【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら

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第二章 運命が動き始める

ヴァルモント領へ

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 一週間の旅を経て、ついにヴァルモント家の城が見えてきた。
 北の山々を背景に、灰色の石で造られた堂々たる城。

 でも、厳めしく見えるその城は、近づくにつれて、どこか温かみを感じさせた。
 長年にわたる人々の営みを感じさせるたたずまい。

 城門が開き、馬車が中庭に入る。
 使用人たちが、整列して出迎えた。

「お帰りなさいませ、アレクシス様」

 執事らしき老人が、深々とお辞儀をした。

「ただいま。紹介しよう。私の妻、エリアナだ」

 その言葉に、使用人たちが一斉にエリアナを見た。
 そして、全員が深くお辞儀をした。

「エリアナ様、ようこそヴァルモント家へ」

 その声は、心から歓迎してくれているように聞こえた。

 エリアナは、驚いた。
 フォンティーナの屋敷では、ずっと使用人たちに軽んじられていた。継母や妹がそのように仕向けたからだ。でも、ここでは、すべてがまるで違う。

「エリアナ様、お部屋にご案内いたします」

 若い侍女が、にこやかに言った。

「あ、ありがとうございます」

 荷物を受け取ろうと差し出される手に、どぎまぎしてしまう。これまで、尽くしてくれたのはマルタだけで、自分のことはほとんど自分でやっていたから。

 城の中は、予想以上に美しかった。
 廊下には絵画が飾られ、窓からは美しい庭園が見える。
 そして、案内された部屋は——

「まあ……」

 エリアナは、息を呑んだ。
 広く、明るい部屋。大きな窓からは、北の山々が見える。ベッドは天蓋付きで、暖炉には火が灯されている。

「気に入ったか」

 アレクシスが、背後から尋ねた。

「はい……とても」
「ここが、君の部屋だ。好きに使ってくれ」

 エリアナは、部屋を見回した。
 自分の部屋。
 本当に自分だけの、ちゃんとした部屋。
 フォンティーナの屋敷では、物置のような部屋だったのに。

 涙がこぼれそうになった。

「アレクシス様……ありがとうございます」
「礼を言う必要はない。君は、この城の主人の一人なのだから」

 アレクシスは、そう言って部屋を出ていった。

 一人になって、エリアナは窓辺に立った。北の空は、どこまでも青く、澄んでいた。

 新しい人生が、ここから始まる。
 エリアナは、深く息を吸い込んだ。
 冷たいけれど、清々しい空気。

「お母様、わたくし、ここで生きていきます」

 風が優しく髪を撫でた。まるで、母が答えてくれたように。
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