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第13話:僕らの恋愛のカタチは?(その1)

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「で、茶木さき君とは上手く行っているの?」
「うーん、上手く行っているといえば上手くいってるんだけどね」
大学の食堂ですみれとひなのが会話をしていた。
「だけど……何か問題でもあるの?」
「うん、たまに私一人だけで突っ走ってるんじゃないかなって・・・」
そう言いながらすみれは溜息をつく。「ふむふむ、それで悩んでいるんだ」
と言いながら、ひなのはサンドイッチを口に運ぶ。
「まぁ、確かに私はそういう事に疎い方だし、
相談できる相手もいないからさ~」
と言いかけてひなのはちょっとニヤリとする。そして小声で
「もしかして、あっち関連?」
「・・・・・・。」
図星だったのかすみれは無言になる。
「えっ!?そうなの・・・・ホントに?!」
と大声を上げるひなの。周りの人が何事かと見てくる。
「ちょ、ちょっと、ひなちゃん、声が大きいよ!」
「ごめん、つい興奮しちゃって。でもすみれもそんなことを悩むようになったかぁ」
と言いながらニコニコするひなの。
「もう!ひなちゃんったら!他人ごとだと思って!!」
と言いながら頬を膨らませるすみれ。「だって他人のことだもん♪」
と無邪気に笑うひなのであった。
「もう、本当にどうしたらいいと思う?」
「そうだねぇ、何か思うところでもあるの?」「思うところ?」
ひなのは一瞬考えて「例えば体の相性が悪いとか、乱暴するとか・・・」と返す。
「それはない!!ユキヤは凄く優しくしてくれるし、それに、その・・・
エッチするときは私の言う通りにしてくれているもの!」
と慌てて否定をするすみれ。
重要な部分はすっ飛ばしているが、嘘は言っていない。
「じゃあ特に問題はないじゃない?
むしろ良い感じなんでしょ?それなら大丈夫だよ」
(言うこと聞いてくれる・・・ねぇ。茶木くん全然そういうタイプに見えないけど。)
と思いつつ笑顔で答えるひなの。
「うーん、いっつも『この人は私のー!』ってのが頭の中で一番になってるから、
ユキヤの事まで思いやれてるのかなって・・・・」「なるほどね」
と言いながら考え込むひなの。
(これはすみれにしてはかなり真面目に考えているみたい。
ここは一つ協力してあげようかな?)
「そういえば、茶木君の好みってどんな子なのかな?」
とひなのが聞く。
「うーん、・・・以前は来るもの拒まずな感じだったけど・・・」
とすみれが答えた。「ふむふむ」と相槌を打ちながら続きを促すひなの。
「でも最近は浮気しなくなっちゃったから分からないなぁ・・・」
(惚気かよ!)
と言いたい気持ちをぐっと抑えるひなの。
「まあまあ落ち着いて、まだあるんでしょう?」
すみれはコクリとうなずくと話を続ける。
「この前の飲み会で、かなり色っぽい人に絡まれてたって・・・」
「へぇ~」と言いながらニヤニヤするひなの。
「・・・とりあえずその後は何もなかったみたいだったけど」
「ホントに?」
「本当だよ!だって・・・」とムキになるすみれ。
「だって?」
「背中に油性ペンででっかく落書きしといたのを気付かれてなかったし!」
「何てことしてんのよ!あんたは!」
思わず突っ込みを入れるひなの。「まぁ・・・気付かれないうちに落としたけど」
この時点でひなのはユキヤに少し同情した。
そして(すみれの方が怖いわ・・・。)と思った。
「・・・まぁそれぐらいガードを固めてくれてたのなら、
あの茶木くんにしちゃ大きな進歩だと思うよ」
とフォローしつつ、
「一度、茶木くんが喜ぶことを一番にしてみるのはどうかな?」
と提案してみる。
「例えば、どんな事?」
「それは私からはちょっと・・・」
と口を濁らせるひなの。
「もう!教えてくれたっていいじゃん!親友でしょ!!」
とすみれ。すみれのこんな所を知っているのは恐らく自分だけだとは思いつつも、
「だからそれはあなたが調べなきゃ意味ないの!」と一喝する。
「うー・・・」と不満げにうなりながらも黙りこむすみれ。
(この子こういうところも可愛くて好きなんだけどね・・・)と思うひなのであった。

