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どうやら私は運命の相手ではないらしい
負けヒロインは、私でした
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「俺、芽衣《めい》さんの事が好きなんだ」
水平線に沈んでいく太陽に見守られながら、私は目の前の男の子と見つめ合う。夏の浜辺で二人きり。この絶好の状況で、彼は私に告げた。
目の前でそう告白する男の子は、不安と期待を瞳の奥に宿し、私をしっかりと見つめてくる。
私の胸の鼓動が早くなるのが分かる。
「うん」
私は、溢れ出てきそうな感情を、たった二文字に凝縮して口にした。
男の子は、昔から変わらない無邪気で真っ直ぐな笑顔を私に向ける。
それに、私も精一杯の笑顔で返す。
「俺は芽衣さんが好きだ。……だから、告白するために協力してくれないか、未華《みはな》!」
男の子は、「未華《みはな》」と私の名前を呼び協力を呼びかける。
……そう、これは私への告白ではない。
「……分かった。幼馴染の頼みは、断れないよ」
目の前にいる幼馴染の男の子は嬉しそうに笑う。
そして、二人で握手を交わし、言葉を交わす。
彼が宿に戻った後、私は1人で沈む夕日を眺めて涙を流した。
◆
「自分の気持ちに素直にならない方が悪いのよね、私ってほんとバカ。もう学校行きたくない……」
「数ヶ月前の失恋まだ引きずってんのお姉ちゃん。朝から空気が重くて肩凝りそうだから早くどっか行ってよ」
私、暗闇未華《くらやみみはな》は平日の朝から妹の加奈《かな》に哀れみの視線を送られていた。
私は、小さい頃から幼馴染の男の子、湊《みなと》の事が好きだった。
しかし、高2の春。学校に転校してきた絵に描いたパーフェクトヒロインの光里芽衣《ひかりめい》の登場により、湊《みなと》への想いは伝えられずに終わってしまった。
体育大会、宿泊学習、夏祭りなどのあらゆるイベントで湊《みなと》と芽衣ちゃんは友好を深め、秋の学校祭で付き合うことになったのだ。
「だって、芽衣ちゃん強すぎるんだもん。あんなのメインヒロインじゃん。それに、湊《みなと》と幼い頃に旅行先で出会って約束とかしてたんだって。そのエピソードに私は勝てないよ? 結局、好意を伝えることが出来ない悲しき幼馴染ポジションなんだよ私は」
「うわ出た。お姉ちゃんのアニメとか漫画の関係図に当てはめるやつ……。現実とフィクションの混合は虚しいだけだからやめなよ」
「うるさい!うるさい! だってさっき見てたアニメの幼馴染ヒロインも、転校生より先に告白したのにダメだったから思い出しちゃったんだよ!」
「いやお姉ちゃん。告白すらしてないじゃん」
グサッ!
