超名門貴族の次男、魔法を授かれず追放される~辺境の地でスローライフを送ろうとしたら、可愛い妹達が追いかけて来た件~

おさない

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第23話 三姉妹の優雅な家出2

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「どうしたのよエリー。さっきから浮かない顔して。のぼせたの?」

 湯船につかったまま舌を向くエリーを見て、メイベルが不思議そうな顔をしながら問いかけた。

「違うよ……。あのね、お父さま達……追いかけてくるのかなって考えてて……」
「心配なの?」
「だって……もし捕まっちゃったら……」
「――間違いなくただじゃ済まないでしょうね。これからは人間扱いもしてくれないかも」

 メイベルの言葉に、エリーは身震いする。

「冷えちゃうから……ちゃんと肩まで浸かりなさい……」

 その様子を見たソフィアに肩を掴まれ、湯船に沈められるエリー。

 一応末っ子なので、二人からそれなりに大切にされているのである。

「で、でもさ、ソフィアは怖くないの?    今までされて来たお仕置きより、もっとひどいことされちゃうかもしれないんだよ……?!」
「今の私達には……魔法があるから大丈夫……」
「だ、だけど――」
「……そんなことより、これからの旅で野宿する可能性があることの方が問題よ……!」
「ふぇ?」

 話の流れを無視して、突然そんなことを言い始めるソフィア。

「そと……こわい……むし……むり……しんじゃう……引きこもってたい……」
「あたしは一回でいいから外で寝てみたいけどなぁ。なんか楽しそうだし!」
「これだから世間知らずのお嬢さまは……っ!」
「ひどいよっ!    ソフィアもそうでしょぉ!?」

 エリーは、頬を膨らませてソフィアに詰め寄った。

「でもあんた、外も虫も嫌いなのに良く家出したわね。誘っておいてこんなこと言うのもなんだけど」
「………おにーさまが居ないのに……家の中に居ても意味がないわ……私はおにーさまが居る家の中でダラダラするのが好きなの…………!」

 ソフィアは、ぽかぽか叩いてくるエリーを軽く片手であしらいながらそう答えた。

「――これがお兄ちゃんに甘やかされ過ぎた人間の末路ってやつね。悲惨だわ」
「酷い……!    ……メイベルだって沢山甘やかされてたくせに……!」
「何のことかしら?    分からないわね」

 とぼけるメイベルに対し、ソフィアは続ける。

「私……知っているわ。メイベルがおねしょした時に……おにーさまに泣きついて後始末を手伝ってもらったこと……」
「そそそそ、それは昔のことでしょッ!    いっ、今はそんなことしないわよっ!」

 ソフィアにとんでもないことを暴露され、明らかに動揺が隠せないエリー。

「だいたい、あんただってつい最近お兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってたじゃない! 恥ずかしくないわけ?!」
「ち、違う……!    あれは怖い本を読んだせいで……一人でお風呂に入って髪を洗うのが怖くなっちゃって……おにーさまに付き添ってもらっただけ……!」
「でも、その歳で一緒に入ったんでしょ?    ヘンタイじゃない!」
「ご、誤解だわ……ドアの前に立ってもらっていただけ……!」

 そう弁明するソフィアを見て、メイベルは呆れたように言った。

「まったく、お兄ちゃんも大変ね! あんたみたいな手のかかる妹がいて!」
「ど、どの口が言うの……!    そもそも……あの時はメイベルが一緒に入ってくれれば済んだ話だったのよ……!」
「嫌よ、付き添いなんてめんどくさい」
「このあくま……!」
「はぁー?    どうゆーことかしらぁ?!」

 ――いつものようにバチバチと火花を散らす二人。

 そしてまた、エリーもいつものように二人のことを止めに入る。

「や、やめなよ二人とも!    お風呂くらいゆっくり入ろうよぉっ!」
「うるさいわね。そもそも、おねしょしてお兄ちゃんに泣きついたり、いつまでも一緒にお風呂に入ろうとしてお兄ちゃんを困らせたことならあんただって――――」
「ぎゃああああああああっ!    言わないで言わないで言わないでっ!」
「この際よ。あんただけ綺麗なままで済むなんて思わないことねっ!」
「いっ、言ったら許さないからぁっ!」

 顔を真っ赤にして、必死にメイベルの口を塞ごうとするエリー。

「……聞こえた……もう手遅れ」

 ――この後、三人は平等に恥を晒しあったのだった。

 そしてメイベルとソフィアは、機嫌を損ねてへそを曲げてしまったエリーに全力で謝罪することになったのである。
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