異世界でドラゴニュートになってのんびり異世界満喫する!

ファウスト

文字の大きさ
56 / 98
ガルデンヘイム王国王都で

お茶会の一幕

しおりを挟む
ガルデンヘイム王国王都、そこの一等地に鎮座する大きな邸宅がある。貴族の屋敷や王家所有の建築物が並ぶ地域で目を引くその理由は何代も続く名家が所有する事でその箔がついているのかもしれない。

「父上!あの王子に招待状を出したと言うのは本当ですか!」

その邸宅の所有者の息子、グラハム・ロンベル伯爵は書斎で書類に目を通していた男性に叫んだ。

「騒々しいな、それの何が問題なのだ」
「奴は薄汚い平民共と馴れ合う軟弱者ですよ!栄えある近衛騎士隊から我等貴族を追い出した王と同じ考えの持ち主だ!そんな奴を父上が主催する茶会に招くなど・・・」

憤慨した様子のグラハムに男性は書類から目を話さずに淡々とした様子で話を聞いていたがため息をついた後に短く言った。

「どうせ来ないであろう、招待状の内容を見なかったのか?」
「内容・・・?」
「この茶会には男女のペアで参加する事を条件にしておいた。長兄は王都に居らず、末弟の皇太子殿下は婚約者の居ない独り身だ」

貴族のネットワークに置いて彼は皇太子であるオルランドが婚約者を選んでいないという事を知っていた。通常ならば貴族達には早くから婚約者を決めているのが常だった為茶会の参加者は多い、未来の夫婦のお披露目的な意味合いを兼ねる催しなので皆がおめかしをしてやってくるのだ。
そんな中で王家の人間に幼少期から婚約者が居ないのは王位継承権を得る為の試練があるからで
貴族達に野心が無いわけでは無いが幼いわが子を嫁ぐ前から後家にしてしまっては折角の縁談も利益を得る前から肝心の娘が傷物になってしまうためだ。そうなると大半の子女は若くして修道院行きが決定してしまう。
子供を可愛がっていようと、はたまた出世の道具としていようと王家の人間、それも男子と婚約させると言うのは相当にリスキーなのだ。
そんな中で王家の人間におしどり夫婦が多いのは『貴方が死んだなら一生独身で修道院行きになっても構わない!』という全幅の信頼を寄せる相手か、もしくは『継承権を放棄し、たとえ身一つになっても貴方についていきます!ってかウチで養います!』というラブロマンス全開の気骨溢れる女性しか婚約者になろうという子女が居ない為である。

「しかし、奴は継承権を得て帰ってきましたよ。婚約者ができてもおかしくないのでは?」
「それもない、皇太子と同年代の子女は今王都に居ないからな。それにそんな重要な事を隠す理由があると思うか?」

ガルデンヘイム国王は無類のお祭り好きとして知られており、自他問わずめでたい事があれば祝わずには居られないという困った性分がある。そんな国王が祝い事を前に黙っているはずがないと言うのが貴族のみならず国民達の常識であった。

「確かに・・・陛下が黙っているはずがありませんね」
「そう言う事だ、お前はそれより婚約者の出迎えの準備を済ませろ」
「は、はい」

近々の皇太子の凱旋を祝うパレードもあり、貴族達は自身の催し物などの参加や開催に追われていた。その為、現在はクロンスタット騎士団も大人しいものだ。

「それと、前のように落馬などするのではないぞ。治癒術を扱う医師はそうは居らん、これだけ早く治すとなると結構なものだったのだからな」
「うぐ・・・わかっています」

グラハムは前回の落馬で担ぎこまれてから生死の境を彷徨うほど酷くは無かったが骨や内臓など各所を痛めていたらしくそれを治せる治癒術師を呼ぶのに相当な金額がかかった。
普段なら自らの不始末とばかりに放置される所だったがロンベル家の当主が開く茶会という事でそのスケジュールに間に合うよう急がせたのだ。今回の茶会はそれに見合うだけの重要な会合という事になる。

「嫌な事を思い出させやがって親父め・・・」

父の書斎を出たグラハムは苛立ちを隠せない様子で自室へと向かう。あの日、近衛騎士隊の前で落馬するという失態を犯してしまった彼は近衛騎士隊はもちろん、近衛騎士隊に一部メンバーがボコボコにされる事件が起きるまで仲間内でも馬鹿にされていた。

「最近なんだかおかしい・・・オレがこんな失態を犯すなんて」

近衛騎士隊に勝ち星こそ上げられていないクロンスタット騎士団と彼であったがそれでも自分達の得意分野や身分を笠に来た嫌がらせなどで優越感を得られる位の日常を送れていたのだ。
それが最近になってどこかおかしい事になっていると彼は感じていた。

「そういえば奴らが巫女だとか持て囃している女がいるんだったな・・・」

王宮で噂になっている一人の女性の噂。曰く、Sクラスの女。曰く、龍巫女。

「ソイツが怪しい・・・、思えばオレが落馬した時もあの女がいたな」

自室のドアを開けて部屋に戻るとグラハムは一人、怒りを滲ませながら机に向かう。

「親父の権力があれば女一人意のままにする事は造作もない・・・後はそれがいかに利益を生むかを親父に証明できればいいんだが」

もしも計画が上手く行き、念願かなった暁には・・・そう考えるとグラハムは一人怒りにわずかな期待とどす黒い欲望を思い描いていた。
しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...