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ガルデンヘイム王国王都で
アイテム袋をとりかえす その2
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さて、シスターさんをこちら側に引っ張り込むためにはどうしても彼らを確保する必要がある。
「しかし何故そんな大事な事を・・・」
「脅されているのかもしれません。孤児院の経営状況などは?」
「確かに余り良くはありませんが・・・」
「孤児院はボロくてつぶれそうとか?見た目で不安があるならそれにつけ込む連中も居るでしょう。寄付金を奪えば孤児院はつぶれますからね。見逃す代わりに寄越せとか言われたら?」
そういうと彼女は辛そうに目を逸らした。
「しかしそれは犯罪ですよ・・・何でもできるとは・・・」
「子供が大人に勝てますか?それに酷な言い方ですが・・・こんな貧民街の孤児院の、個人的な寄付金を盗んだ所で私の財布が寂しくなるだけ。公の組織が動く理由がありますか?」
「それは・・・」
「プラスアルファがつけば子供を脅すなんて簡単なことじゃありませんか?たとえば孤児院には借金があるんだ、金目のものを持ってくれば勘弁してやるーとか」
孤児院に居れば食べるには殆ど困らない。それにシスターも優しそうだし豊かではなくとも大人になるまである程度の生活は保障される。だがそれをぶち壊す奴らが居たとしたら大抵はそれをどうにかしようとするだろう。そんな中で力づくが無理なら相手の要求にこたえるしかない。
正直アレだけの袋の中身を換金できたら遊んで暮らせるだろう。王族からの覚えもめでたくなるだろうし良い事尽くめだ。
「それは・・・たしかにそうです。孤児院にはそれなりに借金があります」
額にすると約九万イーエン、大銀貨九枚分。ちなみに一般人の一ヶ月の給料はほぼ無く、銀貨五枚あるかないか・・・五千イーエンである。孤児院は寄付金が主な収入だがそれもほとんど無く、教会の持ち出しが殆どだ。だがそれにも限界がある。
「孤児院が行う炊き出しや孤児院への出費は一ヶ月で大銀貨一枚で、以前はそれを教会の本部から支給してもらっていましたが先月からそれも止まってしまって、説明を求めたのですがその間に徐々に出費が嵩み借金が・・・」
大銀貨かぁ・・・しかもその収入がなくなって困ってると。そうなると確かに困るなぁ。
んで、その借金のカタに子供が悪事に手を染めてると。
「うーん、そりゃいけないな。どうにかして寄付金を取り返さなきゃ・・・」
「そうですね・・・」
ついでにその借金の貸し手も懲らしめる必要があるね。子供使って小銭を稼がせても借金は減らない。とどのつまりそいつ等の小遣い稼ぎに利用されてしまっているという事だ。
そして孤児院の子供達をもれなく闇の世界に引き釣りこんで使い走りにしたいんじゃないのかな。
「とりあえず私はこれで、お二人には此方から気にしないように言っておきますので」
「お手数をおかけします・・・」
手を振ってシスターと別れると私はパンを食べておなかを擦っている二人にそっと近づいた。
「やっほ、先ほど振りだね」
「「!」」
驚いて立ち上がろうとした二人を首根っこを捕まえて同じ目線の高さまで吊り上げる。
「シスターには黙っててあげるから、事情を話しなさい。貴方達が許されるにはそれしかないの」
「・・・」
「兄ちゃん・・・もう、言っちゃおうよ」
私がそう告げると先に折れたのは妹ちゃんのほうだった。たしかアイナちゃんだったっけ。
「聞くよ、なんでも。そしたら許してあげる」
「ねえ・・・兄ちゃん」
そう言うと躊躇い勝ちだった男の子、リッキーもやがて私とアイナの目線に負けてついに観念したようだ。
「わかった・・・全部言うよ」
「大方予想はついてるけどね」
「そうなの?」
「借金がたくさんあるから、孤児院を潰されたくなかったら返す手伝いをしろって言われたんでしょ?」
「うん・・・」
そう言うとリッキーはさらに詳しい事情を話してくれた。それはホンの一ヶ月ほど前の事だそうだ。
「偶然聞いたんだ、シスターが借金で悩んでるって・・・」
あのシスターは裏表のなさそうな人だった。そして恐らく結構口が軽い性分のようだ。
子供は保護者をどこかで見て聞いているものだと祖父は言っていたがこう言う事なのかも知れない。
「それで、少ししてお金を返せって言いに来る奴がきて・・・俺がソイツに頼んで仕事をさせてくれって頼んだんだ・・・孤児院が潰れたら皆は人買いに売られちゃうって言うから」
なるほど、ちょっと殺意が湧いてきたよ。そんなテンプレな悪党が居たんだねえ。
「それで、私の袋を盗んだのはどうして?」
「ギルドで金貨を受け取ってるのを見たんだ・・・あのピカピカしたお金は金貨だろ?あれを渡せば借金はなくなるってシスターが言ってたし・・・服も綺麗なのを着てるからお金を持ってるとおもって・・・ご、ごめんなさい」
