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第25話 新たな釣り場
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「砂海というものを聞いたことはあるかの?」
「もちろん、砂海かあ、アレはアレで面白い」
ゲニラの問いにもちろんと喜色をあげる。
砂海は地球にはない不思議地形で、見た目は細かい粒子の砂砂漠なんだ。海と違って波はないものの、砂自体は風で動いている。砂煙で前が見えないってことはないのだけどね。じーっと見ると動いていることが分かる程度だ。そんで、砂海は多分潮流? ちょいと違うか砂の海が循環している。
掘り進んだわけじゃないから分からないが、きっと底の砂は動いているんじゃないかって。じゃないと砂が淀むと思うのだ。
砂漠との違いも明らかでさ、砂海の上に立つと体が沈む。かといって砂が重く、泳ぐのもなかなか難しい。見た目の感触もまるで違うけど、泥の中が砂海に一番近いかも。
もっとも泥と違ってサラサラ砂だから泥のようには汚れない。
「砂海で釣りを嗜まれると? 店主殿も乙だの」
「砂海で釣りはなかなかハードルが高いよね」
「然り」
「まずは砂上船が必要だからなあ」
砂海の上は歩くことができないのは先ほど説明した通り。しかし、人類の叡智は砂海を進むことを可能にした。そいつが砂海を航行できる砂上船だ。砂海は海と違ってオールで漕いで進むことができない。なので、帆を張り進むのだが、海と違って砂は動木が少ないから風の力だけで進むのが困難な時もある。
その時に活躍するのが――。
「兄ちゃん、砂海で釣りをやってみねえか?」
「ん、あ、船長」
いつのまに酒盛りへ参加していたんだ、この人。三度目の声かけをした主はドワーフの船長だった。
「探索者ギルドの野郎どもがやってきてな。深海竜の解体作業が終わるまで暇してたってわけだ」
「船に乗せてくださりありがとうございました」
「何言ってんだ。感謝するのはこっちだろ、特等席で狩を見ることができたんだからな! いやあ、痛快だったぜ!」
「ははは……」
俺としては単なる幸運だったので、愛想笑いしか浮かんでこない。
会話しつつもドワーフの船長は自分でビールを注ぎ一息に飲み干していた。ドワーフといえば酒好きのイメージがあるが、彼も御多分に洩れずだった模様。
世界が変われど酒があり、肉もある。何を当たり前なことを、ってやつなのだが、当たり前が当たり前で無くなる体験をしたからか、当たり前をありがたいと噛み締めたい。意味不明であるが、俺も酒が結構好きだということを言いたかっただけなのだ。
しばらく飲んでいると、彼の船員らが酒樽を抱えて輪に加わる。釣り大会に集まっていた人たちもあれやこれやと持参していつの間にやら大宴会になっていた。
俺はそろそろ潮時かなあと、チラリとアーニーへ目をやる。しかし、彼女はトウモロコシのようなものをさもうまそうに齧っていた。まだまだ食べるらしいのでもうちょっと待った方がいいかなあ。あんなにほっそいのによく食べるものだ。彼女が沢山食べるのは酒を飲んでいないからかもしれない。
「兄ちゃん、そういや何て名前なんだ?」
ドワーフの店主に聞かれ、最初に船の前で自己紹介した気がしなくもないが、酒の席だし細かいことを考えるのはよそう。
「カイトです、よろしくお願いします」
「おう、俺はゴルゴスだ。カイト、お前さん、砂海に行きたいのか?」
「そのうち……行けたらいいなあと」
「ちょうど次の航海がサンドシティまでなんだよ。(船に)乗ってくか?」
サンドシティ……聞いたことのない名前の街だが、話の流れからして砂海近くの街なんだよな?
それならまさに、これこそ渡りに船ってやつだ。到着先の港街をマークしておけば、ホームから移動できるようになるし、いつでも街の散策、砂海へ行くことができるようになる!
