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第23話 お金持ち
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「委細承知いたしました。それでは、解体費もろもろの諸経費を引かせていただき計算いたします」
「ありがとう」
スルスルと紙に羽ペンで記載していくハミルトンの手元を見つつ、ドキドキしながら彼の計算が終わるのを待つ。
費用負担がなきゃいいんだけど……いざというときはアーニーを頼らねばならない。来て早々お金の無心とは情けない限りであるが……鉱石を売ったり、釣り大会の賞品と、あてはあるので申し訳ないが頼られてくれ。
「てんちょお、風邪気味とかですか?」
「いや、そんなことはないよ。健康そのものなのだけど、何か変だった?」
「調子悪そうなお顔だったので、気のせいならおっけーです!」
「う、うん」
不安が顔に出ていたらしい。お、ハミルトンの手が止まった。いよいよ計算が終わったようだな。
「お待たせいたしました。総計で130万ジェムとなります」
「え、えっと……」
数字が全然ピンとこない。戸惑っているとアーニーが俺の思いとは異なるところで助け舟を出してくれた。
「あ、ハミルさん、てんちょおはカードを持っていないよ」
「そうでした」
ん、カードってなんぞ。アーニーが今度は俺へ質問を投げかけてくる。
「てんちょお、わたしの予備のカードを使う?」
「発行にも時間がかかりそうだし、頼む」
その場で発行してくれるカードとかはあるが、手持ちのものを使いまわせるのなら手間要らずだよね。
ほいっとアーニーから渡されたカードを受け取った。
カードは薄い金属板でサイズはクレジットカードと同じくらい。表面に数字が記載されていて、ただいまの数字は1000ジェムだった。
こいつはチャージして使うタイプのカードらしく、ほとんどの店でこのカードを使って直接買い物ができるんだって。
貨幣を持ち歩かずともよいとは驚きだ。カードを落としたら簡単に不正利用されそうだけどね。
現金だって落としたらそれまでだから、似たようなもの……と考えればそんなものかと思った。
「カードをお借りします」
ハミルトンにカードを渡すと、彼がカウンター裏に引っ込んですぐに戻ってくる。
受け取ったカードには130万とんで1000ジェムと表示されていた。
「お、おお。解体費は引かれてこれなの?」
「左様でございます。ペペぺ様は探索者ではないため、作業費が割高になっております」
「ありがとう! 手続きはこれで終わりでいいのかな?」
「はい、以上となります。今後とも探索者ギルドをごひいきにしていただけますよう」
おーし、終わった終わった。130万ジェムがどれだけの価値なのかは後で調べるとして、釣り大会に復帰しなければ。
ハミルトンに改めて感謝を伝え、踵を返す。
が、俺たちを待ち構えていたように人だかりが。な、何事だ。
「お兄さんたち、ハイランカーじゃあないってホント?」
「いやいや、深海竜を一撃で仕留めたらしいぜ! ハイランカーに決まってるだろ」
わいのわいのと口々に言われましても、なんのことやらだぞ。
こんな時は曖昧な笑顔を浮かべ素通りするに限る。
「でんちょおにかかれば討伐レベルSだろうが、一発です! てんちょおはお店のてんちょおなのに、すごいんです!」
お、おいおい、アーニー、余計なことを言うんじゃない。
彼女の口を塞ぎ、後ろから抱きかかえて探索者ギルドを去る俺であった。
探索者ギルドを出たところで彼女の口から手を放し、解放するとさっそく食いついてくる。
「てんちょおの名前が広がれば、お店も繁盛っしますってえ」
「それで、アピールしてくれていたんだな」
「そうです!」
「気持ちは嬉しいのだけど、サーペントロードは釣りスキルで倒すことのできるモンスターだったし、これでネームドを狩ってくれとか依頼が舞い込んだら困る」
ネームドというのは、種族の中で歴戦といわれるモンスターにつけられるもので、たとえば、ただのオーガであれば簡単に倒すことができるのだけど、ネームドとなれば戦闘職じゃなきゃ太刀打ちできないほど強くなる。
ネームドじゃなく、種族としてそもそも強いモンスターもいるが、最弱のネームドよりは弱いんだよね。(相性もあるから、人によってはそうじゃない場合もある)
「今の世でネームドが街に襲い掛かってきたら、街が壊滅しますって!」
「笑顔で言うことじゃないだろ! 物騒過ぎる」
「えへへー、だから堂々とサーペントロードを討伐したんだ、俺強いぞ、ってアピールしても大丈夫です!」
「えー、あー、まあ、うん」
そうはならんだろ、と突っ込むのも疲れた。俺個人の知名度から店の知名度が上がるという考えには同意している。
ただ広めていいのかどうかについては慎重に行きたいだけなんだ。俺はまだこの世界のことがよくわかっていないから。
お金をチャージするカード一つにしても、この世界とゲームはかなり違う。ある程度はこの世界のことを把握してからじゃないと、大っぴらに動くのは控えた方がいいかなと思って。
「と、とりあえず、残橋に戻ろう」
「はい!」
残橋に向かう途中に露店街があって、いい匂いにふらふらと露天へ入りそうになるが、ぐっとこらえる。
「てんちょお、おなか空いてません?」
「空いているけど」
「そこの肉串を買ってきますよ! てんちょうは残橋に向かってください、追いつきます」
「じゃあ、俺のカードを使って」
食べ物の話をすると余計に腹が減ってきた。
肉串の販売している露店はここから30メートルほど。アーニーに行ってもらわずとも、ロスする時間は僅かだよな。
そんなわけで、彼女に買ってきてもらうのでなく自分もついて行くことにした。
肉串は結構なサイズだったのだけど、一個10ジェムとお安い。歩きながら食べたのだけど、スパイスが利いていてとてもおいしいかった。
途中、ちらりとリンゴのお値段が目に入る……2ジェムか。となると、1ジェムは1シェルと同じくらいと見ていい。
……130万ジェムもありゃ、しばらく食うに困らないじゃないか!
サーペントロードを倒しただけでここまでもらっていいのだろうか……。
「ありがとう」
スルスルと紙に羽ペンで記載していくハミルトンの手元を見つつ、ドキドキしながら彼の計算が終わるのを待つ。
費用負担がなきゃいいんだけど……いざというときはアーニーを頼らねばならない。来て早々お金の無心とは情けない限りであるが……鉱石を売ったり、釣り大会の賞品と、あてはあるので申し訳ないが頼られてくれ。
「てんちょお、風邪気味とかですか?」
「いや、そんなことはないよ。健康そのものなのだけど、何か変だった?」
「調子悪そうなお顔だったので、気のせいならおっけーです!」
「う、うん」
不安が顔に出ていたらしい。お、ハミルトンの手が止まった。いよいよ計算が終わったようだな。
「お待たせいたしました。総計で130万ジェムとなります」
「え、えっと……」
数字が全然ピンとこない。戸惑っているとアーニーが俺の思いとは異なるところで助け舟を出してくれた。
「あ、ハミルさん、てんちょおはカードを持っていないよ」
「そうでした」
ん、カードってなんぞ。アーニーが今度は俺へ質問を投げかけてくる。
「てんちょお、わたしの予備のカードを使う?」
「発行にも時間がかかりそうだし、頼む」
その場で発行してくれるカードとかはあるが、手持ちのものを使いまわせるのなら手間要らずだよね。
ほいっとアーニーから渡されたカードを受け取った。
カードは薄い金属板でサイズはクレジットカードと同じくらい。表面に数字が記載されていて、ただいまの数字は1000ジェムだった。
こいつはチャージして使うタイプのカードらしく、ほとんどの店でこのカードを使って直接買い物ができるんだって。
貨幣を持ち歩かずともよいとは驚きだ。カードを落としたら簡単に不正利用されそうだけどね。
現金だって落としたらそれまでだから、似たようなもの……と考えればそんなものかと思った。
「カードをお借りします」
ハミルトンにカードを渡すと、彼がカウンター裏に引っ込んですぐに戻ってくる。
受け取ったカードには130万とんで1000ジェムと表示されていた。
「お、おお。解体費は引かれてこれなの?」
「左様でございます。ペペぺ様は探索者ではないため、作業費が割高になっております」
「ありがとう! 手続きはこれで終わりでいいのかな?」
「はい、以上となります。今後とも探索者ギルドをごひいきにしていただけますよう」
おーし、終わった終わった。130万ジェムがどれだけの価値なのかは後で調べるとして、釣り大会に復帰しなければ。
ハミルトンに改めて感謝を伝え、踵を返す。
が、俺たちを待ち構えていたように人だかりが。な、何事だ。
「お兄さんたち、ハイランカーじゃあないってホント?」
「いやいや、深海竜を一撃で仕留めたらしいぜ! ハイランカーに決まってるだろ」
わいのわいのと口々に言われましても、なんのことやらだぞ。
こんな時は曖昧な笑顔を浮かべ素通りするに限る。
「でんちょおにかかれば討伐レベルSだろうが、一発です! てんちょおはお店のてんちょおなのに、すごいんです!」
お、おいおい、アーニー、余計なことを言うんじゃない。
彼女の口を塞ぎ、後ろから抱きかかえて探索者ギルドを去る俺であった。
探索者ギルドを出たところで彼女の口から手を放し、解放するとさっそく食いついてくる。
「てんちょおの名前が広がれば、お店も繁盛っしますってえ」
「それで、アピールしてくれていたんだな」
「そうです!」
「気持ちは嬉しいのだけど、サーペントロードは釣りスキルで倒すことのできるモンスターだったし、これでネームドを狩ってくれとか依頼が舞い込んだら困る」
ネームドというのは、種族の中で歴戦といわれるモンスターにつけられるもので、たとえば、ただのオーガであれば簡単に倒すことができるのだけど、ネームドとなれば戦闘職じゃなきゃ太刀打ちできないほど強くなる。
ネームドじゃなく、種族としてそもそも強いモンスターもいるが、最弱のネームドよりは弱いんだよね。(相性もあるから、人によってはそうじゃない場合もある)
「今の世でネームドが街に襲い掛かってきたら、街が壊滅しますって!」
「笑顔で言うことじゃないだろ! 物騒過ぎる」
「えへへー、だから堂々とサーペントロードを討伐したんだ、俺強いぞ、ってアピールしても大丈夫です!」
「えー、あー、まあ、うん」
そうはならんだろ、と突っ込むのも疲れた。俺個人の知名度から店の知名度が上がるという考えには同意している。
ただ広めていいのかどうかについては慎重に行きたいだけなんだ。俺はまだこの世界のことがよくわかっていないから。
お金をチャージするカード一つにしても、この世界とゲームはかなり違う。ある程度はこの世界のことを把握してからじゃないと、大っぴらに動くのは控えた方がいいかなと思って。
「と、とりあえず、残橋に戻ろう」
「はい!」
残橋に向かう途中に露店街があって、いい匂いにふらふらと露天へ入りそうになるが、ぐっとこらえる。
「てんちょお、おなか空いてません?」
「空いているけど」
「そこの肉串を買ってきますよ! てんちょうは残橋に向かってください、追いつきます」
「じゃあ、俺のカードを使って」
食べ物の話をすると余計に腹が減ってきた。
肉串の販売している露店はここから30メートルほど。アーニーに行ってもらわずとも、ロスする時間は僅かだよな。
そんなわけで、彼女に買ってきてもらうのでなく自分もついて行くことにした。
肉串は結構なサイズだったのだけど、一個10ジェムとお安い。歩きながら食べたのだけど、スパイスが利いていてとてもおいしいかった。
途中、ちらりとリンゴのお値段が目に入る……2ジェムか。となると、1ジェムは1シェルと同じくらいと見ていい。
……130万ジェムもありゃ、しばらく食うに困らないじゃないか!
サーペントロードを倒しただけでここまでもらっていいのだろうか……。
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