【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら

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第三章 北の城にて

深紅の薔薇を咲かせよう

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 都から、知らせが届いたのだ。

 社交シーズンが始まる。
 王からの招待状。
 アレクシスとエリアナは、王都へ出向かなければならない。

 その知らせを聞いて、エリアナの心は沈んだ。

 王都——そこには、フォンティーヌ家がある。
 リリアーナと、継母と、父がいる。

「大丈夫だ、エリアナ」

 アレクシスが、彼女を抱きしめた。

「私がいる。君を、誰にも傷つけさせない」

 その言葉に、エリアナはうなずいた。
 でも、心の奥底では、不安が渦巻いていた。
 また、あの人たちに会わなければならない。自分を冷遇し、蔑んだ人たちに。出来損ないと呼び続けた人たちに。

「エリアナ」

 アレクシスが、彼女の顎を持ち上げた。

「君は、もう以前の君ではない。自信を持ってほしい。君は美しく、聡明な、私の妻だ」

 その言葉が、エリアナの心を支えた。

 そうだ。
 もう、自分は変わった。
 愛され、認められ、居場所を得た。

 もう、フォンティーヌ家の「出来損ない」ではない。
 ヴァルモント公爵夫人、エリアナ・ヴァルモントだ。

「はい。わたくし、大丈夫です」

 エリアナは、微笑んだ。

「あなた様が一緒なら、怖くありません」


 二人は、王都への準備を始めた。
 エリアナには、新しいドレスが何着も用意された。

「これは……」

 美しいドレスの数々。深紅、サファイアブルー、エメラルドグリーン。

「君に似合う色を選んだ。社交界で、君の美しさを見せつけてやろう」

 アレクシスの言葉に、エリアナは頬を染めた。

 鏡を見る。
 そこに映っているのは——以前の自分とは、全く違う女性だった。
 血色の良い頬、輝く瞳、自信に満ちた表情。

 愛されることで、エリアナは美しくなっていた。
 本来持っていた美しさが、ついに花開いたのだ。

「綺麗だ」

 アレクシスが、後ろから抱きしめた。

「君は、誰よりも美しい」

 その言葉が、エリアナには何よりも嬉しかった。

「ありがとうございます、アレクシス様」
「もう『様』はいらない。アレクシスと呼んでくれ」
「では……アレクシス」

 名前を呼ぶと、彼は微笑んだ。
 本当に、心からの微笑み。
 以前は決して見せなかった、温かな笑顔。

「その笑顔が好きだ、エリアナ。もっと、笑っていてほしい」
「あなたこそ、もっと笑ってください。その笑顔は、とても素敵です」

 二人は、見つめ合った。
 そして、口づけを交わした。
 深く、愛情を込めて。

 数日後、彼らは王都へ向けて出発した。
 北の城を離れるのは、少し寂しかった。

 でも、エリアナの心には確信があった。
 自分は、もう一人ではない。
 アレクシスがいる。

 そして、自分には自信がある。
 王都で何が待っていようとも、もう恐れない。

 馬車の中で、エリアナはアレクシスの手を握った。

「大丈夫、か」
「はい。あなたがいてくれるから」

 アレクシスは、彼女の手に口づけた。

「私は、常に君の味方だ。それを忘れないでほしい」
「忘れません」

 二人は、王都へと向かった。

 そこで待っているのは、再会。
 そして、試練。

 でも、エリアナはもう怖くなかった。
 なぜなら——
 彼女は、もう孤独ではないから。
 愛する人がいて、愛されている自分がいる。
 それが、何よりも強い盾になる。

 灰色の薔薇だった彼女は、今、真紅の薔薇になろうとしていた。
 美しく、強く、誰にも負けない薔薇に。
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