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第7話 メニュー
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「じゃーん、ここにありますー」
「お、おお」
なんということでしょう。カウンター下の棚にはマグカップ、茶葉、透明なヤカン? が揃えられていた。
「箱はマスターしか開けることができませんし、お店に来た時用に棚を置いたんです」
「ナイス過ぎるぜ」
よくよく考えてみたら、ホームは店兼住居なわけだけど、生活に必要な道具一式が揃っているわけじゃあない。
インベントリーにはありとあらゆるアイテムを突っ込んでいるものの、生活を意識したものじゃあないんだよね。
食べられるものとしては、肉とかポーション類ならあると思う。しかし、茶葉とかコーヒー、食器類となると怪しい。
風呂やキッチンにいたっては用意さえないぜ。ホームのパーツと家具類で賄うことができたっけかなあ。露天風呂的なものなら作っているプレイヤーの動画を見たことがある。キッチンや洗濯機は記憶にないなり。
しかし、ホームの増築、離れの建築なんかは「メニュー」を開く必要がある。オフラインの世界に来てから真っ先にメニューが出るか試したが、出現しなかったんだよなあ。う、うーん、どうしたものか。
「お茶を入れますね!」
「火は?」
「炭もないので、魔法でやっちゃいます」
「お、おお」
薪や炭を使わずとも魔法で火を起こすことができる。確かに魔法をうまく使えば生活家電の代わりに……とまではいかなくても煮炊きくらいならいける。
ヤカンをカウンターに置いて、よいしょっとばかりにアーニーが魔法を使うとあっという間にお湯が沸いた。
茶葉を入れて、紅茶ができあがる。
「はい、どうぞ」
「おお、ありがとう。俺も試してみよう」
試しにコールドの魔法をかけてみたら、冷たい紅茶になったぜ。
「ふう、紅茶を飲むと落ち着く」
「はいー」
言うまでもないが、椅子は一脚しかないので紅茶を飲むのも立ったままである。
しかし、ティータイムというのは人を幸せにするのだ。アーニーと俺がお互いにほほ笑むくらいには。
「そういえば、アーニー、スキルやレベルはどうなっているの?」
「いえ、てんちょおが育ててくれた時のままですよ!」
ふむふむ。ゲームの時代から長い時が過ぎていると聞いているが、アーニーのスキルは当時のままとのこと。
NPCはプレイヤーの四分の一であるレベル250が上限になる。なので、振り分け可能なスキルポイントもプレイヤーの四分の一だ。
戦闘系スキルで固めれば一緒に狩へ連れていくことも可能なのだけど……NPCのAIはあまり動きが良くなくて、俺は狩のお供には使ってなかった。
アーニーはレベル250にして、一通りの魔法と精霊術に錬金系スキルをいくつか持たせていたような、ずっと売り子だったので記憶が定かじゃない。
少なくとも、一線で戦えるような構成にしていないことは確かである。
「お茶がてらに俺がいなくなってからの様子を教えてもらえるかな?」
「てんちょおだけじゃなく、チーズポテトさんもシュークリームさんも突如いなくなってしまい」
チーズポテトもシュークリームも俺の操るキャラクターだ。チーズポテトは戦士系、シュークリームは魔法使い。
「残ったのはアーニーとハミルトンだけ?」
「はいい、そうです。てんちょおがいないとなれば、売り子もできませんー」
アーニーがざっくりとこれまであったことを説明してくれた。
俺たち(3キャラクター共に中身は俺なのだが、便宜上俺たちと表現する)がいなくなったのは凡そ400年前になるのだと言う。信じられない時間が経過しているが、アーニーの姿はゲーム当時の少女の姿のままだ。
彼女がなぜ歳をとらないのかは不明。彼女も自分じゃ分からないのだって。もう一方のNPCであるハミルトンも同様らしいので、元NPCは年齢という概念がないのかもしれない。
ゲーム内でだってきっと何年も経過しているのだろうけど、NPCの姿って変わらないものな。
