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しおりを挟むそんなある日、俺は配達帰りに強面に絡まれた……。
「おい!兄ちゃん、配達帰りかい?」
「俺ら暇なんだ」
「ちょっと兄ちゃんの所にお邪魔していいかい?」
「お兄さんとゆっくりお話したいのですが?」
筋肉で太く盛り上がる腕を俺の肩にかけて接近するマッチョ四人を胡乱気に一瞥した。
「仕事中の薬師に絡むなんて、非番と言えども騎士は暇なんですね?」
嫌味を言えば流石にバツの悪そうな表情を浮かべている。
警備隊の四人組だ。
「ま、気にすんな」
「そうそう」
意味ありげに顔を見合わせながら俺の肩を叩くのはヤメろ。
痛いから。騎士の筋肉は伊達じゃないだろ!この脳筋!!
詰所から店まで大した距離が無い以上、あっと言う間に着いてしまう。
「兄ちゃんお帰りー!あれ?み、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ……」
両手にマッチョに囲まれた兄の図、に引き気味の妹の気持ちは良く分かる。
兄はその道では無いからな?
間違っても勘違いするなよ?
妹の痛い視線が改善されることを祈りたい。
彼等に携帯用の薬について聞かれた。
あまりにも普通で、あまりにも当たり前な相談で肩透かしを喰らった。
街の巡回に携帯用傷薬や湿布薬など必要としない。
遠征する部署ではない警備隊詰所ではあまり常備していないらしい。
生薬だと、腐りやすくカビも生える。
携帯用薬は粉末だ。
粉末状にして使用する時に水を加えて練って使う。旅行者や冒険者、傭兵等は携帯用薬が必須になる為、もちろんウチにも置いてある。
効能によって自分で配合しながら混ぜることもできるので注意事項を説明した。
説明していると昼近くになった。
昼近くになると妹がソワソワと話しかけてきた。
昼飯の準備していたからだろう。
何故か騎士達四人もソワソワしている。
胡散臭い奴らだ。
早く帰れ!
妹を見るな!
「そろそろお昼ですが……皆さんご予定は?良かったらお昼ご一緒にいかがですか?」
「いやぁ、悪いなぁ!」
「是非ご相伴に預からせて下さい!」
「ゴチになります!」
「楽しみっす!」
妹の表情から社交辞令が有り有りと分かるにもかかわらず、遠慮無く食い気味に詰め寄る騎士達に呆れを通り越して、納得してしまった。
俺に絡んで店に来たのは理由があったのだ。
携帯薬は言い訳で……。
「やっと食べれる」
「長かった」
「匂いだけで辛かったぜ」
「楽しみっす」
お前ら聞こえてるからな!
飯目当てかーーー!!??
ウチは飯屋じゃねぇーーーー!!!!
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