凄腕の探索者? いいえ、ただの釣り人です~ゲームに似た異世界に転移したが、ただの素材集めキャラなのでのらりくらりと過ごそうと思います~

うみ

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第45話 メニューだよ、メニュー

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 買い物を済ませた俺たちは、荷物を持ちながらもゲートの登録地点を探し始める。
 郊外も微妙だよなあ。街の外壁外に出て、5分ほど歩いたところに小さなほら穴があったので、そこをゲートの登録地点とした。
「一旦ホームに戻って旅の準備をしようか」
「はい!」
 旅は明日の朝に出発することにして、今日は準備にあてることにしよう。
 この後ホームに戻って準備に取り掛かるも、30分もかからず完了してしまった。ならば、放置していたインベントリーやメニューを調べるとするか。
 色んなものを詰め込んでいるからなあ。
 まずはメインインベントリーに触れる。
《メニュー》
 これこれ、メニューだよ、メニュー。確か結構なコマンドが欠落していたんだっけ。最初少し触れて以来全く見ていなかったから、何があったのかほぼ忘れている。
 うーんと、あ、≪メッセージ≫のコマンドがあるのか、これを使えばアーニーとハミルトンへメッセージを送ることができるのかな。
「ん、新着メッセージが……とんでもない量になっているじゃないか」
「あ、それ、たぶん、ほとんど私だと思います!」
 メッセージを選ぶとメッセージボックスが開いて、未読と既読に分かれている。
 先に既読を選んでみたら、ゲーム時代にやり取りしたメッセージが全て残っていた。お次は未読の方。
 アーニーでソートしてみたら、確かにとんでもない量のメッセージが溜まっていた。ハミルトンからも一年に一回くらいの頻度でメッセージが届いていた模様である。メッセージの時刻表示は日本の時のものらしく、全て俺がこの世界へ来た後の時間になっていた。
 ハミルトンとアーニー以外の送信者のメッセージに絞り込むとメッセージが三件まで減ったぞ。この三件は俺が転移した後に送ってこられたメッセージってことになる。
「どれどれ……お、おお、おおお」
 ペペぺからメッセージがきているではないか。自分から自分宛にメッセージを送ることは可能だ。
 しかし、既にプレイヤーである俺がいないのにどうやってメッセージを?
『海斗兄、Limeにもメッセージを送って電話もしたのだけど、スマホを机の上に置きっぱなしだし、ハムちゃん預かっておくね。帰ってきたら連絡ちょうだいね』
朱莉あかりか。俺が一体何日間いなくなっていたのかとか気になるけど、ナイス過ぎるぜ」
 妹の朱莉が俺の部屋へ来て、つきっぱなしだったアナザーワールドのペペぺを操作してメッセージを送ってくれたんだな。
 彼女もまたアナザーワールドプレイヤーだから、操作なんてお手の物なのである。VR機器もそのまま放りっぱなしだったはずだから、メッセージを送るだけならすぐだよ、すぐ。俺、スマートフォンは持ってコンビニに行ってそこで異世界へ転移したはずなのだけど、スマートフォンが机の上におきっぱなし、とはこれいかに。
 ま、まあ、細かいことはいいか。ハムちゃんがお腹を空かせてないことが分かったから。
 ちなみに、妹の朱莉は俺の隣のワンルームで暮らしている。連絡しても俺から返信がないから、俺の様子を見に部屋にやってきたんだろうな。余談であるが、妹は俺の部屋のスペアキーを持っているが、俺は彼女の部屋のスペアキーは持っていない。
 連絡がつかなかったからといって、ゲーム内メッセージを送ってくるとは風変わりにもほどがあるけど、彼女は俺が毎日アナザーワールドにログインしているのを知っていたし、スマートフォンが置きっぱなしだったから悪戯心でアナザーワールドでもメッセージを送ったのかな?
 それなら、自分のキャラで送ればいいのに、なんて不満を言うつもりはない。おかげさまでハムちゃんのことを知ることができたのだから。
「悲しいことがあったのですか?」
「あ、いや、ほっとして」
 犬耳をペタンとさせたアーニーが心配そうに覗き込んできた。ホッとして涙が出ていたことにも気が付いていなかったよ。
 大丈夫だって言ってるのに、アーニーが後ろから俺をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大事にしていたペットの餌のことが心配で、妹が面倒を見てくれるって」
「ペット? 厩舎に入れておけば餌も必要ないんじゃ?」
「あはは、そうだな、うん。厩舎に入れないままで俺が転移しちゃって、拠点登録もしていないから気になっていたんだよ」
「そうだったんですね、てんちょおに妹さんがいたんですね!」
 アナザーワールドのペット的に説明しようとしたのだが、却って分かり辛くなってしまったかもしれん。ま、まあ、雰囲気が伝われば良し。
「クリスって名前なんだ。俺のホームにも何度か来たことがあるよ」
「あ、白狐の耳の方ですね!」
「そそ、たまにチーズポテトと狩に出かけたりしていたんだよ」
「そうだったんですね! チーズポテトさんとも親しいんですねー」
 チーズポテトも中身俺だから、当然といえば当然なのだが、アーニーにとってチーズポテトはペペぺとは別人だからね。
「ほっとしたら、おなかがすいてきたよ。ちょいと食べに街に行かないか?」
「はいー。どこにしますか?」
「そうだなー、希望はある?」
「サンドシティでどうですか? 拠点登録場所から街中が一番近いですし」
 キャタピラーという名のイモムシが頭をよぎるが、サンドシティの食事は何もイモムシだけじゃあないんだ。
 露店で食べ歩きも良し、アーニーがイモムシを食べたいなら食べればよいのさ。俺は俺で好きなものを選ぶ。
 
 サンドシティの露店は雑貨や日用品をはじめ、食材や食べ歩き用のメニューも豊富で、どれもこれもおいしそうで選ぶのに悩む。
 その中でも真っ白な果実につぶつぶが入った果物が串にささっているものが特に気になった。
「これ、ドラゴンフルーツ?」
「ドラゴン? いやいや、こいつはクツワサボテンだぜ。こう見えてなかなかうまいんだ」
「それじゃあ、二つもらえるかな?」
「あいよ」
 気さくな店主からクツワサボテンの串を二本受け取る。
 さっそく、しゃりっと食べてみたら、思った以上にすっぱいけど、これはこれでおいしいな。
 味はドラゴンフルーツやキュウイに近いものだった。
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