17 / 44
17.宿へ
しおりを挟む
無事チハルとパメラを救出できたイブロらは、揃って館を出る。外にでて墓地を抜ける頃にはすっかり日も暮れてきていたので、彼らは疲労もあることから一旦ここで解散することにしたのだった。
別れ際にクロエが「今回の事はキッチリ調査しておきますのでご安心を」という言葉をイブロへ残し、不適な笑みを浮かべていたのが彼の印象に残る。
あれは絶対何か良くないことを考えている顔だ……とイブロは思い、先ほどの事を思い出し身震いしてしまう。しかし、彼のあの顔の向かう矛先は自分たちは関係ない事だと、この先起こることについて考えるのをやめた。
湖のほとりまで出たところで、イブロはソルの背をわしゃわしゃと撫でる。
「ソル、助かった。ありがとうな」
「ありがとう、ソル」
イブロに続きチハルもソルへ労いの言葉を述べ、チハルも彼に続きソルの頭をそっと撫でた。
一方撫でられたソルは気持ちよさそうに目を細め、一声吠えブルブルと身を震わせる。
イブロとチハルはここでソルと別れ、宿泊予定の「齧りつくカモメ停」へ向かうのだった。
◆◆◆
「齧りつくカモメ停」の扉をくぐると、昼間と異なり中は酒と食事を楽しむ客でごった返していた。
それでも、マスターはイブロ達の姿をすぐに認め気さくに声をかけてきてくれる。
「お疲れな顔をしているな、イブロ。そこの料理を持っていくといいぜ。部屋で食べな」
「悪いな。助かるぜ」
イブロが一人ならマスターは絶対にこういう提案はしない。しかし、彼の良いところはさりげなくチハルを気遣ってくれることだろう。
この時間になると、チハルくらいの歳の者の姿は無く珍しさから絡んでくる酔っ払いも出てくるかもしれない。
しかし……食事の準備まで万全にしているとは……イブロはマスターへ心の中で再び礼を言ったのだった。
マスターのおかげで少し心が温かくなったイブロは、上機嫌でチハルと共に部屋に戻る。
そのままテーブルに食事を置いて食べ始めたところで、イブロはとあることに気が付く。
「すまん、チハル。服屋で最初に買った服……服屋に置いたままだった」
「そうなんだ。わたしは構わないよ、イブロ。この服があるし」
頭をボリボリとかくイブロ。一方チハルはメイド服の袖を指で引っ張ると何かに気が付いたように口元に指先を当てる。
「イブロ、わかるよ。イブロは今『嫌そうな』顔をしてるって」
「え? あ、ああ」
図星を突かれたイブロは顔をしかめ、無精ひげを撫でまわす。
「んーと、この服が好きじゃないと思うんだ。だから……」
チハルは椅子から立ち上がると、メイド服へ手をかけ……。
「待て、脱がなくていい! 替えの服もないだろ。それに、人間は他の人の前で裸にならないんだ」
「そう……『嫌なこと』をわたしはイブロにしたくないよ?」
「んー、そのままでいい。それにしても、チハル。随分、人のことを学んだんだな。偉いぞ」
「うん。パメラがいろいろ教えてくれたの」
「そうか」
あの短い時間でチハルはパメラからいろんなことを学べたんだな。イブロは微笑ましい気持ちになりついチハルの頭を撫でる。
するとどうだろう。彼女は目を細めうーんと気持ちよさそうな顔をするではないか。
「暖かい……ソルも暖かいのが『気持ちよく』て目を細めたんだよね」
「そうだ」
再び食べ始める二人。イブロはチハルの成長を促すにはやはり自分一人だと足らないと思い始めていた。
もちろん、イブロはこれからもチハルを護っていくつもりではある。しかし、左目を探す道中で人と交流できる機会があれば活かしていきたいと考えている。
もっとも、人を見極めねばこちらが害される事件に巻き込まれる可能性もあるから難しいところだが……。
「イブロ、その顔は何か考えている時の顔だよね」
「そうだな……」
本当によく観察しているなとイブロは驚きで目を見開く。
「うーんと、イブロの考えていたことは……」
「考えていたことは?」
まさか分かるのか? と思い食事を取る手を止めじっとチハルを見つめるイブロ。
「今日あったことを思い返していた?」
ガクリと首を落とすイブロだった。やはり、人の考えていることを読めるわけではないのか。
逆に少し安心したイブロは、首を振りつつチハルの言葉に応じる。
「いろいろあったよな。服屋に行って、チハルとパメラが攫われて……」
「イブロが助けに来てくれて、女の人と……」
女……イブロはあの女と口づけを交わしたことを思い出し頭を抱える。ま、まさかあんなことになるなんて。
結果的にうまくいったからいいものの……。
「そ、そうだな……」
イブロは乾いた笑い声をあげる。
「あの女の人といろんなことをお話していたね。わたし、一つ印象に残ったことがあるの」
