異世界でドラゴニュートになってのんびり異世界満喫する!

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アイゼンヘイムへ

国境を越えた先に

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「さて、個人的にはもう少し話していたいが・・・本題に入ろう」

そう言うとカイラム伯爵は鎧に包んだからだを窮屈そうに執務机に詰め込む。

「アイゼンヘイムの内情ははっきり言ってかなり酷い」
「単刀直入ですね」
「それだけ酷いという事だよ、スカサハ殿」

風の魔力を纏いながらそう言うカイラム伯爵、精霊が彼が纏う感情を教えてくれる。風属性の騎士は総じて快活で、明るく自由な存在だ。そんな彼がこれほど真面目な表情になるという事は相当不味いんだろうね。

「アイゼンヘイムでは王弟派が国境での武力行動に出ると予想されている。その為大使は手紙を送った後、職員達の脱出作戦を開始している」
「なるほど、相当ヤバイと」

大使が脱出を開始すると言う事は下手をすると戦争になるという事だ。しかも、国境で武力行動って、蛮族がどうこうって言ったのと絶対無関係じゃないね。

「王弟派がアイゼンヘイムを得る為に外国の勢力を引き入れて反乱ってことかな」
「・・・聡明で助かりますぞ」

驚いた様子の伯爵。しかしそれくらいなら私にも解る。皇帝が崩御し、皇太子はお坊ちゃんよりも幼い。そんなピンチを切り抜けるためにブレーンであった皇太后がガルデンヘイムの介入の糸口として私の派遣を要請したのだ。

「そして恐らく外国が望むのは豊かな資源であってアイゼンヘイムの独立では無いと」
「王弟派はそれすら理解できておりませんがな」

この世界で重要視される鉱物資源は此方の世界と殆ど変わらない。金・銀・銅そして鉄だ。
その内にアイゼンヘイム北部国境では鉄と金がたっぷり取れる鉱脈がアイゼンヘイムの始祖によって発見されている。そこを護る為にアイゼンヘイムを救ったガルデンヘイムの戦乙女は頑強な要塞を鉱脈を取り囲むように設置した。そのために北部に位置する敵国は手出しできず、またその背後にあるガルデンヘイムの影に手を出せずにいたのだ。
しかし時は流れ、時代は移ろう。ガルデンヘイムの戦乙女亡き今、敵国は内部からアイゼンヘイムを崩す算段をつけたのだろう。義理とはいえ王の弟という立場の人間をどうやって篭絡したのやら。

「無能な野心家を焚きつけるのは枯野に火を放つが如くやりやすいものなのでしょうな」
「そうだね、アイゼンヘイムの要塞を手に入れたら相手はもう目的の大半を手に入れている。後は手に入れた資源を美味しく頂きながら用の済んだ犬を締める時期を探るだけってこと」
「そうなりますな、その為これよりは急ぎとなりますぞ」

相手の魂胆が見えた以上急いで行動する必要がある。しかしながら軍を率いているワケでもないので急いだ所でどうなるというのか。まあ、確かに師匠の力を使えば私なら何とかなるらしいが。

「最悪皇帝一家の誰かをお連れして王弟一派を反逆者として公に発布するしかないでしょうね。それをするだけの力が残っているといいのですけど」
「アイゼンヘイムの首都は混乱の割りに静かなモノだと聞いておりますが・・・皇太后様が連絡員ごと失踪しており油断なら無い状況です」

彼らは知らないが通信機らしい物でアイゼンヘイム皇太后ソフィーリアという女性がどうなったかは伝え聞いている。そうなると即位すらしていない新しい皇帝陛下がどのような状況にあるかは流石にわからない。殺されていないといいけれど。

「現地の人と連絡は?皇族のお歴々にコンタクトはとれないの?」
「首都は得体の知れないものが跋扈しているようですが、皇太子殿下の無事は少なくとも大使が確認しております」

少なくとも手紙を出した時点では無事という事か。ガルデンヘイムの近衛騎士隊よろしく、向こうには薔薇の騎士ローゼンリッターが殿下を護るべく防備を固めているようだ。

「なるほど、とりあえず大使には近いうちに脱出してもらうとして・・・ゆっくりと旅行をする訳にも行かなくなって来た・・・か」
「どうなさるお積りですか?」
「一人で行けば数日短縮できるかもしれない、情報攪乱も兼ねて皆にはいつも通りのペースでアイゼンヘイムへと向かってもらおうかな。身分証だけ頂戴」
「危険ですぞ!お一人などと!」

心配してくれるのは嬉しいけどね、ぶっちゃけ人間相手に負ける理由がないのだよん。それに私が使う魔法を余りに誰かに見せたくないし。

「そう思うなら後詰めの準備をしっかりして来て欲しい。政務にはとんと知識がないから」
「しかし・・・」
「無事に帰るのは殿下と約束しているから大丈夫だよん」
「そうまで言われてはいたし方ありませんな」

そう言うと伯爵はため息をついて、一枚のメダルを渡してくれた。

「これは?」
「ガルデンヘイムの関係者である事を証明する物です、魔力を通して王族の名簿に登録されている人間の身元を保証してくれる物です」

手のひらサイズのメダルにはガルデンヘイムと刻まれており、その下に名前を刻むであろう場所が空白になっている。
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