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幸せになれますか?
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証拠は、すぐに見つかった。といっても半日かかってしまったが。
私と殿下の配下で構成した見張りが、《魔物が巣食う盆地に向かう将軍にあてての手紙を持った使者》を拿捕したのだ。
ここまで素早く見つかるとは正直思っていなかった。
でも、今回の一件、将軍は明らかに急いでいる。
だからこそ近いうちに尻尾を見せると踏んでいたのだけれど。使者が持っていた手紙は帝国からのもので、蝋印からして本物だった。内容は、今後の待遇について。
この決定的な証拠で持って、殿下は打ちのめされたけれど決断もした。
「まさか、将軍が隣の帝国とつながっていたとは」
「自分の息子を跡取りにした、王家の暗殺を含めた転覆計画……荒唐無稽ではありますね」
「悲しいけれど、裏切りは断じて許されない行為だ」
殿下は怒りと悲しみの混じった表情で唇を軽く噛む。
「アイシャ。協力してくれるかな」
「もちろんです」
相手の指揮官が人間であれば、やりようは見えてくる。それに、作戦はもう組み立ててある。後、三日もあればどうにかなるだろう。
◇ ◇ ◇
戦闘開始は、夜だった。
時間稼ぎの数日間、睨みあいを演じているようで、ここにも作戦を組み込んである。ローテーションを組んで斥候を取り出し、相手を四六時中緊張状態に持っていったのだ。
そうすれば、見えない形で相手にストレスがかかり、士気も何もかも落ちていく。
その最中での、夜襲だ。
まず第一弾は、火矢だ。
この森には、油の木が群生している。殿下に料理を振舞った時に偶然発見したものだけど、使える。
この数日間でかき集めるだけ集めた矢に油を染み込ませ、火をつけて射る。
弓兵を全部使っての総攻撃は、まさに火の雨だ。
相手の陣地は基本的に木材で構成されていて、何百と射ればさすがに火もつく。しばらく待てば、あっという間に相手の陣地は火の海と化した。
当然、そうなると敵は逃げ出すしかなく、手勢とある程度統率のついた魔物たちが集団となって打って出てくる。湿地帯の方へ逃げなかったのは、私の部隊が相手に見つかる程度に隠密しつつ、罠を設置したからだ。
後は、森に逃げ込んできた敵たちを討つだけ。
今度はしっかりこっちも準備を整えてある。
まともに準備もできていない、士気も落ちて混乱している敵を鎮圧するのは簡単な話だった。
ただ一人、将軍だけは非常に厄介だった。
ただの兵士たちでは抑えきれず、殿下と私が出向いて戦いを仕掛け、かなりのダメージを与えてようやく確保できた。
これが一番苦労したかもしれない。
ともあれ、これにて一件落着だ。
これから王都は色々とゴタゴタするだろうが、私の役目は終わり。
ウォンティーヌ家の名代としての役割はきっちりと果たしたのである。誉れこそあれど、おそらく私は報われない。
どうせ、兄上は特に興味を持たない。
両親にしても、私が出向いていることを知らない。名代で弟が出向いているという話は流れてくるだろうが、兄上があれこれ理由をつけて自分がその弟であると伝えているので、両親は信じない。
私はまた、愚かな妹に戻るのだ。
ああ、寂しい。
戦場でありながらも、殿下と過ごせた短い時間は幸せだった。
殿下のためにならば働くことは厭わないし、女としての私も満たされた。何より殿下は、私をアイシャとして扱ってくれたのだ。
その愛おしい時間がなくなる。
帰路につくにつれ、私はため息ばかりが増えてしまっていた。
とはいえ、仕事はしなければならない。
被害状況と功績を取りまとめ、部下にも褒章を行わなければ。そんなことを考えていたあたり、殿下がやってきた。
「殿下、どうなされたのです? 少しでも早く本国へお戻りにならなければいけないのでは?」
今回の騒動は非常に大きい爪あとを残す。
そのダメージを少しでも小さくするためには、スピードが重要だった。
ことに、今回の騒動の裏で動いていた帝国に対する牽制は何よりも大事だ。
「もちろんそうなんだけれど、少しくらい話す時間もまたあるよ」
殿下はごく自然な理由で人払いをし、私を連れ出し、近くの泉へ向かった。
雑木林に囲まれた静かな場所にあって、落ち着く雰囲気だ。精霊でも住んでいるのかもしれない。
思わず深呼吸していると、殿下はどうしてかそわそわしていた。
「殿下? どうされたのですか?」
「うん? ああ、うん。そうだ、そうだったね」
なにやら混乱している? のかな?
見守っていると、殿下は意を決したように私を勢い良く向いて、私の手を取った。
「こんなところで、こんなタイミングで、こんなこと言うのは、王子としては失格なのかもしれない。けど、男として、言わなければならないんだ」
「殿下?」
「こんな短い期間でしかないというのに、ボクは君に惚れてしまったんだ」
…………――――はい?
言われたことが理解できずに、私の頭は完全にフリーズした。
「え、ええ、えっと、殿下?」
「君の軍事的才能もそうだけれど、男装して凛とした姿で指揮をする様、勇ましく槍を奮う武人としての様、それだけじゃなくて、女性として魅力的な様。ああ、あの時の料理の味が今も忘れられなくて、舌の上を踊っているんだ」
え、ええ、ええええ?
いや、その、えっと?
「アイシャ。必ずボクが迎えにくるから。待っていてくれるかい」
私は顔が赤くなっていくのを制御できない。いや、間違いなく不可能だ、こんなもの!
「殿下、それはっ」
うろたえる私に跪いて、殿下は私の手にキスをした。
「愛している。アイシャ。ボクはどうしてもたまらなく、君に恋してしまった」
「殿下……っ!」
「ボクの愛を、どうか受け取ってくれるかな?」
そんな、そんな上目遣いで訴えられたら、もうっ。
私は泣きそうになりながら、顔を耳まで真っ赤にしながら、頷いた。
だって、私だって、殿下と一緒にいたいもの。
ひとりの女として。
アイシャとして。
「……喜んでっ」
「ありがとう。良かった。人生ではじめての告白だったから、すごく緊張したよ」
本当にほっとしているのか、殿下は腰が抜けたように座り込んだ。私も釣られて腰を落とすと、殿下がそっと手を伸ばしてきた。
反射的に手を伸ばすと、その手をしっかりつかまれて引き寄せられた。
ぐい、っと、一気に殿下の顔が近くなる。
って、いきなりっ……!?
動揺しているのもつかの間、あっという間に私は唇を奪われてしまう。
温かい、唇。
「ちょっと強引だったけど、君はもうボクのものだから。誰にも渡さない約束の口づけだよ」
悪戯っぽく殿下は微笑んだ。
私と殿下の配下で構成した見張りが、《魔物が巣食う盆地に向かう将軍にあてての手紙を持った使者》を拿捕したのだ。
ここまで素早く見つかるとは正直思っていなかった。
でも、今回の一件、将軍は明らかに急いでいる。
だからこそ近いうちに尻尾を見せると踏んでいたのだけれど。使者が持っていた手紙は帝国からのもので、蝋印からして本物だった。内容は、今後の待遇について。
この決定的な証拠で持って、殿下は打ちのめされたけれど決断もした。
「まさか、将軍が隣の帝国とつながっていたとは」
「自分の息子を跡取りにした、王家の暗殺を含めた転覆計画……荒唐無稽ではありますね」
「悲しいけれど、裏切りは断じて許されない行為だ」
殿下は怒りと悲しみの混じった表情で唇を軽く噛む。
「アイシャ。協力してくれるかな」
「もちろんです」
相手の指揮官が人間であれば、やりようは見えてくる。それに、作戦はもう組み立ててある。後、三日もあればどうにかなるだろう。
◇ ◇ ◇
戦闘開始は、夜だった。
時間稼ぎの数日間、睨みあいを演じているようで、ここにも作戦を組み込んである。ローテーションを組んで斥候を取り出し、相手を四六時中緊張状態に持っていったのだ。
そうすれば、見えない形で相手にストレスがかかり、士気も何もかも落ちていく。
その最中での、夜襲だ。
まず第一弾は、火矢だ。
この森には、油の木が群生している。殿下に料理を振舞った時に偶然発見したものだけど、使える。
この数日間でかき集めるだけ集めた矢に油を染み込ませ、火をつけて射る。
弓兵を全部使っての総攻撃は、まさに火の雨だ。
相手の陣地は基本的に木材で構成されていて、何百と射ればさすがに火もつく。しばらく待てば、あっという間に相手の陣地は火の海と化した。
当然、そうなると敵は逃げ出すしかなく、手勢とある程度統率のついた魔物たちが集団となって打って出てくる。湿地帯の方へ逃げなかったのは、私の部隊が相手に見つかる程度に隠密しつつ、罠を設置したからだ。
後は、森に逃げ込んできた敵たちを討つだけ。
今度はしっかりこっちも準備を整えてある。
まともに準備もできていない、士気も落ちて混乱している敵を鎮圧するのは簡単な話だった。
ただ一人、将軍だけは非常に厄介だった。
ただの兵士たちでは抑えきれず、殿下と私が出向いて戦いを仕掛け、かなりのダメージを与えてようやく確保できた。
これが一番苦労したかもしれない。
ともあれ、これにて一件落着だ。
これから王都は色々とゴタゴタするだろうが、私の役目は終わり。
ウォンティーヌ家の名代としての役割はきっちりと果たしたのである。誉れこそあれど、おそらく私は報われない。
どうせ、兄上は特に興味を持たない。
両親にしても、私が出向いていることを知らない。名代で弟が出向いているという話は流れてくるだろうが、兄上があれこれ理由をつけて自分がその弟であると伝えているので、両親は信じない。
私はまた、愚かな妹に戻るのだ。
ああ、寂しい。
戦場でありながらも、殿下と過ごせた短い時間は幸せだった。
殿下のためにならば働くことは厭わないし、女としての私も満たされた。何より殿下は、私をアイシャとして扱ってくれたのだ。
その愛おしい時間がなくなる。
帰路につくにつれ、私はため息ばかりが増えてしまっていた。
とはいえ、仕事はしなければならない。
被害状況と功績を取りまとめ、部下にも褒章を行わなければ。そんなことを考えていたあたり、殿下がやってきた。
「殿下、どうなされたのです? 少しでも早く本国へお戻りにならなければいけないのでは?」
今回の騒動は非常に大きい爪あとを残す。
そのダメージを少しでも小さくするためには、スピードが重要だった。
ことに、今回の騒動の裏で動いていた帝国に対する牽制は何よりも大事だ。
「もちろんそうなんだけれど、少しくらい話す時間もまたあるよ」
殿下はごく自然な理由で人払いをし、私を連れ出し、近くの泉へ向かった。
雑木林に囲まれた静かな場所にあって、落ち着く雰囲気だ。精霊でも住んでいるのかもしれない。
思わず深呼吸していると、殿下はどうしてかそわそわしていた。
「殿下? どうされたのですか?」
「うん? ああ、うん。そうだ、そうだったね」
なにやら混乱している? のかな?
見守っていると、殿下は意を決したように私を勢い良く向いて、私の手を取った。
「こんなところで、こんなタイミングで、こんなこと言うのは、王子としては失格なのかもしれない。けど、男として、言わなければならないんだ」
「殿下?」
「こんな短い期間でしかないというのに、ボクは君に惚れてしまったんだ」
…………――――はい?
言われたことが理解できずに、私の頭は完全にフリーズした。
「え、ええ、えっと、殿下?」
「君の軍事的才能もそうだけれど、男装して凛とした姿で指揮をする様、勇ましく槍を奮う武人としての様、それだけじゃなくて、女性として魅力的な様。ああ、あの時の料理の味が今も忘れられなくて、舌の上を踊っているんだ」
え、ええ、ええええ?
いや、その、えっと?
「アイシャ。必ずボクが迎えにくるから。待っていてくれるかい」
私は顔が赤くなっていくのを制御できない。いや、間違いなく不可能だ、こんなもの!
「殿下、それはっ」
うろたえる私に跪いて、殿下は私の手にキスをした。
「愛している。アイシャ。ボクはどうしてもたまらなく、君に恋してしまった」
「殿下……っ!」
「ボクの愛を、どうか受け取ってくれるかな?」
そんな、そんな上目遣いで訴えられたら、もうっ。
私は泣きそうになりながら、顔を耳まで真っ赤にしながら、頷いた。
だって、私だって、殿下と一緒にいたいもの。
ひとりの女として。
アイシャとして。
「……喜んでっ」
「ありがとう。良かった。人生ではじめての告白だったから、すごく緊張したよ」
本当にほっとしているのか、殿下は腰が抜けたように座り込んだ。私も釣られて腰を落とすと、殿下がそっと手を伸ばしてきた。
反射的に手を伸ばすと、その手をしっかりつかまれて引き寄せられた。
ぐい、っと、一気に殿下の顔が近くなる。
って、いきなりっ……!?
動揺しているのもつかの間、あっという間に私は唇を奪われてしまう。
温かい、唇。
「ちょっと強引だったけど、君はもうボクのものだから。誰にも渡さない約束の口づけだよ」
悪戯っぽく殿下は微笑んだ。
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