妹の言葉が深く突き刺さる。ぐうの音も出ない。
私は、告白もせず想いを隠して湊《みなと》に協力までした大馬鹿ものだった。
「というか、なんで平日の朝からアニメなんて見てるの……?」
「え? 湊《みなと》がオススメしてくれたからだけど」
「湊兄《みなとにい》の事諦めたって言ってなかった? 前に進んじゃなかったの? え、今日から高校三年生になるんだよね? いつまで引きずるの?」
妹は私に次々に冷たい言葉を浴びせる。中3になった妹はどうも絶賛反抗期らしい。
「もう加奈ちゃんの事なんて知らない!」
私は、自分が惨めになってきたので床に置いていた鞄を持って家を飛び出し学校へと向かった。
これは、全面的に私が悪い。帰りにスイーツ買って行ってあげよう。
「……加奈はお姉ちゃんと湊兄《みなとにい》を心配してるだけなのに」
1人リビングで呟いた加奈は、そそくさと自分の部屋へと戻っていった。
◆
秋に二人が付き合い始めてから、少し距離が出来てしまった。いや、私から距離を取ったのかもしれない。
そして、今日から3年生になってしまった。
神様、お願いですからクラス替えで、同じになりませんように……。
残念ながら神様なんていないのかもしれない。
玄関に張り出されていたクラス名簿には、3年1組の名簿にはっきり「影蔵湊《かげくらみなと》」「暗闇未華《くらやみみはな》」「光里芽衣《ひかりめい》」の名前が。
私が教室に到着すると、芽衣ちゃんが1人で既に教室にいた。
「あら。未華《みはな》さんおはよう」
「おはよう。芽衣ちゃん今年もよろしくね」
「ええ。こちらこそ」
私たちは軽く挨拶を交わし、芽衣ちゃんは優しく微笑む。
艶やかな腰まである黒髪と柔らかそうな唇。見た人全てが引き込まれるような魅力的な瞳は同性の私ですら惚れてしまいそうになる。
だからか、心拍数が跳ね上がった。
ーーーーーーーーーー
去年の春。
2年生になったばかりの時期だった。
「突然だが、今日から一人新しく転入してくる」
先生の発言に、教室中がざわついた。
私は、前の席に座る湊《みなと》に話しかける。
「こんな中途半端な時期に転校してくるなんて珍しいね」
「たしかにそうだよね」
教室はザワザワし始め、先生の声もかき消されていく。
その瞬間。教室のドアがバンッ!と開かれ、教室は一瞬で静まり返る。そして全ての人が固唾を飲み熱い視線を注ぐ。
「光里《ひかり》さん、後で呼んだら入って来てって言ったのに」
「すみません。あまりに耳障りだったので」
彼女の透き通る声は存在感を強調する。その声を美貌の前では、例えどんな発言であって聞く人にとって些細な事だった。
「あれって、もしかして光里芽衣ちゃん!?」
「あの引退した天才女優の?」
「うわマジか。なに俺今日死ぬの?」
各々がそれぞれの反応を見せ、彼女に興味を示す。
彼女は教壇の前に立ち、冷たい眼差しで自己紹介をする。
「光里芽衣です。以上」
彼女はすぐさま、先生に指定された席につき、授業の準備を始める。
「光里、芽衣……」
その時、湊《みなと》の呟いた声は、私にだけはしっかりと聞き取れていた。
ーーーーーーーーーー
「……」
「どうかした? 未華さん」
「え!? あ、いや……」
芽衣ちゃんの圧倒的存在感を前に、私は初めて会った時の事を思い返していた。
あの時の冷徹な、誰も寄せ付けない印象も今にはすっかり消え去りとても性格は丸くなっている。
「今日は早いね。芽衣ちゃん」
パッと出てきたセリフがこれだった。
緊張してるのバレバレじゃん私!
すると、芽衣ちゃんはポッと顔を赤らめ、口をもごもごさせる。しかも、視線があちらこちらと飛び交っている。
「あ、いや。うん。中々昨日寝付けなくてね? そうそう、たまたまよ。うん。別に何もないわ」
……ん? なんだこの反応。
「……その。湊君《みなとくん》と同じクラスになれるか少し気になって早く来たの」
ボソッと、芽衣ちゃんは言った。
映画やドラマのワンシーンかと思うほど完成された姿だった。太陽光までもが彼女の味方に付いている。
「なら良かったね。湊と同じクラスになれたじゃん!」
玄関に張り出されていたクラス名簿には、同じクラスに湊も芽衣ちゃんも入っていた。
私は精一杯明るく返す。私は彼女の存在感に呑み込まれそうになっていた。
「……ええ。そうね。まあ、別に違うクラスでも支障はなかったけど」
芽衣ちゃんは、さもどうでもいいかのように振る舞う。
さっきの発言からそれはもう意味ないでしょ……
言葉ではどうでも良い感じを出しているが、口元は緩んで、視線は定まっていなかった。
分かりやすいなぁ。
「あ、未華と芽衣さん。早いね」
そこに、湊《みなと》が来る。湊も今日は早い。
湊の姿を見て、芽衣ちゃんはパッといつものクールな雰囲気を出すが、表情を更に明るくなっていて見ている側からするとバレバレだった。
「あら。湊君。今年も同じクラスなのね。……それと、いつ『さん』付けを外してくれるのかしら?」
「あー、この方が呼びやすいんだよね」
「呼び捨ての方が嬉しい……」
「芽衣芽衣芽衣芽衣。すみません芽衣。さん付けやめます」
「私に甘すぎじゃないかしら湊君」
二人は、ぎこちなさもありながらも甘い空気を漂わせ会話を始める。
いやここに私いるんですけど?
二人だけの空間に入らないでくれます?
私は、二人に心の中でツッコミを入れながらもその姿を見て自分の湊への感情や、芽衣ちゃんへの複雑な気持ちが収まっていくのを感じる。
この姿を見て、私は純粋に2人には幸せになって欲しいと思った。
湊《みなと》は幼馴染。芽衣ちゃんは友達。二人とも、とても大切な存在だ。それで良いじゃないか。
これは、私なりの妥協なのかもしれない。この現状を維持して、変わらない事が幸せなのかもしれない。
私は一歩引いて、二人の仲を優しく見守る事に徹しよう。邪魔してはいけない。
湊と芽衣ちゃんの物語。それは、芽衣ちゃんが転校してきて、運命の再会をした二人の独壇場だった。
そして、私は告白もせず、何もしないで負けてしまった愚か者の脇役。
……湊《みなと》とのラブコメで、結局負けヒロインは私だった。
二人の、聞いてる側が恥ずかしくなるようなやり取りを聞いて、私は軽く笑う。
「これからもよろしくね。お二人さん!」
私の言葉に、湊も芽衣ちゃんも笑顔で「よろしく」と返してくる。
きっと、アニメならここでエンディングが流れているだろう。
主人公とヒロインは結ばれてハッピーエンド!
はい終わり終わり。
でも、私は幸せになってはいない。
色々な感情が、私の中で渦巻いていた。
本当に、私はここで終わっていいの?
水平線に沈んでいく太陽に見守られながら、私は目の前の男の子と見つめ合う。夏の浜辺で二人きり。この絶好の状況で、彼は私に告げた。
目の前でそう告白する男の子は、不安と期待を瞳の奥に宿し、私をしっかりと見つめてくる。
私の胸の鼓動が早くなるのが分かる。
「うん」
私は、溢れ出てきそうな感情を、たった二文字に凝縮して口にした。
男の子は、昔から変わらない無邪気で真っ直ぐな笑顔を私に向ける。
それに、私も精一杯の笑顔で返す。
「俺は芽衣さんが好きだ。……だから、告白するために協力してくれないか、未華《みはな》!」
男の子は、「未華《みはな》」と私の名前を呼び協力を呼びかける。
……そう、これは私への告白ではない。
「……分かった。幼馴染の頼みは、断れないよ」
目の前にいる幼馴染の男の子は嬉しそうに笑う。
そして、二人で握手を交わし、言葉を交わす。
彼が宿に戻った後、私は1人で沈む夕日を眺めて涙を流した。
◆
「自分の気持ちに素直にならない方が悪いのよね、私ってほんとバカ。もう学校行きたくない……」
「数ヶ月前の失恋まだ引きずってんのお姉ちゃん。朝から空気が重くて肩凝りそうだから早くどっか行ってよ」
私、暗闇未華《くらやみみはな》は平日の朝から妹の加奈《かな》に哀れみの視線を送られていた。
私は、小さい頃から幼馴染の男の子、湊《みなと》の事が好きだった。
しかし、高2の春。学校に転校してきた絵に描いたパーフェクトヒロインの光里芽衣《ひかりめい》の登場により、湊《みなと》への想いは伝えられずに終わってしまった。
体育大会、宿泊学習、夏祭りなどのあらゆるイベントで湊《みなと》と芽衣ちゃんは友好を深め、秋の学校祭で付き合うことになったのだ。
「だって、芽衣ちゃん強すぎるんだもん。あんなのメインヒロインじゃん。それに、湊《みなと》と幼い頃に旅行先で出会って約束とかしてたんだって。そのエピソードに私は勝てないよ? 結局、好意を伝えることが出来ない悲しき幼馴染ポジションなんだよ私は」
「うわ出た。お姉ちゃんのアニメとか漫画の関係図に当てはめるやつ……。現実とフィクションの混合は虚しいだけだからやめなよ」
「うるさい!うるさい! だってさっき見てたアニメの幼馴染ヒロインも、転校生より先に告白したのにダメだったから思い出しちゃったんだよ!」
「いやお姉ちゃん。告白すらしてないじゃん」
グサッ!
妹の言葉が深く突き刺さる。ぐうの音も出ない。
私は、告白もせず想いを隠して湊《みなと》に協力までした大馬鹿ものだった。
「というか、なんで平日の朝からアニメなんて見てるの……?」
「え? 湊《みなと》がオススメしてくれたからだけど」
「湊兄《みなとにい》の事諦めたって言ってなかった? 前に進んじゃなかったの? え、今日から高校三年生になるんだよね? いつまで引きずるの?」
妹は私に次々に冷たい言葉を浴びせる。中3になった妹はどうも絶賛反抗期らしい。
「もう加奈ちゃんの事なんて知らない!」
私は、自分が惨めになってきたので床に置いていた鞄を持って家を飛び出し学校へと向かった。
これは、全面的に私が悪い。帰りにスイーツ買って行ってあげよう。
「……加奈はお姉ちゃんと湊兄《みなとにい》を心配してるだけなのに」
1人リビングで呟いた加奈は、そそくさと自分の部屋へと戻っていった。
◆
秋に二人が付き合い始めてから、少し距離が出来てしまった。いや、私から距離を取ったのかもしれない。
そして、今日から3年生になってしまった。
神様、お願いですからクラス替えで、同じになりませんように……。
残念ながら神様なんていないのかもしれない。
玄関に張り出されていたクラス名簿には、3年1組の名簿にはっきり「影蔵湊《かげくらみなと》」「暗闇未華《くらやみみはな》」「光里芽衣《ひかりめい》」の名前が。
私が教室に到着すると、芽衣ちゃんが1人で既に教室にいた。
「あら。未華《みはな》さんおはよう」
「おはよう。芽衣ちゃん今年もよろしくね」
「ええ。こちらこそ」
私たちは軽く挨拶を交わし、芽衣ちゃんは優しく微笑む。
艶やかな腰まである黒髪と柔らかそうな唇。見た人全てが引き込まれるような魅力的な瞳は同性の私ですら惚れてしまいそうになる。
だからか、心拍数が跳ね上がった。
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去年の春。
2年生になったばかりの時期だった。
「突然だが、今日から一人新しく転入してくる」
先生の発言に、教室中がざわついた。
私は、前の席に座る湊《みなと》に話しかける。
「こんな中途半端な時期に転校してくるなんて珍しいね」
「たしかにそうだよね」
教室はザワザワし始め、先生の声もかき消されていく。
その瞬間。教室のドアがバンッ!と開かれ、教室は一瞬で静まり返る。そして全ての人が固唾を飲み熱い視線を注ぐ。
「光里《ひかり》さん、後で呼んだら入って来てって言ったのに」
「すみません。あまりに耳障りだったので」
彼女の透き通る声は存在感を強調する。その声を美貌の前では、例えどんな発言であって聞く人にとって些細な事だった。
「あれって、もしかして光里芽衣ちゃん!?」
「あの引退した天才女優の?」
「うわマジか。なに俺今日死ぬの?」
各々がそれぞれの反応を見せ、彼女に興味を示す。
彼女は教壇の前に立ち、冷たい眼差しで自己紹介をする。
「光里芽衣です。以上」
彼女はすぐさま、先生に指定された席につき、授業の準備を始める。
「光里、芽衣……」
その時、湊《みなと》の呟いた声は、私にだけはしっかりと聞き取れていた。
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「……」
「どうかした? 未華さん」
「え!? あ、いや……」
芽衣ちゃんの圧倒的存在感を前に、私は初めて会った時の事を思い返していた。
あの時の冷徹な、誰も寄せ付けない印象も今にはすっかり消え去りとても性格は丸くなっている。
「今日は早いね。芽衣ちゃん」
パッと出てきたセリフがこれだった。
緊張してるのバレバレじゃん私!