俺たちがいなくなり、一週間ほどで彼女らに持たせていた在庫の多くは底をつく。待っていても帰ってこないから、ハミルトンとアーニーが交代で俺たちを探し続け数年が過ぎた。
その後、生活をしていくに便利な近くの街へ移り住んだ二人はダンジョンの道案内で生計を立てている。俺たちが帰ってきていないかを定期的に確かめながら。
「それで、それで、てんちょおが帰ってきて……」
目に涙を浮かべていたアーニーだったが、耐えられなくなりぐすんぐすんと声をあげはじめた。
彼女の背をさすり、落ち着くまで待つ。
「チーズポテトさんとシュークリームさんも帰ってくるんですか?」
「う、うーん、どうだろう」
どれも中身が俺で選ばれたのがぺぺぺだったんじゃないかと思う。
となると、チーズポテトとシュークリームが出てくることはないんじゃないかな。
中身は全部俺だから、って説明したら彼女は分かってくれるだろうか。
しかし、チーズポテトはともかく、シュークリームは狐耳の女の子なんだよなあ。ぺぺぺと同じ中身と言われてもきついものがあるか。
語るべきか悩み、結局、問題を先送りすることを決める。
「教えてくれてありがとう。話を聞いていて思ったけど、やっぱり立ったままはじっくり話を聞けないよな」
「わたしは平気です!」
「座るなら俺もアーニーも座らないと、一人が立ったままというのは俺が嫌なんだよね」
「で、でしたら、ここに座ってください!」
ひょいっと椅子に座り、自分の膝をぽんぽんと叩くアーニー。
いやいや、その構図、絶対ダメだろ!
ポンポンするアーニーをよそにインベントリーの前でしゃがむ。インベントリーの中に椅子の一つくらいは入ってるだろ。
椅子やテーブルといった家具は無造作に詰め込んでいたはず。
一つ不安があるとすれば、ゲームから現実になったことで箱より大きなサイズのテーブルやらが収納されているかどうかだな。
うっし、まずはメインインベントリーからトライだぜ。
《メニュー》
な、なんだと……。メインインベントリーにしている箱に触れた途端、視界にウィンドウが映ったぞ。そして、ウィンドウにはメニューと書かれている。
「お、おお」
なんということでしょう。カウンター下の棚にはマグカップ、茶葉、透明なヤカン? が揃えられていた。
「箱はマスターしか開けることができませんし、お店に来た時用に棚を置いたんです」
「ナイス過ぎるぜ」
よくよく考えてみたら、ホームは店兼住居なわけだけど、生活に必要な道具一式が揃っているわけじゃあない。
インベントリーにはありとあらゆるアイテムを突っ込んでいるものの、生活を意識したものじゃあないんだよね。
食べられるものとしては、肉とかポーション類ならあると思う。しかし、茶葉とかコーヒー、食器類となると怪しい。
風呂やキッチンにいたっては用意さえないぜ。ホームのパーツと家具類で賄うことができたっけかなあ。露天風呂的なものなら作っているプレイヤーの動画を見たことがある。キッチンや洗濯機は記憶にないなり。
しかし、ホームの増築、離れの建築なんかは「メニュー」を開く必要がある。オフラインの世界に来てから真っ先にメニューが出るか試したが、出現しなかったんだよなあ。う、うーん、どうしたものか。
「お茶を入れますね!」
「火は?」
「炭もないので、魔法でやっちゃいます」
「お、おお」
薪や炭を使わずとも魔法で火を起こすことができる。確かに魔法をうまく使えば生活家電の代わりに……とまではいかなくても煮炊きくらいならいける。
ヤカンをカウンターに置いて、よいしょっとばかりにアーニーが魔法を使うとあっという間にお湯が沸いた。
茶葉を入れて、紅茶ができあがる。
「はい、どうぞ」
「おお、ありがとう。俺も試してみよう」
試しにコールドの魔法をかけてみたら、冷たい紅茶になったぜ。
「ふう、紅茶を飲むと落ち着く」
「はいー」
言うまでもないが、椅子は一脚しかないので紅茶を飲むのも立ったままである。
しかし、ティータイムというのは人を幸せにするのだ。アーニーと俺がお互いにほほ笑むくらいには。
「そういえば、アーニー、スキルやレベルはどうなっているの?」
「いえ、てんちょおが育ててくれた時のままですよ!」