***
その日、ユキヤはいつものように喫茶店でバイトをしていた。「
今日は何かお勧めとかありますか?」とお客さんから聞かれると 
ユキヤはその質問には直接答えず、メニューを見ながら
「コーヒーの種類は何種類あってですね、お客様には・・・」と 
注文の取り方を説明する。
これはこの店では新人スタッフが最初に行う研修で教わった事で 
この接客態度で、この喫茶店に合ってる人かどうかがわかる。
もちろんユキヤに合っているかどうかは、言わなくても分かるだろう。
しばらくすると常連さんに「最近調子どうだい?茶木君」と言われた。
ユキヤは
「うーん・・・まあまあですかね・・・」と返す。
「ふぅ~ん、例の彼女とは上手く行ってるの?」とからかわれる。
ユキヤは苦笑いしながら「まあそれなりに仲良くやってますよ。」と答える。
(うん・・・上手くはいってるんだ・・・多分)と心の中でつぶやくユキヤ。
確かに一般向けとはいいがたい夜の生活は送っているが。
すみれから拘束されるのも、されるがままなことにも、
ちょっと慣れ初めている自分が怖くなってきていた。

おまけに最近は
「そろそろ新しいプレイとかもやってみる?今度はさぁ・・・」と、 
すみれにもちょっとの悪い癖が出てきている。(勘弁してくれ・・・)
そう思いつつも内心で少し期待している自分がいるのも嫌だった。

「まぁ今度の休みの日にでもデートしますんで、その時は報告させて頂きますよ。」
そう言ってユキヤは話を切り上げる。
「おう!頑張れよ!」と言ってくれる常連さんだった。
ユキヤはバイトが終わると家路を急いだ。

***

「・・・というわけで男の人が喜びそうなことを探してるわけで。」
「そういうことをなんで俺に相談するの?」圭太はあきれ顔だ。
今日は圭太の家庭バイトの日だ。
「え?相談できるような男の子が他にいないし。」
と圭太に笑顔を向けるすみれ。「・・・あのねぇ・・・」
圭太はため息をつく。
「それに、圭ちゃんだってこういう悩み事ってあるでしょ?ほら、あれとかこれとか?」
「そりゃ・・・あるけど・・・って、俺の話は別に良いでしょ!」
そんな圭太を見て、すみれはおもむろに圭太の背後から抱き着き、
乳首をまさぐり始める。
「あ・・・・」
思わず声を出してしまう圭太。
その後もすみれは引っ張ったり、こねくり回したりする。
「あん・・・や、やめてよ・・・」圭太は顔を赤らめる。
「もう・・・何やってんだよすみれ姉さん・・・こんな所で・・・」と 
抵抗するがその顔はまんざらでもないようだ。
(沙由美さんから聞いてはいたけど、これは相当だね・・・)
「ごめんごめん。でも圭太君ここ敏感だよね。」
そう言ってすみれは手を放す。
「怒るよ!・・・もう」圭太は服を直しながら文句を言う。
「・・・でもこれ男の子にはセクハラになるの?」
と聞く。
「・・・・・・。」圭太は顔を赤らめて不機嫌そうに目を逸らす。
どうやら答えたくないようだ。
(まーハッキリは言いたくないか・・・)すみれも空気を呼んでこれ以上言及しなかった。
「と、とにかく・・・僕は嫌だからもうやらないで!」
圭太はやや怒った口調で言う。
その顔はすみれでも『可愛い』と思わせてしまうものだった。
「わかったわかった。気を付けるよ。圭太君。」そういって軽く流すすみれ。
(しかしこれは・・・確かに沙由美さんが手放したがらないわけだね・・・)

そうしてしばらく圭太の勉強を見たりしているうちに時間は過ぎていった。
「じゃあそろそろ私帰るね。またね圭ちゃん。」
「あのさ、さっきの事だけど・・・姉さんならそこまで考え過ぎなくていいと思うよ。」
圭太は照れくさそうに話す。「え?」
「ちゃんと好きな人を思いやれてるもの」
そう言う圭太の顔はとても優しく穏やかだった。
すみれは少しドキッとした。「ありがと・・・圭太君・・・」
そうしてすみれは帰って行った。

帰り道すみれは一人思う。
(高校生に諭されてしまうとは・・・しかも圭太君に。)
とちょっと自嘲気味の笑みを浮かべた。
(あの子、たまにだけど妙に鋭いところあるからなぁ・・・)
と思いながら家に向かうすみれ。
家に帰宅したすみれは早速パソコンを開く。
ネットで色々検索する為だ。
(これはもっと素直に調べていいってことだよね)

つづく
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