「どうされました? あ、これ食べたいんですね!」
「いや、存分に食べてくれ」
ゲートの移動先登録なら、アーニーを頼ればお手軽にできるので、と思っていたら彼女と目があった。トウモロコシは食べ終わったようで、今度は緑色の豆を掴んでむしゃむしゃしているご様子。
しかしまあ、自分で旅しながら旅先をマークしていくのもいいかなって。この街へはアーニーに連れてきてもらったけど、今後は自力マークでいってみようか。 旅路ってやつはワクワクするものである。旅路の楽しみを捨てるほど急いじゃあいないのさ。
間にアーニーとのやりとりが入ったが、再びドワーフ船長へ。
「連れてって欲しいです。もちろん、運賃は支払います」
「明日出発だ。んー、金は要らんのだが、一つ頼まれてくれんか?」
「どんなことです?」
「到着まで順調なら三日だ。その間に数度、お前さんの釣りを見せて欲しい」
お、それは願ったり叶ったりだよ。逆に釣りをしたら邪魔になるから控えようと思っていたんだ。無料で乗せてくれて釣りまでやっていいとはさすがに気が引ける。手伝いをできることには積極的に参加しよう。
「ぜひ、お願いします、明日、船の前でよいですか?」
「おう、昼ごろに出る」
「てんちょお、わたしも行きたいです!」
豆をこぼしながらアーニーがはいはいと真っすぐ上に手をあげた。
彼女がついてきてくれるのなら歓迎だけど、仕事はよいのかな?
「数日、アーモンドアイの街には戻ってこれないけど大丈夫?」
「ぜんぜん平気です! 道案内のお仕事があれば戻ります」
「あとで道案内のところ、聞かせて欲しい」
「?、分かりましたー」
みんながいるところだから、ぼかして言ってみたら、見事にアーニーへ何のことか伝わっていない。
ま、後で話をするときに説明するつもりだから、これで良し。
何を聞きたいかというと、どうやって彼女が道案内の仕事を知るか、だ。
一つは船と彼女の家の間をゲートで行き来し、都度、探索者ギルドへ確認に行くこと。この場合は彼女が船上でゲートを使うときに見張っていればよい。
彼女の情報によるとこの時代ではゲートを使うことができる人が非常に少ないそうなので、知られないようにした方がいいと考えている。彼女が見られてもいいと希望すれば話は別だけど。
もう一つは遠距離通信を行う手段である。
「もちろん、砂海かあ、アレはアレで面白い」
ゲニラの問いにもちろんと喜色をあげる。
砂海は地球にはない不思議地形で、見た目は細かい粒子の砂砂漠なんだ。海と違って波はないものの、砂自体は風で動いている。砂煙で前が見えないってことはないのだけどね。じーっと見ると動いていることが分かる程度だ。そんで、砂海は多分潮流? ちょいと違うか砂の海が循環している。
掘り進んだわけじゃないから分からないが、きっと底の砂は動いているんじゃないかって。じゃないと砂が淀むと思うのだ。
砂漠との違いも明らかでさ、砂海の上に立つと体が沈む。かといって砂が重く、泳ぐのもなかなか難しい。見た目の感触もまるで違うけど、泥の中が砂海に一番近いかも。
もっとも泥と違ってサラサラ砂だから泥のようには汚れない。
「砂海で釣りを嗜まれると? 店主殿も乙だの」
「砂海で釣りはなかなかハードルが高いよね」
「然り」
「まずは砂上船が必要だからなあ」
砂海の上は歩くことができないのは先ほど説明した通り。しかし、人類の叡智は砂海を進むことを可能にした。そいつが砂海を航行できる砂上船だ。砂海は海と違ってオールで漕いで進むことができない。なので、帆を張り進むのだが、海と違って砂は動木が少ないから風の力だけで進むのが困難な時もある。
その時に活躍するのが――。
「兄ちゃん、砂海で釣りをやってみねえか?」
「ん、あ、船長」
いつのまに酒盛りへ参加していたんだ、この人。三度目の声かけをした主はドワーフの船長だった。
「探索者ギルドの野郎どもがやってきてな。深海竜の解体作業が終わるまで暇してたってわけだ」
「船に乗せてくださりありがとうございました」
「何言ってんだ。感謝するのはこっちだろ、特等席で狩を見ることができたんだからな! いやあ、痛快だったぜ!」
「ははは……」
俺としては単なる幸運だったので、愛想笑いしか浮かんでこない。
会話しつつもドワーフの船長は自分でビールを注ぎ一息に飲み干していた。ドワーフといえば酒好きのイメージがあるが、彼も御多分に洩れずだった模様。
世界が変われど酒があり、肉もある。何を当たり前なことを、ってやつなのだが、当たり前が当たり前で無くなる体験をしたからか、当たり前をありがたいと噛み締めたい。意味不明であるが、俺も酒が結構好きだということを言いたかっただけなのだ。
しばらく飲んでいると、彼の船員らが酒樽を抱えて輪に加わる。釣り大会に集まっていた人たちもあれやこれやと持参していつの間にやら大宴会になっていた。
俺はそろそろ潮時かなあと、チラリとアーニーへ目をやる。しかし、彼女はトウモロコシのようなものをさもうまそうに齧っていた。まだまだ食べるらしいのでもうちょっと待った方がいいかなあ。あんなにほっそいのによく食べるものだ。彼女が沢山食べるのは酒を飲んでいないからかもしれない。
「兄ちゃん、そういや何て名前なんだ?」
ドワーフの店主に聞かれ、最初に船の前で自己紹介した気がしなくもないが、酒の席だし細かいことを考えるのはよそう。
「カイトです、よろしくお願いします」
「おう、俺はゴルゴスだ。カイト、お前さん、砂海に行きたいのか?」
「そのうち……行けたらいいなあと」
「ちょうど次の航海がサンドシティまでなんだよ。(船に)乗ってくか?」
サンドシティ……聞いたことのない名前の街だが、話の流れからして砂海近くの街なんだよな?
それならまさに、これこそ渡りに船ってやつだ。到着先の港街をマークしておけば、ホームから移動できるようになるし、いつでも街の散策、砂海へ行くことができるようになる!
「どうされました? あ、これ食べたいんですね!」
「いや、存分に食べてくれ」
ゲートの移動先登録なら、アーニーを頼ればお手軽にできるので、と思っていたら彼女と目があった。トウモロコシは食べ終わったようで、今度は緑色の豆を掴んでむしゃむしゃしているご様子。
しかしまあ、自分で旅しながら旅先をマークしていくのもいいかなって。この街へはアーニーに連れてきてもらったけど、今後は自力マークでいってみようか。 旅路ってやつはワクワクするものである。旅路の楽しみを捨てるほど急いじゃあいないのさ。
間にアーニーとのやりとりが入ったが、再びドワーフ船長へ。
「連れてって欲しいです。もちろん、運賃は支払います」
「明日出発だ。んー、金は要らんのだが、一つ頼まれてくれんか?」
「どんなことです?」
「到着まで順調なら三日だ。その間に数度、お前さんの釣りを見せて欲しい」
お、それは願ったり叶ったりだよ。逆に釣りをしたら邪魔になるから控えようと思っていたんだ。無料で乗せてくれて釣りまでやっていいとはさすがに気が引ける。手伝いをできることには積極的に参加しよう。
「ぜひ、お願いします、明日、船の前でよいですか?」
「おう、昼ごろに出る」
「てんちょお、わたしも行きたいです!」
豆をこぼしながらアーニーがはいはいと真っすぐ上に手をあげた。
彼女がついてきてくれるのなら歓迎だけど、仕事はよいのかな?
「数日、アーモンドアイの街には戻ってこれないけど大丈夫?」
「ぜんぜん平気です! 道案内のお仕事があれば戻ります」
「あとで道案内のところ、聞かせて欲しい」
「?、分かりましたー」
みんながいるところだから、ぼかして言ってみたら、見事にアーニーへ何のことか伝わっていない。
ま、後で話をするときに説明するつもりだから、これで良し。
何を聞きたいかというと、どうやって彼女が道案内の仕事を知るか、だ。
一つは船と彼女の家の間をゲートで行き来し、都度、探索者ギルドへ確認に行くこと。この場合は彼女が船上でゲートを使うときに見張っていればよい。
彼女の情報によるとこの時代ではゲートを使うことができる人が非常に少ないそうなので、知られないようにした方がいいと考えている。彼女が見られてもいいと希望すれば話は別だけど。
もう一つは遠距離通信を行う手段である。
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※本作は他サイトでも掲載しています
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