パーティを庇って死んだ少年、10年後に蘇生され溺愛される~男の子だと思ってた仲間は過保護なお姉さんになっていました~

おさない

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第11話 お姉さんのベッドで目覚める少年

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 翌朝、フィルは見覚えのない部屋のベッドで目覚めた。

「……え?」

 毛布の上には見覚えのある黒い下着が脱ぎ捨てられていて、何となく嫌な予感がする。
 
 ふと自分の左隣を見ると、そこには服を脱ぎ捨て生まれたままの姿となったベルーダが眠っていた。

 ――またやってるっ!

 顔を真っ赤にして慌てるフィルだったが、昨日の一日で少しだけお姉さんの胸に対する耐性がついたらしく、次第に落ち着きを取り戻す。

 ――見なければ……大丈夫……!

 フィルはそんな風に考え、顔を反対側に向けた。

「僕……あの後メノの部屋に戻らないで寝ちゃったんだ……」

 ひとまず気を紛らわすため、何故かはだけていた服を着直しながら呟いた次の瞬間――

「フィルぅ……」
「わぁっ?!」

 寝返りをうったベルーダの両腕が、自身の体に巻き付いてきた。

 Sランク冒険者の剣士に華奢な魔術師の少年が力で勝てるはずもなく、あっという間に胸の中へ埋められるフィル。

「んっ、んん……っ!」

 温かくて柔らかい感触と、お酒の匂いと、お姉さんのいい匂いに包まれる。

 ――そっか。ベルーダの匂いって、女の子の匂いだったんだ……。なんか複雑な気持ちだな……。

 経験したことのない感情に襲われ、フィルの心臓が素早く鼓動した。

 純粋だった彼の心は、昨日と今日でめちゃくちゃにされてしまったようだ。

「そ、そこは、だめだ……! オレたち……と、友達だろ……? フィルぅ……っ」

 ベルーダの方もおかしな夢を見ている様子である。

「んむ、んん……」

 段々と対抗する気力が弱まっていき、お姉さんの胸に囚われかけたその時――

「ベルーダたいへんっ! お兄ちゃんがどこにも居ないのっ!」

 勢いよく部屋の扉が開け放たれ、パジャマ姿のメノが血相を変えて飛び込んで来た。

「お兄ちゃんが――って、お兄ちゃんっ?!」

 そこでようやく、メノはベッドに裸のベルーダと服のはだけたフィルが寝ていることに気づく。

「あ、あぁっ!」

 痴女の犯行現場を目撃し言葉を失うメノ。

「お、おはよう、メノ!」

 一方、フィルは顔を真っ赤にしたまま起き上がり、外れた調子でメノに挨拶する。

 つい先ほどまでお姉さんの胸の中で自分を見失いかけていたことに対する後ろめたさを誤魔化そうとしたのだ。

「お、にい、ちゃん……!」

 しかし、その不自然な態度のせいでメノの勘違いは加速してしまったらしい。

「ぼっ、僕はここに居るからだいじょ――」
「いやあああああああああっ!」

 フィルが全て言い終わる前に、メノの大きな悲鳴が響き渡った。

「ど、どうしたの……?」
「あぁっ! そんな……っ! お兄ちゃんが……!」

 ふらつきながら額に手を当て、その場で膝から崩れ落ちるメノ。

「メノっ! 大丈夫っ?!」

 フィルは大慌ててベッドから飛び降り、メノの元へ駆け寄った。

「しっかりしてっ!」

 ぐったりしているメノの体を頑張って抱き起こし、顔を覗き込むフィル。

「ごめんねお兄ちゃん……っ! 私がついていながら……こんなことに……」
「どういうこと?!」
「――がくっ」
「メノっ?! メノーーーーーっ!」
 
 かくして、お兄ちゃんの初めてになろうとしていた妹はショックのあまり意識を失うのだった。

 *

 その後――フィルは意識を取り戻したメノに事情を説明し、どうにか納得してもらう。

「本当にっ?! 何もされてないっ?!」
「うん。ベルーダと話してる途中で寝ちゃっただけだよ。僕が風邪を引かないようにここまで運んでくれたんだと思う」
「もうっ! 私というものがありながら……!」
 
 メノはそう呟きながら、今度は寝起きでぼやぼやしているベルーダの方を見る。
 
「一応あなたにも確認しておくけど……本当にお兄ちゃんに何もしてないのね?」
「すまない……、酔ってたから……あんまり覚えてない」
「思い出してっ!」

 鬼気迫る様子でベルーダ詰め寄り、肩をゆするメノ。

「うっ……二日酔いで……吐きそう……っ」
「吐きなさいっ! 自分の犯した過ちを洗いざらい全部っ!」
「視界が……まわる……っ」

 ゆすられたことで何も着ていないベルーダの胸が大きく揺れ、少年が見てはいけない光景となってしまう。

「あっ、やめてっ、メノ……っ!」
「ほら……っ、早く言いなさい……っ!」
「だめ…………まって……っ!」

 ――一体、何を見せられているんだろう。

 フィルは部屋の入り口の近くで呆然と立ち尽くしながら、そんなことを思った。

「メノ……その辺にしてあげて。あと、ベルーダも早く服着て」

 見ていられなくなったフィルは仕方なく二人のことを止めに入る。

「わかった……。お兄ちゃんがそういうなら……やめる」
「そういえばアタシ、服どこに脱いだんだ……?」

 こうして、ひとまず混乱は収まったのである。

「えーっと、服は……」
「見ちゃだめっ、お兄ちゃんっ!」

 ベルーダが服を探して全裸で部屋の中を徘徊し始めたので、両手でフィルに目隠しをするメノ。

 すでに色々と手遅れだったが、フィルは何も言わず受け入れることにした。

「……あの、ところでメノ」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「僕――今日こそは師匠に会いたいんだけど……パーティハウスのどこに引きこもってるの?」

 目隠しをされたままの状態で、師匠の所在を問いかけるフィル。

「あっ」
「また忘れられてたんだね……師匠……」

 かくして、フィルはようやく魔術師の師匠と再会できることとなったのだった。
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