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ガルデンヘイム王国王都で
本番!
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それからは万事が恙無く進み、ルーンちゃんが時折怪しい目つきで私を見る以外は順調に事が運んだ。化粧を試したり、礼装で行軍の練習をしたりと騎士さん達も徐々に忙しそうにしていった。
『殿下が試練の洞窟より帰還した!S級の災厄を仕留めた武功を手に王都を凱旋する!』
王都中に設置された拡声器のような魔道具によって宣言された朝方の王都はまさに熱狂の渦の中だった。子供達は英雄の誕生に沸き立ち、早朝から渋る親を引っ張って見物席へと向かっていく。
そんな中で王都は勇者の帰還に大いに沸き、国王自らの歓待とあらんかぎりの贅を尽くした催しが今、口火を切った。王宮の倉からは金銀財貨が惜しみなく提供され、商魂たくましい商人達がその催しと提供された財貨を一握りでも多く手にせんと汗を流し、知恵を絞り、人を走らせる。
王国民達は皆が王都に集まり、王都中を練り歩く王子と近衛騎士団を一目みようと商人達から買い求めた菓子や料理、飲み物を手に楽しみ、そして次期国王がこの国をより良いものへと導いてくれる事を願う。
「スカサハ様、一・二番隊が出発しました。我等は中盤の五番隊になります」
「了解だ、ゆるりと楽しもうではないか」
「ははは、そうですね。大将の晴れ舞台だ、盛大にやりましょうや」
歓声と共に王国民たちに出迎えられる近衛騎士隊の面々が悠然と王都を規定のルートで行軍していく。近衛騎士隊の騎士さんが王宮から出発していく近衛騎士隊を見ていう。私はというと存外緊張する事もなく、馴染み始めたドレスとその言動で騎士さん達の緊張を解す役割を買って出ていた。
「そうとも、我等は殿下を飾る宝玉、そして守る盾であり、外敵を打ち払う剣・・・存分にみせつけてやろうぞ」
頬当てをはめて微笑むと皆が緊張を捨て去り、決意に満ちた表情で頷く。このドレス・・・ひいてはそれを纏っていた英雄のカリスマがどれだけ凄まじいかがわかったような気がする。
同じことを私が向こうの世界で言ったらただの中二病だしね。
『三番隊・四番隊出発!』
「スカサハ様!」
出番が一刻一刻と近づく中、不意にかけられた声に振り返るとお坊ちゃんが礼装に身を包んでやってきていた。王位継承権を得た事を示す勲章が胸に輝き、凛々しい顔立ちを一層際立たせているようだ。服装の色も彼が得意とする火の魔法を示すように緋色をしていて凛々しさの中に活発さがある。
「殿下、いかがしましたか?」
愛騎チハから飛び降りて目の前に降り立つとお坊ちゃんは緊張した面持ちで私に近付くとそっと頬当ての仮面を持ち上げて外した。隠れていた顔が顕わになり、広がった視界の真ん中に彼の顔が映る。
「えっと、その・・・緊張してて・・・」
「ふふ、それでわざわざ私の元まで来たのですか?勝手に面まで外して・・・」
もじもじとしている仕草が愛らしく、頬を染めていると小動物を思わせる。しかし彼も王国の重要な人物であり、魔法使いとして高位のレベルにいる。生意気盛りでも可笑しくないそんな彼が偉業を成し遂げた事を驕るでもなく、意地を張るでもなく、年齢相応に甘えた仕草を取ると言うのが可愛らしかった。
「えっと・・・その・・・」
「?」
苦笑する私にお坊ちゃんはもごもごとなにやら言う。首を傾げると頬の赤みを強くしてようやく声に出した。
「今日は、その、一段と綺麗です・・・そんな貴女を見たら何も怖くないです!」
そう言うとはにかみながら笑みを浮かべ、そっと私の頬に触れる。今日の為に早朝からメイドさんたちが奮起して私に化粧を施したからだろう。香水もつけてもらい、イベントに参加する準備は目に見えないところまで整っている。
「ふふふ、それならば良かった。殿下のお力になれたなら幸いですよ」
「わかってない・・・」
笑顔でそう答えるとお坊ちゃんは不満そうに唇を尖らせてそのまま自身の乗る馬車へと戻っていった。途中で騎士さんに怒られていたが悪びれる様子もなく平然としており、騎士さんも此方を見てやれやれと首を振った後に苦笑していた。
「相変わらず仲がよろしいですな」
「そうだな、殿下はスカサハ様にゾッコンですからな」
「・・・困った人だよ、殿下は、だが可愛いから仕方ないのだ」
からかうように笑う騎士さん達に苦笑しつつそう言うと皆は笑みを深めつつも何もそれ以上言う事はなく、出立に向けて気を引き締める。
「本当に、困った人・・・」
私はそんな彼を見送りながら誰にも聞こえないくらいの声でそうつぶやいた。
「スカサハ様、今なんと?」
「いや、何も」
『五番隊、本隊出発!』
