22 / 43
第22話 お祭りを楽しもう!
しおりを挟む「アランくん! ボクは闇の組織と戦うために、もっと魔導書をたくさん読んで強くなりますっ!」
「……う、うん、頑張って」
「今日は各地の色んな魔法屋さんがお店を出しているみたいですから、早速見に行って来ますねっ! 必殺技も考えておきますっ! さようならっ!」
「バイバイ……」
闘技場を後にした俺は、使命に目覚めてしまったレスターに手を振って別れる。
「意外と暴走するタイプなんだな……そこら辺はドロシアちゃんと同じか……」
俺はそんなことを呟きながら、ひとまず外で待っている皆の所へ向かうのだった。
*
外へ出てすぐ、俺は先生やプリシラ達に発見されて取り囲まれた。
「よくやったなアラン君! もっとも、私は絶対に優勝すると思っていたがな! はっはっはっ!」
ダリア先生はそう言いながら俺の背中をばしばしと叩く。
「あ、ありがとうございます」
痛い。声が震える。
「うふふ、さすがはアランちゃんね。ご褒美に……先生が何でもしてあ・げ・る」
「えっ……!」
メリア先生は右腕をがっちりと掴み、胸を押し当ててくる。
「アラン様の家庭教師としての自覚をお持ちくださいね? メリア先生」
「ひぃっ!?」
しかし、背後でニナが目を光らせていたのですぐに離れた。
「節度を持ってアラン様に接してください」
「わ、分かってるわよぉ……。そんな怖い顔をしないでニナちゃん……!」
「怖い顔なんてしていませんよ」
実にざんねん――ではなく、ありがとうニナ。
「ねえねえ、優勝したってことは……お兄さまがさいきょーってことだよね~? いいな~! 私もさいきょーになりたい!」
「プリシラ……」
一応、来年はプリシラも出場できるが……正直、病弱な妹が野蛮な悪役貴族やら悪役令嬢やらと戦うところなんて見ていられないぞ! 何かあったらどうする!
「だめ! プリシラはこんな野蛮なことしない方がいいよ!」
「えーっ! けちー!」
プリシラは口をとがらせて言った。
「もう、そんなことを言ったらプリシラちゃんから嫌われてしまうわよ?」
「それでもダメです!」
「わからずやーっ!」
多少嫌われようが、こればかりは譲れない! この話は終わりだ!
「そんなことより……ニナも応援ありがとう!」
「ご無事で何よりです、アラン様。優勝……おめでとうございます」
俺は、先ほどからやや疲れ気味に見えるニナに対してお礼を言う。
「アラン様が攻撃を受けそうになるたびに……心臓がドキッとして……口から飛び出してしまいそうでした……」
「それは大変だね……あはは……」
どうやら無理をして応援してくれいたらしい。
確かに、俺もプリシラが試合をするとなったら直視できる気がしないし……それでも応援してくれたニナには感謝しないといけないな。
「優勝できたのはニナが応援してくれたおかげだよ」
「あ、アランしゃまぁ……っ!」
……えっと、それから――三人にもちゃんとお礼を言っておかないと。
「プリシラも応援ありがとう」
「いつもはかわいいけど、今日はかっこ良かったよ! お兄さま!」
「…………そ、そうなんだ」
そう言われると素直に喜べないような、複雑な気分になるぞ。いつもは威厳が足りないということか……。
「――メリア先生とダリア先生もありがとうございました。優秀な先生方が教えてくださったおかげで、それほど苦戦はしませんでした」
とりあえず痴女――じゃなくてステキな先生方には、それっぽいお世辞を言っておく。
「お二人が僕の先生で良かったです」
二人とも色々とヤバいけど優秀なのは事実だしな。媚びは売れるときに売っておこう!
「……結婚しましょう」
「えぇっ?!」
まずい、メリア先生がさっきより真剣な顔つきでやばいこと言ってる!
「ずっと一緒に暮らすのよっ!」
「あ、あの、メリア先生……?」
いや、住み込みで家庭教師やってるんだからもう一緒に住んでるだろ。
これ以上なにを求めてるっていうんだ……!
「た、助けてくださいダリア先生っ!」
追い詰められた俺は、もう一人の先生に助けを求める。
「……………………ッ!」
「いけませんアラン様。あまりの尊さにダリア先生が立ったまま気絶してしまいました」
そんなことある?
「――それと、メリア先生は目に余るので今後の処遇をアラン様のお父様に相談させていただきます」
「にっ、ニナちゃんっ?!」
「いい大人が十歳の子に求婚しないでください。人の道を外れています」
「…………! か、返す言葉もないわ……!」
……かくして、大会は無事に終了したのだった。
*
――力比べの儀が終わったからといって、精霊祭が終わるわけではない。
むしろこれからが本番である。
「よし、遊ぶぞ!」
様々な屋台が出店していて賑わう広場へとやってきた俺は、そんな独り言を呟いた。
プリシラは前日に話した通りニナや友達と一緒、メリア先生とダリア先生は痴女と間違われて衛兵に捕まってるし、お父さまは精霊祭を運営する側なので忙しい。
……従って、一緒に祭りをまわれるような相手はいないのである!
しかしソロプレイは俺の得意分野だ。
「遊ぶぞー……」
べっ、別に……寂しくなんかないんだからねっ! 勘違いしないでよバカっ!
「しかし……すごいなこれは」
マガルム帝国は広大な領土を有する多民族国家であるため、様々な文化が混在している。
首都であるエルヴァールの付近はごく普通の西洋風ファンタジーといった感じだが、その外側では地域ごとに和風やら中華風やら中東風やらの民族が暮らしていて、それぞれ土地を治めているのだ。
従って、こういった各地から人が集まるお祭りが首都で開かれると、色々な文化的背景を持つ人種が混ざってカオス状態になる。要するに何でもありだ。
具体的に言うとたこ焼きの横でケバブやらクレープやらが売られていたりする。
おまけに、道行く人々は猫耳のカチューシャやらキョンシーのお札やら狐の尻尾やらをくっ付けて仮装しており、俺のように普通の格好をしている人間の方が少数派だった。
極めつけに街路樹にはクリスマスツリーのような装飾が施されている。
夏祭りとハロウィンとクリスマスが同時に来たかのようなカオスさ……どうやらこれが「精霊祭」の真の姿のようである。
何でも詰め込めば良いってもんじゃないだろ! 風情のカケラもない!
「これは流石に……」
ちょっとやり過ぎ感があってドン引きしていたその時。
「あああっ!」
突然、背後で大きな叫び声が聞こえてきた。
「……うん?」
ふと気になって振り返ると、そこに立っていたのはドロシアである。
明らかに怒っている顔だ。
「見つけたあああッ!」
「ひぃっ……!」
まずい。一番面倒な相手と遭遇してしまった……!
142
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる