超名門貴族の次男、魔法を授かれず追放される~辺境の地でスローライフを送ろうとしたら、可愛い妹達が追いかけて来た件~

おさない

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第16話 アニ、もふもふする

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「主さん見なんし。あれが冒険者ギルドでありんす」

 ぎんこさんは僕の肩を軽く叩くと、前方にある大きな建物を指差した。

「なるほど。ありがとうございますぎんこさん。おかげで助かりました!」
「なんじゃお主ぃ~。わらわに対する礼はないのかのぉ~?    そんなに姉上が好きか~?」

 僕はてんこに脇腹を小突かれる。

 ちょっとイラっとしたけど、確かにてんこにも礼をしないと失礼だな。

 一応、案内してくれたわけだし。

「……ありがとうてんこ。すごく助かったよ」
「よ、よせ。そんなに素直に礼を言われると照れるじゃろ……!」

 てんこは顔を赤くして、ぎんこさんの後ろに隠れた。

 何なの……?

「……とにかく、ギルドに入りんしょう。主さんが冒険者になるための手続きを、わっちが手伝うでありんす」

 そこまでしてくれるなんて、すごく面倒見のいい人なんだな。

 ちょっとオリヴィアに似てるかもしれない。

「……どうかしたでありんすか?」
「い、いや、何でもないよぎんこさん」

 振り返ったぎんこさんに見つめられて恥ずかしくなった僕は、目をそらしながらそう言った。

「どうしたお主。赤くなっておるぞぉ~?」
「なっ、なってないよ……!」
「なんじゃなんじゃぁ~?    やはりお主、姉上に――むぐぐっ?!」

 良からぬ事を言い出しそうだったので、僕は咄嗟にてんこの口を塞いだ。

「あんまり人をからかい過ぎるのは良くないよ……てんこ」
「むぐっ……」
「僕の顔、赤くなんかなってないよね?」

 僕はちょっとした仕返しに、てんこの耳を触った。

「………………んっ!」

 耳をぴくりと反応させながらも、首を振るてんこ。

「なってないよね?」

 僕は再びてんこの耳を触る。優しく、ゆっくりと、くすぐるように。

「んぐっ、んーーー!」
「ほらほら、嘘は良くないよてんこ。僕は別に自分より少し年上のお姉さんにドキッとなんかしてないからね……?」

 そう、妹ばかりに囲まれていたから年上の女の人に対する免疫がないとか、そんなことは断じてあり得ないのである。

ほんひん本心が……だだもれひゃぞじゃぞ……っ!」
「何か言った?」
「ひぐぅっ?!」

 別にオリヴィアにもぎんこさんにもドキッとなんかしてない。

 断じて。

「んっ、んっ、んひんっ!」

 てんこはしばらく抵抗していたが、やがて諦めたようにうなだれ、僕の問いかけに対してコクコクと頷いた。

 どうやら分かってくれたらしい。

 僕はてんこのことを離す。

「お、おぬひ……後で覚えておるんじゃぞ……っ!    よっ、よくも女子《おなご》の耳を……っ!」
「でも先にやってきたのはてんこだよ?」
「あれはお主がわらわに無礼を働いてきたからじゃ!」
「だって……てんこの尻尾がモフモフしてたから……」
「どんな理由じゃっ!」

 そう言って、てんこは僕のことをにらみつけた。

「二人とも仲良くなれたみたいで嬉しいでありんす」
「ど、どこがじゃっ!」
「……でも、そんなに尾っぽが触りたいなら、わっちのを好きなだけ触っておくんなんし。てんこは人に触られるのが嫌いなんでありんす」

 そう言って、ぎんこさんは僕の前に立派な尻尾を差し出す。  

 ぎんこさんの……綺麗でもふもふな尻尾……!

「そ、そんな……悪いです……そんな……ぎんこさんの尻尾を触らせていただけるだなんて……!」
「わらわの時との態度の違いはなんじゃ。腹立たしい」
「もふ……もふもふ……すごいもふもふだ……これだめ……なにも考えられなくなる……!」
「あっさり誘惑に負けおって。口だけじゃな」

 僕はぎんこさんの尻尾を思う存分もふもふする。滑らかかつ優しい手触りで、おまけに良い香りまでしてきて、やみつきになってしまいそうだ。

「あんっ……お、お上手でありんす……もっと……もっと撫でておくんなんし……!」
「ぎんこさんっ……ぼく、もう……っ!」
「あっ、すごいっ、こんな感覚初めてでありんす……もっと……もっともっと……ああんっ!」
「ぎんこさんっ!」

「――もうよいから早くギルドに入らんか?」
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