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ガルデンヘイム王国王都で
王都での初日はこうして終了 side ガルデンヘイム家
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我こそはガルデンヘイムが国王、オットー・ギュンター・フォン・ガルデンヘイムである。
「父上、遅くなりました」
倅が今回王位継承の試練を無事に果たした事を嬉しく思う傍ら少しばかり腑に落ちない事がある。
一つは倅の態度である。昔から自身の兄であるマンフレートの後ろを着いて歩いては甘えてばかりだった倅の成長に喜びを感じなくはないがそれを持ってしても今回はいろいろと不思議だ。
「うむ、早速だが食事にしよう。今日はお前が王位継承の試練を達成した喜ばしい日であるからな」
そう言うと倅のオルランドはワシの隣にちょこんと座る。皇太子になるのだからもう少し覇気を持って欲しいがそれはそれ、人それぞれに短所・長所があるのだから気にしない。
それよりも気になったのはオルランドの仕草である。なにやらそわそわと落ち着かない様子で時折女子のように頬に手など当てて考え込んでいる。
「しかし脅威度Sの魔物を討伐するとはさすがだな、オルランドよ。お前は妻に似て線が細かったが・・・お前は始祖様の血が濃く受け継がれたのかもしれんな」
歴代国王は皆大剣や斧槍を振り回す偉丈夫ばかりであったが伝説の一幕によると始祖様はどちらかといえば本やペンが似合う線の細い青年であり、そして剣も扱ったが大抵は魔法を主に用いての魔法使い的な存在だという。
「そうなのですか?」
「そうだとも、お前が体が小さいからと慰めで言っているわけではないぞ?なにせ一族の歴史を綴った秘伝書にもそう書かれておる。最下層まで行けたら五龍様から武芸か魔法を教わる事が出来るかもしれんな」
「始祖様と・・・ドラゴン様・・・」
そう言うと倅のブツブツとなにやら言うのと時折にニヤケる頻度が増えた。もしかするとコイツは試練の洞窟に入った前後で何かあったのかもしれんな。気になったら直ぐに尋ねるのがワシの流儀である。
「倅よ、だれぞ好いた女でも出来たか?」
「ぶーっ!」
盛大に噴出した。これは図星か?随分と解り易い奴だ。杯に注いだぶどう酒を飲み干して本日十皿目の料理を平らげると倅に追い討ちを仕掛ける。
「それで、落ち着かんところを見ると・・・会う約束でもしたか?」
「えぅ・・・その、あの・・・そんなところです」
これはあれだ、適当に相手の言葉に合わせて流そうという魂胆だな。騙されるワシではないわ。
留めの一押しを加えてやろう。
「まさか連れ込んだのか!」
「なーっ!そ、そんなこと!」
見事な過剰反応、完全確認、黒だ。そうなるとワシがやる事は一つ。倅の想い人を確認するのだ!
「がっはっは!」
思わず漏れた笑い声を誤魔化す事もせずワシは立ち上がるとそのまま倅の部屋へと走り出した。
親に無断で女を連れ込むなど・・・そんな面白そうな事を放っておけるか!
「だがしかぁーし!大人の階段を登りたければワシの眼鏡に適う淑女でなければなぁ!」
呆気にとられていた倅ではワシには追いつけまい。倅は足が意外と遅いからな。
「ここだ!」
開けようとドアノブを捻るが開かない。小癪な、この程度でワシが止まると思うか。
ドアノブを握りつぶしてドアをこじ開けると大声で人の有無を問う。するとまさしく美女・・・いや、美少女と呼ぶべき淑女がソファに体を預けて此方を見ていた。
「うるさいなぁ・・・あふぅ」
あくび交じりの言葉にさえ色香を感じさせるような、そんな少女だ。こういった女性は個人的な経験からすると非情に気侭で苦労させられる存在だが・・・。
「っ・・・!」
内心ぞくりとするような感覚に襲われた。膨大な魔力だ。それも無色透明といったような言葉が似合う非常に純度の高い純粋な魔力を感じる。
生き物には大抵が自身の中に偏った属性の魔力を持っている為、一番濃い属性がその者の特徴となって現れるのだが彼女はそれが全ての属性でリンクしておりどの色も見えないのだ。
そしてその量の膨大さたるやワシはもちろん遍く魔法使いを集めても匹敵できるものの居ないと断言できるほどのものだ。
「貴方はだれ?」
「おお、ワシの事か!ワシはガルデンヘイムが国王オットー・ギュンター・フォン・ガルデンヘイムである!」
「麗しいお嬢さん、貴女のお名前は?」
「私、・・・えっと、ゆ・・・スカサハです」
「ユ・スカサハ?変わった名前だのう!」
聞いた事が無い名前だったが当然だ、こんな魔法使いがいればギルドや他国が放っておくはずが無い。
それから適当な会話を続けるうちに倅がやって来た。どうやら倅は彼女を好いているらしい。
文句無く合格点であるので倅に発破をかけて個人的に応援しておくことにする。
「父上、遅くなりました」
倅が今回王位継承の試練を無事に果たした事を嬉しく思う傍ら少しばかり腑に落ちない事がある。
一つは倅の態度である。昔から自身の兄であるマンフレートの後ろを着いて歩いては甘えてばかりだった倅の成長に喜びを感じなくはないがそれを持ってしても今回はいろいろと不思議だ。
「うむ、早速だが食事にしよう。今日はお前が王位継承の試練を達成した喜ばしい日であるからな」
そう言うと倅のオルランドはワシの隣にちょこんと座る。皇太子になるのだからもう少し覇気を持って欲しいがそれはそれ、人それぞれに短所・長所があるのだから気にしない。
それよりも気になったのはオルランドの仕草である。なにやらそわそわと落ち着かない様子で時折女子のように頬に手など当てて考え込んでいる。
「しかし脅威度Sの魔物を討伐するとはさすがだな、オルランドよ。お前は妻に似て線が細かったが・・・お前は始祖様の血が濃く受け継がれたのかもしれんな」
歴代国王は皆大剣や斧槍を振り回す偉丈夫ばかりであったが伝説の一幕によると始祖様はどちらかといえば本やペンが似合う線の細い青年であり、そして剣も扱ったが大抵は魔法を主に用いての魔法使い的な存在だという。
「そうなのですか?」
「そうだとも、お前が体が小さいからと慰めで言っているわけではないぞ?なにせ一族の歴史を綴った秘伝書にもそう書かれておる。最下層まで行けたら五龍様から武芸か魔法を教わる事が出来るかもしれんな」
「始祖様と・・・ドラゴン様・・・」
そう言うと倅のブツブツとなにやら言うのと時折にニヤケる頻度が増えた。もしかするとコイツは試練の洞窟に入った前後で何かあったのかもしれんな。気になったら直ぐに尋ねるのがワシの流儀である。
「倅よ、だれぞ好いた女でも出来たか?」
「ぶーっ!」
盛大に噴出した。これは図星か?随分と解り易い奴だ。杯に注いだぶどう酒を飲み干して本日十皿目の料理を平らげると倅に追い討ちを仕掛ける。
「それで、落ち着かんところを見ると・・・会う約束でもしたか?」
「えぅ・・・その、あの・・・そんなところです」
これはあれだ、適当に相手の言葉に合わせて流そうという魂胆だな。騙されるワシではないわ。
留めの一押しを加えてやろう。
「まさか連れ込んだのか!」
「なーっ!そ、そんなこと!」
見事な過剰反応、完全確認、黒だ。そうなるとワシがやる事は一つ。倅の想い人を確認するのだ!
「がっはっは!」
思わず漏れた笑い声を誤魔化す事もせずワシは立ち上がるとそのまま倅の部屋へと走り出した。
親に無断で女を連れ込むなど・・・そんな面白そうな事を放っておけるか!
「だがしかぁーし!大人の階段を登りたければワシの眼鏡に適う淑女でなければなぁ!」
呆気にとられていた倅ではワシには追いつけまい。倅は足が意外と遅いからな。
「ここだ!」
開けようとドアノブを捻るが開かない。小癪な、この程度でワシが止まると思うか。
ドアノブを握りつぶしてドアをこじ開けると大声で人の有無を問う。するとまさしく美女・・・いや、美少女と呼ぶべき淑女がソファに体を預けて此方を見ていた。
「うるさいなぁ・・・あふぅ」
あくび交じりの言葉にさえ色香を感じさせるような、そんな少女だ。こういった女性は個人的な経験からすると非情に気侭で苦労させられる存在だが・・・。
「っ・・・!」
内心ぞくりとするような感覚に襲われた。膨大な魔力だ。それも無色透明といったような言葉が似合う非常に純度の高い純粋な魔力を感じる。
生き物には大抵が自身の中に偏った属性の魔力を持っている為、一番濃い属性がその者の特徴となって現れるのだが彼女はそれが全ての属性でリンクしておりどの色も見えないのだ。
そしてその量の膨大さたるやワシはもちろん遍く魔法使いを集めても匹敵できるものの居ないと断言できるほどのものだ。
「貴方はだれ?」
「おお、ワシの事か!ワシはガルデンヘイムが国王オットー・ギュンター・フォン・ガルデンヘイムである!」
「麗しいお嬢さん、貴女のお名前は?」
「私、・・・えっと、ゆ・・・スカサハです」
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