パレードでは近衛騎士隊を十番隊までに分け、真ん中でお坊ちゃんが乗った馬車がゆっくりと王宮を出て王都を巡っていく。そしてその最後で再び王宮へと戻り、それを国王が出迎えてパレードは終了となる運びだ。緊張するという柄でもないだろうと思っていたがお坊ちゃんも大丈夫そうで安心だ。
まあ彼のお父さんは今、バルコニーから身を乗り出して目を子供のように輝かせている。そんな人の子供なので元より問題ないよね。
『殿下が試練の洞窟より帰還した!S級の災厄を仕留めた武功を手に王都を凱旋する!』
王都中に設置された拡声器のような魔道具によって宣言された朝方の王都はまさに熱狂の渦の中だった。子供達は英雄の誕生に沸き立ち、早朝から渋る親を引っ張って見物席へと向かっていく。
そんな中で王都は勇者の帰還に大いに沸き、国王自らの歓待とあらんかぎりの贅を尽くした催しが今、口火を切った。王宮の倉からは金銀財貨が惜しみなく提供され、商魂たくましい商人達がその催しと提供された財貨を一握りでも多く手にせんと汗を流し、知恵を絞り、人を走らせる。
王国民達は皆が王都に集まり、王都中を練り歩く王子と近衛騎士団を一目みようと商人達から買い求めた菓子や料理、飲み物を手に楽しみ、そして次期国王がこの国をより良いものへと導いてくれる事を願う。
「スカサハ様、一・二番隊が出発しました。我等は中盤の五番隊になります」
「了解だ、ゆるりと楽しもうではないか」
「ははは、そうですね。大将の晴れ舞台だ、盛大にやりましょうや」
歓声と共に王国民たちに出迎えられる近衛騎士隊の面々が悠然と王都を規定のルートで行軍していく。近衛騎士隊の騎士さんが王宮から出発していく近衛騎士隊を見ていう。私はというと存外緊張する事もなく、馴染み始めたドレスとその言動で騎士さん達の緊張を解す役割を買って出ていた。
「そうとも、我等は殿下を飾る宝玉、そして守る盾であり、外敵を打ち払う剣・・・存分にみせつけてやろうぞ」
頬当てをはめて微笑むと皆が緊張を捨て去り、決意に満ちた表情で頷く。このドレス・・・ひいてはそれを纏っていた英雄のカリスマがどれだけ凄まじいかがわかったような気がする。
同じことを私が向こうの世界で言ったらただの中二病だしね。
『三番隊・四番隊出発!』
「スカサハ様!」
出番が一刻一刻と近づく中、不意にかけられた声に振り返るとお坊ちゃんが礼装に身を包んでやってきていた。王位継承権を得た事を示す勲章が胸に輝き、凛々しい顔立ちを一層際立たせているようだ。服装の色も彼が得意とする火の魔法を示すように緋色をしていて凛々しさの中に活発さがある。
「殿下、いかがしましたか?」
愛騎チハから飛び降りて目の前に降り立つとお坊ちゃんは緊張した面持ちで私に近付くとそっと頬当ての仮面を持ち上げて外した。隠れていた顔が顕わになり、広がった視界の真ん中に彼の顔が映る。
「えっと、その・・・緊張してて・・・」
「ふふ、それでわざわざ私の元まで来たのですか?勝手に面まで外して・・・」
もじもじとしている仕草が愛らしく、頬を染めていると小動物を思わせる。しかし彼も王国の重要な人物であり、魔法使いとして高位のレベルにいる。生意気盛りでも可笑しくないそんな彼が偉業を成し遂げた事を驕るでもなく、意地を張るでもなく、年齢相応に甘えた仕草を取ると言うのが可愛らしかった。
「えっと・・・その・・・」
「?」
苦笑する私にお坊ちゃんはもごもごとなにやら言う。首を傾げると頬の赤みを強くしてようやく声に出した。
「今日は、その、一段と綺麗です・・・そんな貴女を見たら何も怖くないです!」
そう言うとはにかみながら笑みを浮かべ、そっと私の頬に触れる。今日の為に早朝からメイドさんたちが奮起して私に化粧を施したからだろう。香水もつけてもらい、イベントに参加する準備は目に見えないところまで整っている。
「ふふふ、それならば良かった。殿下のお力になれたなら幸いですよ」
「わかってない・・・」
笑顔でそう答えるとお坊ちゃんは不満そうに唇を尖らせてそのまま自身の乗る馬車へと戻っていった。途中で騎士さんに怒られていたが悪びれる様子もなく平然としており、騎士さんも此方を見てやれやれと首を振った後に苦笑していた。
「相変わらず仲がよろしいですな」
「そうだな、殿下はスカサハ様にゾッコンですからな」
「・・・困った人だよ、殿下は、だが可愛いから仕方ないのだ」
からかうように笑う騎士さん達に苦笑しつつそう言うと皆は笑みを深めつつも何もそれ以上言う事はなく、出立に向けて気を引き締める。
「本当に、困った人・・・」
私はそんな彼を見送りながら誰にも聞こえないくらいの声でそうつぶやいた。
「スカサハ様、今なんと?」
「いや、何も」
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