すると、芽衣ちゃんはポッと顔を赤らめ、口をもごもごさせる。しかも、視線があちらこちらと飛び交っている。
「あ、いや。うん。中々昨日寝付けなくてね? そうそう、たまたまよ。うん。別に何もないわ」
……ん? なんだこの反応。
「……その。湊君《みなとくん》と同じクラスになれるか少し気になって早く来たの」
ボソッと、芽衣ちゃんは言った。
映画やドラマのワンシーンかと思うほど完成された姿だった。太陽光までもが彼女の味方に付いている。
「なら良かったね。湊と同じクラスになれたじゃん!」
玄関に張り出されていたクラス名簿には、同じクラスに湊も芽衣ちゃんも入っていた。
私は精一杯明るく返す。私は彼女の存在感に呑み込まれそうになっていた。
「……ええ。そうね。まあ、別に違うクラスでも支障はなかったけど」
芽衣ちゃんは、さもどうでもいいかのように振る舞う。
さっきの発言からそれはもう意味ないでしょ……
言葉ではどうでも良い感じを出しているが、口元は緩んで、視線は定まっていなかった。
分かりやすいなぁ。
「あ、未華と芽衣さん。早いね」
そこに、湊《みなと》が来る。湊も今日は早い。
湊の姿を見て、芽衣ちゃんはパッといつものクールな雰囲気を出すが、表情を更に明るくなっていて見ている側からするとバレバレだった。
「あら。湊君。今年も同じクラスなのね。……それと、いつ『さん』付けを外してくれるのかしら?」
「あー、この方が呼びやすいんだよね」
「呼び捨ての方が嬉しい……」
「芽衣芽衣芽衣芽衣。すみません芽衣。さん付けやめます」
「私に甘すぎじゃないかしら湊君」
二人は、ぎこちなさもありながらも甘い空気を漂わせ会話を始める。
いやここに私いるんですけど?
二人だけの空間に入らないでくれます?
私は、二人に心の中でツッコミを入れながらもその姿を見て自分の湊への感情や、芽衣ちゃんへの複雑な気持ちが収まっていくのを感じる。
この姿を見て、私は純粋に2人には幸せになって欲しいと思った。
湊《みなと》は幼馴染。芽衣ちゃんは友達。二人とも、とても大切な存在だ。それで良いじゃないか。
これは、私なりの妥協なのかもしれない。この現状を維持して、変わらない事が幸せなのかもしれない。
私は一歩引いて、二人の仲を優しく見守る事に徹しよう。邪魔してはいけない。
湊と芽衣ちゃんの物語。それは、芽衣ちゃんが転校してきて、運命の再会をした二人の独壇場だった。
そして、私は告白もせず、何もしないで負けてしまった愚か者の脇役。
……湊《みなと》とのラブコメで、結局負けヒロインは私だった。
二人の、聞いてる側が恥ずかしくなるようなやり取りを聞いて、私は軽く笑う。
「これからもよろしくね。お二人さん!」
私の言葉に、湊も芽衣ちゃんも笑顔で「よろしく」と返してくる。
きっと、アニメならここでエンディングが流れているだろう。
主人公とヒロインは結ばれてハッピーエンド!
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でも、私は幸せになってはいない。
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