ひたすら楽する冒険者業

長来周治

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楽の戦士トーチの章

212.楽しさの消えた酒場-2

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 別にここの店員を悪く言うつもりではないが、急に別世界の住人に会ったような気分だった。
 感覚的には言葉の通じない相手に、身振り手振りで説明するような感じ。
 不愛想な人間と言えばダグラスがいるが、それでも言葉は問題なく通じる。何について話たいのかがわかるし、こっちに気を遣って話すことが出来る。
 彼も高級街の住人だから、基礎的な教養や環境が違うということだろう。その違いでこうも人間味のようなものに差がが出るのかと思う。
 もちろんある程度の違いはあるとは思っていたし感じてもいたけど、その差を改めて体感する。わずかとはいえ高級街の住人と接して、比較対象が出来たからだ。
 ……なんだか、急に自分いる場所全てがみすぼらしいのではないかという気がして、鬱になりそうだったので、これ以上は考えないようにしておく。
 店員が注文したウサギの唐揚げを持って戻ってきた。
 全体的に雑で味気ない盛り付けで、ヤケクソのように辛いソースがかかっている。揚げたて、というより、どちらかと言えば即席とか即興とかそいうものだ。
 別に今に始まったわけではないし、そういう料理が悪いわけではない。
 ただまだ少し口の中に残っている、ほんのり甘いクッキーの味を、この辛さと脂身で塗りつぶしてしまうのは、忍びないような気はした。
 しかし食わないと仕事にならないので、黙々とウサギを口に運ぶ。
 何か、パンとかも合わせて頼むべきだったと、強く思う味だ。美味いとか辛いとか、そういうのではなく、やはりこっちの料理はただただひたすら濃い。
 追加で頼もうか。あとついでに飲み物も欲しい。ミルクは苦手だけど、お茶なんて洒落たものはない。まあ、水が無難か。頼むとだいたい厨房で使っている温い水が出てくるが。
 そんな事を思いながら、次店員が通りがかるのを待ちつつ、唐揚げを口に入れていると、ふと俺の頭上に影が差した。
 店員が来たのかと思ったが、冒険者と思しき男性客が俺を見下ろしていた。
「よう」
「え……?」
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