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⑲
屋敷の中の様子にあっけに取られていたら、『まずはお風呂だな』と誘われて、ビックリするほど広い浴室へ案内された。俺自身は行ったこと無いけど、両親が前に話していた『スパ』ってこんな感じなのかな??などと、きょろきょろと眺めまわしていると、隣でクルトさんが愉快そうに笑っていることに気が付く。
「あの……す、すみません…」
「ん?なんで謝るんだ?」
思わず俺が謝ると、本気でわからない様子で、クルトさんが首を傾げた。
「俺…き、汚くて…臭いから…」
ここへ来る前に家で風呂へ入れられ、まともに見えるよう身繕いされはしたが──やっぱり、長く埃だらけの部屋に住んでいたからだろう。俺自身もなんとなく、自分が埃臭い気がしたし、汚れが取れてないような気もした。
「だから…その……ごめんなさい…」
不快な思いをさせて申し訳ない。そういうつもりで謝ったが、クルトさんはポカンとしていた。まるで思っても無かったことを指摘された、みたいな様子に俺は何か勘違いしたのか??と首を傾げる。
「あ~いやいや…寒そうだったから、温まるには風呂が一番かなって、思っただけなんだがな…」
「えっ……」
そう言って笑ったクルトさんは、『変に気遣わせて悪かったな』と謝ってくれた。俺が勘違いしただけなのに。俺のほうが悪いのに。
「1人で入れるか?手伝った方がいいか? 」
「あ…ううん。1人で入れます…」
脱衣所でクルトさんに入浴を手伝うか?と問われて、俺は慌ててその厚意を断った。そういえば父から『しばらくは服の下を見せるな』と注意されていたんだった、と思い出したからだ。
その理由はもちろん、俺の体に残された青痣だ。
父母に折檻された痕跡。
たぶん、数週間は消えない虐待の証。
そんな自らがつけたあからさまな虐待の痕跡を、父母はクルトさんに見せたくなかったんだろう。
後になって考えてみると、俺は彼らに捨てられたのだから、もはやそんな言いつけを守る必要もなかったのに。何故だか俺は、この時、滑稽にもまだ親の言いつけを素直に守っていた。自分でもおかしく思うけど。
俺はなるべく隠しながら服を脱いで、風呂へ入ったはずだった。
でも、結局、クルトさんには見られていたらしい。
随分後になってから知ったけど。
「あの……す、すみません…」
「ん?なんで謝るんだ?」
思わず俺が謝ると、本気でわからない様子で、クルトさんが首を傾げた。
「俺…き、汚くて…臭いから…」
ここへ来る前に家で風呂へ入れられ、まともに見えるよう身繕いされはしたが──やっぱり、長く埃だらけの部屋に住んでいたからだろう。俺自身もなんとなく、自分が埃臭い気がしたし、汚れが取れてないような気もした。
「だから…その……ごめんなさい…」
不快な思いをさせて申し訳ない。そういうつもりで謝ったが、クルトさんはポカンとしていた。まるで思っても無かったことを指摘された、みたいな様子に俺は何か勘違いしたのか??と首を傾げる。
「あ~いやいや…寒そうだったから、温まるには風呂が一番かなって、思っただけなんだがな…」
「えっ……」
そう言って笑ったクルトさんは、『変に気遣わせて悪かったな』と謝ってくれた。俺が勘違いしただけなのに。俺のほうが悪いのに。
「1人で入れるか?手伝った方がいいか? 」
「あ…ううん。1人で入れます…」
脱衣所でクルトさんに入浴を手伝うか?と問われて、俺は慌ててその厚意を断った。そういえば父から『しばらくは服の下を見せるな』と注意されていたんだった、と思い出したからだ。
その理由はもちろん、俺の体に残された青痣だ。
父母に折檻された痕跡。
たぶん、数週間は消えない虐待の証。
そんな自らがつけたあからさまな虐待の痕跡を、父母はクルトさんに見せたくなかったんだろう。
後になって考えてみると、俺は彼らに捨てられたのだから、もはやそんな言いつけを守る必要もなかったのに。何故だか俺は、この時、滑稽にもまだ親の言いつけを素直に守っていた。自分でもおかしく思うけど。
俺はなるべく隠しながら服を脱いで、風呂へ入ったはずだった。
でも、結局、クルトさんには見られていたらしい。
随分後になってから知ったけど。
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