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一章
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早速神殿へと向かった。
天神と海神と大地の女神が祀られた神殿だ。
天の父神ルフトゥ、海の母神ユーラ、その娘が大地の女神テルーレ。
女神テルーレは大地に生きる人を導き、人に寄り添う神として特に親しまれ崇められている。
私が預けられお世話してくれた神官様との面会を希望して応接室で待っていた。
「エレ!久しぶりだな!」
「お久しぶりです!お元気ですか?」
「エレが居なくなって神殿が静かだよ」
「えー。私そんな騒がしかったですか?」
「そりゃそうさ!エレは色々やらかしたからなぁ」
元気よく扉を開けて入ってきたのはダングス神官様。
勢いよく私に近づきバシバシ肩を叩き、わしゃわしゃと頭を撫でる。物静かな神殿内で豪快な言動をするダンおじちゃんは相変わらず神官らしくない。
私の世話をしてくれたダンおじちゃん。
預けられた当時、幼かった私は神官様をダンおじちゃんと言って彼に懐いていた。
幼い頃の私の面倒をみてくれた、第二の父とも言える人。
当時から私はソルシエレから下のエレを取って、エレと呼ばれている。父様は私をソルシエレの上だけを読んでソルと呼んでいた。同じ呼び名だと思い出してツライかもしれないからと言う配慮から、違う呼び名のエレで呼ばれていた。
両親から見放され、神殿に押し付けられ、その間私を育ててくれたダンおじちゃん。
大好きなダンおじちゃんに今までの私の成長振りを話したりした。私が幼い頃神殿でやらかしたことなどで、だいぶ盛り上がった。
でもおねしょの話はしなくていいの!!
全く恥ずかしいわ!!
ダンおじちゃんと会うのも久しぶりで話しに花が咲いた。
「で。今回はどんな問題かな?」
「あははは。問題じゃないよー?聞きに来ただけよ?」
ダンおじちゃんの意味深ににこりと笑うその目は糸目で温和な雰囲気。なのに。なぜ背後から何かが睨んでるのかしらー。知らないわー。
「コレを、どうしたらいいか聞きに来ただけ」と木箱を出すと、見慣れた渋い顔になった。「何で問題持ってくるんだ」と叫けばれた。
私だって不可抗力だよー!
「呪術がかけられている。浄化すれば解呪できるかもしれないが」
渋るダンおじちゃんを「後で寄進するから」と、なんとかなだめて解呪してもらうことになった。
寄進代は王様のツケでお願いします。
ダンおじちゃんの祈りに木箱が光に包まれていく。それと共に黒い煙りのようなものが立ち登っていく。
珍しくダンおじちゃんの額に大きな汗が浮かび祈りも力が込められたのか光が強くなっていく。
〈娘よ!〉
ハッと王様をみると王様の姿がユラユラと、揺れていく。
〈儂が透けていくぞ?〉
『え?王様!大丈夫ですか!?』
〈儂はどうなるんだ!?〉
『すみません!わかりません!!』
〈娘!不敬罪でしょっ引くぞ!〉
『えー!!酷いです!』
〈娘!祟ってやるぞーー…… 〉
慌てふためきながら消えていく王様。
え!?死んだ?浄化して、成仏しちゃってる?
ダンおじちゃんは「はー」と大きなため息を吐きながら床に座り込んだ。
ダンおじちゃんは滝の汗を流してた。
どうやらかなり強かったみたいで、体力の限界まで力を使ったと文句を言われた。
浄化された小箱を開けると一束の毛が入っていた。
「コレは俺が預かるよ」
有無を言わせないダンおじちゃんの雰囲気にただ頷き返す。
今日は帰りなさいと促され重い足取りで家路に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日もお昼投稿出来ずすみません。
明日の予投稿定が微妙なので、夕方6時以降にもう一話投稿します。
ご読了ありがとうございました。
次もよろしくお願いします。
天神と海神と大地の女神が祀られた神殿だ。
天の父神ルフトゥ、海の母神ユーラ、その娘が大地の女神テルーレ。
女神テルーレは大地に生きる人を導き、人に寄り添う神として特に親しまれ崇められている。
私が預けられお世話してくれた神官様との面会を希望して応接室で待っていた。
「エレ!久しぶりだな!」
「お久しぶりです!お元気ですか?」
「エレが居なくなって神殿が静かだよ」
「えー。私そんな騒がしかったですか?」
「そりゃそうさ!エレは色々やらかしたからなぁ」
元気よく扉を開けて入ってきたのはダングス神官様。
勢いよく私に近づきバシバシ肩を叩き、わしゃわしゃと頭を撫でる。物静かな神殿内で豪快な言動をするダンおじちゃんは相変わらず神官らしくない。
私の世話をしてくれたダンおじちゃん。
預けられた当時、幼かった私は神官様をダンおじちゃんと言って彼に懐いていた。
幼い頃の私の面倒をみてくれた、第二の父とも言える人。
当時から私はソルシエレから下のエレを取って、エレと呼ばれている。父様は私をソルシエレの上だけを読んでソルと呼んでいた。同じ呼び名だと思い出してツライかもしれないからと言う配慮から、違う呼び名のエレで呼ばれていた。
両親から見放され、神殿に押し付けられ、その間私を育ててくれたダンおじちゃん。
大好きなダンおじちゃんに今までの私の成長振りを話したりした。私が幼い頃神殿でやらかしたことなどで、だいぶ盛り上がった。
でもおねしょの話はしなくていいの!!
全く恥ずかしいわ!!
ダンおじちゃんと会うのも久しぶりで話しに花が咲いた。
「で。今回はどんな問題かな?」
「あははは。問題じゃないよー?聞きに来ただけよ?」
ダンおじちゃんの意味深ににこりと笑うその目は糸目で温和な雰囲気。なのに。なぜ背後から何かが睨んでるのかしらー。知らないわー。
「コレを、どうしたらいいか聞きに来ただけ」と木箱を出すと、見慣れた渋い顔になった。「何で問題持ってくるんだ」と叫けばれた。
私だって不可抗力だよー!
「呪術がかけられている。浄化すれば解呪できるかもしれないが」
渋るダンおじちゃんを「後で寄進するから」と、なんとかなだめて解呪してもらうことになった。
寄進代は王様のツケでお願いします。
ダンおじちゃんの祈りに木箱が光に包まれていく。それと共に黒い煙りのようなものが立ち登っていく。
珍しくダンおじちゃんの額に大きな汗が浮かび祈りも力が込められたのか光が強くなっていく。
〈娘よ!〉
ハッと王様をみると王様の姿がユラユラと、揺れていく。
〈儂が透けていくぞ?〉
『え?王様!大丈夫ですか!?』
〈儂はどうなるんだ!?〉
『すみません!わかりません!!』
〈娘!不敬罪でしょっ引くぞ!〉
『えー!!酷いです!』
〈娘!祟ってやるぞーー…… 〉
慌てふためきながら消えていく王様。
え!?死んだ?浄化して、成仏しちゃってる?
ダンおじちゃんは「はー」と大きなため息を吐きながら床に座り込んだ。
ダンおじちゃんは滝の汗を流してた。
どうやらかなり強かったみたいで、体力の限界まで力を使ったと文句を言われた。
浄化された小箱を開けると一束の毛が入っていた。
「コレは俺が預かるよ」
有無を言わせないダンおじちゃんの雰囲気にただ頷き返す。
今日は帰りなさいと促され重い足取りで家路に向かった。
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今日もお昼投稿出来ずすみません。
明日の予投稿定が微妙なので、夕方6時以降にもう一話投稿します。
ご読了ありがとうございました。
次もよろしくお願いします。
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