無双将軍の参謀をやりながら異世界ローマも作ってます

うみ

文字の大きさ
77 / 167

77.バルネア完成!

しおりを挟む
――二か月後
 諸君。見てくれたまえ。これがローマだ! おおローマ。ローマよ。俺は感動に打ちひしがれている。
 ついに公共入浴施設「バルネア」が完成したんだー! 名前はまんま風呂だけど……

 公共風呂「バルネア」は木製のログハウス風の建物が外観で、苦労に苦労を重ねた大理石を床に敷き詰めた浴槽に、ゴボゴボとお湯が出るライオン風の口。
 浴槽のサイズはなんと、縦十メートル。横二十メートルにもなる巨大なものだ!
 さらに、「ポンプ」「浄化」「お風呂用の加温」のオパールを惜しげもなく使用している。

 実はお湯を循環させる必要はなかったんだけど、俺の拘りで実装された。上下水道にも「ポンプ」のオパールは使うからその実験も兼ねてだけど。

 素晴らしい! 何度見ても素晴らしい!

 おお。バルネア。バルネアよ。汝はなんと美しい事か。

「ピウス様! お待たせしました!」

 待ち合わせをしていたティンがバルネアへやって来た。彼女の装いは胸に黒の絹帯を巻き付けて、腰布を巻いている。腰布の裾は短く、しゃがむと全部見えてしまいそうな長さだ。
 これはパンツが無かった為の緊急措置で、いずれ水着を開発してやろうと俺は意気込んでいる。
 一方俺はというと、麻の布を腰に巻いただけの姿でこれも水着の代用のつもりだった。

 バルネアは水着着用で入る温浴施設にしたのだ。古代ローマのサウナは裸だったが、ここでは男女共に入浴できるし、裸だと戸惑う人もいるだろうと配慮してみたんだけど、それは俺が現代人の感覚で裸だと恥ずかしいんじゃと思ったに過ぎなくて、実は裸でも問題なかった……
 歴史を顧みてみると、日本の江戸時代は男女混浴だったらしいし。男女別の習慣は西欧から入って来たんだったか。
 ま、まあ。水着着用のお陰でいずれパンツとブラジャーが発達するはずだ! 悪い話じゃない。た、たぶん。

「ティン。風呂に入ってから街の様子を見に行こうか」

「はい!」

 ティンが手を差し出して来てまた戻したので、俺は彼女の手を握りしめて浴槽へ促す。彼女は戸惑ったようだったが、俺に体を寄せて来た。最近少しティンが大胆になって来た気がするぞ。
 実はティンと一緒に風呂に入る予定はなかった。俺は一人で風呂の様子を確かめた後、ローマの様子を見学する予定だったんだ。
 俺はそろそろ街の開発が落ち着いて来たから、外へ出て行こうと考えている。その確認として今日ローマの視察を行おうと思っている。たまたま、ティンが俺の家で家事当番をやっていてくれていたから、ご一緒したってわけだよ。
 外へ出るといっても、まずはナルセスと会うことからだな。先月人間の街――フランケルという名前だったらしい――の冒険者の宿でナルセスへ伝言をお願いしたところ、多少の手数料で引き受けてくれて、彼らからの連絡ではナルセスがフランケルに来てくれるとのことだった。
 ちょうどローマの街建設も落ち着いて来たから、この機会に外へ出ようというわけなんだよ。

 俺はティンと浴槽に腰を下ろし、ふうと息を吐く。湯加減は少しぬるめだが、やはり風呂は良い。昼間から何してんだって話だが、明るいうちの風呂も好きだ。朝風呂も好きだ。
 もちろん夜入るのも好きだ。

「ピウス様、お風呂大好きなんですね!」

「風呂は良い。疲れも取れるし、毎日の心労も癒してくれる……」

「私がピウス様の癒しになれればなあ……」

「ん? 何か言ったか? ティン?」

「いえ! 何でもないです!」

 そういえば、この前ティンが卵とかうわごとで言っていたな……あれはどういう意味なんだろう。聞いたらダメだと自重していたけど、何のことなのか興味はやはりある。

「ティン。卵……」

「卵? え、えええ! ピウス様!」

 何故かティンは真っ赤になってうつむいてしまった! 卵って何? 何だよー!

「ど、どうしたんだ……ティン」

「ピ、ピウス様はその……卵が欲しいんですか?」

 卵で思い出した! ラヴェンナの街もこの後見学する予定だった。ラヴェンナも最低限の整備が終わり、いよいよ商人らに声をかける予定なんだ。外へ出るつもりだけど、ラヴェンナの様子は定期的に見に来ないとだな。
 行商が上手くいってるのかなど確認することは多々ある。外へ出る理由は大きく、ラヴェンナへ人を呼び込むことと外部にある国の状況を調査すること。

 卵と言えば、俺にとっては鶏の卵なんだよなあ。人間の街では鶏も牛も飼育されているから、ラヴェンナやローマでも飼育したいところだ。鶏は素人でも何とかなりそうだけど、牛は難しいだろうなあ。

「卵……ティンも欲しいのかな?」

「え。ピ、ピウス様となら……」

 俺と? 何か話がズレてる気がする……良くない予感がするぞ……
 何やらティンの顔が至近距離に、彼女はギュッと目をつぶり唇をんっとこちらへ向けている。

 な、何? この展開! こ、こんな誰でも来るような場所で。

 俺は思わず彼女を抱きしめてしまう。彼女の柔らかさと、暖かさに頭がクラクラしてくる。俺が抱きしめると、彼女も俺の背中に腕を回してくる。
 な、流されてこんなことをしていいのか? ちゃんと話をした方がいいんじゃないか? いや、でも。あああ! 理性が。

 ベリサリウスが誰にも手を出していない状況で、俺がはっちゃけていいのかとか頭によぎるが、俺の欲望が理性を侵食していく。

 俺はティンをさらに抱き寄せると、彼女も自ら俺に密着してくる。
 互いの唇はもう指先一本分も離れていない。

 俺は彼女にそっと唇を合わせ、離れると今度は彼女から俺に口づけをしてくる。そして再度口づけを交わす俺達……
 俺の手が彼女の背中を優しく撫でると、彼女も愛おしそうに俺の肩や首を撫でてくる。

――ガタっと誰かの足音が!

「あら、お邪魔だったかしら」

 口に手をあてニヤニヤとこちらを見ているのは、腕を胸の前で組んだエリスだった!
 よりによって一番見られたくない奴に見られるとは! 彼女もティンと同じように胸と腰に絹の布を巻き付けている。ティンと違い布の色は黒だったけど。

 俺はエリスの声と共に、ティンを抱いていた腕を離すが彼女は離すどころかさらに強く俺を抱きしめて来る。
 たぶん、恥ずかしさでこうなってるんだろうけど……

「エリスさん!」

「プロなんとかさん。お楽しみのところごめんなさいねー」

 エリスはさも楽しそうに俺へ声をかける。ちくしょう! この状況は何も言い返せない。

「ティン。すまない。こんなとこで……つい……」

「ピウス様! 私なら……いつでも!」

 だからそんな発言をエリスの前でするなー! 案の定あの悪魔はものすごーくいい笑顔をしているじゃないか!

「ふうん。ティンと新しくできたお風呂場でよろしくやっていたってわけー?」

「ち、違いますって! エリスさん!」

「どう違うっていうのー?」

 困った俺にティンが助け舟を出してくれる。ちなみにまだ俺に抱きついたままだ。

「エリスさん! 違います! 私はまだ抱きしめてもらっただけです!」

 こら! ティン! 地雷を踏み抜くな!

「へえへえ。まだね。ふうん。まだなのねー。じゃあこれからなのかしらねー。やーらしー」

「わ、私はいつでも!」

 ティン。もう頼むから。俺のライフは既に無いぞ…… 
 俺はこの場を落ち着けるのに、三十分くらいかかったとだけ言っておこう。そしてエリスへベリサリウスとのデートの約束の手配をしろと約束させられた……

※ラブコメ反対ー。許さん。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...