備と言っているところから彼が中級クラスの先生だろうか。
どう声をかけたものか迷っていると男性の方が先に僕に気付いた。
「ん?なんだもう生徒が来てたのか」
「は、はい!初めて中級クラスに上がってきたので・・・」
「そうなのか、それはおめでとう」
言葉の途中で遮られてしまい、二の句がつげなくなってしまった。怖い感じの人だな。
困る。とっても困る。こんな人と話すのは苦手だ。
「・・・」
「・・・」
気まずい沈黙。どうしたらいいのかな。
「その、あれだ、初めてだから早めに来たんだね?」
「あ、はい、そうです」
「真面目なのは良いことだ」
「あ、ありがとうございます」
弾まない。驚くほど会話が弾まない。応答以上の会話が発生しないのだ。膨らませる話題もないし、話し掛けて万が一返事がかえってこなかったらこの気まずい空気が突き抜けて酷くなる。
どうしよう。本当にどうしよう。
「そ、そうだな、せっかくだし早めに始めるか」
何がそうなのかはわからないが先生らしき人からこの状況を打開する提案がなされた。
「お、お願いします!」
「それでは木剣を持って外の修練場に来なさい」
謎空間から抜け出すことに成功した。踵を返して出ていく彼を追いかけて中級クラス用に設けられた修練場へと向かう。
「それでは中級クラスの説明を軽く行う」
修練場に到着すると先生らしき男性は木剣を携えてこう切り出した。
「初級クラスでは文字通り全ての武術の基礎を行い、知識と技術、体力の最低限を持っていると判断されれば中級クラスに移動できる」
知識と体力はそれなりだった。技術を表現することが全然できなくてずっと初級クラスだったんだよね・・・。
「ここからは自分達が目指す武芸の専門分野、その入り口だな」
大まかに剣、槍、弓が中級クラスの三区分。その中で剣ならば長剣や大剣、片手剣と盾術などにさらに枝分かれしていく。
槍はさらに大雑把にされており実質長柄の武器はここに押し込まれている。
「中級クラス、剣の担当グラムだよろしく頼む」
「ヨナです、よろしくお願いいたします」
互いに軽く自己紹介を済ませるとグラム先生は携えていた木剣を持ち直して緩く構えた。
「さて、では中級クラスでやっていけるかどうか軽く試してみるか」
「お願いします!」
ちょっと緊張している自分を自覚しながら僕も木剣を構えて距離を取った。
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