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第26話 表示名
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遠距離通信……つまり、離れたところから他の人に通信する手段のことだ。わざわざ言わんでも分かるって? そいつは失礼。
遠距離通信ってゲーム内なら一般的な機能で地球でもスマートフォンを使えばどこにいても知り合いにメッセージを送ったり、電話をかけたりすることができる。ところがどっこい、スマートフォンがなきゃ。離れたところにいる知り合いに通話することなんてできないのだ。
いや、まあ、当たり前のことを言っている自覚はある。しかしだな、意識していないと忘れそうになるんだよ。この世界には通信機器なんてないってことに。
さて、話を戻す。アナザーワールドオンラインではどのキャラクターでもキャラクター名宛にメッセージを送ることができる。ゲーム用語だとウィス、囁く、と言われているような機能だ。
一つ気になることがあって、もしかしたらアーニーはゲーム的な機能を一部または全て使えるんじゃないかって思ってさ。
酒盛りの後、彼女の家に着いたところで、さっそく聞いてみた。
「道案内があるのをどうやって知るのか、ですか? ハミルさんにウィスを飛ばすんですよー」
「ハミルトンにウィスで道案内の仕事があったらウィスをくれと伝えておくのね」
「ですです。てんちょおにはコマンドが見えますか?」
「いや、見えない」
彼女はゲームの時と同じように視界にコマンドが映っているらしい。
んー、そうじゃないかと思ったが、やっぱりそうなのかあ。
「コマンドが見えるのはわたしとハミルさんだけみたいなんです。てんちょおならわたしたちと同じかもと思ったんですが残念です」
「俺を見てぺぺぺだと分かったのも、キャラクター名が頭上に見えているからだよな?」
「はい、そうです。表示は出し入れできるのですが、わたしは常に出してます」
「俺は必要な時だけ出す、方が好みだったな」
いやさ、賢い俺は気が付いたんだ。今頃とか鈍すぎるだろって声は聞こえない。
何かというと、俺が転移した直後のことを覚えているだろうか。
キャラクターはぺぺぺなんだけど、顔は元の俺のようになっているってさ。彼女は人相が変わっている俺を見てこちらに確認もせず、俺がぺぺぺだと確信していたんだよね。彼女は俺の姿形を見て「てんちょお」と言っていたわけじゃなかったんだ。彼女は俺の頭上に表示される表示名「ぺぺぺ」を見て判断していた。
「アーニー、コマンドでできることは全部できるの?」
「てんちょおの見えているコマンドとわたしの見えているコマンドって同じなんでしょうか」
ああ、彼女のコマンドの中にログアウトなんてものはないだろうし、
「確かにちょっと違うかもしれない。キャラクター名が見えるのと、ウィスができること、他にもあったりする?」
「他には地図が開けたりします。モンスターが赤い丸で見えるので便利ですよ」
おお、俯瞰マップを見ることができるとは、羨ましい。
「あ、そういや、コマンドが見えるところがあったな」
「でしたら、てんちょおもウィスを受け取ることができるんですね!」
「コマンドをねっとりと確認したわけじゃないからなあ、メインインベントリーに触れた時だけコマンドが出たんだよ」
「てんちょお宛にウィスを送っておきます、コマンドを開いたらチェックしてみてくださいね!」
そうしよう、そうしよう。
◇◇◇
なあんて思っていた時が俺にもありました。
いや、ほらさ、帰るだろ、ずっと外にいたから風呂で汗を流すだろ、したらさ、酒も入っているわけで急速に眠くなり気が付いたら翌日ってわけですよ。
アーニーが自室の扉をどんどんして起こしに来てくれてさ。着替えて、旅の準備をして、ゲートの魔法でアーモンドアイの街へ移動して残橋ってわけなのである。ま、まあ、サンドシティまで送り届けてもらってから、ホームまで帰ってからじっくりねっとりとコマンドを確認すりゃいい。
コマンドはいつでも確認できるが、船旅は今日しか味わうことができないのだから。準備の時間がまるでなかったが、急ぎいくつかインベントリーから引っ張り出しリュックに詰め込んできた。他のゲームによくあるアイテムボックスとか袋的なものはアナザーワールドオンラインにはない。アイテムは手に持つかリュックやカバンに入れて持ち運ぶ必要がある。とはいえ、ホームにはいくらでもアイテムを置くこともできるし、ゲートの魔法でいつでもホームに戻ってくることができるからそう不便ではない。むしろ個人的にはリアリティがあってよいと思っている。ゲーム的にはホームの仕組みがあるのだから、キャラクター本体だけでいくらでもアイテムを持つことができたら、ホームの意味が薄れてしまうってのもあるのかも。
「てんちょお、はやくはやくー」
「おう、今行くー」
「わたしがゲートを出しちゃいますよ」
「さんきゅう」
などと言いながらゲートをくぐりアーニーの家へ移動する。
その後、急ぎならがらも楽しもうと街までアーニーと競争したのだが、全然勝負にならなかった。まだまだアーニーのテレポートの域に達するには時間がかかりそうだ。足場の見極めを瞬時にしなきゃ、とてもじゃないが彼女に追いつけない。いや、見極めるとか考えている間は無理そうだ、平な道を歩く時にどこを踏んで、なんて考えてないものね。
残橋にはドワーフの船長の船が停泊していた。
「お待たせしました!」
「おう、まだ出発までには時間があるぞ。もう飯は食ったのか?」
俺が手を振ると船の上からドワーフの船長が右手をあげて応じる。急いだから随分と早く着いちゃったのかな?
出発までご飯を食べるほどの時間は残ってなさそうなのだけど、準備に時間がかかっているのかも。それなら彼らの手伝いをしたいところだ。
元々船に乗ってから手伝いをしようと考えていたからね。
「まだです」
「んじゃ、その辺で食べてから来てくれ、特に手伝いは必要ねえぞ、却って邪魔になるからな」
おっと、先んじて言われてしまった。
んー、ここはありがたく露店で何か買って戻ってくることにしようか。アーニーが既に歩き始めていることだし。
遠距離通信ってゲーム内なら一般的な機能で地球でもスマートフォンを使えばどこにいても知り合いにメッセージを送ったり、電話をかけたりすることができる。ところがどっこい、スマートフォンがなきゃ。離れたところにいる知り合いに通話することなんてできないのだ。
いや、まあ、当たり前のことを言っている自覚はある。しかしだな、意識していないと忘れそうになるんだよ。この世界には通信機器なんてないってことに。
さて、話を戻す。アナザーワールドオンラインではどのキャラクターでもキャラクター名宛にメッセージを送ることができる。ゲーム用語だとウィス、囁く、と言われているような機能だ。
一つ気になることがあって、もしかしたらアーニーはゲーム的な機能を一部または全て使えるんじゃないかって思ってさ。
酒盛りの後、彼女の家に着いたところで、さっそく聞いてみた。
「道案内があるのをどうやって知るのか、ですか? ハミルさんにウィスを飛ばすんですよー」
「ハミルトンにウィスで道案内の仕事があったらウィスをくれと伝えておくのね」
「ですです。てんちょおにはコマンドが見えますか?」
「いや、見えない」
彼女はゲームの時と同じように視界にコマンドが映っているらしい。
んー、そうじゃないかと思ったが、やっぱりそうなのかあ。
「コマンドが見えるのはわたしとハミルさんだけみたいなんです。てんちょおならわたしたちと同じかもと思ったんですが残念です」
「俺を見てぺぺぺだと分かったのも、キャラクター名が頭上に見えているからだよな?」
「はい、そうです。表示は出し入れできるのですが、わたしは常に出してます」
「俺は必要な時だけ出す、方が好みだったな」
いやさ、賢い俺は気が付いたんだ。今頃とか鈍すぎるだろって声は聞こえない。
何かというと、俺が転移した直後のことを覚えているだろうか。
キャラクターはぺぺぺなんだけど、顔は元の俺のようになっているってさ。彼女は人相が変わっている俺を見てこちらに確認もせず、俺がぺぺぺだと確信していたんだよね。彼女は俺の姿形を見て「てんちょお」と言っていたわけじゃなかったんだ。彼女は俺の頭上に表示される表示名「ぺぺぺ」を見て判断していた。
「アーニー、コマンドでできることは全部できるの?」
「てんちょおの見えているコマンドとわたしの見えているコマンドって同じなんでしょうか」
ああ、彼女のコマンドの中にログアウトなんてものはないだろうし、
「確かにちょっと違うかもしれない。キャラクター名が見えるのと、ウィスができること、他にもあったりする?」
「他には地図が開けたりします。モンスターが赤い丸で見えるので便利ですよ」
おお、俯瞰マップを見ることができるとは、羨ましい。
「あ、そういや、コマンドが見えるところがあったな」
「でしたら、てんちょおもウィスを受け取ることができるんですね!」
「コマンドをねっとりと確認したわけじゃないからなあ、メインインベントリーに触れた時だけコマンドが出たんだよ」
「てんちょお宛にウィスを送っておきます、コマンドを開いたらチェックしてみてくださいね!」
そうしよう、そうしよう。
◇◇◇
なあんて思っていた時が俺にもありました。
いや、ほらさ、帰るだろ、ずっと外にいたから風呂で汗を流すだろ、したらさ、酒も入っているわけで急速に眠くなり気が付いたら翌日ってわけですよ。
アーニーが自室の扉をどんどんして起こしに来てくれてさ。着替えて、旅の準備をして、ゲートの魔法でアーモンドアイの街へ移動して残橋ってわけなのである。ま、まあ、サンドシティまで送り届けてもらってから、ホームまで帰ってからじっくりねっとりとコマンドを確認すりゃいい。
コマンドはいつでも確認できるが、船旅は今日しか味わうことができないのだから。準備の時間がまるでなかったが、急ぎいくつかインベントリーから引っ張り出しリュックに詰め込んできた。他のゲームによくあるアイテムボックスとか袋的なものはアナザーワールドオンラインにはない。アイテムは手に持つかリュックやカバンに入れて持ち運ぶ必要がある。とはいえ、ホームにはいくらでもアイテムを置くこともできるし、ゲートの魔法でいつでもホームに戻ってくることができるからそう不便ではない。むしろ個人的にはリアリティがあってよいと思っている。ゲーム的にはホームの仕組みがあるのだから、キャラクター本体だけでいくらでもアイテムを持つことができたら、ホームの意味が薄れてしまうってのもあるのかも。
「てんちょお、はやくはやくー」
「おう、今行くー」
「わたしがゲートを出しちゃいますよ」
「さんきゅう」
などと言いながらゲートをくぐりアーニーの家へ移動する。
その後、急ぎならがらも楽しもうと街までアーニーと競争したのだが、全然勝負にならなかった。まだまだアーニーのテレポートの域に達するには時間がかかりそうだ。足場の見極めを瞬時にしなきゃ、とてもじゃないが彼女に追いつけない。いや、見極めるとか考えている間は無理そうだ、平な道を歩く時にどこを踏んで、なんて考えてないものね。
残橋にはドワーフの船長の船が停泊していた。
「お待たせしました!」
「おう、まだ出発までには時間があるぞ。もう飯は食ったのか?」
俺が手を振ると船の上からドワーフの船長が右手をあげて応じる。急いだから随分と早く着いちゃったのかな?
出発までご飯を食べるほどの時間は残ってなさそうなのだけど、準備に時間がかかっているのかも。それなら彼らの手伝いをしたいところだ。
元々船に乗ってから手伝いをしようと考えていたからね。
「まだです」
「んじゃ、その辺で食べてから来てくれ、特に手伝いは必要ねえぞ、却って邪魔になるからな」
おっと、先んじて言われてしまった。
んー、ここはありがたく露店で何か買って戻ってくることにしようか。アーニーが既に歩き始めていることだし。
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