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第3話 なんのかんので打ち解ける
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なんて思っていたのだが、彼らは特に俺の身の上のことなんて聞いてもこなかった。
「それでランカーとなり、数年が過ぎたというわけだ」
三人の中でも特に虎頭は上機嫌に自分のことを語ってくれるからありがたい。招いてはいないが一応俺がこの店のホストなので、ビールやおつまみくらいは出したいところだけど、インベントリーもまだ見ていないからなあ。インベントリーとはオンラインゲームによくあるホームに置くことができるアイテムボックスなんだ。インベントリーは箱型の家具であれば何でもインベントリーに指定することができて、一定量のアイテムを入れることができる。インベントリーと似たようなものにゴミ箱ってのもあって、こちらはどんなアイテムでも処分することができるのだが、使用には若干注意が必要だ。「それを捨てるなんてとんでもない」なんて仕様はないから、どれほど大事にしていたアイテムであろうが、ゴミ箱に捨てると処分され消えてしまう。
彼らの前でインベントリーをごそごそすると要らぬ注目を集めてしまいそうだから、彼らが立ち去ってからゆっくり確認しようと思って。アナザーワールドオンラインではありふれたアイテムでも、この世界で超絶レア、または存在しないアイテムの可能性もあるわけだからね。
さてさて、話変わってここまで彼らから聞いた情報をまとめてみよう。
この世界……アナザーワールド「オフライン」とでも名付けようか。我ながらセンスがない、後で要修正だ。……ともかく、アナザーワールドオフラインの世界では様々な薬草や鉱物から果ては食材までの素材収集、モンスター討伐、護衛などなどで活躍する探索者たちがいる。ファンタジー世界にはよくある職業だな、うん。
探索者の規模は非常に大きく、凡そ10万人ほどいる。数を把握できているのは探索者になるに必ず手続きをして発行しなければならない探索者カードによるところが大きい。会員証を発行して発行枚数で会員数をカウントしている、とかなのかな?
また、一定以上の実績をあげた探索者はランカー選抜試験を受けることでランカー認定された探索者になることができるのだと。実力者と認められたランカーになれば、報酬もあがり、中には一国の騎士として召し上げられた者もいるのだとか。
「ランカーはどれくらいいるの?」
「そうじゃな、2000人くらいじゃないのかの」
ワニのローブ姿がおっとりとした様子で応じる。すると間髪入れず虎頭が割って入った。
「おいおい、いつの時代の話をしているんだよ。今は5000人くらいはいるんじゃねえか」
「それほど増えたのか」
「つっても生き残っている人数は5000ってわけじゃねえが」
「死亡確認されるまで、削除されないからの」
10万人の中から5000人だと全体の5パーセントとなり、なかなかの狭き門だと分かる。ランカーというステータスが世間的に信頼が厚くなるのも、少数精鋭だからだろう。5000人と数だけ聞くととても多い人数に思えるが、上位5パーセントと聞くと途端に印象が変わるよね。
「みんなは相当な実力を持つ探索者だということが分かったよ」
「ううん、まだまだよ。世界にいくつかある最難関ダンジョンや塔、古代遺跡なんかは見学がせいぜいね」
「世界は広いんだなあ」
「そうね、飽きないわよ」
まだまだよ、と切れ長の目を細くするダークエルフのエルフィ―。
なるほどなあ。アナザーワールドオフラインの世界はゲームよりもはるかに広いのかも。そう考えると少しワクワクしてきたが、これが夢ではなく異世界にきたのだとしたら……冒険より急務なことがある。
それは、ペットのハムちゃんと再会すること。ハムちゃんをあのまま一匹にしとくなんてとんでもない。せめて家族にハムちゃんの世話をお願いするなどしたい。ひょっとしたら元の世界に帰還したら、異世界に転移した時から時間が過ぎていない可能性がある。逆に数百年過ぎていた、ってこともあるよな?
異世界転移に何故を求めるのはナンセンスかもしれないが、次の三つのうちどれかを達成しなきゃ、安心できん。
一つ目、元の世界に帰還。王道にして最適だが、一番困難だろうなあ。
二つ目、家族か同僚の誰かに連絡を取る。ゲームのメッセージ機能で通信できたりしないか試してみよう。
三つ目、ハムちゃんをアナザーワールドオフラインの世界に召喚する。俺が異世界転移したのだから、ハムちゃんも可能なはず。
二つ目の通信が一番可能性が高そうだけど、何とかしないとハムちゃんの安否が……。
◇◇◇
あの後彼らがそろそろ眠りに入る時間となり、俺も自室に向かう。ハムちゃんのことは考えれば考えるほど不安になるので、一旦思考を放棄することにした。
ただの現実逃避であるが、ハムちゃんが気になって何も考えられない状態になってしまうと本末転倒ってものだろ。
ベッドに寝転びながら、ゲームのメニューを視界に出そうとしたが、ゲームと同じように意識スイッチを押してもウィンドウは開かなかったのである。メニューが出ないから他者との通信はもちろんのこと、ログアウトも選ぶことができない。
「てことはステータスやらも見ることができないのか。うーん……」
ぺぺぺは素材集め用のキャラクターで戦闘能力はほぼない。素材集め用のスキルは掘りスキルをはじめ、採集や釣りなど豊富に取り揃えている。一方で、戦闘関連は鉱石堀りの際に自衛できる程度くらいである。あとは移動やら強敵から逃げるためのいくつかのスキルと魔法を習得していた。
一応レベルはマックスだから、戦闘用のスキルはなくともそれなりに耐久力があるのが救いか。
「魔法とスキルを試してみるか、インベントリーを先に確認するのもよいな」
こんな時、VRMMOのキャラクターでよかったと思う。通常のMMOだったら、マウスやコントローラーがないと何もできないものな。
メニューが出ないと制限はされるが、キャラクターを動かす分にはほぼ問題ない。
VRMMOの場合は、仕草か意識のスイッチでスキルや魔法を使う。
「さあて、やってみようか」
右手首にスナップをきかせ、ひょいひょいと動かす。
「それでランカーとなり、数年が過ぎたというわけだ」
三人の中でも特に虎頭は上機嫌に自分のことを語ってくれるからありがたい。招いてはいないが一応俺がこの店のホストなので、ビールやおつまみくらいは出したいところだけど、インベントリーもまだ見ていないからなあ。インベントリーとはオンラインゲームによくあるホームに置くことができるアイテムボックスなんだ。インベントリーは箱型の家具であれば何でもインベントリーに指定することができて、一定量のアイテムを入れることができる。インベントリーと似たようなものにゴミ箱ってのもあって、こちらはどんなアイテムでも処分することができるのだが、使用には若干注意が必要だ。「それを捨てるなんてとんでもない」なんて仕様はないから、どれほど大事にしていたアイテムであろうが、ゴミ箱に捨てると処分され消えてしまう。
彼らの前でインベントリーをごそごそすると要らぬ注目を集めてしまいそうだから、彼らが立ち去ってからゆっくり確認しようと思って。アナザーワールドオンラインではありふれたアイテムでも、この世界で超絶レア、または存在しないアイテムの可能性もあるわけだからね。
さてさて、話変わってここまで彼らから聞いた情報をまとめてみよう。
この世界……アナザーワールド「オフライン」とでも名付けようか。我ながらセンスがない、後で要修正だ。……ともかく、アナザーワールドオフラインの世界では様々な薬草や鉱物から果ては食材までの素材収集、モンスター討伐、護衛などなどで活躍する探索者たちがいる。ファンタジー世界にはよくある職業だな、うん。
探索者の規模は非常に大きく、凡そ10万人ほどいる。数を把握できているのは探索者になるに必ず手続きをして発行しなければならない探索者カードによるところが大きい。会員証を発行して発行枚数で会員数をカウントしている、とかなのかな?