ふむふむ。ゲームの時代から長い時が過ぎていると聞いているが、アーニーのスキルは当時のままとのこと。
NPCはプレイヤーの四分の一であるレベル250が上限になる。なので、振り分け可能なスキルポイントもプレイヤーの四分の一だ。
戦闘系スキルで固めれば一緒に狩へ連れていくことも可能なのだけど……NPCのAIはあまり動きが良くなくて、俺は狩のお供には使ってなかった。
アーニーはレベル250にして、一通りの魔法と精霊術に錬金系スキルをいくつか持たせていたような、ずっと売り子だったので記憶が定かじゃない。
少なくとも、一線で戦えるような構成にしていないことは確かである。
「お茶がてらに俺がいなくなってからの様子を教えてもらえるかな?」
「てんちょおだけじゃなく、チーズポテトさんもシュークリームさんも突如いなくなってしまい」
チーズポテトもシュークリームも俺の操るキャラクターだ。チーズポテトは戦士系、シュークリームは魔法使い。
「残ったのはアーニーとハミルトンだけ?」
「はいい、そうです。てんちょおがいないとなれば、売り子もできませんー」
アーニーがざっくりとこれまであったことを説明してくれた。
俺たち(3キャラクター共に中身は俺なのだが、便宜上俺たちと表現する)がいなくなったのは凡そ400年前になるのだと言う。信じられない時間が経過しているが、アーニーの姿はゲーム当時の少女の姿のままだ。
彼女がなぜ歳をとらないのかは不明。彼女も自分じゃ分からないのだって。もう一方のNPCであるハミルトンも同様らしいので、元NPCは年齢という概念がないのかもしれない。
ゲーム内でだってきっと何年も経過しているのだろうけど、NPCの姿って変わらないものな。
俺たちがいなくなり、一週間ほどで彼女らに持たせていた在庫の多くは底をつく。待っていても帰ってこないから、ハミルトンとアーニーが交代で俺たちを探し続け数年が過ぎた。
その後、生活をしていくに便利な近くの街へ移り住んだ二人はダンジョンの道案内で生計を立てている。俺たちが帰ってきていないかを定期的に確かめながら。
「それで、それで、てんちょおが帰ってきて……」
目に涙を浮かべていたアーニーだったが、耐えられなくなりぐすんぐすんと声をあげはじめた。
彼女の背をさすり、落ち着くまで待つ。
「チーズポテトさんとシュークリームさんも帰ってくるんですか?」
「う、うーん、どうだろう」
どれも中身が俺で選ばれたのがぺぺぺだったんじゃないかと思う。
となると、チーズポテトとシュークリームが出てくることはないんじゃないかな。
中身は全部俺だから、って説明したら彼女は分かってくれるだろうか。
しかし、チーズポテトはともかく、シュークリームは狐耳の女の子なんだよなあ。ぺぺぺと同じ中身と言われてもきついものがあるか。
語るべきか悩み、結局、問題を先送りすることを決める。
「教えてくれてありがとう。話を聞いていて思ったけど、やっぱり立ったままはじっくり話を聞けないよな」
「わたしは平気です!」
「座るなら俺もアーニーも座らないと、一人が立ったままというのは俺が嫌なんだよね」
「で、でしたら、ここに座ってください!」
ひょいっと椅子に座り、自分の膝をぽんぽんと叩くアーニー。
いやいや、その構図、絶対ダメだろ!
ポンポンするアーニーをよそにインベントリーの前でしゃがむ。インベントリーの中に椅子の一つくらいは入ってるだろ。
椅子やテーブルといった家具は無造作に詰め込んでいたはず。
一つ不安があるとすれば、ゲームから現実になったことで箱より大きなサイズのテーブルやらが収納されているかどうかだな。
うっし、まずはメインインベントリーからトライだぜ。
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な、なんだと……。メインインベントリーにしている箱に触れた途端、視界にウィンドウが映ったぞ。そして、ウィンドウにはメニューと書かれている。
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