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アイゼンヘイムへ
城壁の街
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エルメロイ家の関係者が居るという事でさして身元を疑われる事もなく、私達は城壁の街と名高い国境の街『ヴァントシュタット』へと再出発することに。軽装の騎士さん達も任務に戻るという事で馬に乗り、軽い挨拶を交わした。
「それでは、我らは王都へと向かいます」
「ええ、引き止めてしまい申し訳ない」
「なにを仰る、止まったのは我らです。詳しい情報は向こうでも聞けるはずです」
「ありがとう」
途中から私が全部話しを聞く流れになってたけど私爵位もなにもないんだけど?エーリカ様が将軍位を保証されてるとか言ってたけどそれのせいなのかな?軽装の騎士さんは敬礼を済ませると足早に王都へと向かっていく。
「とりあえず向こうもそう言ってくれたし、向こうの責任者に会いに行こう」
目と鼻の先まで近付いている砦に目を向ける。龍人の視力を行使してみると街は閑散としていた。
戒厳令に近い状態らしい、エルトリアちゃんによると普段はひらかれた市場や国境を出入りする商人や旅行者・冒険者で溢れているそうだが。
「寂しい街・・・って感じ」
「普段からは見る影もありませんね」
寂しげにそういったエルトリアちゃん。彼女は何度かこの場所に訪れたのだろう。私達が門を潜って通り過ぎる際もエルトリアちゃんが顔を見せるとまるで親戚の、もしかすると親戚かもしれないがおじさんたちといった様子で彼女に笑顔を向けてくれる。
だがしかし、そして私の予想通り、街は物々しい雰囲気に包まれており、見るだけでは味わえない緊迫した雰囲気が伝わってくる。通り過ぎる騎士さんも皆が鎧姿や軍服姿で、普段の仕事用の制服とは違う荒事専門の無骨なスタイルに変わっている。それに伴い市民や商人達の通行も規制されているのか私達が門をノーチェックで通り過ぎる中長蛇の列を作って受付と厳しい荷物の検査を受けている。
「これが・・・戦争の前触れ?」
不意に口をついた言葉に胸の刻まれた師匠たちとの絆である紋章が淡く光る。
『戦、そうだ、戦の前触れぞ』
色は赤、火龍師匠だ。嬉しそうな声色で私に答える。火龍師匠は軍神としての崇拝を受けていると聞いた事がある。全ての属性において圧倒的に攻撃に特化した属性だ。
その威力は上位魔法に限ってだが熟練者ならばS級モンスターですら重篤な負傷をおわせる事が可能だ。お坊ちゃんが使ったファイアーランスなどがその最たる例だろう。
そして火属性を持つ魔法使いの性質はよくも悪くも感情的で勇敢、騎士などに向いた勇猛な武人だ。お坊ちゃんやお父さんのような穏やかな人物が珍しいくらいだ。
「し、師匠・・・落ち着いて」
激しい感情の波が紋章越しに伝わってくる。愉悦・喜び・悦楽。それが波になって襲ってくる。
自然と鼓動が高くなり、笑みが浮かんでくる。
『何を言う、姫君、そなたが表の舞台に踊り出る日が近付いているのだぞ』
「でも、私は戦った事なんて・・・」
『心配するな、我がついている、我がな。そなたは我が望みに寄って動くのみだ、戦いに置ける責は全て我が物、災禍・畏怖すら我に捧げる供物よ。けっしてそなたの物ではない、殺意すら我が加護の元に行われるのだぞ?』
耳元でささやくような、理性を溶かすような、優しげな声色に負けそうになる。人間ってこんなに逃げ道に弱いのか。『私は悪くない』そういわれただけで・・・?
「わ、私は・・・悪くない・・・?」
『そうだ、そなたは決して汚れることもない、それすら我らの物、そなたは我らの意思のまま動くのだ』
「スカサハ様?」
不意にエルトリアちゃんの声が届いた。ハッとなって顔を上げると既に砦の前に来ていた。
砦というより城に近いが各所に設けられた攻撃用の除き穴や仕掛けがあり、これが戦いに備えて作られた物である事を教えてくれる。
「ご、ごめん、ボーっとしてたよ」
「そうですか?お疲れでしたら休息を取る事も可能ですよ」
「大丈夫」
そう言って笑顔を見せるとエルトリアちゃんは先に馬車を降りてお迎えの人達となにやら話している。
『忘れるな、そなたは何も恐れる必要はないのだ』
全身を焼くような師匠の魔力が駆け巡る。戦いに対する愉悦、快楽が私の体にまるで前から知っていたような感覚で蘇ってくる。
「GRRR・・・私は恐れない・・・何も・・・恐れない」
瞳に宿るギラギラとした輝きが漏れないようにしながら私はそう呟いた。
「ようこそ!『ガルデンヘイムの戦乙女』殿!」
砦に招き入れられた私達を待っていたのは筋骨隆々の偉丈夫だった。体格だけならお父さんも負けてないが骨格筋量が違う。腕の太さが私の足くらいになりそう。
「お出迎え頂き恐縮の至りです、カイラム伯爵、エルトリア殿や将軍閣下には過分な持て成しを受けておりまして・・・」
「何をおっしゃる!陛下のお命を救い、殿下のお命を救った手柄を鑑みればそれだけでも大きな功績、それだけでなく貴公は自身が得た収入の殆どを孤児院の経営に当てているとか!」