また、一定以上の実績をあげた探索者はランカー選抜試験を受けることでランカー認定された探索者になることができるのだと。実力者と認められたランカーになれば、報酬もあがり、中には一国の騎士として召し上げられた者もいるのだとか。
「ランカーはどれくらいいるの?」
「そうじゃな、2000人くらいじゃないのかの」
ワニのローブ姿がおっとりとした様子で応じる。すると間髪入れず虎頭が割って入った。
「おいおい、いつの時代の話をしているんだよ。今は5000人くらいはいるんじゃねえか」
「それほど増えたのか」
「つっても生き残っている人数は5000ってわけじゃねえが」
「死亡確認されるまで、削除されないからの」
10万人の中から5000人だと全体の5パーセントとなり、なかなかの狭き門だと分かる。ランカーというステータスが世間的に信頼が厚くなるのも、少数精鋭だからだろう。5000人と数だけ聞くととても多い人数に思えるが、上位5パーセントと聞くと途端に印象が変わるよね。
「みんなは相当な実力を持つ探索者だということが分かったよ」
「ううん、まだまだよ。世界にいくつかある最難関ダンジョンや塔、古代遺跡なんかは見学がせいぜいね」
「世界は広いんだなあ」
「そうね、飽きないわよ」
まだまだよ、と切れ長の目を細くするダークエルフのエルフィ―。
なるほどなあ。アナザーワールドオフラインの世界はゲームよりもはるかに広いのかも。そう考えると少しワクワクしてきたが、これが夢ではなく異世界にきたのだとしたら……冒険より急務なことがある。
それは、ペットのハムちゃんと再会すること。ハムちゃんをあのまま一匹にしとくなんてとんでもない。せめて家族にハムちゃんの世話をお願いするなどしたい。ひょっとしたら元の世界に帰還したら、異世界に転移した時から時間が過ぎていない可能性がある。逆に数百年過ぎていた、ってこともあるよな?
異世界転移に何故を求めるのはナンセンスかもしれないが、次の三つのうちどれかを達成しなきゃ、安心できん。
一つ目、元の世界に帰還。王道にして最適だが、一番困難だろうなあ。
二つ目、家族か同僚の誰かに連絡を取る。ゲームのメッセージ機能で通信できたりしないか試してみよう。
三つ目、ハムちゃんをアナザーワールドオフラインの世界に召喚する。俺が異世界転移したのだから、ハムちゃんも可能なはず。
二つ目の通信が一番可能性が高そうだけど、何とかしないとハムちゃんの安否が……。
◇◇◇
あの後彼らがそろそろ眠りに入る時間となり、俺も自室に向かう。ハムちゃんのことは考えれば考えるほど不安になるので、一旦思考を放棄することにした。
ただの現実逃避であるが、ハムちゃんが気になって何も考えられない状態になってしまうと本末転倒ってものだろ。
ベッドに寝転びながら、ゲームのメニューを視界に出そうとしたが、ゲームと同じように意識スイッチを押してもウィンドウは開かなかったのである。メニューが出ないから他者との通信はもちろんのこと、ログアウトも選ぶことができない。
「てことはステータスやらも見ることができないのか。うーん……」
ぺぺぺは素材集め用のキャラクターで戦闘能力はほぼない。素材集め用のスキルは掘りスキルをはじめ、採集や釣りなど豊富に取り揃えている。一方で、戦闘関連は鉱石堀りの際に自衛できる程度くらいである。あとは移動やら強敵から逃げるためのいくつかのスキルと魔法を習得していた。
一応レベルはマックスだから、戦闘用のスキルはなくともそれなりに耐久力があるのが救いか。
「魔法とスキルを試してみるか、インベントリーを先に確認するのもよいな」
こんな時、VRMMOのキャラクターでよかったと思う。通常のMMOだったら、マウスやコントローラーがないと何もできないものな。
メニューが出ないと制限はされるが、キャラクターを動かす分にはほぼ問題ない。
VRMMOの場合は、仕草か意識のスイッチでスキルや魔法を使う。
「さあて、やってみようか」
右手首にスナップをきかせ、ひょいひょいと動かす。
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