「それで、結果としては取り上げられて、手伝った分も知らないと」
そう言うと悔しくなったのかリッキーは目に涙を浮かべて頷いた。盗んだ事がよくない事はわかっているのだろうが仲間の為を思って頑張ったのだろう。それが全て嘘だとも知らずに。
うん、これは許せないね。そいつ等潰すか。お金は私が王族の人達に渡したときの報奨金で何とかしてあげればいいだろうし。
「しかし何故そんな大事な事を・・・」
「脅されているのかもしれません。孤児院の経営状況などは?」
「確かに余り良くはありませんが・・・」
「孤児院はボロくてつぶれそうとか?見た目で不安があるならそれにつけ込む連中も居るでしょう。寄付金を奪えば孤児院はつぶれますからね。見逃す代わりに寄越せとか言われたら?」
そういうと彼女は辛そうに目を逸らした。
「しかしそれは犯罪ですよ・・・何でもできるとは・・・」
「子供が大人に勝てますか?それに酷な言い方ですが・・・こんな貧民街の孤児院の、個人的な寄付金を盗んだ所で私の財布が寂しくなるだけ。公の組織が動く理由がありますか?」
「それは・・・」
「プラスアルファがつけば子供を脅すなんて簡単なことじゃありませんか?たとえば孤児院には借金があるんだ、金目のものを持ってくれば勘弁してやるーとか」
孤児院に居れば食べるには殆ど困らない。それにシスターも優しそうだし豊かではなくとも大人になるまである程度の生活は保障される。だがそれをぶち壊す奴らが居たとしたら大抵はそれをどうにかしようとするだろう。そんな中で力づくが無理なら相手の要求にこたえるしかない。
正直アレだけの袋の中身を換金できたら遊んで暮らせるだろう。王族からの覚えもめでたくなるだろうし良い事尽くめだ。
「それは・・・たしかにそうです。孤児院にはそれなりに借金があります」
額にすると約九万イーエン、大銀貨九枚分。ちなみに一般人の一ヶ月の給料はほぼ無く、銀貨五枚あるかないか・・・五千イーエンである。孤児院は寄付金が主な収入だがそれもほとんど無く、教会の持ち出しが殆どだ。だがそれにも限界がある。
「孤児院が行う炊き出しや孤児院への出費は一ヶ月で大銀貨一枚で、以前はそれを教会の本部から支給してもらっていましたが先月からそれも止まってしまって、説明を求めたのですがその間に徐々に出費が嵩み借金が・・・」
大銀貨かぁ・・・しかもその収入がなくなって困ってると。そうなると確かに困るなぁ。
んで、その借金のカタに子供が悪事に手を染めてると。
「うーん、そりゃいけないな。どうにかして寄付金を取り返さなきゃ・・・」
「そうですね・・・」
ついでにその借金の貸し手も懲らしめる必要があるね。子供使って小銭を稼がせても借金は減らない。とどのつまりそいつ等の小遣い稼ぎに利用されてしまっているという事だ。
そして孤児院の子供達をもれなく闇の世界に引き釣りこんで使い走りにしたいんじゃないのかな。
「とりあえず私はこれで、お二人には此方から気にしないように言っておきますので」
「お手数をおかけします・・・」
手を振ってシスターと別れると私はパンを食べておなかを擦っている二人にそっと近づいた。
「やっほ、先ほど振りだね」
「「!」」
驚いて立ち上がろうとした二人を首根っこを捕まえて同じ目線の高さまで吊り上げる。
「シスターには黙っててあげるから、事情を話しなさい。貴方達が許されるにはそれしかないの」
「・・・」
「兄ちゃん・・・もう、言っちゃおうよ」
私がそう告げると先に折れたのは妹ちゃんのほうだった。たしかアイナちゃんだったっけ。
「聞くよ、なんでも。そしたら許してあげる」
「ねえ・・・兄ちゃん」
そう言うと躊躇い勝ちだった男の子、リッキーもやがて私とアイナの目線に負けてついに観念したようだ。
「わかった・・・全部言うよ」
「大方予想はついてるけどね」
「そうなの?」
「借金がたくさんあるから、孤児院を潰されたくなかったら返す手伝いをしろって言われたんでしょ?」
「うん・・・」
そう言うとリッキーはさらに詳しい事情を話してくれた。それはホンの一ヶ月ほど前の事だそうだ。
「偶然聞いたんだ、シスターが借金で悩んでるって・・・」
あのシスターは裏表のなさそうな人だった。そして恐らく結構口が軽い性分のようだ。
子供は保護者をどこかで見て聞いているものだと祖父は言っていたがこう言う事なのかも知れない。
「それで、少ししてお金を返せって言いに来る奴がきて・・・俺がソイツに頼んで仕事をさせてくれって頼んだんだ・・・孤児院が潰れたら皆は人買いに売られちゃうって言うから」
なるほど、ちょっと殺意が湧いてきたよ。そんなテンプレな悪党が居たんだねえ。
「それで、私の袋を盗んだのはどうして?」
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