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ガルデンヘイム王国王都で
風雲急を告げる!
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砦に入った私達を出迎えたのは門を護る人数以上の衛兵と、担架に担がれた老人とそれと恐らく同じくらいの年齢であろう人物達だった。
「お待ちしておりましたぞぉ・・・『戦乙女』殿・・・」
「お招きに預かり光栄です、将軍閣下」
「なななんと!そんな事をなさらず!」
お坊ちゃんを除く私達は跪いて尊敬の念を示そうとするとその様子に酷く驚いた周囲の人間となにより驚いた様子のエルメロイ将軍が慌てて私を押し留める。
「とは言え私は所詮、氏素性の知らぬ小娘に過ぎません。要職を務めきった閣下に畏敬の念を払うのは当然の事でしょう」
「そのような謙遜を・・・、しかしそのように思われるのは仕方の無い事なのかもしれませんなぁ」
残念そうに老人達は呟く。そう、今の私の信用は所詮このドレスと王家の人間と親しいという副次的な付加価値があるからだ。伝説の影に隠れて私の素性を気にする者はいない、だからこそ想像しえない魅力を感じているのだろう。
「ですが、此度はそんな貴女と知り合えた事が嬉しいですぞ。貴女はなにか大いなる何かを秘めている気がするのです・・・我が体に流れるドワーフの血がそう告げておりますぞ」
ドワーフ、並びにエルフはドラゴンや精霊と言った超常の存在に近しい存在だ。体の大部分を人間よりもより近く、そして濃くそれらに近づけた存在という事。それ故に彼らは時として、もしくは大抵、大いなるものの存在を見抜く。それは歴史をつむぐ偉大な英雄であったり、より高次的な精霊であったり。
「そして・・・世界を統べる者の眷属の存在を・・・」
「今、何か仰いましたかな?」
「いえ、何も・・・それよりも私になんの御用でしょうか」
「そう堅くならず、我等の出会いをともに楽しもうではありませんか。ささやかながら我等で食事などをご用意させました」
「それは重畳、我が故郷では旧く親しき付き合いをする間柄を『同じ釜で食事をした仲』という言葉があります」
「なんと、それは良き言葉ですな」
そう言うとお坊ちゃん達二人はギョッとしたがそんな事は知らないね。はしゃぎすぎたのを悔やむといいね。
「どうしましたかな、殿下」
「い、いえ・・・御気になさらず」
まさか此処に来るまでたらふく食べたとは口が裂けてもいえないだろう。ルーンちゃんは遠慮できるかもしれないが・・・。しかしそんな淡い期待はあっと言う間に潰える。
「御付の方もどうぞ卓を囲んでくだされ。共に偉大なる主人に仕える者ならばここで誼を結ぶのも宜しいでしょう」
「・・・喜んで」
表面上は余裕を装って居るけどこっそりパンパンのおなかを擦っているのはバレバレだよ。それと、多分逆効果だ。相手のお爺ちゃんたちが嬉しそうにしている。お腹ペコペコだと思われてるよあれ。
「それでは参りましょう!」
彼らの砦で出された食事は量・質ともに満点で道中で食べ損ねた私の胃袋を存分に満足させてくれた。思わず食べ過ぎてしまったが閣下のお孫さんもたくさん食べているらしく誰も食事量に驚かなかったので雰囲気も終始良かった。
お坊ちゃんとルーンちゃんは途中から席を立ったりしていたが終いに力尽きて庭先のベンチで倒れていたが。
そんな私達を他所に王宮では大きな動きが起こっていた。
「陛下、隣国から親書が届きました」
「うむ」
執政室で大臣から手紙を受け取ったオットーは手紙の束に目を通し始める。先日行われたパレードは正式王位に着く、『ガルデンヘイム』を只の姓ではなく、『先人と同じ』になるという襲名披露に近しい行事という事で外国からの外交官や客人も多数含まれていた。
それを差し引いても現国王たるオットーの祭り好きは有名であり、その行事に合わせて入国し暗躍したり外交を行ったり、はたまた純粋に祭りを楽しんだりとさまざまな政治家や軍人が集まっていた。此度届いた手紙の束はそんなパレードに対する賛辞と社交辞令であった。
「西方の国、アルマヘイムは手紙に付随して特産品である香油と香水が届いておりますな」
「うむ、妻が喜ぶのう」
「南方の国、フードゥーヘイムは蜂蜜酒と果実を」
「美味いものな、余の好みをわかっておる!」
「東方の国、シクルゥヘイムはパレードに出ていた勇ましい貴婦人を彩るドレスを送ると」
「あそこのドレスは一級品だが・・・彼女に似合うかな・・・ドレッサーの肥やしにならんといいがのう」
そう思いながらオットーは最後の一枚、北方の国の手紙を受け取ったとき彼は眉をひそめた。
「何故に二通?」
「わかりません、ですが両方とも親書であります」
「緊急事態の可能性もあるか」
そう呟くとオットーはまず片方の手紙を開けた。それにはパレードの賛辞と社交辞令だった。
そして彼らの国の特産品である短剣が共に送られていた。
「北方の国、アイゼンヘイム・・・二通目はなにかな」
二通目の手紙には一通目と同じく皇帝印がついた蝋で封印がある。剣を交えたマークはかの国がガルデンヘイムと同じく武門、武力を誇る国であるという事を示している。
「・・・なんだと?」
そんな国が親書に送ってまでガルデンヘイムに求める事。それは・・・。
「アイゼンヘイムへの『戦乙女』の召喚だと・・・?」
「お待ちしておりましたぞぉ・・・『戦乙女』殿・・・」
「お招きに預かり光栄です、将軍閣下」
「なななんと!そんな事をなさらず!」
お坊ちゃんを除く私達は跪いて尊敬の念を示そうとするとその様子に酷く驚いた周囲の人間となにより驚いた様子のエルメロイ将軍が慌てて私を押し留める。
「とは言え私は所詮、氏素性の知らぬ小娘に過ぎません。要職を務めきった閣下に畏敬の念を払うのは当然の事でしょう」
「そのような謙遜を・・・、しかしそのように思われるのは仕方の無い事なのかもしれませんなぁ」
残念そうに老人達は呟く。そう、今の私の信用は所詮このドレスと王家の人間と親しいという副次的な付加価値があるからだ。伝説の影に隠れて私の素性を気にする者はいない、だからこそ想像しえない魅力を感じているのだろう。
「ですが、此度はそんな貴女と知り合えた事が嬉しいですぞ。貴女はなにか大いなる何かを秘めている気がするのです・・・我が体に流れるドワーフの血がそう告げておりますぞ」
ドワーフ、並びにエルフはドラゴンや精霊と言った超常の存在に近しい存在だ。体の大部分を人間よりもより近く、そして濃くそれらに近づけた存在という事。それ故に彼らは時として、もしくは大抵、大いなるものの存在を見抜く。それは歴史をつむぐ偉大な英雄であったり、より高次的な精霊であったり。
「そして・・・世界を統べる者の眷属の存在を・・・」
「今、何か仰いましたかな?」
「いえ、何も・・・それよりも私になんの御用でしょうか」
「そう堅くならず、我等の出会いをともに楽しもうではありませんか。ささやかながら我等で食事などをご用意させました」
「それは重畳、我が故郷では旧く親しき付き合いをする間柄を『同じ釜で食事をした仲』という言葉があります」
「なんと、それは良き言葉ですな」
そう言うとお坊ちゃん達二人はギョッとしたがそんな事は知らないね。はしゃぎすぎたのを悔やむといいね。
「どうしましたかな、殿下」
「い、いえ・・・御気になさらず」
まさか此処に来るまでたらふく食べたとは口が裂けてもいえないだろう。ルーンちゃんは遠慮できるかもしれないが・・・。しかしそんな淡い期待はあっと言う間に潰える。
「御付の方もどうぞ卓を囲んでくだされ。共に偉大なる主人に仕える者ならばここで誼を結ぶのも宜しいでしょう」
「・・・喜んで」
表面上は余裕を装って居るけどこっそりパンパンのおなかを擦っているのはバレバレだよ。それと、多分逆効果だ。相手のお爺ちゃんたちが嬉しそうにしている。お腹ペコペコだと思われてるよあれ。
「それでは参りましょう!」
彼らの砦で出された食事は量・質ともに満点で道中で食べ損ねた私の胃袋を存分に満足させてくれた。思わず食べ過ぎてしまったが閣下のお孫さんもたくさん食べているらしく誰も食事量に驚かなかったので雰囲気も終始良かった。
お坊ちゃんとルーンちゃんは途中から席を立ったりしていたが終いに力尽きて庭先のベンチで倒れていたが。
そんな私達を他所に王宮では大きな動きが起こっていた。
「陛下、隣国から親書が届きました」
「うむ」
執政室で大臣から手紙を受け取ったオットーは手紙の束に目を通し始める。先日行われたパレードは正式王位に着く、『ガルデンヘイム』を只の姓ではなく、『先人と同じ』になるという襲名披露に近しい行事という事で外国からの外交官や客人も多数含まれていた。
それを差し引いても現国王たるオットーの祭り好きは有名であり、その行事に合わせて入国し暗躍したり外交を行ったり、はたまた純粋に祭りを楽しんだりとさまざまな政治家や軍人が集まっていた。此度届いた手紙の束はそんなパレードに対する賛辞と社交辞令であった。
「西方の国、アルマヘイムは手紙に付随して特産品である香油と香水が届いておりますな」
「うむ、妻が喜ぶのう」
「南方の国、フードゥーヘイムは蜂蜜酒と果実を」
「美味いものな、余の好みをわかっておる!」
「東方の国、シクルゥヘイムはパレードに出ていた勇ましい貴婦人を彩るドレスを送ると」
「あそこのドレスは一級品だが・・・彼女に似合うかな・・・ドレッサーの肥やしにならんといいがのう」
そう思いながらオットーは最後の一枚、北方の国の手紙を受け取ったとき彼は眉をひそめた。
「何故に二通?」
「わかりません、ですが両方とも親書であります」
「緊急事態の可能性もあるか」
そう呟くとオットーはまず片方の手紙を開けた。それにはパレードの賛辞と社交辞令だった。
そして彼らの国の特産品である短剣が共に送られていた。
「北方の国、アイゼンヘイム・・・二通目はなにかな」
二通目の手紙には一通目と同じく皇帝印がついた蝋で封印がある。剣を交えたマークはかの国がガルデンヘイムと同じく武門、武力を誇る国であるという事を示している。
「・・・なんだと?」
そんな国が親書に送ってまでガルデンヘイムに求める事。それは・・・。
「アイゼンヘイムへの『戦乙女』の召喚だと・・・?」
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