33 / 37
幼馴染は譲れない
デートしよっか
しおりを挟む
誕生日騒動の次の日。
「ねえ結人。私とデートしよっか?」
「は?」
「拒否権はないから。はい、レッツゴー!」
紬に朝叩き起こされ、俺は家を出た。
紬と二人きりでのお出かけ。いったい、いつぶりだろうか。
「どこ行くんだよ」
「良いから、ついてきて」
俺は、紬に言われたまま後ろをついていく。
そのまま歩いて数十分。ついたのは駅。
紬に倣うまま切符を買い電車へ乗った。
「そんな遠いところ行くのか?」
「一時間くらいかな」
俺と紬は、電車に揺られる。
田舎の、1両編成の電車。乗客は俺たち以外にいなくて、水田と畑が続く景色が窓越しに見える。
ガタンガタン、ガタンゴトン。
いかにも電車な音を立てて、電車は進んでいく。
隣に座る紬は、軽く口角を上げたまま正面を見続けていた。
……こいつ、まつ毛意外と長いんだな。
じっと見つめる事はなかなかなかったので、新しい発見だった。
そんな俺の目線が気になったのか、眉を顰めて「なに?」と紬は聞いてくる。
「……いや、別に」
「本当に?」
「本当に」
「本当かなぁ……」
紬が、グイッと近づいてくる。
パッと、柑橘系の香りが舞う。家のシャンプーな匂い。
「なに、もしかしてドキドキしてるの?」
「…………いや、別に」
「本当に?」
紬はそういうと身体を寄せて密着してくる。
「おー、心臓の音聞こえるよ」
「近い近い。やめろ」
「なんでー?」
「……そういう、思わせぶりなのやめろよ。虚しくなる」
「今日は、デートなんだし良くない?」
「いや、だとしても俺と紬は幼馴染ってだけだろ」
「そっか。ごめんね」
紬は元の位置へと戻った。
あっさりと引き下がった紬。
なんか、すごく後悔した。
それから数十分。
俺と紬は電車から降りて目的地へと歩く。
「着いたよ」
そこは、スポッチャだった。
ゲーセンボーリング運動場他様々なものが複合された施設。
なるほど。ここで遊びたかったんだな。
「結人、勝負しよっか」
◇
「よっしゃスペア!」
「おー、すごい」
俺と紬は、ボーリングで対決することにした。
ここまで四回までの成績では、俺の方が少しだけリードしている状態。
別に二人ともそこまでボーリングやらないので、かなり点数は伸びてないが……。
「じゃあ、次は私だね」
紬は飲んでたジュースを置いて立ち上がると、ボールを持つ。
「おい紬、ボール間違ってるぞ」
紬が手にしたのは、俺の使っていたボール。紬の選んだものより重いやつ。
「いや、これでいいんだよ」
紬は勢いよくボールを投げる。そしてそのボールが綺麗にカーブして……。
ピンを全て倒した。
「ストライク! やったー!」
「おー、凄いな」
「でしょでしょ! ……結人のおかげかな?」
ニヒヒと笑う紬。
その笑顔は、すごく……。
「可愛い」
「へ?」
「ああ! 次は俺の番だ! よし、ストライク決めるぞー」
「結人、さっきのもう一回言ってみて!」
「何も言ってねぇ」
「嘘つき」
俺は慌ててボールを投げた。
そのボールは吸い込まれるように端へと転がり、1ピンも倒さず暗闇の中へ。
そこから、俺はほとんどのピンを倒せず、紬はストライク連発と、圧倒的な差で負けた。
◇
「……ああ! 惜しい! あとちょっとで取れたのに」
「惜しかったな、よしここら辺で」
「いや、あと一回やれば取れる気がする」
「マジで沼ってるからやめておけ!」
その後、俺たちはクレーンゲームのコーナーへ。
紬はあるぬいぐるみを取ろうとしてから10分。
一向に取れる気配のないまま、お金だけが溶けていった。すでに5000円は投入している。
「ここまで来たら引き下がれないじゃん!」
「それが戦略だ! やめろ、お金無くなるぞ」
「これ取ったら終わりにするから! 負けっぱなしじゃ終われないでしょ!」
こんな所で勝負師なところ出さないで欲しい。
「よし、ここ!」
ぬいぐるみをしっかり捉えたアーム。そのままぬいぐるみは上に上がると、移動する瞬間バンと落下した。
「ああ! 惜しい!」
「……うん、そうだな」
いやこれ明らかにアームのパワー落ちてただろ。これ、絶対取れないって。
「よし、もう一回だ!」
「いや、次は俺がやるよ」
これ以上、紬の財布からお金が減るのは見てられない。
俺は100円を投入し、ボタンを押す。
「ここだ!」
アームはぬいぐるみを真っ直ぐ捉える。さっきの紬と全く同じ状況。
が、さっきとは違いガッツリ掴んだままそのまま獲得ポイントへ移動した。
「……あ、取れた」
うっそだろ。マジで取れちゃった。
偶然にも、確定で取れるタイミングが来たんだろうなぁ。
俺はぬいぐるみを取り、紬に渡す。
「……どうも」
なんか紬がそっけない。
パッと顔を見ると、何か釈然としないの様子。
「自分で取りたかった……」
あ、はいそうでしたか。
すみませんでした。
「でも、結人ありがとうね。大切にするよ」
「それはどうも」
「結人に、何か取ってあげようか?」
「いや絶対沼るから遠慮しておく」
◇
午後6時。
「そろそろ良い時間だし、帰るか?」
「いや、もう一つ行きたい所がある。OK?」
「まあ良いけど」
俺は紬の後をついていく。
歩いて10分。
海に着いた。
夕暮れの海は、赤く染まっていた。
「ここに来たかったのか?」
「うん」
紬は、俺の方へくるりと向く。
そして……。
「ねえ、結人。……今まで、ごめんね」
「なにが?」
「私の身勝手に、付き合わせて。迷惑だったでしょ」
「別に、迷惑なんて思ってねえよ」
確かにたまに腹の立つことはあったが、迷惑なんて思ってない。
「だから、ここで」
紬は、ニコっと笑う。
「私の気持ちを聞いて欲しい」
「ねえ結人。私とデートしよっか?」
「は?」
「拒否権はないから。はい、レッツゴー!」
紬に朝叩き起こされ、俺は家を出た。
紬と二人きりでのお出かけ。いったい、いつぶりだろうか。
「どこ行くんだよ」
「良いから、ついてきて」
俺は、紬に言われたまま後ろをついていく。
そのまま歩いて数十分。ついたのは駅。
紬に倣うまま切符を買い電車へ乗った。
「そんな遠いところ行くのか?」
「一時間くらいかな」
俺と紬は、電車に揺られる。
田舎の、1両編成の電車。乗客は俺たち以外にいなくて、水田と畑が続く景色が窓越しに見える。
ガタンガタン、ガタンゴトン。
いかにも電車な音を立てて、電車は進んでいく。
隣に座る紬は、軽く口角を上げたまま正面を見続けていた。
……こいつ、まつ毛意外と長いんだな。
じっと見つめる事はなかなかなかったので、新しい発見だった。
そんな俺の目線が気になったのか、眉を顰めて「なに?」と紬は聞いてくる。
「……いや、別に」
「本当に?」
「本当に」
「本当かなぁ……」
紬が、グイッと近づいてくる。
パッと、柑橘系の香りが舞う。家のシャンプーな匂い。
「なに、もしかしてドキドキしてるの?」
「…………いや、別に」
「本当に?」
紬はそういうと身体を寄せて密着してくる。
「おー、心臓の音聞こえるよ」
「近い近い。やめろ」
「なんでー?」
「……そういう、思わせぶりなのやめろよ。虚しくなる」
「今日は、デートなんだし良くない?」
「いや、だとしても俺と紬は幼馴染ってだけだろ」
「そっか。ごめんね」
紬は元の位置へと戻った。
あっさりと引き下がった紬。
なんか、すごく後悔した。
それから数十分。
俺と紬は電車から降りて目的地へと歩く。
「着いたよ」
そこは、スポッチャだった。
ゲーセンボーリング運動場他様々なものが複合された施設。
なるほど。ここで遊びたかったんだな。
「結人、勝負しよっか」
◇
「よっしゃスペア!」
「おー、すごい」
俺と紬は、ボーリングで対決することにした。
ここまで四回までの成績では、俺の方が少しだけリードしている状態。
別に二人ともそこまでボーリングやらないので、かなり点数は伸びてないが……。
「じゃあ、次は私だね」
