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ドラゴンと独立宣言の章
王宮から故郷へ
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「そうなるとザンナル領をアレクシアに献上するって形で任せてしまえば領地問題も解決かな」
「確かに、直轄地としての面目も立つし軍と貴族から何人かをお目付け役という名目で派遣しておけばある程度不満も解消できるじゃろう」
「お二人とも凄い悪い顔してます・・・」
悪党の会話だ。楽しい会話である。
「将軍就任のお祝いに領地を献上、その後晴れて婚約って運びになるかな」
「そうじゃのう、結婚は後回しになってしまうかのう」
「「そういうことだけど大丈夫?」」
「そうですね・・・好きにしてください」
諦めた様子のアレクシア。軍から派遣するのはゲオルグ将軍か?貴族連中はどうなるかわからんが他所の領地では好き勝手はできまいが。
「それでは段取りを決めてくれ、その後に俺の方から迎えに行くから」
「と言う事は観兵式をついでに行うのかのう」
「獣人ばかりですが問題はないですよね?」
「もちろん無いとも。ザンナルの騎士を打ち破ったお前さんの兵ともなれば余計にのう」
俺は陛下の言葉に堪えきれず笑い声を上げた。なんとも愉快な話だ。俺の手塩に掛けて育てた兵士達が皆の前に遂にお披露目される日が来ようとはな。
「嬉しいものですな。まるでわが子を褒められたような気持ちだ」
「ほっほっほ、それではお前さんの迎えを待ってザンナル領をアレクシアに引き継がせるよう手続きは行っておく。早く見て一ヶ月は欲しいな」
「解りました、万全の態勢で望めるよう訓練をしておきましょう」
「私はなんの格好で行けばよろしいのでしょうか?」
「ドレスは結婚式までお預けだ。甲冑姿で頼むよ」
「はぁーい・・・」
ちょっと残念そうなアレクシアだが結婚式というフレーズが嬉しいのか声とは裏腹に表情は明るい。
それを見て陛下も嬉しそうなのでよろしい事だ。
「懸念が思いのほか早く片付きそうで安心じゃ。此方の用件はこれでお終いじゃからゆっくりしていってくれ」
「お気遣いありがたく、ですが残して来た仕事も多く予定は詰まっております。今回は少々早めに出発させていただきたい」
「そうか、まあ結婚式の時に時間をとってもらおうかのぅ」
その日は王宮に用意された客室に一泊だけして俺達は王都を後にした。観光はまた今度だ。
『やっほー』
「こんちわ、神様」
久々に気兼ねなく眠りにつくとこれまた久しぶりに神様が現れた。
『四人目ゲットおめでとうと言うべきか、時期的には彼女が一番目といっても良いんじゃがのう』
「まあそんな気はしてましたがね・・・」
『とりあえずは頑張っておるようで安心じゃよ』
神様は相変わらずの様子でニコニコ顔をしている。
「今日はなんか用事があるのか?」
『うむ、審判の日は刻一刻と近づいておるでのぅ、顔を見に来たんじゃよ。まあ、今は自分の国を強く育てる事に心血を注ぐといいぞい。恐らくじゃがサマル・フソウ・リットリオの三国が世界を救う戦いの重要な戦力になるじゃろうからのう』
「わかったよ、大それた話だが・・・やってみるさ」
俺がそう言うと神様は笑顔を浮かべて白いもやの中へと消えていった。三国が決戦の要・・・か。
普段どおりに過ごしていても大きな戦いの運命は近づいているということか。富国強兵の政策をどんどんと推進してできればそれをサマルとリットリオにも適用していきたいと思う。
翌朝、朝一番にドラゴンに変身し、三人を抱えてアダムスター領まで飛んでいく。落っことさないように気をつけてスピードを落したのでちょっと時間がかかってしまった。
「ただいまー」
馬車も何もなかったので領民達は驚いていたが身内は理由を知っているので特に驚いた風もなく俺達を出迎えてくれた。
「おー、丁度いいところに。飯が出来たから食っていけ」
「え、いや悪いって」
「なにを水臭いことをいっとるんだ。おい!息子が帰ってきた!何日か泊まるから用意してくれ!」
突然で悪いと断ろうとしたが親父が玄関でそう叫ぶと使用人たちがシーツを抱えて別館へと向かうのが見えた。そういえば前は結構汚しちゃったっけか。何でとは言わないが。
「じゃあ手ぶらで悪いけど何日か泊まっていくよ」
「気にするな、お前は滅多と家に居ないからな。ヴァルターは逆に家の周りにしかほとんど居ないからこまっとるんだがな」
ヴァルターはどちらかといえば文官タイプだからな。知識と経験が重要になってくるからもっと色々と経験を積むべきなんだが出不精で困る。最近ではマルレーンとイチャイチャしてて余計に出不精になっているのだろう。
「ヴァルターの方が早く父親になったりしてな」
「ワシもそう思うぞ」
俺もやる事はやってるが体が成熟するまで子供が出来ないなんて困ったルールがあるから仕方ないのだ。しかも子供が全員にできたとすればそれは将来に起きる大きな戦いの口火になる。子供と妻に罪も落ち度もなにも無いがそう考えると少しやるせないな
「確かに、直轄地としての面目も立つし軍と貴族から何人かをお目付け役という名目で派遣しておけばある程度不満も解消できるじゃろう」
「お二人とも凄い悪い顔してます・・・」
悪党の会話だ。楽しい会話である。
「将軍就任のお祝いに領地を献上、その後晴れて婚約って運びになるかな」
「そうじゃのう、結婚は後回しになってしまうかのう」
「「そういうことだけど大丈夫?」」
「そうですね・・・好きにしてください」
諦めた様子のアレクシア。軍から派遣するのはゲオルグ将軍か?貴族連中はどうなるかわからんが他所の領地では好き勝手はできまいが。
「それでは段取りを決めてくれ、その後に俺の方から迎えに行くから」
「と言う事は観兵式をついでに行うのかのう」
「獣人ばかりですが問題はないですよね?」
「もちろん無いとも。ザンナルの騎士を打ち破ったお前さんの兵ともなれば余計にのう」
俺は陛下の言葉に堪えきれず笑い声を上げた。なんとも愉快な話だ。俺の手塩に掛けて育てた兵士達が皆の前に遂にお披露目される日が来ようとはな。
「嬉しいものですな。まるでわが子を褒められたような気持ちだ」
「ほっほっほ、それではお前さんの迎えを待ってザンナル領をアレクシアに引き継がせるよう手続きは行っておく。早く見て一ヶ月は欲しいな」
「解りました、万全の態勢で望めるよう訓練をしておきましょう」
「私はなんの格好で行けばよろしいのでしょうか?」
「ドレスは結婚式までお預けだ。甲冑姿で頼むよ」
「はぁーい・・・」
ちょっと残念そうなアレクシアだが結婚式というフレーズが嬉しいのか声とは裏腹に表情は明るい。
それを見て陛下も嬉しそうなのでよろしい事だ。
「懸念が思いのほか早く片付きそうで安心じゃ。此方の用件はこれでお終いじゃからゆっくりしていってくれ」
「お気遣いありがたく、ですが残して来た仕事も多く予定は詰まっております。今回は少々早めに出発させていただきたい」
「そうか、まあ結婚式の時に時間をとってもらおうかのぅ」
その日は王宮に用意された客室に一泊だけして俺達は王都を後にした。観光はまた今度だ。
『やっほー』
「こんちわ、神様」
久々に気兼ねなく眠りにつくとこれまた久しぶりに神様が現れた。
『四人目ゲットおめでとうと言うべきか、時期的には彼女が一番目といっても良いんじゃがのう』
「まあそんな気はしてましたがね・・・」
『とりあえずは頑張っておるようで安心じゃよ』
神様は相変わらずの様子でニコニコ顔をしている。
「今日はなんか用事があるのか?」
『うむ、審判の日は刻一刻と近づいておるでのぅ、顔を見に来たんじゃよ。まあ、今は自分の国を強く育てる事に心血を注ぐといいぞい。恐らくじゃがサマル・フソウ・リットリオの三国が世界を救う戦いの重要な戦力になるじゃろうからのう』
「わかったよ、大それた話だが・・・やってみるさ」
俺がそう言うと神様は笑顔を浮かべて白いもやの中へと消えていった。三国が決戦の要・・・か。
普段どおりに過ごしていても大きな戦いの運命は近づいているということか。富国強兵の政策をどんどんと推進してできればそれをサマルとリットリオにも適用していきたいと思う。
翌朝、朝一番にドラゴンに変身し、三人を抱えてアダムスター領まで飛んでいく。落っことさないように気をつけてスピードを落したのでちょっと時間がかかってしまった。
「ただいまー」
馬車も何もなかったので領民達は驚いていたが身内は理由を知っているので特に驚いた風もなく俺達を出迎えてくれた。
「おー、丁度いいところに。飯が出来たから食っていけ」
「え、いや悪いって」
「なにを水臭いことをいっとるんだ。おい!息子が帰ってきた!何日か泊まるから用意してくれ!」
突然で悪いと断ろうとしたが親父が玄関でそう叫ぶと使用人たちがシーツを抱えて別館へと向かうのが見えた。そういえば前は結構汚しちゃったっけか。何でとは言わないが。
「じゃあ手ぶらで悪いけど何日か泊まっていくよ」
「気にするな、お前は滅多と家に居ないからな。ヴァルターは逆に家の周りにしかほとんど居ないからこまっとるんだがな」
ヴァルターはどちらかといえば文官タイプだからな。知識と経験が重要になってくるからもっと色々と経験を積むべきなんだが出不精で困る。最近ではマルレーンとイチャイチャしてて余計に出不精になっているのだろう。
「ヴァルターの方が早く父親になったりしてな」
「ワシもそう思うぞ」
俺もやる事はやってるが体が成熟するまで子供が出来ないなんて困ったルールがあるから仕方ないのだ。しかも子供が全員にできたとすればそれは将来に起きる大きな戦いの口火になる。子供と妻に罪も落ち度もなにも無いがそう考えると少しやるせないな
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