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幕間8 魔族三姉妹の危機
しおりを挟むメイドに扮するアニに、少しだけ魔力を吸い取られてしまった三姉妹は、不足した魔力を求めて興奮状態に陥っていた。
「う、うぅ……ぐちょぐちょに……弄ばれてしまいましたぁ……!」
エミルは、しくしくと泣きながら呟く。
この場合における『ぐちょぐちょ』とは、自らのスライムボディのこと指して言っている。
「あぁ……とっても情熱的なメイドさんでしたわね……。ワタクシも…………昂ってしまいますわぁ……!」
リーンは恍惚とした表情で言った。
「あんなに乱暴にされたの……初めてぇ……っ!」
ベラに至っては、弄ばれる悦びに目覚めつつある。
三人がこうなってしまったのは、全てアニのせいだ。
「はぁ、はぁ……身体の火照りが……おさまりませんわ……」
立ちあがろうとしたリーンはふらつき、ベラの方へ倒れ込む。
「だ、大丈夫かしら……?」
ベラは慌ててリーンのことを抱き止め、問いかけた。
「ええ。――それよりも、ベラ……」
「どうしたのかしらぁ? そんな物欲しそうなカオをして……」
「あなた、とっても美しくなりましたわね……ずっと一緒に居たから……気付きませんでしたわ……!」
「リーン。あなたの方こそ、随分と可愛らしくなったんじゃなぁい? そんな無防備な姿を晒していたら、悪い吸血鬼に襲われてしまうわよぉ?」
お互いの顔を見つめ合いながら、うっとりするベラとリーン。
「うふふ、そんな風にワタクシを挑発するのなら、本当にいただいてしまいますわよ?」
「あなたの方こそ、アタシに噛みつかれないように気をつけた方がいいんじゃないかしらぁ?」
見るからに危ない雰囲気が漂っていた。
「わ、わたしをほったらかしにするなんて酷いですぅ……!」
その様子を近くで眺めていたエミルは、不機嫌そうに二人の間へ割り込む。
勢い余って、溢れんばかりのスライムボディがびちゃりと弾け飛んだ。
「もう……怒らないでちょうだい? こんなにべちょべちょにして……いけない子……」
「うふふ、悪い子にはお仕置きが必要ですわねぇ……」
ベラとリーンは、自分の身体に纏わりついたエミルの一部を、ぐちょぐちょとわざとらしく音を立てながらかき混ぜ始める。
「ひ、ひぃんっ! あ、あんっ! そんな風にされたらわたしっ、トロトロになってしまいますぅっ!」
二人がかりで弄ばれたエミルは、音を上げて上半身を実体化させた。
「はぁ、はぁ…………も、もっと、もっといっぱい、激しくかき混ぜて欲しいですぅっ!」
「だめ。これはお仕置きなのよぉ?」
「ゆっくり、時間をかけないと意味がありませんわ……」
「しょ、しょんなぁ……!」
エミルは、涙目になりながら二人のことを見つめる。その目が「もう耐えられない」と訴えかけていた。
「うふふ、お部屋まで我慢してちょうだい? そうしたら、アタシがもっとトロトロのぐちょぐちょにしてあげるわぁ……!」
「たまには三人でぐっちょり混ざり合うのも……悪くありませんわねぇ……」
身体をじたばたさせるエミルを捕まえ、両耳から囁くベラとリーン。
スライムで楽しく遊ぼうと言っているだけなので、極めて健全だ。
「あ、あぅ……二人とも、意地悪すぎますぅ……! こ、こんなに焦らしておいてっ、お部屋に戻るまで我慢させるだなんて……あんまりですぅっ!」
とろけきった表情でそう呟くエミル。
「そうよぉ。アタシ達は意地悪なの……エミル、あなたが一番良く分かっているはずよぉ?」
「ひうっ! あ、あんっ! だ、だめなのですぅっ! ひゃあっ?!」
「あぁ……なんだかとってもいけないことをしている気分ですわぁ……!」
廊下で一目も気にせずスライム遊びに興じる三人。もはや、彼女達の暴走を止められる者はいない。
「………………」
そんな三人を偶然目撃してしまったドレースは、完全に思考を停止して固まっていた。
「――ふぁっ?!」
そして、窓から侵入してきた正体不明の男は、そんな場面に偶然鉢合わせてしまうのだった。
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