思い出したくもない。イブロは首をブンブン振り、ビールを探すが持ってきていないことを思い出し仕方なく水を一息で飲み干した。
「時は過ぎるものというところ」
「あ、確かにそのことは一番印象に残ったな。時は残酷だとも言っていたな」
「イブロもそう思うの?」
チハルは食事の手をとめ、じーっとイブロを見つめる。
「俺はずっと過去に囚われているからな。時の経過は抜け出せない迷宮みたいなものだ。チハルはどうなんだ?」
「うーん、時は過ぎるものじゃなくて、時は満ちるものだよ?」
「そうか……深いな」
「そう? パメラやクロエならどういうことを言うのかなあ」
「聞いてみるか」
「うん!」
チハルは口元だけに笑みを浮かべ、首を縦に振った。
人の考え方に興味を持つことはとてもいい傾向だ。イブロはチハルへ頷きを返すのだった。
◆◆◆
――翌朝
イブロとチハルが朝食をとっていると、パメラの使いの者がやって来て彼らに包み紙を手渡す。
中には昨日チハルのために購入した服ともう一着、着替え用の服まで入っていた。手紙も添えられていて、内容は昼食の誘い。場所は昨日彼らが食事をした洒落たレストランだった。
朝食の後、イブロはチハルを伴い、旅に必要な細かい道具を買い揃え件のレストランへ向かう。
彼らが到着すると、すでにパメラとクロエは来ており奥のテーブル席へ彼らを案内する。
「イブロさん、昨日のことは感謝してもしきれませんわ。改めてありがとうございます」
パメラはスカートの端をつまみ淑女然とした礼を行う。その姿は幼くてもさすが貴族と思わせるもので、イブロからすると完璧な礼儀作法に見えた。
「イブロさん、昨日はありがとうございました。伯爵家としても私個人としても感謝いたします」
クロエもまた優雅な礼をし、イブロへ感謝を述べた。
「いや、昨日も言ったがお互い様だ。それに礼はいただくっていっただろ?」
「はい。心得ております。むしろ、お嬢様は大層喜んでらっしゃいますよ」
「チハルとご一緒できるなんて、私の方がご褒美をいただくみたいですわ」
などなど、言葉が交わされ食事が運ばれてくる。
「イブロさん、昨日の事件のあらましが大方判明いたしました」
「ほう……早いな……」
イブロは不適な笑みを浮かべるクロエへ言葉を返すも、背筋に嫌な汗が流れた。
分かっていても、クロエのこの笑みは苦手だ……イブロは肩を竦める。
そして、クロエが語る事件の真相を聞きながらイブロはやはり……「この男……できる」と改めて思うのだった。
別れ際にクロエが「今回の事はキッチリ調査しておきますのでご安心を」という言葉をイブロへ残し、不適な笑みを浮かべていたのが彼の印象に残る。
あれは絶対何か良くないことを考えている顔だ……とイブロは思い、先ほどの事を思い出し身震いしてしまう。しかし、彼のあの顔の向かう矛先は自分たちは関係ない事だと、この先起こることについて考えるのをやめた。
湖のほとりまで出たところで、イブロはソルの背をわしゃわしゃと撫でる。
「ソル、助かった。ありがとうな」
「ありがとう、ソル」
イブロに続きチハルもソルへ労いの言葉を述べ、チハルも彼に続きソルの頭をそっと撫でた。
一方撫でられたソルは気持ちよさそうに目を細め、一声吠えブルブルと身を震わせる。
イブロとチハルはここでソルと別れ、宿泊予定の「齧りつくカモメ停」へ向かうのだった。
◆◆◆
「齧りつくカモメ停」の扉をくぐると、昼間と異なり中は酒と食事を楽しむ客でごった返していた。
それでも、マスターはイブロ達の姿をすぐに認め気さくに声をかけてきてくれる。
「お疲れな顔をしているな、イブロ。そこの料理を持っていくといいぜ。部屋で食べな」
「悪いな。助かるぜ」
イブロが一人ならマスターは絶対にこういう提案はしない。しかし、彼の良いところはさりげなくチハルを気遣ってくれることだろう。
この時間になると、チハルくらいの歳の者の姿は無く珍しさから絡んでくる酔っ払いも出てくるかもしれない。
しかし……食事の準備まで万全にしているとは……イブロはマスターへ心の中で再び礼を言ったのだった。
マスターのおかげで少し心が温かくなったイブロは、上機嫌でチハルと共に部屋に戻る。
そのままテーブルに食事を置いて食べ始めたところで、イブロはとあることに気が付く。
「すまん、チハル。服屋で最初に買った服……服屋に置いたままだった」
「そうなんだ。わたしは構わないよ、イブロ。この服があるし」
頭をボリボリとかくイブロ。一方チハルはメイド服の袖を指で引っ張ると何かに気が付いたように口元に指先を当てる。
「イブロ、わかるよ。イブロは今『嫌そうな』顔をしてるって」
「え? あ、ああ」
図星を突かれたイブロは顔をしかめ、無精ひげを撫でまわす。
「んーと、この服が好きじゃないと思うんだ。だから……」