紬は飲んでたジュースを置いて立ち上がると、ボールを持つ。
「おい紬、ボール間違ってるぞ」
紬が手にしたのは、俺の使っていたボール。紬の選んだものより重いやつ。
「いや、これでいいんだよ」
紬は勢いよくボールを投げる。そしてそのボールが綺麗にカーブして……。
ピンを全て倒した。
「ストライク! やったー!」
「おー、凄いな」
「でしょでしょ! ……結人のおかげかな?」
ニヒヒと笑う紬。
その笑顔は、すごく……。
「可愛い」
「へ?」
「ああ! 次は俺の番だ! よし、ストライク決めるぞー」
「結人、さっきのもう一回言ってみて!」
「何も言ってねぇ」
「嘘つき」
俺は慌ててボールを投げた。
そのボールは吸い込まれるように端へと転がり、1ピンも倒さず暗闇の中へ。
そこから、俺はほとんどのピンを倒せず、紬はストライク連発と、圧倒的な差で負けた。
◇
「……ああ! 惜しい! あとちょっとで取れたのに」
「惜しかったな、よしここら辺で」
「いや、あと一回やれば取れる気がする」
「マジで沼ってるからやめておけ!」
その後、俺たちはクレーンゲームのコーナーへ。
紬はあるぬいぐるみを取ろうとしてから10分。
一向に取れる気配のないまま、お金だけが溶けていった。すでに5000円は投入している。
「ここまで来たら引き下がれないじゃん!」
「それが戦略だ! やめろ、お金無くなるぞ」
「これ取ったら終わりにするから! 負けっぱなしじゃ終われないでしょ!」
こんな所で勝負師なところ出さないで欲しい。
「よし、ここ!」
ぬいぐるみをしっかり捉えたアーム。そのままぬいぐるみは上に上がると、移動する瞬間バンと落下した。
「ああ! 惜しい!」
「……うん、そうだな」
いやこれ明らかにアームのパワー落ちてただろ。これ、絶対取れないって。
「よし、もう一回だ!」
「いや、次は俺がやるよ」
これ以上、紬の財布からお金が減るのは見てられない。
俺は100円を投入し、ボタンを押す。
「ここだ!」
アームはぬいぐるみを真っ直ぐ捉える。さっきの紬と全く同じ状況。
が、さっきとは違いガッツリ掴んだままそのまま獲得ポイントへ移動した。
「……あ、取れた」
うっそだろ。マジで取れちゃった。
偶然にも、確定で取れるタイミングが来たんだろうなぁ。
俺はぬいぐるみを取り、紬に渡す。
「……どうも」
なんか紬がそっけない。
パッと顔を見ると、何か釈然としないの様子。
「自分で取りたかった……」
あ、はいそうでしたか。
すみませんでした。
「でも、結人ありがとうね。大切にするよ」
「それはどうも」
「結人に、何か取ってあげようか?」
「いや絶対沼るから遠慮しておく」
◇
午後6時。
「そろそろ良い時間だし、帰るか?」
「いや、もう一つ行きたい所がある。OK?」
「まあ良いけど」
俺は紬の後をついていく。
歩いて10分。
海に着いた。
夕暮れの海は、赤く染まっていた。
「ここに来たかったのか?」
「うん」
紬は、俺の方へくるりと向く。
そして……。
「ねえ、結人。……今まで、ごめんね」
「なにが?」
「私の身勝手に、付き合わせて。迷惑だったでしょ」
「別に、迷惑なんて思ってねえよ」
確かにたまに腹の立つことはあったが、迷惑なんて思ってない。
「だから、ここで」
紬は、ニコっと笑う。
「私の気持ちを聞いて欲しい」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた
夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。
数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。
トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。
俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる