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雨上がりの街①
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雨が上がり昼下がりの風が、白衣の袖をはらりと揺らした
研究棟の裏口
警備員の足音が遠ざかるのを確認すると、少女はそっと影から抜け出した
名前は、“しいなあかり“
生まれつき“消える”ことができる少女。
テレポートという言葉を与えられたその力を、彼女は“逃げるための魔法”と呼んでいた
「ふふっ、上手くいった♪」
白いスニーカーで地面を蹴る
研究所の高い壁を越えた瞬間、光が広がった
空の青、風のにおい、人の声
どれも初めて見る“現実”だった
ガラス張りのビルの隙間を抜け、にぎわう商店街を歩く
道端のパン屋から漂う甘い香りに足を止める。
ショーウィンドウに並ぶぬいぐるみを見て、思わず笑った
「これが……外の世界……!」
小さな声でつぶやいたその顔は、心から嬉しそうだった
だが、通りの向こうで人の群れがざわめいた
自転車が倒れ、誰かの悲鳴が聞こえる
少女が顔を向けると、そこには少年が立っていた
制服のシャツの裾が乱れ、肩で息をしている
茶色の髪が風に揺れ、紫がかったパーカーのフードが背にかかる
彼――眞子柴謙太は、目の前の倒れた自転車を見て顔をしかめた
「なんだよ…ブレーキが効かないこと教えただけなのによぉ……」
彼の視線の先、倒れた自転車の側に佇む人はケンタを怪訝そうな表情で見つめている
ケンタには自転車の中が透視図のように見えていた
不可侵の目視、物を透視する彼の超能力
ケンタの目は薄紫に光り、その力を発揮していた
能力に気がついた周囲の人々は、訝しげな視線を投げて散っていく
ケンタははため息をつき、
「……もうやだ、これだから外は苦手なんスよ……」とつぶやいた
その時
「ねぇ、それってすごいね♪」
明るい声が響いた
ケンタが振り返ると、そこには白いワンピース姿の少女
陽光を受けて輝く銀がかったピンクの髪、無邪気に笑う赤い瞳
彼女は、まるで世界のすべてが新鮮で仕方ないというように、目を輝かせていた
「え、いや……すごいっていうか、ちょっと変な能力で……」
「変? そんなことないよ♪ だって、“見える”ってすごいことだもん!」
少女の無邪気な笑顔に、ケンタは思わず言葉を失った
彼女の声には、恐怖も、偏見も、羨望すらもなかった
ただ、純粋な“興味”と“優しさ”だけがあった
「わたしね、外の世界を見てみたかったんだ♪」
「外の世界?」
「うん! だって、ずっと“見えない場所”にいたから♪」
その言葉の裏に、彼女が抱える何かを感じたケンタはなぜだか、もう少しだけ話をしてみたくなった
こうして二人は出会った
それが、たった一日限りの奇跡だとも知らずに
研究棟の裏口
警備員の足音が遠ざかるのを確認すると、少女はそっと影から抜け出した
名前は、“しいなあかり“
生まれつき“消える”ことができる少女。
テレポートという言葉を与えられたその力を、彼女は“逃げるための魔法”と呼んでいた
「ふふっ、上手くいった♪」
白いスニーカーで地面を蹴る
研究所の高い壁を越えた瞬間、光が広がった
空の青、風のにおい、人の声
どれも初めて見る“現実”だった
ガラス張りのビルの隙間を抜け、にぎわう商店街を歩く
道端のパン屋から漂う甘い香りに足を止める。
ショーウィンドウに並ぶぬいぐるみを見て、思わず笑った
「これが……外の世界……!」
小さな声でつぶやいたその顔は、心から嬉しそうだった
だが、通りの向こうで人の群れがざわめいた
自転車が倒れ、誰かの悲鳴が聞こえる
少女が顔を向けると、そこには少年が立っていた
制服のシャツの裾が乱れ、肩で息をしている
茶色の髪が風に揺れ、紫がかったパーカーのフードが背にかかる
彼――眞子柴謙太は、目の前の倒れた自転車を見て顔をしかめた
「なんだよ…ブレーキが効かないこと教えただけなのによぉ……」
彼の視線の先、倒れた自転車の側に佇む人はケンタを怪訝そうな表情で見つめている
ケンタには自転車の中が透視図のように見えていた
不可侵の目視、物を透視する彼の超能力
ケンタの目は薄紫に光り、その力を発揮していた
能力に気がついた周囲の人々は、訝しげな視線を投げて散っていく
ケンタははため息をつき、
「……もうやだ、これだから外は苦手なんスよ……」とつぶやいた
その時
「ねぇ、それってすごいね♪」
明るい声が響いた
ケンタが振り返ると、そこには白いワンピース姿の少女
陽光を受けて輝く銀がかったピンクの髪、無邪気に笑う赤い瞳
彼女は、まるで世界のすべてが新鮮で仕方ないというように、目を輝かせていた
「え、いや……すごいっていうか、ちょっと変な能力で……」
「変? そんなことないよ♪ だって、“見える”ってすごいことだもん!」
少女の無邪気な笑顔に、ケンタは思わず言葉を失った
彼女の声には、恐怖も、偏見も、羨望すらもなかった
ただ、純粋な“興味”と“優しさ”だけがあった
「わたしね、外の世界を見てみたかったんだ♪」
「外の世界?」
「うん! だって、ずっと“見えない場所”にいたから♪」
その言葉の裏に、彼女が抱える何かを感じたケンタはなぜだか、もう少しだけ話をしてみたくなった
こうして二人は出会った
それが、たった一日限りの奇跡だとも知らずに
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