チハルは椅子から立ち上がると、メイド服へ手をかけ……。
「待て、脱がなくていい! 替えの服もないだろ。それに、人間は他の人の前で裸にならないんだ」
「そう……『嫌なこと』をわたしはイブロにしたくないよ?」
「んー、そのままでいい。それにしても、チハル。随分、人のことを学んだんだな。偉いぞ」
「うん。パメラがいろいろ教えてくれたの」
「そうか」
あの短い時間でチハルはパメラからいろんなことを学べたんだな。イブロは微笑ましい気持ちになりついチハルの頭を撫でる。
するとどうだろう。彼女は目を細めうーんと気持ちよさそうな顔をするではないか。
「暖かい……ソルも暖かいのが『気持ちよく』て目を細めたんだよね」
「そうだ」
再び食べ始める二人。イブロはチハルの成長を促すにはやはり自分一人だと足らないと思い始めていた。
もちろん、イブロはこれからもチハルを護っていくつもりではある。しかし、左目を探す道中で人と交流できる機会があれば活かしていきたいと考えている。
もっとも、人を見極めねばこちらが害される事件に巻き込まれる可能性もあるから難しいところだが……。
「イブロ、その顔は何か考えている時の顔だよね」
「そうだな……」
本当によく観察しているなとイブロは驚きで目を見開く。
「うーんと、イブロの考えていたことは……」
「考えていたことは?」
まさか分かるのか? と思い食事を取る手を止めじっとチハルを見つめるイブロ。
「今日あったことを思い返していた?」
ガクリと首を落とすイブロだった。やはり、人の考えていることを読めるわけではないのか。
逆に少し安心したイブロは、首を振りつつチハルの言葉に応じる。
「いろいろあったよな。服屋に行って、チハルとパメラが攫われて……」
「イブロが助けに来てくれて、女の人と……」
女……イブロはあの女と口づけを交わしたことを思い出し頭を抱える。ま、まさかあんなことになるなんて。
結果的にうまくいったからいいものの……。
「そ、そうだな……」
イブロは乾いた笑い声をあげる。
「あの女の人といろんなことをお話していたね。わたし、一つ印象に残ったことがあるの」
思い出したくもない。イブロは首をブンブン振り、ビールを探すが持ってきていないことを思い出し仕方なく水を一息で飲み干した。
「時は過ぎるものというところ」
「あ、確かにそのことは一番印象に残ったな。時は残酷だとも言っていたな」
「イブロもそう思うの?」
チハルは食事の手をとめ、じーっとイブロを見つめる。
「俺はずっと過去に囚われているからな。時の経過は抜け出せない迷宮みたいなものだ。チハルはどうなんだ?」
「うーん、時は過ぎるものじゃなくて、時は満ちるものだよ?」
「そうか……深いな」
「そう? パメラやクロエならどういうことを言うのかなあ」
「聞いてみるか」
「うん!」
チハルは口元だけに笑みを浮かべ、首を縦に振った。
人の考え方に興味を持つことはとてもいい傾向だ。イブロはチハルへ頷きを返すのだった。
◆◆◆
――翌朝
イブロとチハルが朝食をとっていると、パメラの使いの者がやって来て彼らに包み紙を手渡す。
中には昨日チハルのために購入した服ともう一着、着替え用の服まで入っていた。手紙も添えられていて、内容は昼食の誘い。場所は昨日彼らが食事をした洒落たレストランだった。
朝食の後、イブロはチハルを伴い、旅に必要な細かい道具を買い揃え件のレストランへ向かう。
彼らが到着すると、すでにパメラとクロエは来ており奥のテーブル席へ彼らを案内する。
「イブロさん、昨日のことは感謝してもしきれませんわ。改めてありがとうございます」
パメラはスカートの端をつまみ淑女然とした礼を行う。その姿は幼くてもさすが貴族と思わせるもので、イブロからすると完璧な礼儀作法に見えた。
「イブロさん、昨日はありがとうございました。伯爵家としても私個人としても感謝いたします」
クロエもまた優雅な礼をし、イブロへ感謝を述べた。
「いや、昨日も言ったがお互い様だ。それに礼はいただくっていっただろ?」
「はい。心得ております。むしろ、お嬢様は大層喜んでらっしゃいますよ」
「チハルとご一緒できるなんて、私の方がご褒美をいただくみたいですわ」
などなど、言葉が交わされ食事が運ばれてくる。
「イブロさん、昨日の事件のあらましが大方判明いたしました」
「ほう……早いな……」
イブロは不適な笑みを浮かべるクロエへ言葉を返すも、背筋に嫌な汗が流れた。
分かっていても、クロエのこの笑みは苦手だ……イブロは肩を竦める。
そして、クロエが語る事件の真相を聞きながらイブロはやはり……「この男……できる」と改めて思うのだった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる