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第8話 釣り大会だと?
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意識スイッチでウィンドウに表示されたメニューを選ぶ。
メニューを開いたら一部が欠落しているものの、ちゃんと表示が切り替わったぞ。
「椅子はありましたかー?」
「あ、うん」
ウィンドウのメニューからメインインベントリーを選ぶと中に入っているアイテム一覧が出てくる。
椅子、椅子はっと。
お、あった。椅子といっても結構な種類があるわね。
ダイニングチェア、カウンターチェア、他にも何種類かの椅子が一覧に出ている。
ダイニングチェアを選択したら、背後に実物が出てきた。
「こっちの椅子は少し背が低いんですね!」
「あー、確かに。ソファーとかもありそう」
続いて1人用のカウチを二つ出す。最初からこれにしとけばよかった。
「お、これはよいな」
「ぽよぽよします!」
革張りのカウチはフカフカで手置きもあり、快適だ。
「メインインベントリーが問題なく動いてよかったよ」
「売る商品もありました?」
「たぶん、鉱石や宝石類は……うん、入っている。木材もバッチリだ」
「わーい」
ばんざーいと喜ぶアーニーに釣られて俺の頬も緩む。
「あ、一番大事なものを見てなかった」
「てんちょおの一番大事なもの! ワクワクします!」
そんなに期待を込められても困る。オンラインゲームだけじゃなく、日本でもこの世界でも必ず必要なものだ。
それは、通貨である。ゲーム内通貨の名称はシェルで、金貨、銀貨、銅貨とオーソドックスな三種類だった。シェルはメインインベントリーにその殆どを詰め込んでいたんだよな。タンス預金とはまさにこのこと。
さっそく、1万シェルの価値がある金貨を一つ取り出し、アーニーに見せる。
「これだよこれ」
「お金ですかー。てんちょお、シェルじゃなく今はジェムになってます」
「何となくそんな気はしていたよ。金貨を溶かせば買い取ってくれるかな……?」
「た、たぶん?」
アーニーの顔が真顔のまま固まってしまった。
う、うーん。彼女は大量の金や銀を持ち込んだら騒ぎになるかもしれない、と懸念してくれてるんだろうか?
シェルを溶かすことが出来るのかは試したことなあなあ。精錬用の炉は工房にある。主に鉱石を溶かして純度の高いインゴットにするための用途の炉なんだ。 金貨や銀貨を溶かして売るくらいなら、インゴットを売れって話だな。しかし、インゴットは当店のメイン商品……背に腹は変えられんので格安でも買い取ってもらえるなら、買い取ってもらう所存である。
その時、悩む俺の隣でアーニーが「あー」と大きな声を出す。
「てんちょお!わたし、いいこと思い出しましたあ」
「お、おう」
耳がキンキンするう。
勢いよく立ち上がった彼女は尻尾と耳をピンと立て、人差し指を天井に向ける。
「大会にでましょう! 賞金が出ます!」
「た、大会……唐突だな。一体どんな大会なの?」
異世界定番の闘技場で武芸を競う、とかだと無理ゲーにもほどがあるぜ。
いかんせん、レベルはマックスであってもスキルが戦闘向けじゃあないからね。
結局モノを言うのはレベルじゃなく、スキルなんだよ。NPCのレベル最大値はプレイヤーの四分の一で、スキルポイントも同じくであるが、戦闘スキルに特化したら、ぺぺぺ(今の俺)より戦闘能力が断然高くなる。スキルがいかに大事かが分かってもらえただろうか。
他にもプレイヤースキルやら武器防具って要素もあるのだが、スキルの差をひっくり返すのは極めて困難だ。そらまあ、初期武器と最高レベルに鍛冶で鍛え上げた武器だとスキル差は埋まるかもしれないけど、そんな極端なことなんてまず起こらないだろ。
俺のことを分かってくれているだろうアーニーは意外は答えを口にする。
「釣り大会です! 街で釣り大会がちょうど開催されるんです!」
「ほお、釣りか、どんなレギュレーションなの?」
「内容は見てないです……見に行きませんか?」
「そうしようか。アーニーのゲートで移動できる?」
うんうん、と彼女が頷く。
釣りなら鉱石掘りと同じく大得意だぜ。ゲームの釣りは単に大物を釣り上げるだけじゃなく、副産物を釣り上げることが目的だった。
空き缶のような本物のゴミから、絵画の切れ端や希少宝石まで色んなものを釣り上げることができたんだよね。
「さっそく街へ行きますか?」
「うん、あ、探索者のみなさんは?」
「先ほど出て行きましたよ」
「気が付かなかった……」
ダスタルドのダンジョンへ向かった彼らのことが気がかりであるが、ランカーにまで登りつめた探索者だから、戻ってくることがなく行方知れずなんてことにはまずならないだろ。
「ちょっとだけ待って。一応、ポーション類をカウンターに置いておこうと思って」
「てんちょおの優しさが五臓六腑にしみわたりますね!」
どこでそんな言葉を覚えたんだか。
……元ネタは俺の過去の発言かもしれない。
回復薬(大)を三つに、解毒薬を三つ、後はダスタルドのモンスターだったら必要ないと思うけど、念のため聖水も用意しておくか。
「よっし、こんなもんだな」
「はあい、じゃあ、ゲートを使いますよ」
アーニーが可愛らしく手首をくるりんとすると、彼女の手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「魔法陣よ、力を示せ。開け転移の門 ゲート」
魔法陣からキラキラと星型の光が噴き出し、扉を形成していく。
扉の形は古い旅館にあるような横にスライドするタイプの木製扉だった。
扉の形って人によって違うんだっけか。なしてこんな和風の古ぼけた扉なのか激しく謎だ。
ゲートの魔法は扉が出るのだけど、扉を開けて転移先に行くんじゃなく、転移したい人が扉に触れ、術者が発動と念じると転移する。
今回はまず俺が扉に触れ、続いてアーニーも扉に手を乗せる。
「行きます!」
「おう」
次の瞬間、視界が切り替わり、石壁の部屋の中に転移した。
「ここは?」
「街にあるわたしのお家の中です!」
どこの街なのかは分からないが、彼女は街で案内人の仕事をして日銭を稼いでいると言っていたよな。
家の中をゲートの転移先とするなら、邪魔が入らないし、転移先として最適だと思う。
メニューを開いたら一部が欠落しているものの、ちゃんと表示が切り替わったぞ。
「椅子はありましたかー?」
「あ、うん」
ウィンドウのメニューからメインインベントリーを選ぶと中に入っているアイテム一覧が出てくる。
椅子、椅子はっと。
お、あった。椅子といっても結構な種類があるわね。
ダイニングチェア、カウンターチェア、他にも何種類かの椅子が一覧に出ている。
ダイニングチェアを選択したら、背後に実物が出てきた。
「こっちの椅子は少し背が低いんですね!」
「あー、確かに。ソファーとかもありそう」
続いて1人用のカウチを二つ出す。最初からこれにしとけばよかった。
「お、これはよいな」
「ぽよぽよします!」
革張りのカウチはフカフカで手置きもあり、快適だ。
「メインインベントリーが問題なく動いてよかったよ」
「売る商品もありました?」
「たぶん、鉱石や宝石類は……うん、入っている。木材もバッチリだ」
「わーい」
ばんざーいと喜ぶアーニーに釣られて俺の頬も緩む。
「あ、一番大事なものを見てなかった」
「てんちょおの一番大事なもの! ワクワクします!」
そんなに期待を込められても困る。オンラインゲームだけじゃなく、日本でもこの世界でも必ず必要なものだ。
それは、通貨である。ゲーム内通貨の名称はシェルで、金貨、銀貨、銅貨とオーソドックスな三種類だった。シェルはメインインベントリーにその殆どを詰め込んでいたんだよな。タンス預金とはまさにこのこと。
さっそく、1万シェルの価値がある金貨を一つ取り出し、アーニーに見せる。
「これだよこれ」
「お金ですかー。てんちょお、シェルじゃなく今はジェムになってます」
「何となくそんな気はしていたよ。金貨を溶かせば買い取ってくれるかな……?」
「た、たぶん?」
アーニーの顔が真顔のまま固まってしまった。
う、うーん。彼女は大量の金や銀を持ち込んだら騒ぎになるかもしれない、と懸念してくれてるんだろうか?
シェルを溶かすことが出来るのかは試したことなあなあ。精錬用の炉は工房にある。主に鉱石を溶かして純度の高いインゴットにするための用途の炉なんだ。 金貨や銀貨を溶かして売るくらいなら、インゴットを売れって話だな。しかし、インゴットは当店のメイン商品……背に腹は変えられんので格安でも買い取ってもらえるなら、買い取ってもらう所存である。
その時、悩む俺の隣でアーニーが「あー」と大きな声を出す。
「てんちょお!わたし、いいこと思い出しましたあ」
「お、おう」
耳がキンキンするう。
勢いよく立ち上がった彼女は尻尾と耳をピンと立て、人差し指を天井に向ける。
「大会にでましょう! 賞金が出ます!」
「た、大会……唐突だな。一体どんな大会なの?」
異世界定番の闘技場で武芸を競う、とかだと無理ゲーにもほどがあるぜ。
いかんせん、レベルはマックスであってもスキルが戦闘向けじゃあないからね。
結局モノを言うのはレベルじゃなく、スキルなんだよ。NPCのレベル最大値はプレイヤーの四分の一で、スキルポイントも同じくであるが、戦闘スキルに特化したら、ぺぺぺ(今の俺)より戦闘能力が断然高くなる。スキルがいかに大事かが分かってもらえただろうか。
他にもプレイヤースキルやら武器防具って要素もあるのだが、スキルの差をひっくり返すのは極めて困難だ。そらまあ、初期武器と最高レベルに鍛冶で鍛え上げた武器だとスキル差は埋まるかもしれないけど、そんな極端なことなんてまず起こらないだろ。
俺のことを分かってくれているだろうアーニーは意外は答えを口にする。
「釣り大会です! 街で釣り大会がちょうど開催されるんです!」
「ほお、釣りか、どんなレギュレーションなの?」
「内容は見てないです……見に行きませんか?」
「そうしようか。アーニーのゲートで移動できる?」
うんうん、と彼女が頷く。
釣りなら鉱石掘りと同じく大得意だぜ。ゲームの釣りは単に大物を釣り上げるだけじゃなく、副産物を釣り上げることが目的だった。
空き缶のような本物のゴミから、絵画の切れ端や希少宝石まで色んなものを釣り上げることができたんだよね。
「さっそく街へ行きますか?」
「うん、あ、探索者のみなさんは?」
「先ほど出て行きましたよ」
「気が付かなかった……」
ダスタルドのダンジョンへ向かった彼らのことが気がかりであるが、ランカーにまで登りつめた探索者だから、戻ってくることがなく行方知れずなんてことにはまずならないだろ。
「ちょっとだけ待って。一応、ポーション類をカウンターに置いておこうと思って」
「てんちょおの優しさが五臓六腑にしみわたりますね!」
どこでそんな言葉を覚えたんだか。
……元ネタは俺の過去の発言かもしれない。
回復薬(大)を三つに、解毒薬を三つ、後はダスタルドのモンスターだったら必要ないと思うけど、念のため聖水も用意しておくか。
「よっし、こんなもんだな」
「はあい、じゃあ、ゲートを使いますよ」
アーニーが可愛らしく手首をくるりんとすると、彼女の手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「魔法陣よ、力を示せ。開け転移の門 ゲート」
魔法陣からキラキラと星型の光が噴き出し、扉を形成していく。
扉の形は古い旅館にあるような横にスライドするタイプの木製扉だった。
扉の形って人によって違うんだっけか。なしてこんな和風の古ぼけた扉なのか激しく謎だ。
ゲートの魔法は扉が出るのだけど、扉を開けて転移先に行くんじゃなく、転移したい人が扉に触れ、術者が発動と念じると転移する。
今回はまず俺が扉に触れ、続いてアーニーも扉に手を乗せる。
「行きます!」
「おう」
次の瞬間、視界が切り替わり、石壁の部屋の中に転移した。
「ここは?」
「街にあるわたしのお家の中です!」
どこの街なのかは分からないが、彼女は街で案内人の仕事をして日銭を稼いでいると言っていたよな。
家の中をゲートの転移先とするなら、邪魔が入らないし、転移先として最適だと思う。
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