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第14話:僕らの恋愛のカタチは?(その2)
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数日後。
ユキヤは大学の付属図書館に来ていた。
意外かもしれないが、彼には時折文学をたしなむ趣味があった。
基本読書は一人で楽しむものとしているので、一人の時にしか来ない。
今日もお気に入りの小説を読みにきただけだ。
ユキヤはいつものように備え付けのソファに座って小説を読んでいた。
ふっと顔を上げると目の前に女の子がいる。
ユキヤは一瞬戸惑うものの、見覚えのある顔だとすぐに気づく。
「へぇ、君がこんなところに来るなんて珍しいわね。」
柳明日奈であった。
ユキヤは少し驚いた顔をするが、すぐに本に目を戻し、スマホの画面を見せる。
スマホにはメモ帳アプリが立ちあげられ、こう書かれていた。
『私語厳禁』ユキヤは表情を変えず再びページをめくっていく。
一見すましているように見えるが、先日の飲み会での顛末を思い出し、少し焦っていた。
(まぁここなら人もいるし、嫌でも静かにしないといけないし、何もしてこないと思うが。)
ユキヤはそんなことを考えていたのだが。
「あなたは一体何様のつもりなのかしら?」
唐突に明日奈から言葉を浴びせられる。
ユキヤは思わず顔を上げてキョトンとする。そして口の前に人差し指を立てた。「静かにしろ」の合図だ。
そのユキヤの顔を見た明日奈は少しイラっとする。(ちょっと生意気じゃない?)
「私の話を聞いていなかったの?それともまさか、自分が特別な人間だとか思ってんじゃないでしょうね?」
相変わらずのトゲがある物言いだが、ユキヤは何も答えなかった。
ただ黙々と読書を続けている。しかしそれがまた腹立たしいのか、
ユキヤが手にしている本を取り上げる。「・・・返せよ!」ユキヤは小さい声で言う。
「すまして何読んでるのよ・・・『櫻の園』?」
明日奈は手にした文庫本のタイトルを読み上げる。
決してラノベでも恋愛小説でもなく、れっきとしたロシア文学だ。
(うそ・・・流行り物の恋愛小説か何かだと思てたのに)
ユキヤの意外な部分を見てしまい、明日奈は若干狼驚く。
そして「え?これ読んで内容理解できてるの?」といささか失礼なことを聞いてくる。
「・・・・」ユキヤは再びメモアプリに書き込む。
『いまだに子供部屋と呼ばれている部屋。ドアの一つはアーニャの部屋へ通じる。
夜明け、ほどなく日の昇る時刻。もう五月で、桜の花が咲いているが、庭は寒い。
明けがたの冷気である。部屋の窓はみなしまっている。』
作品の冒頭部分を暗唱して見せた。
明日奈は思わず本を開いて、冒頭部分を見比べる。
今読んだ箇所と冒頭の部分は一致していた。
「え、この本・・・?」
明日奈がユキヤを見ると彼はニヤリと笑ってみせる。
「ふーん・・・意外に頭良いのね。」
明日奈は少し感心して言う。「・・・見直したわ。じゃあこれはどう?このお話の結末、知ってる?」
『それは・・・読め』
ユキヤが書いた文字に明日奈はムッとする。「そんなことわかってます~」と悪態をついた。
その隙を見てユキヤは本を取り戻す。「あっ!」
そしてそのまま踵を返し、貸出コーナーに向かって歩き出す。そして振り向かず、軽く手を振った。
明日奈はその背中をじっと見つめていたが、やがて自分も立ち上がってついていく。
(やられた!くぅ、悔しいなぁ)そんな風に思っていると、誰かから声を掛けられる。
「あの、あんまり騒がないでお静かにお願いします。」と職員から注意を受ける羽目になった。
(覚えてなさいよ・・・)
そしてユキヤは貸出手続きを済ませると、(家で読むしかないか・・・)と
ため息を吐いて図書館を後にした。
***
「ただいま」と言ってユキヤは家に入る。するとすぐに「おかえり」というすみれの声が聞こえる。
玄関まで迎えに来ないあたりが彼女らしかった。
(なんか週の半分はお互いの家を行き来してるような・・・)
と思いつつ靴を脱ぐ。
半同棲どころか殆ど同棲状態と言ってもいいだろう。しかしそれでも一応ルールはあった。
泊まるときは食事は基本的に一緒に食べ、すみれの家事を手伝う事になっている。
(料理に関しては、最近あまり手伝わせてくれないが)
もっとも最近はユキヤの方が忙しく、手伝いどころではなかったのだが。
リビングに入るとすみれは夕食を作っているところだった。
「何作るの?」とユキヤが聞くと、「カレーよ。もう少しでできるわ」と言う。
今日は金曜日で、明日明後日は大学が休みのため2人は明日もユキヤの家に泊まっていくつもりだ。
ユキヤがテーブルの席に着くと、程なくカレーライスが出てきた。
2人揃って「いただきます」をして食べる。「そういえば・・・」「ん?どうかした?」
スプーンを口に運びながらユキヤが何かを言いかける。
するとそれに反応したのかすみれが聞いてきた。
「また一人で図書館行ってたの?」
「・・・ああ。」ユキヤは口の中のものを咀しゃくしながら答え、
「だってお前、行きたがらないじゃないか。」
「そりゃそうだけどさぁ。私、別に本嫌いじゃないし、
自分で選んで買うくらいには好きなんだからね。」
ユキヤはそれを聞くと、黙ってすみれの顔を見る。そしてふっと笑う。
「集中すると俺は全然喋らなくなるけどいい?」「・・・それは嫌かな。」
すみれは苦笑いする。
ユキヤは本を読んでいる時、さっきのように本当に無言になるのだ。
それこそ、すみれが話しかけても気付かない程に。
「でも、俺もたまには1人でゆっくりしたいんだよなぁ。」ユキヤがぼやくように言うと、
すみれは少し考えるような仕草をする。
「・・・じゃあ、たまになら付き合ってあげようかしら。」
ユキヤはその言葉に嬉しそうな顔をするが、すみれは内心で思う。
(本当は、寂しいだけなんでしょう?)
「・・・途中で寝るなよ」
ユキヤがボソッと言った。
すみれは一瞬きょとんとした顔になるが、すぐに微笑む。
「えぇ?私がそんなに子供に見えるわけ?失礼ねぇ。」
「試験勉強の時、がっつり寝てたのは忘れてないからな。」
「そ、それとこれとは話が別よ!」
ユキヤはため息をつく。
「・・・わかった。それでいい。その代わり、ちゃんと起きろよ。」
「わかってるわよ。」
すみれは胸を張って答える。
そんなすみれを見て、ユキヤは少し考えてから、
「・・・確かにいきなり純文学はハードル高いけど、
エッセイやラノベならお前でも楽しめるかもな」と助け船を出す。
ユキヤの言葉を聞いて、すみれは目を輝かせる。
「ほんと!?」
「ああ。今度探してみるか。」
「うん!ありがとっ!!」
***
食事を終えると、食器を洗った後で2人はテレビを見ながらくつろいだ。
バラエティ番組で芸能人が騒いでいるのを眺めているうちに時間は過ぎていく。
やがて、番組が終わるとすみれは立ち上がった。
「そろそろお風呂湧くから、先にシャワー浴びてきて」「ああ、そうだな。」
ユキヤが着替えを持って浴室へ向かう。
すみれはそれを見送ると、リビングの片付けを始めた。
といっても、 テーブルの上に置いてあるものを棚にしまうだけだ。
ユキヤは脱衣所で服を脱ぐと、そのまま浴場へと入った。
手早く身体を洗い終えると、ユキヤはそのまま湯に浸かる。
しばらくすると、ガラリと扉の開く音がした。
「ユキヤ?入るねー。」
その声と共に、すみれが入ってくる。
これはすみれの『一緒に入った方がガス代節約になる』という申し出のためだった。
そしてユキヤの隣に座る。
「ねえユキヤ?今日も髪、乾かすの手伝わせてくれる?」
「ん?ああ、いいぞ。」
2人は恋人同士だが、お互いの髪をドライヤーで乾かし合うのが習慣になっていた。
ユキヤが浴槽から出て椅子に座り、すみれがその後ろに膝立ちになる。
ユキヤの若干長めで明るめの茶髪に、すみれの指が通っていく。
「相変わらず綺麗な髪の毛よね。羨ましいなぁ。」
普段は後ろでまとめてポニテ状にしているが下ろせば肩の近くぐらいまであった。
「そうか?俺はすみれのストレートロングの方が好きだけどな。」
そう言いながらユキヤは自分の頭を撫でてくるすみれの手を掴んで引き寄せた。
「きゃっ・・・もうっ、急に引っ張らないでよっ」
「悪い、つい触りたくなってな。」
「まったく、しょうがないんだから・・・」
すみれは呆れたように言うが、口元には笑みが浮かぶ。
ユキヤはすみれの首筋にキスをする。
「ひゃっ、ちょっと、こんなところで・・・」「大丈夫だって、誰も来ないだろ。」
「そういう問題じゃなくて・・・あっ、だめっ・・・」
ユキヤはすみれを抱きしめたまま押し倒した。
それから唇を重ねる。
どうせこの後拘束されるんだから今のうちは好きにしたい・・・
ユキヤはそんなふうに思っていた。
すみれは抵抗しなかったし、むしろ積極的に舌を絡めてきた。
ユキヤもそれに応える。
やがてどちらともなく口を離すと、銀糸が伸びてぷつりと切れた。
「ふぅ、なんか今日のお前積極的じゃないか?何かあったのか?」
「別に?ただユキヤのこと好きだなあって思っただけ」
「なんだそりゃ」
「だから、ね・・・もっと気持ちよくしてあげたいなって・・・」
すみれの顔は真っ赤に染まっていた。
「ああ、頼むぜ」「うん、任せて!」
すみれはユキヤに抱きつくと、耳たぶを甘噛みする。
そのまま首筋、鎖骨へと舌を這わせる。
胸板を舐め上げ乳首を吸い上げる。
そして股間に顔を埋める。
「おい、まさかここでやるつもりなのか?」
「ううん、流石にここではしないわよ。」
すみれはそう言って笑うと、ユキヤと一緒に浴室を出た。
つづく
ユキヤは大学の付属図書館に来ていた。
意外かもしれないが、彼には時折文学をたしなむ趣味があった。
基本読書は一人で楽しむものとしているので、一人の時にしか来ない。
今日もお気に入りの小説を読みにきただけだ。
ユキヤはいつものように備え付けのソファに座って小説を読んでいた。
ふっと顔を上げると目の前に女の子がいる。
ユキヤは一瞬戸惑うものの、見覚えのある顔だとすぐに気づく。
「へぇ、君がこんなところに来るなんて珍しいわね。」
柳明日奈であった。
ユキヤは少し驚いた顔をするが、すぐに本に目を戻し、スマホの画面を見せる。
スマホにはメモ帳アプリが立ちあげられ、こう書かれていた。
『私語厳禁』ユキヤは表情を変えず再びページをめくっていく。
一見すましているように見えるが、先日の飲み会での顛末を思い出し、少し焦っていた。
(まぁここなら人もいるし、嫌でも静かにしないといけないし、何もしてこないと思うが。)
ユキヤはそんなことを考えていたのだが。
「あなたは一体何様のつもりなのかしら?」
唐突に明日奈から言葉を浴びせられる。
ユキヤは思わず顔を上げてキョトンとする。そして口の前に人差し指を立てた。「静かにしろ」の合図だ。
そのユキヤの顔を見た明日奈は少しイラっとする。(ちょっと生意気じゃない?)
「私の話を聞いていなかったの?それともまさか、自分が特別な人間だとか思ってんじゃないでしょうね?」
相変わらずのトゲがある物言いだが、ユキヤは何も答えなかった。
ただ黙々と読書を続けている。しかしそれがまた腹立たしいのか、
ユキヤが手にしている本を取り上げる。「・・・返せよ!」ユキヤは小さい声で言う。
「すまして何読んでるのよ・・・『櫻の園』?」
明日奈は手にした文庫本のタイトルを読み上げる。
決してラノベでも恋愛小説でもなく、れっきとしたロシア文学だ。
(うそ・・・流行り物の恋愛小説か何かだと思てたのに)
ユキヤの意外な部分を見てしまい、明日奈は若干狼驚く。
そして「え?これ読んで内容理解できてるの?」といささか失礼なことを聞いてくる。
「・・・・」ユキヤは再びメモアプリに書き込む。
『いまだに子供部屋と呼ばれている部屋。ドアの一つはアーニャの部屋へ通じる。
夜明け、ほどなく日の昇る時刻。もう五月で、桜の花が咲いているが、庭は寒い。
明けがたの冷気である。部屋の窓はみなしまっている。』
作品の冒頭部分を暗唱して見せた。
明日奈は思わず本を開いて、冒頭部分を見比べる。
今読んだ箇所と冒頭の部分は一致していた。
「え、この本・・・?」
明日奈がユキヤを見ると彼はニヤリと笑ってみせる。
「ふーん・・・意外に頭良いのね。」
明日奈は少し感心して言う。「・・・見直したわ。じゃあこれはどう?このお話の結末、知ってる?」
『それは・・・読め』
ユキヤが書いた文字に明日奈はムッとする。「そんなことわかってます~」と悪態をついた。
その隙を見てユキヤは本を取り戻す。「あっ!」
そしてそのまま踵を返し、貸出コーナーに向かって歩き出す。そして振り向かず、軽く手を振った。
明日奈はその背中をじっと見つめていたが、やがて自分も立ち上がってついていく。
(やられた!くぅ、悔しいなぁ)そんな風に思っていると、誰かから声を掛けられる。
「あの、あんまり騒がないでお静かにお願いします。」と職員から注意を受ける羽目になった。
(覚えてなさいよ・・・)
そしてユキヤは貸出手続きを済ませると、(家で読むしかないか・・・)と
ため息を吐いて図書館を後にした。
***
「ただいま」と言ってユキヤは家に入る。するとすぐに「おかえり」というすみれの声が聞こえる。
玄関まで迎えに来ないあたりが彼女らしかった。
(なんか週の半分はお互いの家を行き来してるような・・・)
と思いつつ靴を脱ぐ。
半同棲どころか殆ど同棲状態と言ってもいいだろう。しかしそれでも一応ルールはあった。
泊まるときは食事は基本的に一緒に食べ、すみれの家事を手伝う事になっている。
(料理に関しては、最近あまり手伝わせてくれないが)
もっとも最近はユキヤの方が忙しく、手伝いどころではなかったのだが。
リビングに入るとすみれは夕食を作っているところだった。
「何作るの?」とユキヤが聞くと、「カレーよ。もう少しでできるわ」と言う。
今日は金曜日で、明日明後日は大学が休みのため2人は明日もユキヤの家に泊まっていくつもりだ。
ユキヤがテーブルの席に着くと、程なくカレーライスが出てきた。
2人揃って「いただきます」をして食べる。「そういえば・・・」「ん?どうかした?」
スプーンを口に運びながらユキヤが何かを言いかける。
するとそれに反応したのかすみれが聞いてきた。
「また一人で図書館行ってたの?」
「・・・ああ。」ユキヤは口の中のものを咀しゃくしながら答え、
「だってお前、行きたがらないじゃないか。」
「そりゃそうだけどさぁ。私、別に本嫌いじゃないし、
自分で選んで買うくらいには好きなんだからね。」
ユキヤはそれを聞くと、黙ってすみれの顔を見る。そしてふっと笑う。
「集中すると俺は全然喋らなくなるけどいい?」「・・・それは嫌かな。」
すみれは苦笑いする。
ユキヤは本を読んでいる時、さっきのように本当に無言になるのだ。
それこそ、すみれが話しかけても気付かない程に。
「でも、俺もたまには1人でゆっくりしたいんだよなぁ。」ユキヤがぼやくように言うと、
すみれは少し考えるような仕草をする。
「・・・じゃあ、たまになら付き合ってあげようかしら。」
ユキヤはその言葉に嬉しそうな顔をするが、すみれは内心で思う。
(本当は、寂しいだけなんでしょう?)
「・・・途中で寝るなよ」
ユキヤがボソッと言った。
すみれは一瞬きょとんとした顔になるが、すぐに微笑む。
「えぇ?私がそんなに子供に見えるわけ?失礼ねぇ。」
「試験勉強の時、がっつり寝てたのは忘れてないからな。」
「そ、それとこれとは話が別よ!」
ユキヤはため息をつく。
「・・・わかった。それでいい。その代わり、ちゃんと起きろよ。」
「わかってるわよ。」
すみれは胸を張って答える。
そんなすみれを見て、ユキヤは少し考えてから、
「・・・確かにいきなり純文学はハードル高いけど、
エッセイやラノベならお前でも楽しめるかもな」と助け船を出す。
ユキヤの言葉を聞いて、すみれは目を輝かせる。
「ほんと!?」
「ああ。今度探してみるか。」
「うん!ありがとっ!!」
***
食事を終えると、食器を洗った後で2人はテレビを見ながらくつろいだ。
バラエティ番組で芸能人が騒いでいるのを眺めているうちに時間は過ぎていく。
やがて、番組が終わるとすみれは立ち上がった。
「そろそろお風呂湧くから、先にシャワー浴びてきて」「ああ、そうだな。」
ユキヤが着替えを持って浴室へ向かう。
すみれはそれを見送ると、リビングの片付けを始めた。
といっても、 テーブルの上に置いてあるものを棚にしまうだけだ。
ユキヤは脱衣所で服を脱ぐと、そのまま浴場へと入った。
手早く身体を洗い終えると、ユキヤはそのまま湯に浸かる。
しばらくすると、ガラリと扉の開く音がした。
「ユキヤ?入るねー。」
その声と共に、すみれが入ってくる。
これはすみれの『一緒に入った方がガス代節約になる』という申し出のためだった。
そしてユキヤの隣に座る。
「ねえユキヤ?今日も髪、乾かすの手伝わせてくれる?」
「ん?ああ、いいぞ。」
2人は恋人同士だが、お互いの髪をドライヤーで乾かし合うのが習慣になっていた。
ユキヤが浴槽から出て椅子に座り、すみれがその後ろに膝立ちになる。
ユキヤの若干長めで明るめの茶髪に、すみれの指が通っていく。
「相変わらず綺麗な髪の毛よね。羨ましいなぁ。」
普段は後ろでまとめてポニテ状にしているが下ろせば肩の近くぐらいまであった。
「そうか?俺はすみれのストレートロングの方が好きだけどな。」
そう言いながらユキヤは自分の頭を撫でてくるすみれの手を掴んで引き寄せた。
「きゃっ・・・もうっ、急に引っ張らないでよっ」
「悪い、つい触りたくなってな。」
「まったく、しょうがないんだから・・・」
すみれは呆れたように言うが、口元には笑みが浮かぶ。
ユキヤはすみれの首筋にキスをする。
「ひゃっ、ちょっと、こんなところで・・・」「大丈夫だって、誰も来ないだろ。」
「そういう問題じゃなくて・・・あっ、だめっ・・・」
ユキヤはすみれを抱きしめたまま押し倒した。
それから唇を重ねる。
どうせこの後拘束されるんだから今のうちは好きにしたい・・・
ユキヤはそんなふうに思っていた。
すみれは抵抗しなかったし、むしろ積極的に舌を絡めてきた。
ユキヤもそれに応える。
やがてどちらともなく口を離すと、銀糸が伸びてぷつりと切れた。
「ふぅ、なんか今日のお前積極的じゃないか?何かあったのか?」
「別に?ただユキヤのこと好きだなあって思っただけ」
「なんだそりゃ」
「だから、ね・・・もっと気持ちよくしてあげたいなって・・・」
すみれの顔は真っ赤に染まっていた。
「ああ、頼むぜ」「うん、任せて!」
すみれはユキヤに抱きつくと、耳たぶを甘噛みする。
そのまま首筋、鎖骨へと舌を這わせる。
胸板を舐め上げ乳首を吸い上げる。
そして股間に顔を埋める。
「おい、まさかここでやるつもりなのか?」
「ううん、流石にここではしないわよ。」
すみれはそう言って笑うと、ユキヤと一緒に浴室を出た。
つづく
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