まったく素晴らしい!と大げさに声を出して讃えてくれる。そういえば孤児院のあの兄妹は元気だろうか。金銭的には保証されているし、順調に育ってくれているといいが。
「それでは、我らは王都へと向かいます」
「ええ、引き止めてしまい申し訳ない」
「なにを仰る、止まったのは我らです。詳しい情報は向こうでも聞けるはずです」
「ありがとう」
途中から私が全部話しを聞く流れになってたけど私爵位もなにもないんだけど?エーリカ様が将軍位を保証されてるとか言ってたけどそれのせいなのかな?軽装の騎士さんは敬礼を済ませると足早に王都へと向かっていく。
「とりあえず向こうもそう言ってくれたし、向こうの責任者に会いに行こう」
目と鼻の先まで近付いている砦に目を向ける。龍人の視力を行使してみると街は閑散としていた。
戒厳令に近い状態らしい、エルトリアちゃんによると普段はひらかれた市場や国境を出入りする商人や旅行者・冒険者で溢れているそうだが。
「寂しい街・・・って感じ」
「普段からは見る影もありませんね」
寂しげにそういったエルトリアちゃん。彼女は何度かこの場所に訪れたのだろう。私達が門を潜って通り過ぎる際もエルトリアちゃんが顔を見せるとまるで親戚の、もしかすると親戚かもしれないがおじさんたちといった様子で彼女に笑顔を向けてくれる。
だがしかし、そして私の予想通り、街は物々しい雰囲気に包まれており、見るだけでは味わえない緊迫した雰囲気が伝わってくる。通り過ぎる騎士さんも皆が鎧姿や軍服姿で、普段の仕事用の制服とは違う荒事専門の無骨なスタイルに変わっている。それに伴い市民や商人達の通行も規制されているのか私達が門をノーチェックで通り過ぎる中長蛇の列を作って受付と厳しい荷物の検査を受けている。
「これが・・・戦争の前触れ?」
不意に口をついた言葉に胸の刻まれた師匠たちとの絆である紋章が淡く光る。
『戦、そうだ、戦の前触れぞ』
色は赤、火龍師匠だ。嬉しそうな声色で私に答える。火龍師匠は軍神としての崇拝を受けていると聞いた事がある。全ての属性において圧倒的に攻撃に特化した属性だ。
その威力は上位魔法に限ってだが熟練者ならばS級モンスターですら重篤な負傷をおわせる事が可能だ。お坊ちゃんが使ったファイアーランスなどがその最たる例だろう。
そして火属性を持つ魔法使いの性質はよくも悪くも感情的で勇敢、騎士などに向いた勇猛な武人だ。お坊ちゃんやお父さんのような穏やかな人物が珍しいくらいだ。
「し、師匠・・・落ち着いて」
激しい感情の波が紋章越しに伝わってくる。愉悦・喜び・悦楽。それが波になって襲ってくる。
自然と鼓動が高くなり、笑みが浮かんでくる。
『何を言う、姫君、そなたが表の舞台に踊り出る日が近付いているのだぞ』
「でも、私は戦った事なんて・・・」
『心配するな、我がついている、我がな。そなたは我が望みに寄って動くのみだ、戦いに置ける責は全て我が物、災禍・畏怖すら我に捧げる供物よ。けっしてそなたの物ではない、殺意すら我が加護の元に行われるのだぞ?』
耳元でささやくような、理性を溶かすような、優しげな声色に負けそうになる。人間ってこんなに逃げ道に弱いのか。『私は悪くない』そういわれただけで・・・?
「わ、私は・・・悪くない・・・?」
『そうだ、そなたは決して汚れることもない、それすら我らの物、そなたは我らの意思のまま動くのだ』
「スカサハ様?」
不意にエルトリアちゃんの声が届いた。ハッとなって顔を上げると既に砦の前に来ていた。
砦というより城に近いが各所に設けられた攻撃用の除き穴や仕掛けがあり、これが戦いに備えて作られた物である事を教えてくれる。
「ご、ごめん、ボーっとしてたよ」
「そうですか?お疲れでしたら休息を取る事も可能ですよ」
「大丈夫」
そう言って笑顔を見せるとエルトリアちゃんは先に馬車を降りてお迎えの人達となにやら話している。
『忘れるな、そなたは何も恐れる必要はないのだ』
全身を焼くような師匠の魔力が駆け巡る。戦いに対する愉悦、快楽が私の体にまるで前から知っていたような感覚で蘇ってくる。
「GRRR・・・私は恐れない・・・何も・・・恐れない」
瞳に宿るギラギラとした輝きが漏れないようにしながら私はそう呟いた。
「ようこそ!『ガルデンヘイムの戦乙女』殿!」
砦に招き入れられた私達を待っていたのは筋骨隆々の偉丈夫だった。体格だけならお父さんも負けてないが骨格筋量が違う。腕の太さが私の足くらいになりそう。
「お出迎え頂き恐縮の至りです、カイラム伯爵、エルトリア殿や将軍閣下には過分な持て成しを受けておりまして・・・」
「何をおっしゃる!陛下のお命を救い、殿下のお命を救った手柄を鑑みればそれだけでも大きな功績、それだけでなく貴公は自身が得た収入の殆どを孤児院の経営に当てているとか!」
まったく素晴らしい!と大げさに声を出して讃えてくれる。そういえば孤児院のあの兄妹は元気だろうか。金銭的には保証されているし、順調に育ってくれているといいが。
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